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2008年7月の4件の記事

2008年7月20日 (日)

気に入っているお店

 弁護士人口問題について書くのはもうやめたので今回は最近私が気に入っている食べ物屋を紹介します。
1 樹(たちき)
  国分町3丁目にある小料理屋ですが刺身がうまい。お薦めはカツオ刺し、サザエ刺し、どじょうの唐揚げ、マグロの中落ち丼。焼き鳥とおにぎりはデカイ。居酒屋じゃないのでうるさくないし5000円くらいで満足できます。
2 誉(たか)
  メディアテークのそばにある鉄板焼の店。鉄板焼のステーキが食べられる店としてはリーズナブルで4500円からのコースがある。お薦めは5500円の誉コースか8500円の特選コース。フォアグラの西京味噌漬けはここでしか食べられない。酒のつまみに最適。カクテルは全て500円で深夜1時までやっているのでバーとしてもよい。
3 一乃谷
  国分町にある鯨料理専門店。鯨のステーキがうまい。鯨のあらゆる部位を刺身で食べられる。歯茎まであったがこれはうまいというほどではない。冬場はハリハリ鍋が出る。お任せで頼むと7000円位だが量が半端じゃないので満足できる。
4 客人(まらうど)
  春日町にある小料理屋。刺身と寿司がうまい。メヒカリとか珍しい魚もある。近海魚の白身がうまい。5000円くらいで満足できる。
5 千本屋
  春日町にある焼鳥屋。1本150円で安い。レバーとぼんじりがうまい。モツ煮もうまい。日本酒が竹筒で出てくるのが風情がある。3000円もあれば十分。
6 五麺ラーメン
  大町にあるラーメン屋。ラーメンの種類が多い。スープは塩、醤油、味噌から選べる。麺も中麺と細麺が選べる。ベスピオという辛いラーメンがお薦め。大盛りはすごく多いから気をつけて。
7 麺工房担々
  大町にある中華の店。店名のとおり担々麺がおいしい。自家製麺で肉味噌も独特でコクがある。あんかけ麺もおすすめ。安い。
8 安曇野
  大町にある蕎麦屋。太麺と細麺がある。細麺は喉越しがよい。突き出しのそば味噌がうまい。刺身のマグロの中落ちもうまい。海山幸膳がお得。
9 重箱
  大町にある小料理屋。鯨が食べられる。竜田揚げはいまいちだがベーコンがすごくうまい。季節で出る山菜の天ぷらもうまい。締めの茶そばと茶づけはお薦め。
 

 

日弁連 - 法曹人口問題に関する緊急提言について

リンク: 日弁連 - 法曹人口問題に関する緊急提言について.

法曹人口問題に関する緊急提言

  マスコミでは今回の提言について司法試験年間合格者3000人政策を見直すものと受け取られているようですがそれは誤りです。日弁連のホームページで「今回の提言は、司法改革を推進する立場を堅持しつつ、多くの新規法曹を受け入れている立場から、人口急増のスピードが法科大学院、司法試験、司法修習、オンザジョブトレーニングに至る一連の養成過程において、法曹の質を維持するうえにおいて様々なひずみをもたらしている事実を直視し、増員のペースをスピードダウンして、ひずみ解消の方策を見いだしていこうとするものです。」とされているように弁護士激増政策の見直しを提言しているわけではありません。司法改革を推進する立場は堅持するし、そのために3000人増員政策は必要である、しかしロースクールの指導体制や既存事務所の受入れ態勢が不十分なので3000人にする時期を少し遅らせて欲しいと言っているだけです。
  これまで各地の弁護士会や弁護士会連合会で法曹人口に関する決議が出されていますが、いずれも激増政策の見直しを提言している点では共通です。今回の日弁連の緊急提言とは考え方の根本が異なっていると言えます。どちらが正しいかは別としてこのような内容の緊急提言しか出されなかったことは大きな驚きです。おそらく日弁連会員全員に激増政策見直しの賛否を問えば圧倒的多数の会員は見直しに賛成するでしょう。ところが日弁連の理事会となると全く逆になってしまう。表現や時期の問題については政府やマスコミの反応を配慮した政治的決定というものも許容されるでしょうが、組織としての基本的意思決定に当たって会員の考えより世論(本当に世論が激増政策を支持しているのか疑問ですが)を優先させるというのでは会内民主主義の否定に他なりません。これまで日弁連という組織の健全性に期待して法曹人口問題について地方会の一会員としてできるだけのことをしてきたつもりです。しかし今の日弁連が、一部の日弁連官僚が意思決定を行い理事会はその追認機関に過ぎないことが明らかになった以上法曹人口問題について語るのはこれで最後にしようと思います。
  弁護士人口問題についての会員の反応を見ると、年配の先生方は危機感を持っているようですが、若手会員は必ずしも強くは反対していないように感じられます。事件はまだまだある、過疎偏在はまだある、競争はやはり必要だ、弁護士の質を言うなら今だって質の悪い者はいる等という意見は強いようです。司法改革路線の中で勉強し、合格し、弁護士として活動してきた者にとっては今の政策が当然のことなのでしょうか。私のように弁護士像の変質を云々するのはもはや時代遅れなのかもしれません。
  しかし私は新自由主義者が言う自由競争原理というものがどうしても好きになれない。努力した者は報われるべきだし、社会の効率化・サービスの向上のために一定の競争が必要であることに異論はない。しかし新自由主義で言うところの自由競争というのは競争で勝ち残った者だけが幸せになれればよい、負けた者には最低限度の生活を保障してやればそれでよいという発想であって、みんなで幸せになるための手段として競争を位置付けているわけではありません。私は司法改革の理念自体に反対はしませんが、司法改革と呼ばれている政策が新自由主義者の主導によって開始され推し進められてきたという現実を見るとき司法改革路線を支持することはできません。

  
 

河北新報ニュース Kスタ・楽天戦 飲食物持ち込み規制強化に不満の声

リンク: 河北新報ニュース Kスタ・楽天戦 飲食物持ち込み規制強化に不満の声.

Kスタ・楽天戦 飲食物持ち込み規制強化に不満の声

  Kスタ宮城の正式名称は「宮城野原公園(有料公園施設)」で、都市公園法上の公園です。楽天球団のものではありません。管理方法や禁止行為は宮城県の県立都市公園条例で決められていますが当然のことながら飲食も飲食物の持ち込みも禁止されていません。
 都市公園で競技や興業を行うには県の利用許可を得なければならないので楽天は宮城県からその許可を受けているのでしょうが、公園の管理や利用制限について許可事項を超えた規制権限を有しているわけではありません。公園というものは公衆の利用を前提とし、競技や興業はその利用を制限するものですから公園としての本来の目的に反するような利用はむしろ許されないということになります。
 
もちろん許可を得て野球の試合の興業を行っているわけですから入場料を取るのは当たり前だし、営業の自由がある以上興業の円滑な遂行を妨げるような入場者は拒否することができます。楽天は野球興業に付随する行為として場内で飲食物を販売する許可も得ているのでしょう。しかし、公園内のレストランなどとは異なって飲食物販売による収益を上げる目的で本来自由である公園内での飲食を規制しうるのかは問題です。つまり楽天には宮城野原公園の有料公園施設部分について野球興業の許可を得た時間帯に興業目的で利用する権限が与えられているわけですが、誰をどのような制限の下に観客として入場を許すかを自由に決められるわけではないと思います。このことは例えば楽天が特定の国籍の者の入場は許さないとしたという場合を想定すれば理解できるでしょう。球場の独占利用権を与えられたとしても、その利用権限に基づいて球場を観客の利用に供する場合には都市公園本来の目的に適合する形で利用させなければならないという制約があると考えるべきです。このように楽天の営業の自由は、開催場所が都市公園であるということによる制約を受けるはずです。そして都市公園は本来自由に飲食ができる場所で、管理する自治体自身それを規制することはができない以上、楽天がそれを規制することもできないと考えるべきでしょう。
 このような法律解釈はしばらく置くとしても、楽天球団には県民の公園を使わせてもらっているのだという意識を忘れてもらっては困ります。金を払って借りれば何をしてもよいという私有地ではないのです。手荷物検査をして手作り弁当まで取り上げようとするならそのような球団に対する利用許可は取消すべきでしょう。

2008年7月 5日 (土)

東北弁護士会連合会定期大会決議

 昨日仙台で東北弁護士会連合会定期大会が行われ、「司法試験合格者数を年間3000人程度とする政策の変更を求める決議」が賛成多数で承認されました。内容は以下のとおりです。

     司法試験合格者数を年間3000人程度とする政策の変更を求める決議

1 政府は、平成14年3月に司法制度改革推進計画を閣議決定して、司法試験合格者数の大幅な増加に着手し、平成22年ころには合格者数を年間3000人程度とすることにした。さらに政府は、平成19年6月の「規制改革推進のための3か年計画」で、合格者数を3000人程度にするという目標の前倒しと目標達成後の法曹人口について更なる増大を検討するとの閣議決定をなしたが、本年3月25日の閣議決定でこれを修正した。また法務省は、法曹人口の在り方を検討する組織を立ち上げ、法曹需要と法曹の質の確保の観点から増員政策の再検討を開始した。かように政府の法曹人口の在り方に対する考え方は大きく変りつつある。
2 司法制度改革推進計画は、平成13年の司法制度改革審議会意見書を受けたものであるが、同審議会が示した認識は「今後、国民生活の様々な場面における法曹需要は、量的に増加するとともに、質的にますます多様化、高度化することが予想される」「国民が必要とする質と量の法曹の確保・向上こそが本質的課題である」というものであった。しかし、現時点において同審議会が想定したような法曹需要の増加は現実化しておらず近い将来において増加する見通しも立っていない。
  他方、上記意見書においては、法曹人口全体の増員を図る中で、裁判官、検察官の大幅増員に加えて、裁判所、検察庁の職員の増加を含む司法を支える人的、物的基盤の整備を併せて行う必要があるとされていたが、それらの措置が十分に講ぜられないまま、法曹三者のうち弁護士人口のみが急激かつ大幅に増加している。そのため、司法試験に合格しても就職先を見つけることが困難な事態が生じるなど、現実の法曹需要と増加する弁護士人口との間に不均衡が生じつつある。
3 今後も司法制度改革審議会の意見が前提にしていた需要の増加がないままに弁護士人口のみの急激かつ大幅な増加が続くことになれば、オン・ザ・ジョブ・トレーニングの不足や過当競争によって市民が期待するような法的サービスの質の維持が難しくなるだけでなく、過度の訴訟社会化による市民の被害や企業の法的コストの増大を招くことが予想され、また弁護人を選択する余地のない国選弁護においては、被疑者・被告人の弁護を受ける権利に重大な影響を及ぼしかねない。さらに弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することをその社会的使命とするが、過度の競争は、弁護士の公益的・公共的性格を失わせかねない。もしかような事態が現実化するなら、市民の弁護士という職務自体に対する信頼が失われかねず、市民や企業が身近で質の高い法的サービスを享受するという上記意見書が目指した所期の目的に逆行する結果をもたらすこととなる。
4 昨年の司法試験合格者数は約2100人であり、これと同水準の年間合格者数を維持しても10年後の平成30年ころには弁護士数は約4万人に達し、今後弁護士人口は急速に増大する。にもかかわらず,このまま年間合格者数を3000人とする政策を維持するならば、上記のような様々な弊害がもたらされることが予想される。そして現状ですら現実の法曹需要と増加する弁護士人口との間に不均衡が生じつつあるのであるから、かかる弊害を防止するには、年間合格者数を現状より削減することも含めて検討する必要がある。
5 司法試験合格者数の見直しに関しては、弁護士の過疎偏在問題の解消や被疑者弁護の拡大・裁判員制度導入への対応に支障が生じるとの懸念が指摘されている。しかし、全国の弁護士人口は、平成13年から平成20年にかけて約1.37倍まで増加し、被疑者弁護及び裁判員裁判に対応するための人的基盤の拡大が図られつつある。更に過疎地型公設事務所の全国展開や日本司法支援センターの業務開始により、過疎偏在問題は現実に相当程度改善されている。
  当連合会においても、昨年、過疎偏在対策のため、やまびこ基金が設置され、同基金の支援により本年4月1日、東北六県などの偏在対策拠点事務所として「やまびこ基金法律事務所」が仙台市内に開設された。当連合会はこのような過疎偏在対策の充実及び被疑者弁護の拡大への対応体制確立のための最大限の努力を継続してきた。
6 当連合会は、司法試験合格者数を年間3000人程度とする増員政策を見直し、いったん現在の年間合格者数で凍結し、法曹需要の予測及び法曹の質の確保の観点から弁護士人口の在り方を具体的に検証した上で、改めて適正な年間合格者数を決めるよう政府に求めるものである。
 以上のとおり決議する。
    2008(平成20)年7月4日
                  東北弁護士会連合会
                       会 長 佐 藤 正 明

                            提 案 理 由

1 法曹人口の大幅な増加が計画された経緯
(1)司法制度改革審議会意見
  司法制度改革審議会(以下「司法審」という)が、政府に対して提出した司法制度改革審議会意見書(以下「司法審意見書」という)は、「経済・金融の国際化の進展や人権、環境問題等の地球的課題や国際犯罪等への対処、知的財産権、医療過誤、労働関係等の専門的知見を要する法的紛争の増加、『法の支配』を全国あまねく実現する前提となる弁護士人口の地域的偏在の是正(いわゆる『ゼロ・ワン地域』の解消)の必要性、社会経済や国民意識の変化を背景とする『国民の社会生活上の医師』としての法曹の役割の増大など」により、法曹需要が量的に増大するとともに、質的にますます多様化、高度化することが予想されるとし、法曹人口の大幅な増加を図ることが喫緊の課題であるとした。その上で、司法試験合格者数の増加に直ちに着手し、平成22年には司法試験合格者数を年間3000人とすることを目指すべきであるとした。そして、これによりおおむね平成30年ころまでには、実働法曹人口が5万人規模に達することが見込まれるとした。
(2)司法制度改革推進計画
  司法審の上記意見を受け、政府は、平成14年3月19日、司法試験合格者数の増加に着手し、司法試験合格者数を平成14年に1200人程度に、平成16年に1500人程度に増加させ、平成22年ころには司法試験の合格者数を年間3000人程度とすることを目指すとする司法制度改革推進計画を閣議決定した。
  これによって、平成13年度に990人であった司法試験の年間合格者数は、平成14年度に1183人、平成16年度に1483人となり、平成19年度には2099人(新司法試験合格者1851人、旧司法試験合格者248人)を数えることとなった。このまま上記計画どおり司法試験合格者数が推移すると、平成22年度には司法試験合格者数が3000人程度に達することが見込まれる。
(3)法曹人口の増加に対する日本弁護士連合会の立場
  司法審意見書の政府への提出に先立つ平成12年11月1日、日本弁護士連合会(以下「日弁連」という)は、臨時総会において、「法曹人口、法曹養成制度並びに審議会への要望に関する決議」を採択した。
  これは、当時司法審において年間3000人程度の新規法曹確保が検討されていたことをふまえ、我々弁護士が、「『法の支配』を社会の隅々にまでゆきわたらせ、社会のさまざまな分野・地域における法的需要を満たすために、国民が必要とする数を、質を維持しながら確保するよう努める」ことを決議したものであった。それは法曹人口の大幅増加が法曹一元制や市民に身近で利用しやすい司法の実現に必要であり、国や地方自治体、一般企業など社会全般に弁護士が進出することにより自由・公正並びに透明性の高い法化社会の進展に寄与するとの認識に基づくものであり、他方法曹人口の増加により法曹の質が低下してはならないという立場から、日弁連として、さらに一層、法曹養成について努力することも確認された。

2 法曹需要と法曹人口
(1)司法審意見書で示された認識
   司法審意見書は、平成9年における法曹1人当たりの国民の数について、日本(約6300人)が、アメリカ(約290人)・イギリス(約710人)・ドイツ(約740人)・フランス(約1640人)と比較して少ないことを指摘した上で、今後の法曹需要について、「経済・金融の国際化の進展や人権、環境問題等の地球的課題や国際犯罪等への対処、知的財産権、医療過誤、労働関係等の専門的知見を要する法的紛争の増加、『法の支配』を全国あまねく実現する前提となる弁護士人口の地域的偏在の是正(いわゆる『ゼロ・ワン地域の解消』)の必要性、社会経済や国民意識の変化を背景とする『国民の社会生活上の医師』としての法曹の役割の増大など」の要因を挙げて、量的に増大するとともに、質的にますます多様化・高度化が予想されるとし、これに対応するためにも法曹人口の大幅な増加を図ることが喫緊の課題であるとした。
   しかし、司法審意見書においては、その指摘する各要因においてそれぞれどの程度の法曹需要が生ずるかの具体的検討や、平成22年に司法試験合格者数を年間3000人とした場合の将来の法曹人口の規模の妥当性については検討されていない。
   また、諸外国との法曹人口の比較についても、裁判官数・検察官数、裁判制度、司法予算、法律扶助制度、法律扶助に投下される国費、法曹資格取得後実際に法曹として実働する者の数、国民の法意識、隣接法律専門職種の有無・人数などは各国様々である。例えば、我が国には、司法書士・行政書士・税理士・弁理士等の隣接法律関係専門職(諸外国でも独立の職種とされる公認会計士は除く)が存在するという特殊性があり、隣接法律関係専門職は、平成13年当時で12万人以上を数え、これらを加えた法律関係専門職の1人当たりの国民の数は907人であったが、この点の評価や今後の見通しなどについての言及はない。
   将来の法曹人口の規模について言えば、平成22年に司法試験合格者数を年間3000人としその後も合格者が3000人のまま推移すると、将来の法曹人口は、法曹人口5万人(日弁連の推計では平成30年に到達)に達した後も当然のことながら増加を続け、日弁連の推計によれば新規法曹資格取得者と法曹でなくなる者が均衡する平成68年には13万人以上という膨大な数に達すると予測されている。しかし、将来これほどまでの規模の法曹人口が必要とされるのかについても司法審では検討されていない。
(2)想定されていた法曹需要と現実の需要との不均衡
 ア 司法統計から見た法曹需要
   司法統計によれば、司法審意見書が政府に提出された平成13年の時点では、全裁判所の民事・行政事件新受総数は、増加傾向にあり、平成2年に171万5193件であったのが、平成13年には309万8011件に増加していた。ところが、平成15年に352万0500件に達したのをピークに減少に転じ、平成18年には262万1139件にまで減少した。全裁判所の刑事事件等新受総数も平成13年に164万9946件であったのが、平成18年には149万5046件に減少している。弁護士の主要な取扱業務である地方裁判所の民事通常訴訟事件についてみると、平成12年に18万4000件に達した後、順次減少して平成17年には15万4000件に減少しており簡裁の事物管轄の変更による減少の影響を考慮しても減少傾向にあることは否めない。もっとも平成18年、19年と事件数は増加し、平成19年には18万2291件となっているが、これは平成18年に貸金業規制法43条のみなし弁済の成立を厳格に解釈する最高裁判決が出されたことなどによる過払金返還訴訟の増加によってもたらされた、一時的な現象と考えられる。
   司法統計からは、裁判における法曹需要が、司法審意見が出された後減少傾向を示していることがわかる。今後上限金利の引き下げによりクレサラ事件が減少することを考えると、民事・行政事件新受総数は更に減少するものと予測される。 
 イ 企業・官公庁・地方自治体における法曹需要
   前述した日弁連の臨時総会決議は、弁護士人口の増加により、国や地方自治体、一般企業など社会全般に弁護士が進出することを想定していた。
   ところで、日弁連業務推進センターは平成18年10月から11月にかけて弁護士の需要についてのアンケート調査を実施し、5252の企業、46の省庁、849の自治体にアンケートを送付し、うち1446の企業、32の省庁、655の自治体から回答を得た。しかし、アンケートの分析結果によれば、企業・官公庁・地方自治体における弁護士の需要はいずれも極めて少ないことが明らかとなった。
   仙台弁護士会で昨年末に宮城県内の地方自治体に同種のアンケート調査を実施し、21の自治体から回答を得たが、現在弁護士と顧問契約をしていない自治体で今後顧問契約をする予定があると回答した自治体はゼロで、その理由としては回答した全ての自治体が弁護士が必要になった場合に個別に依頼すれば足りるとしている。また弁護士を職員として採用している自治体もゼロで、今後職員として採用する予定のある自治体もゼロであった。
   このような結果からすれば、現時点において、企業・官公庁・地方自治体における弁護士の需要は少なく、今後、弁護士会として、この分野における業務対策を強力に講ずることは当然としても、それが直ちに大幅な需要増をもたらすと期待するわけにはいかない。
 ウ 法律事務所勤務弁護士採用状況から見た法曹需要
   上述したとおり、司法制度改革推進計画は、平成13年度に990人であった司法試験の年間合格者数を平成19年度には2099人に増加させており、更に平成22年ころには3000人程度まで増加させることを予定している。
   ところが、司法試験の年間合格者数が3000人程度まで増加させるまでの過渡期にすぎない現時点で既に、大都市を中心に弁護士の飽和状態が生じており、平成18年度以降、司法修習を修了した後に法律事務所へ就職することが困難な状況が生じてきている。日弁連も、当連合会も、新規登録弁護士の職場確保のための努力を重ねてきたが、従前のような就職ができず、無給で事務所を使用させてもらう「ノキ弁」や、やむを得ず自宅を事務所登録する「タク弁」が生じているといわれている。一般的には新規求人数と当該業種の需要の見込みとは相関するのであるから、司法審意見書が想定したほどの法曹需要は現実には生じていないものというべきである。
(3)計画的増員の必要性
   法曹人口の規模は基本的に法曹需要によって規定されるべきものである。しかしいったん増加した法曹人口を強制的に減少させることはできない以上法曹人口の増員は将来の法曹需要を予測した計画的なものでなければならない。
   将来の法曹人口は、仮に司法試験合格者数を平成22年に3000人にした後に毎年100人ずつ減員して、年間1500人になったところで1500人を維持した場合には平成81年に約6万5000人に達してほぼ固定し、年間2000人になったところで2000人を維持した場合は平成76年に約8万7000人に達してほぼ固定し、年間3000人を維持した場合は平成68年に約13万人に達してほぼ固定すると予測されている。選択肢としては一定の時期までは年間2000人として、途中で徐々に逓減させて望ましい規模で固定するような増員もあり得る。しかしどのような増員政策をとるにせよ、現在及び将来の法曹需要についての具体的な検討無くしては将来の法曹人口の規模を決めることはできない。そして将来の法曹人口の規模を決められなければ年間合格者数をどの程度にするのが適切かなど決められるはずはない。結局この点の検討がなされなかったがために、司法制度改革推進計画の実現過程において、法曹人口、特に弁護士人口が、現実の需要と齟齬をきたしつつあるのである。
   政府は、平成19年6月、平成22年頃に司法試験合格者数を3000人程度とするという目標を前倒しして達成することを検討すると共に目標達成後の法曹人口について更なる増大を検討するとの内容を含む「規制改革推進のための3か年計画」を閣議決定したものの、僅か約9ヶ月後の本年3月25日に閣議決定された同計画の改定版ではこれらの点を削除している。また、法務省においても、法曹人口の在り方を検討する組織を立ち上げ、法曹需要の観点及び法曹の質の確保の観点から増員政策の再検討を開始した。このような動きは、政府においても法曹人口の増加のペースが、現実の法曹需要の増加を上回っているとの認識の下に、将来の法曹人口の規模をどのようにすべきかとの観点から政策の再検討に踏み出したことを意味している。

3 弁護士人口の急激な増加がもたらす弊害
(1)市場原理と法的サービスの質の関係
   これまで、弁護士人口の増加により、仮に十分なスキルを習得していない弁護士が増えたとしても競争の中で自然に淘汰され、法的サービスの質が向上するとの市場原理論が語られてきた。
      たしかに法律事務にあっても適度な競争が法的サービスの質の向上に寄与する面はあろう。ことに大企業をクライアントとする企業法務にあっては、クライアント側に弁護士についての十分な情報収集能力と選別能力があるので競争は法的サービスの質の向上をもたらすであろう。しかし、一般市民にとっては、弁護士に事件を依頼すること自体希であり、自らの経験に基づいて弁護士の優劣を判断することなどおよそ不可能である。この点において自ら消費することによってその質やコストパフォーマンスを判断しうる一般の商品やサービスの提供と法的サービスの提供とでは、本質的な違いがある。継続的・反復的な法的サービスのニーズを持たない一般市民の立場で考えるならば、どの弁護士を依頼しても一定の水準の法的サービスが受けうることを望むであろう。さらに、市場原理に委ねるということは、弁護士がその職務遂行において経済効率を優先させることに帰着する可能性があるが、そのことが果たして法的サービスの向上に結びつくかはきわめて疑問である。また、十分なスキルを習得していない弁護士が市場で淘汰されるメカニズムがないことも考慮しなければならない。
   また、そもそもこのような市場原理論が、弁護士に課せられた重大な責務である国選弁護にまったく当てはまらないことは明らかである。国選弁護事件においては、被疑者・被告人は弁護人を選択することができないのであるから、競争による法的サービスの質の向上という論理が当てはまる余地がない。むしろ(3)で後述するとおり、法的サービスの質は、弁護士人口の増加により技能面でも倫理面でも低下していく虞があり、かえって被疑者・被告人の弁護を受ける権利に対し重大な影響を及ぼしかねない。

(2)弁護士の技能面での質の低下の虞
   前述したとおり、既に司法修習を修了した弁護士希望者の就職難の問題が生じており、やむを得ず自宅を事務所登録する「タク弁」を生じさせる事態となっている。
   そもそも弁護士としてのスキル習得は、決して司法試験や司法修習だけで十分になしうるものではなく、弁護士となった後の勤務先の弁護士などとの協働によるオン・ザ・ジョブ・トレーニングによるところが大きい。これまでも修習終了後直ちに独立開業する弁護士がなかったわけではないが、多くの弁護士は法律事務所で勤務弁護士として勤務することによってオン・ザ・ジョブ・トレーニングを積んで弁護士としてのスキルを習得してきたし、直ちに独立開業した場合であっても、周囲の弁護士が事件の共同受任等によって事実上の技術的支援を行うことにより、このような弁護士のスキル習得をバックアップしてきたものといえる。オン・ザ・ジョブ・トレーニングで得られるスキルが、研修などで代替しうるものでない。
   ところが、弁護士の急激な増加による就職難がこれ以上進めば、これまでのようなオン・ザ・ジョブ・トレーニングを受けられない弁護士が増加していくこととなり、十分なスキルを習得していない弁護士が法的サービスを提供するという事態が生じることになる。
(3)弁護士の倫理面での質の低下の虞
 ア 市場原理と倫理的水準の確保の問題
   市場原理論の立場からは、仮に十分なスキルを習得していない弁護士が増加してきても、そのような弁護士は競争の中で自然に淘汰されていくと語られてきた。
   しかし、競争の中で淘汰された弁護士が市場から容易に去るとは考えにくく、事務所経営を維持していくために弁護士倫理上問題あるような行為を行う者が出る虞もある。もっとも、そのような事態が生じないように綱紀、懲戒制度を適正に運用し、弁護士倫理の保持に努めるべきことは勿論のことであるが、弁護士を事後的に懲戒等によって処分しても、いったん生じた市民の被害を回復することはできない。まして弁護士の職務は時として依頼者の一生を左右しかねない場合があるのであり、回復不可能な被害を市民に与えることも想定される。そしてこのような弁護士による非行と市民の被害が頻発するようになれば、弁護士という職務自体への社会的信頼自体が大きく損なわれるものと考えられる。
 イ 過度の訴訟社会化
   弁護士人口を市場原理に委ねるということは、弁護士がその職務遂行において経済効率を優先させざるを得ないことを意味する。そのことが、法的解決になじまない案件や解決の見通しがない案件を受任したり、安易に成功を約束して事件を受任したり、正当とは言い難い利益を求める依頼者からの依頼を受任することなどを招き、過度の訴訟社会化を招来することが危惧される。
   司法審の資料によれば、平成9年年当時の年間民事訴訟件数は、アメリカ約1567万件、イギリス約233万件、ドイツ約210万件、フランス約111万件、日本約42万件とされ、弁護士1人あたりの訴訟件数を比較すると、アメリカで17件、イギリスで28件、ドイツで24件、フランスで37件、日本で25件と大きな差はない。
   このことは、供給が需要を生み、弁護士人口の増加が訴訟件数が増加させる可能性が高いことを示唆する。しかし、そこで増加した訴訟が、本来法的手続による解決がなされるべき社会的紛争の顕在化という意味での適正さを持つ保障はない。アメリカを典型とするような訴訟社会を招来することが望まれているかについて、まず検討されなければならない。
 ウ 基本的人権の擁護と社会正義の実現のための活動への影響
   弁護士法一条は基本的人権の擁護と社会正義の実現を弁護士の使命として規定する。これまで弁護士は公害事件、薬害事件、国選弁護事件、えん罪事件、少年事件、消費者事件、国賠事件、障害者問題、差別問題などの社会性をもった様々な問題について積極的に取り組んできた。また、日弁連、各弁連、各単位会は、人権擁護や法律制度の改善において、大きな役割を果たしてきた。これは、このような公益活動を担う多くの弁護士が存在したからこそである。しかし、弁護士人口を市場原理に委ね、弁護士が経済効率を最優先して採算性の確保を第一の眼目とせざるを得ないという事態となれば、これまで弁護士が果たしてきた基本的人権の擁護と社会正義の実現のための活動が影響を受けることは避けられない。

4 法曹人口増加の不均衡
(1)司法審意見書及び司法制度改革推進計画の目指したもの
   司法審意見書は、司法の役割として「法の支配の理念に基づき、すべての当事者を対等の地位に置き、公平な第三者が適正かつ透明な手続により公正な法的ルール・原理に基づいて判断を示す司法部門が、政治部門と並んで、公共性の空間を支える柱とならなければならない。」との認識を示した上で、裁判官、検察官について「全体としての法曹人口の増加を図る中で、裁判官、検察官を大幅に増員すべきである。」とし、更に「裁判所書記官等の裁判所職員、検察事務官等の検察庁職員の質、能力の向上を一層推し進めるとともに、その適正な増加を図っていくべきである。」としていた。
   司法審意見書を受けて閣議決定された司法制度改革推進計画でも「平成22年ころには司法試験の合格者数を年間3000人程度とすることを目指す。また、全体としての法曹人口の増加を図る中で、裁判官、検察官の大幅な増員や裁判所書記官等の裁判所職員、検察事務官等の検察庁職員の適正な増加を含む司法を支える人的基盤の充実を図ることが必要であり、そのため、各種の制度改革の進展や社会の法的需要を踏まえるとともに、その制度等を効率的に活用しつつ、必要な措置を講ずる。」と明記されていた。
(2)現実の司法関連予算及び裁判官・検察官数の推移
   しかし、平成12年以降の司法関連予算の推移を見ると、裁判所所管歳出予算は平成12年3186億円が平成19年3300億円、国家予算に占める裁判所予算の割合は平成12年0.375%が平成19年0.399%、検察庁予算は平成12年1055億円が平成19年1048億円、法律扶助事業費補助金は平成12年21億円が平成19年24億円でいずれもほとんど変わっていない。新設された日本司法支援センター運営交付金は僅かに102億円である。
   裁判官数は平成12年3019名が平成18年3341名、検察官数は平成12年2231名が平成18年2479名と微増にとどまっている。裁判所職員及び検察庁職員もほとんど増加していない。
(3)弁護士人口のいびつな増加
   政府が自らの計画を実行していない理由が「社会の法的需要を踏まえた」結果なのかは不明であるが、裁判官・検察官数の大幅増員や司法制度改革を実現するために必要とされた財政面での十分な手当は見送られたままになっており、その結果として弁護士人口だけが激増するといういびつな事態が現れている。
   そしてこのような弁護士数だけが突出して増加するという法曹人口の均衡を失した増加が今後も継続するならば、既に述べたような大きな弊害が生じることが懸念される。

5 弁護士過疎・偏在問題への取り組み
(1)弁護士の地域的偏在解消と弁護士人口の増加
   司法審意見は『法の支配』を全国あまねく実現する前提となる弁護士人口の地域的偏在の是正(いわゆる『ゼロ・ワン地域の解消』)の必要性をもって、弁護士人口の増加の必要性を根拠付けた。しかし、単純な人口増加だけでは弁護士の地域的偏在が解消しないことも明らかである。
   そもそも弁護士の過疎・偏在問題は、社会経済的要因により歴史的に形成されてきたものである。これまで弁護士がいないあるいは少ない地域において弁護士として職務を行おうと考えても容易ではない実情があったことによるものであるから、単に弁護士の総数を増加させれば過疎地域において弁護士となる者が増加するという単純なものではない。すなわち、過疎地域には司法修習終了後に就職しようとしても就職しうる法律事務所が存在しないし、直ちに独立開業するには資金面でもスキル面でも不安がつきまとう。そしていったん都市部に就職してスキルを得たときにはその地での生活が成り立っており、敢えて実情のわからない過疎地域で開業しようとする意欲は持ちにくい。独自の施策が必要とされる所以である
(2)過疎・偏在問題への弁護士会の対応
   一般市民が身近で良質な法的サービスを受けることが困難な状況を弁護士会として容認できないことは言うまでもない。その意味で、弁護士の過疎・偏在問題の解消は急務である。日弁連、各弁護士会連合会(以下「各弁連」という)、各弁護士会はこの問題に総力を挙げて取組み、かつ一定の成果を挙げてきた。
   平成8年5月に名古屋で開催された日弁連定期総会において、「弁護士過疎地域における法律相談体制の確立に関する宣言」(名古屋宣言)が決議された後、全国の各単位弁護士会は平成13年5月までに法律相談センターを設置するための5か年計画を作成してその実行に取り組んだ結果、弁護士過疎・偏在地に居住する市民の司法アクセスが相当程度改善されている。
   日弁連は、平成12年の石見ひまわり基金公設事務所の開設を皮切りに、全国の弁護士過疎地域に80カ所以上の過疎地型公設事務所の設置・運営を支援する活動を行っており、今後も更に過疎地型公設事務所は増加する予定である。また、日本司法支援センターも過疎地域にいわゆる4号事務所(総合法律支援法30条1項4号に定める司法過疎地対策業務を遂行するための地域事務所)を設置・運営し、日弁連もこれを支援している。
      更に、日弁連は、「弁護士偏在解消のための経済的支援策」に基づき今後5年間にわたり弁護士過疎・偏在地に赴任する弁護士を養成する公設事務所(偏在対策拠点事務所)の開設支援、弁護士過疎・偏在地に赴任する弁護士を養成する事務所の事務所拡張費用・養成費用支援、弁護士過疎・偏在地への赴任のための準備支援や独立開業支援を行うこととした。
      当連合会も弁護士・過疎偏在対策に取り組むため平成19年9月に「やまびこ基金」を設置した。日弁連の経済的支援とやまびこ基金により、東北六県などの過疎・偏在地において業務を行う弁護士の養成を目的として平成20年4月1日、仙台市内に「やまびこ基金法律事務所」が開設されている。
   上記のような日弁連・各弁連・各単位会の取り組みの中、弁護士過疎・過少地への赴任や開業にあたって、十分な経済的支援や技術的支援が受けられることや事務所経営が成り立つことが弁護士の間に認知され、弁護士過疎・過少地への赴任や開業を希望する弁護士が増えている。
   全国203の地裁支部管内において、平成8年には弁護士がいないゼロ地域が47、弁護士1名の地域が31だったのが、本年6月の時点でゼロ地域はなくなり、弁護士1名の地域も24箇所まで減少した。弁護士過疎・偏在問題は、弁護士増員によって解消される問題ではなく、上記のような日弁連・各弁連・各単位会の取り組みにより初めて解消される問題であり、かつ、現実にも着実に解消に向かっている。

6 被疑者国選弁護・裁判員裁判への対応
  平成21年に被疑者国選弁護の対象拡大と裁判員裁判の実施が予定されており、現在の弁護士数でこれに対応できるかを懸念する意見が聞かれる。
  確かに、被疑者国選弁護の対象事件数は、現在の10倍以上に増大するものと見込まれるし、また、裁判員制度における公判前整理手続の充実や連日開廷による集中審理による弁護人の負担を考えると、一定程度の人的基盤の拡大は望ましい。しかし、これまでも被疑者国選弁護の対象拡大と裁判員裁判の実施を想定して増員が続けられ、平成13年3月31日現在に1万8243人であった弁護士数が平成20年1月1日現在で2万5062人まで増加している。当連合会を構成する六単位会における合計弁護士数も、平成13年3月31日現在の483名から平成20年2月20日現在では660名まで増えて、全国平均とほぼ同様の約1.37倍の増加となっており、いずれの単位会においても、近年の会員数の増加、過疎地型公設事務所の設置などにより、被疑者国選弁護の対象拡大と裁判員裁判の実施に対応できる体制の構築を進めてきた。
  従って被疑者国選弁護・裁判員裁判への対応の必要性があるからといって、そのことが年間司法試験合格者数を3000人とする政策に直ちに結びつくものではない。

7 法科大学院について
  法曹人口の増加と軌を一にして法科大学院による法曹養成が開始された。従来の司法試験とは異なりプロセスを重視した法曹養成を企図したものである。
  法科大学院による法曹養成については、当初法科大学院卒業生の7割程度が新司法試験に合格しうるような制度設計にすべきと言われていたものの、平成19年9月に法科大学院修了生を対象とした司法試験の合格者数では合格率が40%という状況である。かかる状況の下での年間司法試験合格者数の見直しは司法試験合格率の低下を招くので好ましくないとの意見もある。しかしながら、法科大学院の学生の数によって司法試験合格者の数を規定するという考え方は、国民が必要とする数を、質を維持しながら確保するという司法審の考え方に背馳するものである。
  もちろん今後司法試験の年間合格者数を現状から削減する場合には、実施時期を2年ないし3年先にするなどの在学生に対する配慮は必要であろうが、法科大学院の学生の合格率如何によって本来あるべき年間司法試験合格者数が左右されるべきではない。

8 結語
  我々弁護士は、今後とも「『法の支配』を社会の隅々までゆきわたらせ、社会のさまざまな分野・地域における法的需要を満たすために、国民が必要とする数を、質を維持しながら確保する」努力を主体的かつ積極的に続けて行かねばならない。
  しかしながら、あくまで我が国における適正な法曹需要との均衡が維持されること及び法曹三者の均衡の取れた増員であることを維持することが大前提である。日弁連は、平成12年11月1日の日弁連臨時総会決議において、法曹人口の増加を積極的に推進する立場をとったが、司法制度改革推進計画の実現過程において、法曹人口、特に弁護士人口が、現実の需要を大幅に上回るペースで増加しており、このままでは最終的にユーザーである市民や企業を犠牲にする弊害を生じることが危惧される事態となっている。現状のまま平成22年ころまでに司法試験合格者数を3000人に増加させる計画が実行に移され、そのままのペースで増員が続くならば、取り返しのつかない社会的損失をもたらすおそれがある。従って、我が国の弁護士人口を現実の需要に即した適正なものに維持するためには、司法試験年間合格者数を3000人程度とする政策について、合格者数を現状より削減することも含めて再検討する必要がある。
  当連合会は、このような観点から、司法試験合格者数を年間3000人程度とする増員政策を見直し、いったん現在の年間合格者数で凍結し、法曹需要の予測及び法曹の質の確保の観点から弁護士人口の在り方を具体的に検証した上で、改めて適正な年間合格者数を決めるよう政府に求めるものである。
                                                                以  上

 採決では賛成が明らかに多数であったため賛否の数はカウントしませんでしたが、出席者が300名位のところ反対は10名に満たなかったように思います。この決議案は中部弁連や中国地方弁連と異なり理事会提案です。弁護士過疎地とされ未だ増員による影響が少ない東北地方でこのような形で増員見直しを求める決議がなされたことは重要な意味があると思います。もはや弁護士人口問題についての弁護士界内世論は、激増政策の見直しということで固まったと言うべきでしょう。
 ところが大会後に行われた日弁連執行部との意見交換会での執行部の回答はお粗末なものでした。私の質問は次のようなものでした。
1 弁護士人口問題についての本格提言に向けて具体的にどのような検証作業をする予定なのか。
2 本格提言を行うための検証作業はどのような組織で行う予定か。ことの重要性に鑑みれば対策本部か少なくとも特別委員会の設置が必要と考えるがどうか。
3 本格提言とは弁護士人口問題についての日弁連の意思決定と考えてよいのか。 日弁連の意思決定だとすれば臨時総会を開催する必要があると考えているか。
  単位会照会を行う必要があると考えているか。
4 本格提言までの間は司法試験合格者数を現状で凍結する必要があると考えるか。 もし凍結する必要があると考えるならそのことを政府に求めるつもりはあるのか。それとの関連で今日の東北弁連大会決議をどのように評価するか。
5 現時点の執行部の考えとしては年間合格者数3000人という目標自体を見直す必要があると考えているのか、それとも数値目標自体は正しいが達成の時期を遅くすれば足りると考えているのか。
6 法科大学院修了が司法試験の受験資格とされているが、多額の学費とその間の生活費を捻出できないために司法試験受験を断念しているものが存在するという認識を持っているか。
  そのような事態は法の下の平等や職業選択の自由の侵害あるいは格差の固定化、格差社会の助長になっているという認識はあるか。
7 法科大学院の教育内容について前期修習終了程度の教育を行うという前提だったのか。
  実際にそのような教育が行われていると考えるか。
8 法科大学院修了を司法試験受験資格とせずに誰でも受験できる制度にかえるあるいは修習期間を少なくとも1年6ヶ月程度に戻す必要性があると考えているか。

 これに対する日弁連執行部の回答は、本格提言のための特別委員会を設置する予定であること、合格者の凍結は必要ないと考えていることの2点だけは明言しましたが、それ以外は全て検討中ないし特別委員会などでの今後の検討に委ねたいというものでした。たしかに宮崎執行部が発足してまだ3ヶ月ですが、弁護士人口の検証作業は平山執行部でもやると言っていたはずなのに一体何をやっているのかという感じです。宮崎会長の挨拶の中で隣接士業は弁護士増員に反対している、職域拡大のために自民党に働きかけて署名運動もやっている、このような動きも警戒しなければならない、ロースクール潰しが始まっている、ロースクール関係者からは色々言われているなどと述べていました。何が言いたいのかよく分かりませんでしたが増員見直しをすると隣接士業に職域を犯される、ロースクールが潰されてしまうので慎重にやるべきだということなのかもしれません。しかし私は激増政策によって弁護士が変質するくらいなら、政策見直しのために隣接業種の一定の職域拡大と引き替えに共闘するということも政治的判断としてあり得るのではないかと思っています。またロースクール修了を受験資格とすることは憲法違反だと思っているのでロースクール潰し大いに結構だとも思っています。
 私には日弁連執行部の考えていることは一般会員の感覚とかなり齟齬していると感じます。日弁連執行部は、俺たちは君たちと違って責任があるのだ、君たちの知らない情報も得ながら大所高所から世論の動向を見ながら各方面の利害調整をやっている最中なのだから黙って見ていろ、という上から目線で一般会員を見ているような気がしてなりません。たしかに政策の変更を求める以上それは政治の話になるわけでマスコミや政党への働きかけ、関係諸団体との利害調整が必要になるわけですが、まずその前に会員の意見を積み上げる形での日弁連としての意思形成をしなければならないはずです。それが世論に受け入れられるかどうかはやってみなければ分からないことです。勝手に落ち着きどころを探ってそれを会員に押し付けるようなことにならなければよいのですが。

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