フォト

« 第18回FNSドキュメンタリー大賞 - フジテレビ | トップページ | 過去1年間の仙台市民オンブズマンの活動報告 »

2009年7月24日 (金)

相沢光哉宮城県議会議員の不起訴処分について不起訴不当の議決

 仙台市民オンブズマンは,平成20年3月24日,宮城県議会議員相沢光哉氏に対し,有印私文書偽造(刑法第159条1項),同行使(刑法第161条1項,第159条1項),詐欺(刑法第246条2項),偽証罪(刑法第169条)に該当するとして,仙台地方検察庁に告発したところ,仙台地方検察庁は,平成21年3月27日,いずれも不起訴処分としました。
  検察庁が不起訴処分とした理由は,①相沢県議は,収支報告書の作成や会計業務に直接関与しておらず,相沢県議が殊更に日付を改ざんして領収証を偽造する故意があったとまではいえない,②偽証罪の点についても,領収証を偽造する故意があったとまでいえないことから,偽証の認識があったとまではいえない等というものでした。
  しかし,検察庁は,相沢県議が,日付空欄の領収証の原本をコピーして日付空欄の領収証の写しを作成し,それぞれ異なる日付を記入した上で,さらに,それらをコピーして写しを作り,政治資金規正法上の収支報告書ないし政務調査費にかかる収支報告書にそれぞれ添付して使用しているという極めて不自然な行為を行っているにもかかわらず,この点につき十分捜査していない疑いがあります。また,検察庁は,相沢県議が,証人尋問前に,仙台市民オンブズマンの主張を精査し,代理人弁護士と入念な打ち合わせをした上で,偽証している点を見逃しているなど,告発した事実について十分に捜査を尽くした上で,相沢県議を不起訴処分としたのか甚だ疑問でした。
  そこで,仙台市民オンブズマンは,平成21年5月13日,仙台検察審査会に審査申立を行っていましたところ,仙台地方検察審査会は,本日(平成21年7月24日),仙台地方検察庁の行った不起訴処分につき,「本件不起訴処分はいずれも不当である。」との議決がなされました。
  仙台検察審査会が,不起訴処分を不当とした理由は,いずれも,「検察官の行った捜査のみで,上記の不起訴を結論づけるには不十分であり,なお,慎重に捜査を行うべき余地が十分にあると考えられることから,さらに,捜査を尽くす必要がある。」というものでした。まさに,仙台市民オンブズマンが主張していた捜査不十分との点を認めるものです。かかる判断をなした仙台検察審査会に敬意を表したいと思います。
  他方,仙台地方検察庁には,仙台検察審査会の議決を真摯に受け止め,慎重かつ十分な捜査を尽くし,厳正に処罰されることを期待したいと思います。

 検察審査会の議決書は次のとおり
「kensatusinsakaigiketu.pdf」をダウンロード

告発状

仙台地方検察庁検事正 殿

                  告発人
                  別紙告発人目録記載のとおり
                  

                  被告発人
                  氏名   相   沢   光   哉
                  職業   宮城県議会議員
                  生年月日 昭和13年12月7日生

平成20年3月14日

                                告発人   十   河     弘   
                                  同    小 野 寺   信   一 
                                  同    庫   山   恒   輔 
                                  同    山   田   忠   行 
                                  同    松   澤   陽   明 
                                  同    坂   野   智   憲 
                                  同    野   呂     圭   
                                  同    千   葉   晃   平 
                                  同    菊   地     修   
                                  同    吉   田   大   輔 
                                  同    宇   都   彰   浩 
                                  同    三   浦   じ ゅ ん 
                                  同    鶴   見   聡   志 
                                                                        
第1 告発の趣旨
      被告発人の次の行為は、有印私文書偽造(刑法159条1項)、同行使(刑法161条1項、159条1項)、詐欺(刑法246条2項)、偽証罪(刑法169条)にそれぞれ該当すると思料するので、捜査の上、厳正に処罰されたく告発いたします。

第2 告発事実
      被告発人は、自由民主党・県民会議に所属する宮城県議会議員であって、
    1 その職を利用し、本来であれば、交付を受けた政務調査費の総額から条例に定める使途基準に従って使用した政務調査費の総額を控除した残余については、知事に返還しなければならなかったところ、政務調査費名下に公金を詐取しようと企て、平成16年7月30日から平成17年5月2日ころまでの間に、行使の目的をもって、ほしいままに、コーシン印刷株式会社代表取締役三橋正人の記名及び私印のある「相沢事務所」宛の額面「¥94,135-」の領収証の日付欄を「平成16年7月30日」から「平成16年8月31日」と書き換えた上、複写し、あたかも真正に作成されたコーシン印刷株式会社代表取締役三橋正人作成名義の領収証を原形どおりに複写したかのような外観を有する領収証の写し1通の偽造を遂げた上、平成16年7月30日から平成17年5月2日ころまでの間に、仙台市青葉区本町3丁目8番1号所在の自由民主党・県民会議事務局内において、自己の所属する会派である自由民主党・県民会議に対し、前記偽造した領収証の写しを提出して行使し、平成16年8月31日にコーシン印刷株式会社に対し、第9回県政報告会の印刷代として94,135円を支払った旨虚偽の報告をするなどし、平成17年5月2日ころ、その情を知らない会派の代表者をして、被告発人において、平成16年8月31日にコーシン印刷株式会社に対し、第9回県政報告会の印刷代として94,135円を支払った旨の政務調査費に関する収支報告書等を作成させ、そのころ、宮城県議会議長をして、収支報告書記載のとおりの政務調査費の支出がなされたものと誤信させ、よって、政務調査費名下に金94,135円の返還を免れ、もって人を欺いて財産上不法の利益を得、
    2 平成20年2月4日仙台地方裁判所第3民事部において、平成18年(行ウ)第7号政務調査費返還履行等請求事件について、証人として宣誓の上、第9回県政報告会案内状印刷費につき、18万8270円のうち政務調査費として計上した9万4135円が同印刷費に含まれていた事実もなく同印刷費として支払われた事実もないのに、その記憶に反して、「第9回県政報告会の案内状印刷費18万8270円の1/2按分して計上したもので、適正に処理している」と記載した被告発人作成に係る書面及び「県政報告会開催対象経費の2分の1を政務調査費で賄い、残余の収支は政治資金団体の会計に計上した」と記載した被告発人作成に係る陳述書を、補助参加人自由民主党・県民会議訴訟代理人弁護士浦井義光から示されて、「訂正するところはございますか」と尋問をうけた際、「ございません」と虚偽の事実を陳述し、もって、偽証し
  たものである。

第3 告発の理由
 1 告発人・被告発人
  (1)告発人について
        告発人仙台市民オンブズマンは、平成5年6月24日、地方財政の不正を監視・是正すること等を目的として結成された権利能力なき社団であり、平成16年度宮城県議会政務調査費の違法支出の返還を求める住民訴訟を提起したものである(仙台地方裁判所平成18年(行ウ)第7号政務調査費返還履行等請求事件)。
        その他の告発人は、仙台市民オンブズマンの構成員である。
  (2)被告発人について
        被告発人は、自由民主党・県民会議に所属する宮城県議会議員であって、平成16年度宮城県政務調査費返還履行等請求事件訴訟(仙台地方裁判所平成18年(行ウ)第7号事件)において、補助参加した自由民主党・県民会議の証人として出廷し、宣誓した者である(証拠資料1)。
        被告発人は、昭和54年に仙台市議会議員となり、平成3年からは宮城県議会議員に選出され、平成18年度は宮城県議会議長に就任し、平成15年から16年にかけては政務調査費の条例を検討する委員会の委員長を務めたものである。
        被告発人の政治資金規正法上の団体として相沢みつや政治経済研究会及び相沢みつや連合後援会がある。
  2 政務調査費について
  (1)地方自治法100条13項は、「普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務調査費を交付することができる。この場合において、当該政務調査費の交付の対象、額及び交付の方法は、条例で定めなければならない。」と規定し、同条14項は、「前項の政務調査費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出ものとする。」と規定している。
  (2)これを受けて、宮城県議会における政務調査費の交付に関する条例(宮城県条例第38号)(証拠資料2)及び宮城県議会における政務調査費の交付に関する条例施行規定が定められている(証拠資料3)(以下、宮城県議会における政務調査費の交付に関する条例を、単に「条例」という)。
    ア 宮城県議会の政務調査費の仕組み
        条例によれば、知事が、会派又は無会派議員に対し、政務調査費を交付し(条例9条1項)、政務調査費の交付を受けた会派又は無会派議員は、当該年度分の政務調査費に係る収入及び支出について、収支報告書を作成し、これを交付に係る年度の翌年の4月30日までに議長に対し提出しなければならない(条例13条)。そして、議長は、提出された収支報告書を必要に応じ調査し(条例14条)、適性な政務調査費の支出と認める場合には、知事に対し、当該収支報告書の写しを送付する(条例15条)仕組みとなっている。
        会派又は無会派議員は、収支報告書を提出するに際し、その年度において交付を受けた政務調査費の総額から、当該会派又は無会派議員がその年度において行った政務調査費の支出(条例第10条の使途基準に従って行った適正な支出をいう。)の総額を控除して残余がある場合には、当該残余の額に相当する額を知事に返還しなければならない(条例16条3項)。
    イ 会派に対し政務調査費を交付した場合の具体的な手続きの流れ
        被告発人の所属する会派である自由民主党・県民会議においては、知事から政務調査費の交付を受けた後、各所属議員に対し、政務調査費を交付することとなっている。そこで、以下、会派に対する政務調査費の交付について概観する。
      ① まず、政務調査費の交付を受けようとする会派は、議長に対し、代表者及び政務調査費経理担当者を決めて、会派の所属議員名簿を添付した会派届を提出する(条例5条)。
                                  ↓
      ② 会派届を受領した議長は、毎年度4月10日までに、知事に通知する。
                                  ↓
      ③ 通知を受け取った知事は、通知のあった会派に対し、政務調査費の交付決定を行い、会派の代表者に交付決定の通知をする。なお、会派に交付する政務調査費の額は、月額35万円に会派に所属する議員の数を乗じた金額である(条例3条)。
                                  ↓
      ④ 交付通知の決定を受けた会派の代表者は、上半期分については、4月20日までに、下半期分については、10月5日までに当該半期分の政務調査費を請求する(条例9条1項)。
                                  ↓
      ⑤ 政務調査費の交付請求を受けた知事は、速やかに政務調査費を交付する(条例9条4項)。
                                  ↓
      ⑥ 自由民主党・県民会議においては、政務調査費の交付を受けた後、所属議員に対し、政務調査費が交付される運用となっている。政務調査費の交付を受けた会派は、使途基準に従って適正に政務調査費を使用しなければならないとされ(条例10条)、また、会派は、政務調査費の適正な使用を確保するため、政務調査費の使用について、会派に所属する議員を指導監督しなければならないとされていることから(条例11条)、会派の所属議員も、当然に、使途基準に従って適正に政務調査費を使用しなければならない。
                                  ↓
      ⑦ 政務調査費に係る収支報告義務及び清算義務
          会派の経理責任者は、政務調査費の支出について、会計帳簿を調整し、当該支出の内訳を明確にするとともに証拠書類等を整理保管しなければならない(条例12条)。そして、会派の代表者は、議長に対し、政務調査費の収入及び支出に関する収支報告書を、政務調査の主な実績を記載した実績報告書、当該収支報告書に記載された政務調査費による支出に関する領収証その他の証拠書類の写し等を添付して、当該年度の翌年の4月30日までに提出しなければならない。その際、会派は、その年度において交付を受けた政務調査費の総額から、当該会派がその年度において行った政務調査費の支出(条例10条の使途基準に従って行った適正な支出をいう。)の総額を控除して残余がある場合には、当該残余の額に相当する額を返還しなければならない(条例16条3項)。
          そのための前提として、政務調査費の交付を受けた会派の所属議員には、会派に対し、政務調査費の収入及び支出に関し、領収証その他の証拠書類の写しを添えて収支報告をする報告義務があり、また、その年度において交付を受けた政務調査費の総額から、当該議員がその年度において行った政務調査費の支出(条例10条の使途基準に従って行った適正な支出をいう。)の総額を控除して残余がある場合には、当該残余の額に相当する額を会派に返還しなければならない清算義務があるというべきである。
                                  ↓
      ⑧ 議長は、会派より提出された収支報告書を必要に応じ調査する(条例14条)。
                                  ↓
      ⑨ 議長は、提出された収支報告書を適正と認める場合には、知事に対し、当該収支報告書の写しを送付する(条例15条)。
    ウ 被告発人の犯罪
        被告発人は、後述するとおり、上記の政務調査費の仕組みを利用して、領収証を偽造した上、偽造した領収証を用いて政務調査費名下に補助金を詐取したものである。
  3 政務調査費返還履行等請求訴訟(住民訴訟)について
      告発人仙台市民オンブズマンは、平成16年度の宮城県政務調査費の支出に関し情報公開請求を行ったところ、開示された情報から、被告発人らの政務調査費の支出につき違法支出の疑いが生じた。
      そこで、原告は、平成18年2月20日、宮城県監査委員に対し、地方自治法242条第1項にもとづき住民監査請求をしたところ、監査委員が同年4月21日上記監査請求を棄却した。
      そこで、告発人仙台市民オンブズマンは、平成18年5月17日、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、宮城県知事に対し、被告発人らの所属する会派らに対し、平成16年度の宮城県政務調査費の違法支出分の返還を請求するように求める住民訴訟を提起した(仙台地方裁判所平成18年(行ウ)第7号政務調査費返還履行等請求事件)。
  4 被告発人の偽証
      被告発人は、平成20年2月4日、仙台地方裁判所において上記訴訟の証人として出廷し、宣誓を行った(証拠資料1)。
      被告発人が自ら作成した丙A第22号証(証拠資料4)には、「第9回県政報告会の・・・案内状印刷費18万8270円を1/2按分して計上した」とある。同じく被告発人の陳述書である丙A31号証(証拠資料5)には、「私の処理は、県政報告会開催対象経費の2分の1を政務調査費で賄い、残余の収支は政治資金団体(後援会)の会計に計上した」とある。
      被告発人は、証人尋問において、上記丙A第22号証(証拠資料4)、丙A第31号証(証拠資料6)を自ら作成したことを認めた(証拠資料1の1頁、4頁)うえで、補助参加人自由民主党・県民会議代理人浦井義光弁護士が丙A第22号証、丙A第31号証を示しながら、丙A第22号証及び丙A第31号証の上記陳述内容につきそれぞれ「訂正することはございませんね」と質問したのに対し、同議員は、それぞれ「ございません」と証言した(証拠資料1の1頁、5頁)。
      しかし、後述するように、2通の領収証(証拠資料6、7)が同一のものであって、そのうちの一方が偽造されたこと及びその後の収支報告状況からすれば、第9回県政報告会案内状印刷費は9万4135円のみであって、同印刷費としてコーシン印刷株式会社に支払われたのは、政治資金規正法上の収支報告書に計上された9万4135円であったことは明らかである。とすると、被告発人の上記証言は、「被告発人が第9回県政報告会案内状印刷費と主張する18万8270円のうち、政務調査費として計上した9万4135円については同印刷費に含まれておらず、同印刷費として支払われなかった」との客観的な事実(証拠資料6、7)と反する。
      しかも、被告発人は、前記住民訴訟にかかる平成20年1月24日付けの補助参加人自由民主党・県民会議に対する求釈明書において、「相沢光哉議員の第9回県政報告会の案内状印刷費のうち、相沢光哉議員の政治資金団体が負担した分はいくらか。それは相沢光哉議員の政治資金団体からいつ印刷会社に支払っているか。支払いを証する領収書等の資料は・・・あるか。あれば証拠として事前に提出されたい」との求釈明を受けた(証拠資料8)。次いで、浦井義光代理人は、平成20年1月30日に、上記求釈明の回答時期等につき原告代理人からFAXによる問い合わせを受けた。これに対し、浦井代理人が平成20年2月4日の期日前に、相沢さん(被告発人)と打合せする予定なので、2月4日の裁判期日前に回答できるかどうか返事ができる状況ではない旨、電話で回答した。これらの事実からすると、上記印刷費については、期日前に当然に事実関係を確認していたと認められ、上記客観的な事実を被告発人が当然認識していたといえる。
      このように、被告発人は、第9回県政報告会の案内状印刷費につき、政務調査費として計上した9万4135円については、上記印刷費に含まれず、かつ上記印刷費として支出した事実はないのに、そのことを被告発人自ら認識しながら、殊更に「案内状印刷費18万8270円を1/2按分して計上した」「県政報告会開催対象経費2分の1を政務調査費で賄った」との内容虚偽の陳述書等につき、自己の記憶に反し、訂正することは「ございません」との虚偽の証言をしたものである。
      したがって、被告発人の、本件訴訟での証言は、偽証罪(刑法169条)に該当することは明らかである。
  5 領収証の偽造について
  (1)告発人が領収証を入手した経緯
        被告発人は、平成17年4月13日、相沢みつや政治経済研究会の平成16年度分の収支報告書を提出している。他方、自由民主党・県民会議は、平成17年5月2日、平成16年度政務調査費の収支報告書を提出している。
        告発人は、本件訴訟における被告発人の証人尋問の準備のため、平成20年1月30日、宮城県選挙管理委員会において、被告発人の相沢みつや政治経済研究会の収支報告書(平成16~18年度分)を閲覧した。そして、平成20年2月19日、被告発人の収支報告書に関する領収証等を情報公開請求した。
        すると、日付のみ異なり、それ以外は全く同じものと思われる領収証が開示された(証拠資料6、7)。
  (2)領収証の偽造
      ア 2通の領収書について
          2通の領収証のうち、「扱者印」の欄が黒く墨塗りにされた領収書は、政治資金収支報告書に添付された領収証であり、「扱者印」の欄に「高橋」と押印された領収証は、政務調査費に係る収支報告書に添付された領収証である。
          2通の領収証を比較すると、日付が異なる点を除けば、いずれも領収証番号が「0046」、宛名が「相沢事務所」、金額が「¥94,135-」、但し書きが「第9回県政報告会印刷代として」、作成名義が「コーシン印刷株式会社代表取締役三橋正人」であり、同社の社判が押印されている点で一致している。これらのことからすると、2通の領収証が同一のものであることは明らかである。
      イ 領収証の偽造
          領収証は、権利義務の発生、変更、消滅の要件になる文書及び権利義務の存在を証明するものであり、「権利義務に関する文書」に該当する。
          そして、領収書の日付を改竄する行為は、新たに「権利義務に関する文書」を作り出す行為であり、偽造である。
          さらに、被告発人は、政治資金規正法上の収支報告書あるいは政務調査費の収支報告書に添付する目的で、領収証を偽造していることから、「行使の目的」で領収証を偽造したことは明らかである。
          2通の領収証のうち、どちらの領収証の日付を改竄したかとの点につき、領収証の原本を確認しなけれが確定できないが、被告発人の主催する第9回県政報告会が平成16年8月3日に開催されていること、政治資金規正法上の収支報告書の提出期限の方が政務調査費の収支報告書の提出期限よりも早いことからすると、「平成16年7月30日」付けの領収証の日付を、「平成16年8月31日」付けに改竄し、偽造したのではないかと思われる。なお、被告発人が、領収証を偽造した時期は、領収証の日付の古い時期である平成16年7月30日から政務調査費の収支報告書(収支報告書に領収証が添付されていた)が提出された平成17年5月2日までの間であろう。
      ウ まとめ
          以上から、被告発人が、行使の目的で領収証の日付を改竄し偽造したことは明らかであり、被告発人には、有印私文書偽造罪が成立する(刑法159条1項)。
  6 偽造された領収証の行使及び政務調査費の詐欺について
  (1)会派の所属議員の政務調査費の使途基準に従った適正な使用義務、収支報告義務及び清算義務
        前述したとおり、政務調査費は、知事から会派に交付され、会派は、当該年度の翌年4月30日までに、政務調査費の収支報告書等を議長に提出し、議長において調査の上、適正な収支報告書であると認められた場合には、知事に収支報告書の写しが送付され決済される仕組みとなっている。そして、会派には、その年度において交付を受けた政務調査費の総額から、当該会派がその年度において行った政務調査費の支出(第十条の使途基準に従って行った適正な支出をいう。)の総額を控除して残余がある場合には、当該残余の額に相当する額を返還しなければならない義務がある。
        その前提として、会派の所属議員には、政務調査費の使途基準に従った適正な使用義務、会派への収支報告義務及び清算義務がある。
        すなわち、被告発人の所属する会派である自由民主党・県民会議においては、政務調査費の交付を受けた後、所属議員に対し、政務調査費を交付することとなっているところ、政務調査費の交付を受けた会派は、使途基準に従って適正に政務調査費を使用しなければならないとされていることから(条例10条)、会派に所属する議員も、当然に使途基準に従って適正に政務調査費を使用しなければならない。また、会派に所属する議員は、会派が政務調査費に関する収支報告書等の提出義務及び残余の政務調査費の返還義務を負っていることから、当然に、会派に対し、会派より交付を受けた政務調査費に関する収支報告書等の提出義務及び残余の政務調査費の返還義務を負っている。なお、会派は、政務調査費の適正な使用を確保するため、政務調査費の使用について、会派に所属する議員を指導監督しなければならないとされている(条例11条)。
        よって、会派の所属議員である被告発人は、会派より交付を受けた政務調査費について使途基準に従って適正に使用する義務を負うとともに、会派に対し、その年度において会派より交付を受けた政務調査費に関し、領収証の写し等の証拠書類等を添付の上、収支報告をする義務を負い、また、その年度において交付を受けた政務調査費の総額から、当該議員がその年度において行った政務調査費の支出の総額を控除して残余がある場合には、当該残余の額に相当する額を返還しなければならない清算義務を負っている。
  (2)偽造した領収証の行使及び詐欺行為
        被告発人は、前述のとおり、会派より交付を受けた政務調査費に関し、使途基準に従って適正に使用すべき義務を負っているところ、政務調査費として使用しなかった場合あるいは使途基準に反して政務調査費を使用した場合には、会派に対し、収支報告書にその旨記載するなどして報告するとともに、清算し返還しなければならなかった。仮に、会派が、被告発人から、適正な収支報告を受けるとともに清算後残った政務調査費の返還を受けたならば、会派の議長に対する収支報告書等の提出・残余の政務調査費の返還行為を介して、最終的には知事に政務調査費の残余の額が返還されたはずである。
        ところが、被告発人は、政務調査費名目に公金(補助金)を詐取しようと企て、政務調査費の収支報告書等に添付する目的で、会派に対し、前述の偽造した平成16年8月31日付けの領収証の写しを添付し、真実は、平成16年8月31日に、コーシン印刷株式会社に対し、第9回県政報告会印刷代として金94,135円を支払っていないにもかかわらず、これを支払ったかのように装って、遅くとも平成17年5月2日ころまでに、自由民主党・県民会議に提出した。かかる被告発人の行為は、「行使の目的」で「偽造した」領収証を「行使した」ものであり、偽造私文書等行使罪(刑法161条1項、159条)に該当することは明らかである。
        また、被告発人は、偽造した領収証の写しを添付し、真実は、被告発人が、平成16年8月31日、コーシン印刷株式会社に対し、第9回県政報告会印刷代として金94,135円を支払っていないにもかかわらず、これを支払ったかのように虚偽の収支報告をした。会派は、被告発人の収支報告を真実と誤信し、平成17年5月2日ころ、被告発人が平成16年8月31日に、コーシン印刷株式会社に対し、第9回県政報告会印刷代として金94,135円を支払った旨の収支報告書等を作成して、議長に提出した。議長は、会派の収支報告書等に記載された内容が適正なものであると誤信し、会派の収支報告書を適正と認め、知事に対し、収支報告書の写しを送付した。これにより、被告発人は、交付された政務調査費のうち、使途基準に従って使用していないことが明らかな金94,135円の政務調査費の返還を免れた。このように、被告発人は、会派に対し、偽造した領収書の写しを添付して虚偽の収支報告し、その事情を知らない会派をして、虚偽の内容の収支報告書を作成させ、議長をあたかも真実の内容が記載された収支報告書であると誤信させ、本来ならば返還するべき政務調査費金94,135円の返還義務を免れ、もって人を欺いて不法の利益を得たことは明らかである。かかる被告発人の行為は、詐欺罪(刑法246条第2項)に該当する。
  (3)まとめ
        以上のとおり、被告発人は、領収証を偽造し、偽造した領収証を行使し、違法に政務調査費の返還を免れたものである。
  7 本件犯行の重大性
      以上のとおり、被告発人が、前記各犯罪事実記載の行為をなしたことは明らかであり、これらの行為は、それぞれ有印私文書偽造(刑法159条1項)、同行使(刑法161条、159条)、詐欺(刑法246条2項)、偽証罪(刑法169条)に該当するものである。
      被告発人は、宮城県議会議員であり、平成18年度には議長まで務め、しかも、平成15年から16年にかけては政務調査費の条例を検討する委員会の委員長を務めたものである。そのような被告発人が、県民の税金で賄われる政務調査費を詐取するために、領収証を偽造し、偽造した領収書を行使して、政務調査費の返還義務を免れ、また、告発人に裁判において違法な政務調査費の支出であると指摘されるや、あたかも適正な政務調査費として支出したかのように偽証まで行っている。さらに、新聞などにより領収証の偽造を指摘されるや自ら記者会見を開き、上記領収証の偽造について事務員が勝手に行った旨供述し、事務員に責任転嫁している。かかる被告発人の行為は有権者はじめ県民の議員に対する信頼を著しく損なうものであり、また、司法を侮辱するものであって、その犯情は極めて悪質である。
      よって、被告発人を捜査の上、厳重に処罰されたく告発する次第である。

« 第18回FNSドキュメンタリー大賞 - フジテレビ | トップページ | 過去1年間の仙台市民オンブズマンの活動報告 »

仙台市民オンブズマン」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/522409/30677702

この記事へのトラックバック一覧です: 相沢光哉宮城県議会議員の不起訴処分について不起訴不当の議決:

« 第18回FNSドキュメンタリー大賞 - フジテレビ | トップページ | 過去1年間の仙台市民オンブズマンの活動報告 »

最近のトラックバック

無料ブログはココログ
2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31