司法解剖の鑑定書の送付嘱託
以前司法解剖で作成された鑑定書について裁判所から送付嘱託したところ、古川警察署が捜査中の捜査書類であることを理由に送付を拒否した記事を書きました。その後裁判所に文書提出命令を申し立てたところ、古川警察署から鑑定書の謄本が送られてきました。文書提出命令の申立があると、裁判所は命令を出す前に、文書所持者に対する審尋を行わなければなりません。おそらく裁判所がその手続きをとったので、これ以上面倒なことにならないように警察は送付に応じたのだと思います。鑑定書の内容は予想通り原告の主張を裏付けるものでした。しかし提訴して文書提出命令の申立までしなければ重要な証拠を入手できないのでは被害者救済に欠けると言わざるを得ません。遺族への開示や、弁護士照会に対する回答で提出するような運用改善がはかられるべきだと思います。ともあれ文書送付嘱託で提出されるという前例を作れたことは大きな意味があったと思います。
ちなみに過去の判例で大学に残っている司法解剖の鑑定書の控えは文書提出命令の対象となるというものがあり、今回は警察だけではなく、解剖を行った大学にも手元の控えについて文書提出命令の申立を行いました。大学から警察に苦情がいったので仕方なく警察が出してきたのかもしれません。

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