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2009年9月 5日 (土)

高齢者の悪徳商法被害

 最近久しぶりに消費者事件の相談を2件受けた。基本的に医療過誤事件しかやらないのだが、先物弁護団からの配点だったので引き受けた。1件は70歳代後半の方の海外商品先物オプション取引被害、もう1件は80歳代半ばの方のロコ・ロンドン金取引、匿名組合方式投資勧誘、未公開株の相談でした。まず被害者の年齢が高いのに驚いた。昔は家庭の主婦や学生の被害が多かったような気がするが、今は高齢者がねらい打ちされているようだ。海外商品先物オプション取引の資料をよく見てみたら勧誘した営業課長は、私がこれまで何度となく相手をした某悪徳業者の営業課長と同一人物だったのでまた驚いた。移籍したのだろうか。悪い会社で悪いこと覚えて、同じような会社に移ってまた消費者を食い物にしているのだからどうしようもない。悪徳商法は、同じ人間が手口や会社を変えながらやっていることが多いというが、いったん人を騙して甘い汁を吸うことを覚えると真っ当な仕事など馬鹿らしくてやれなくなるのだろうか。
 それにしてもこの手の業者は悪知恵が働く。今回も勧誘は自宅でするが、契約は被害者を自宅から車で連れ出して会社で行っている。クーリングオフは業者の営業所で契約した場合は適用にならないからだ。しかし営業所で契約した場合にクーリングオフが適用されないのは、自ら進んで契約に臨んだのであるから熟慮の上での契約のはずだというのが理由だ。契約内容も理解していないのに自宅から連れ出されたのだからキャッチセールスと同じで、クーリングオフはなお可能と考えるべきだろう。
 ロコ・ロンドン貴金属取引や未公開株はもう被害が少なくなっているのかと思ったが全くそうではないようだ。話を聞くと同じような業者が何社も次から次へと電話をかけてくるそうだ。多分名簿が出回っているのだろう。ご本人は真っ当な取引というか老後の蓄えを増やしてくれる親切な人と信じ切っていたようだ。取引の仕組みどころか自分が何をやっているかの認識すらない。どうしてそんな風に信用できるのかと不思議に思うが、善良なだけで落ち度があるわけではない。悪徳業者を野放しにしている国が悪いのだ。
 金融商品の場合、悪徳業者は最初数万円程度配当して、実際に儲かっているかのような錯覚に陥らせておいて、有り金全部投資させるの常套手段だ。そして一定期間営業すると逃げてしまう。泣き寝入りしてる被害者はどれだけの数に上るのだろうか。抜本的な対策としては、一般消費者を相手にする取引に関しては、全ての不招請勧誘(消費者が自ら積極的に業者に連絡をとるのではなく、業者の側から電話、郵便物、自宅訪問などで勧誘すること)を一切禁止するしかないだろう。実際そのようは法制度の国もある。営業の自由と言うが、DMや電話勧誘、訪問販売がなくなったところで一般消費者は全く困らない。業者が宣伝広告し、消費者が関心を持った場合に業者にアプローチするという形態があれば、消費者は困らないし、その限度での営業が許されれば憲法上の営業の自由は確保されていると言える。もっともこの方法だと虚偽誇大広告の問題が残るが、証拠が残るので消費者契約法の解除権で対応できるだろう。もし一律禁止ができないなら(できない理由はないと思うが)、せめて70歳以上の高齢者、その他社会的弱者については、不招請勧誘による取引について無理由解除権を認めるべきだろう。
 今回の1件は消費生活センター経由のものだった。かつて私は3年間ほど仙台市の消費生活センターの指導弁護士をしていた。当時は悪徳商法といっても金融商品による被害はほとんどなく、内職商法や教材販売などが多くそれほど高額な被害にはならなかったように思う。しかし今では金融商品(実際は金融商品まがいの賭博であるが)を利用して高齢者の全財産を巻き上げるような悪質なものが増えているようだ。消費者庁ができたので行政には頑張って欲しいが、実際の被害回復には弁護士の関与が不可欠だろう。しかし消費者事件は、本気で取り組もうとすると関連法令も膨大でしかも頻繁に改正されるのでなかなか理解が難しい。弁護士会でも悪徳商法受任者弁護士リストでも作った方がよいように思う。
 そういえば7月頃に統一協会の関連企業の社員が公安部に逮捕されたとの記事を読んだ。統一協会の霊感商法は、私が弁護士になりたての頃に取り組んで判決もとったが、全国的にはまだまだはびこっているようだ。仙台では今どんな状況なのだろう。公安がでてきたというのは、おそらく北朝鮮への資金の流れが知りたかったからだろう。その後の報道を見ると統一協会本体にメスは入っていないようだが、統一協会のシンパがいた自民党が政権を失った今遠慮する必要はないので警察には頑張って欲しい。
 これを機に医療過誤事件以外にも悪徳商法の事件だけは受任するようにしようかなとも思う。
 

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