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2009年10月 4日 (日)

過払い返還請求トラブル急増…日弁連が異例の指針(読売新聞) - Yahoo!ニュース

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過払い返還請求トラブル急増…日弁連が異例の指針
 払い過ぎた借金の利息を取り戻す「過払い金返還請求」が全国で相次ぐ中、返還請求者と代理人となる弁護士や司法書士との間で、トラブルが増えている。多重債務者からの相談に対し、報酬が確実に見込める過払い金回収しか引き受けない弁護士や、返還金の9割近くを報酬として不正に受け取った司法書士も。日本弁護士連合会(日弁連)は、過払い金回収だけの受任はしないよう求める異例の指針を公表。民間団体も悪質な司法書士の実態調査に乗り出した。日本貸金業協会の調査によると、会員業者が過払い分として債務者に返還したり、元本から差し引いたりしたのは2006年度が5535億円、07年度が9511億円にのぼった。返還請求者の9割に弁護士や司法書士がついていたという。
 一方、請求者と代理人との間でのトラブルも多い。ある消費者金融業者の代理人弁護士は「報酬は過払い分の2割弱が相場だが、なかには3割以上の報酬を求める弁護士らもいる」と打ち明ける。神戸の男性司法書士は昨年、多重債務者に約195万円の過払い金が返還されたのに、約170万円もの報酬を受け取っていたことが発覚。多額の報酬を不正に受け取ったとして監督する神戸地方法務局から業務停止2年の懲戒処分を受けた。日弁連の多重債務対策本部によると、東京都内のある弁護士は東北地方で過払い金回収などの相談会を開くCMをラジオで流した。仙台市の会場で自己破産を希望する参加者に対し、「地元の弁護士にお願いしなさい」と拒否。ほかにも複数ある借金のうち、過払い金が発生する分だけ受任する弁護士についての苦情が寄せられているという。日弁連は7月、「債務者の意向を十分に配慮する」「ほかに債務があるのに合理的理由なく過払い金回収だけを受任しない」などの指針を公表した。
 多重債務者の支援団体「大阪クレジット・サラ金被害者の会」(いちょうの会、大阪市北区)には昨年夏頃から、司法書士らに「ヤミ金融から借りている分は受けない」と断られた相談者が目立ち始めた。回収が困難で報酬も期待できないためとみられる。同会は5月から「悪徳司法書士」の被害を調査。テレビCMをしている大手司法書士事務所などについて、「過払い分がないので断られた」「返ってきた金額と報酬の内訳が不透明」などの苦情があるという。全国クレジット・サラ金問題対策協議会の代表幹事で指針づくりに携わった木村達也弁護士の話「債務者を借金漬けの状態から解放し、健全な生活を取り戻させるために過払い金回収を活用しなければならない。ヤミ金や他の債務整理を受けず金もうけにまい進する一部の人たちの姿勢は情けない。プロとしての自覚を持ってほしい」

 確かに約195万円の過払い金が返還されたのに、約170万円もの報酬を受けとるのは暴利行為であって違法だろう。しかしそのような暴利行為による市民の被害を防ぐために定められていた弁護士報酬規定を廃止したのは日弁連だし、廃止させたのは規制緩和を推し進めていた政府である。テレビCMを含む広告の全面解禁を決めたのも日弁連だし、それを求めたのも政府であった。規制を撤廃し、弁護士を大増員して競争させれば、高額な報酬を取る者や市民の求める法的サービスを提供できないような弁護士は自然淘汰される。だから市民は安価に良質な法的サービスを受けられるようになるという理屈である。しかし現実はそうはなっていないようだ。
  過払い返還事件だけをつまみ食いすることが好ましくないことはそのとおりだ。しかし違法かと言えば違法ではないし、弁護士職務規定に違反するわけでもない。ビジネスの世界では、最小の経費で最大の利益を生む経営をすることが鉄則であり、経費をかけすぎたり、かけた経費に見合う利益が得られなければ競争に敗れて倒産する。弁護士業をビジネスと割り切るなら、手間をかけずに大きな利益を得ることのできる分野に経営資源を集中させるのは当然のことで、過払い金返還事件のみを受任するという行為は経済合理性を追求した結果に過ぎない。ビジネスとしては正解なのである。
  司法改革、特に弁護士増員の是非をめぐって厳しい対立があったが、そこでは弁護士のあり方について伝統的な「プロフェッション」の立場を堅持すべきかが問われた。結局日弁連は弁護士大増員に賛成し、同時に広告の全面解禁と弁護士報酬規定の撤廃を行ったのだから、伝統的な「プロフェッション」像を放棄して商業主義に走ったと言われても仕方ないだろう。今回の日弁連の指針は100%正しい。正しいが、一方で過度の競争をもたらす弁護士大増員政策を推し進めながら、他方で経済合理性の観点からは当然と考えられる手法を否定するというのは矛盾ではないか。
  勤務弁護士は別として、独立して事務所を維持するには最低限年間1000万円の経費が必要になる。最低限の所得を500万とすると年間1500万円の売り上げがないと弁護士業はなりたたない。1件30万円とすると50件、10万円だと150件の事件を受任する必要があるが、年間150件など処理できるはずがない。感覚的には、丁寧に対応するなら年間50件が処理の限界というところだろう。だから30万円以下の事件というのは採算ベースに乗らないのだが、それでも受任して事務所を維持できるのは他の採算ベースを超える事件で補っているからである。しかし過当競争になれば単価の高い事件の比率は減少する。採算ベースに乗らない事件はいくら受任したところで赤字になるだけだから増やしても意味がない。では廃業するかというとそんなに簡単に生活の糧を放棄するはずはない。おそらく誇大広告を打って顧客を集め、勝てもしない事件なのに勝つ見込みがあるかのように偽って受任する、あるいは処理可能件数をはるかに上回る事件を受任して手抜きする(受任件数を増やせば少額事件も採算ベースに乗るようになる)ということが横行するだろう。未だ過当競争になっているとは言えない現時点でも「金もうけにまい進する一部の人たち」はいるのであり、今後競争が激化すれば「一部の人たち」では済まなくなる。過払い返還請求トラブル急増という現象は、弁護士業のビジネス化の結果であり、職能集団としての弁護士層の堕落の前兆と考えるべきだ。日弁連の、一片の指針で解消されるものではない。
  中坊が2割司法などと言って以来、弁護士はマスコミや世論(と称するもの)から、特権意識だなんだとバッシングを受け続けてきた。日弁連はそれに迎合し続けてきた。どうしてそこまで卑屈にならなければならないのか私には理解できないし、また一般市民が当時そんなにまで弁護士に対して悪いイメージを持っていたとは思わない。
 広告の解禁は、市民に弁護士の多様な情報の提供を可能にしようというのがその趣旨だったはずだ。しかしカバライオンがテレビで踊ることまで必要なのか。不当な請求やダンピングを防止するためには弁護士報酬規定はやはりあった方がよい。また年間合格者3000人などという弁護士の粗製濫造を市民は望んでいないはずだ。弁護士は今一度伝統的な「プロフェッション」像を取り戻すべきではないか。このままビジネス化が進めば、弁護士はアメリカの弁護士がそうであるように、本当に世間の鼻つまみ者になってしまうだろう。
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