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2009年10月17日 (土)

ITJ法律事務所が協力弁護士募集

  ITJ法律事務所から協力弁護士募集のお知らせという文書が送られてきた。内容は、日弁連の指針で顧客との直接面談が義務づけられたため、遠隔地の顧客と契約することが困難となった。そこで債務者と面談してくれる弁護士を募集するというものだ。
具体的には
1 協力弁護士には、月額10万円の顧問料が支払われ、一般般事件、自己破産事件、民事再生事件について事務所をご案内します。
2 紹介料等の費用等は一切不要です。
3 こちらからお願いした債務者と面談していただきます。
4 場所は先生の事務所または先生の事務所の近郊となります。
5 債務者1名につき2万円お支払いします。
6 交通費は全額当方が負担し、宿泊を伴う場合は宿泊料として2万円支払います。
7 月間少なくて10件程度、多くて100件程度の仕事があります。
ITJのメリット
ITJとしては、東京から弁護士が出張するコスト(交通費と人件費)を軽減できます。
先生のメリット
広告費をかけずに、自己破産事件、一般事件の受任が見込めます。
ITJが依頼する債務者との面談は、ITJからの委任に基づくため、先生のリスクはほとんどありません。なお、先生から紹介料等を頂かないため、職務規程等の問題はまったくありません。
 と書かれている。

  しかしITJと協力弁護士と顧客との相互関係がよく分からない。顧客との直接面談は受任時に必要だから協力弁護士は複代理ではなく共同受任なのだろう。共同受任だが、協力弁護士は最初の面談だけ担当して後の事件処理はITJがやるということなのだろう。だがそうなると「ITJが依頼する債務者との面談は、ITJからの委任に基づくため、先生のリスクはほとんどありません」という説明はおかしい。あるいはITJは顧客との委任関係がなくとも、とにかく弁護士が一度面談さえすれば直接面談したことになると理解しているのだろうか。それなら誤解だろう。日弁連の指針では「弁護士が委任者である債務者と直接面談を行い、債務の内容、生活状況等を聴き取り、債務者の現状を十分に把握した上で事件処理についての見通し等を説明する」とされており受任者が直接面談しなければならないことは明らかだ。
  やる気はないのでどうでもよいのだが、このような案内が来ることは色々な意味で驚きだ。まず債務者と面談するだけで一件2万円もらえて、それが月に10件~100件程度あり、その上10万円の顧問料が貰えるとなると、月額50万円~210万円になる。年間だと600万円~2520万円だ。それだけ出しても、過払い金がある場合の成功報酬を考えればITJには十分な利益が出るということなのだろう。考えてみればビジネスの世界では当たり前のことで、例えばハウスメーカーは、バンバン広告を打って、モデルハウスを造って営業し顧客から住宅建築を請け負う。しかし、自分で施工するわけではなく下請けを使う。弁護士もそういう時代になりつつあるということか。債務整理ほどではないが交通事故や離婚事件等では(複雑な案件は別として)、パラリーガルを利用してある程度は定型的な処理が可能だ。今後はそのような分野でも東京の事務所がテレビCMを使って顧客を誘引し、地方の事務所を下請けに使うという時代が来るのだろうか。
 別に私はそういう事務所が悪いと言うつもりはない。事実ITJには処理しきれないほどの債務整理の依頼が来ているからこそ、協力弁護士の募集をしているわけで、それは国民のニーズに適合しているということだろう。日弁連は、自由競争を是として弁護士人口を大増員し広告も全面解禁した。テレビCMを使って宣伝し、仕事のない弁護士を下請けにして事務所を大きくして利益を上げようという考えは、ある意味司法改革路線に最も忠実だと言えよう。
  しかしそのようなビジネス化した事務所が増えて互いに競い合うようになれば、結局利益の出ない分野は切り捨てられてしまうだろう。昔は今と違って債務整理は割に合わない仕事だった。着手金はほとんどが分割(結局半分も貰えないのだが)、受任通知を出すとサラ金から「ふざけるな」の電話の嵐、取引経過の開示には応じない、過払い返還どころか利息制限法での引き直しにも応じない、債務整理案をめぐって延々とサラ金と怒鳴りあいという状況で、取り扱わない弁護士も少なくなかった。今は楽に利益が出るから争ってやっているだけだ。割に合わない事件でもやるのがプロフェッションだと思うが、それができるのは最低限事務所を維持できるだけの事件を確保できることが前提だ。しかし今の弁護士増員政策を続ければ、早晩弁護士は、利益を追い求めて利幅の大きな事件しかやらない大事務所と窮乏した町弁に二極化し、本当に弁護士の援助を必要としている人達がそれを受けられないような社会になってしまうような気がする。自由と正義の今月号にはイギリスではそのような二極分化が進み、弁護士会が一体性を失った結果弁護士自治を奪われてしまったという記事が載っていた。

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