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2009年11月の2件の記事

2009年11月30日 (月)

第7回日弁連・理事会(修習生の就職状況と中小企業法律支援センター)

 吉峯康博弁護士のブログに第7回日弁連・理事会の議事要旨が掲載されていた。

【1 会長挨拶】
(資料12の7の2)
 この間,極めて忙しかった。9月19日から中華全国律士協会との友好協定に基づく,中国での倒産法セミナー,9月25日の関弁連,28日の新政権への要望項目とりまとめの各委員長会議,30日の神奈川パブリック公設事務所の祝賀会,10月1日の法の日の記者会見(談話は資料参照),弁政連による当選議員の祝賀会本人出席75名・代理出席17名,また,各政党党首も弁護士が活躍。その後,スペイン/マドリードでの国際法曹協会(IBA)に参加し,フランスやドイツなどの欧州法曹らと交流。2014年には日本で世界大会を開催することが決定(そのためのレセプションを日本大使館公邸で実施)。仏独では,大きく強い英米法律事務所進出してきているため,結果として法曹増員対抗する態勢をめざしている。一人事務所などでは強制保険による費用増加も懸念され,大事務所化も進行中。

【8 法的サービス企画推進センター本部会議】
小林優公副会長(群馬),出井直樹事務局長,飯田 隆 副本部長
修習生就職支援
 現行62期修習生では,全体354名中,弁護士登録306名,任官7名,任検11名,弁護士未登録者30名の状況。新62期は登録請求進達予定が1641名(資料差し替え)。任官者を180名に推定すると,およそ200名が未定か。
 ひまわりナビの参加者が伸び悩みの状況。単位会に働きかける。12月16日の東京3会の説明会には39事務所・19企業が参加の予定。政策担当秘書は14名に付いて採用マッチングにはいる。
 11月9日に仙台で組織内弁護士のセミナーを行う予定。

【9 審議事項4 日弁連中小企業法律支援センター設置の件】
小林優公副会長(群馬)(資料32の5)
 中小企業法律支援センター設置要綱について説明。中小企業による法的サービスの利用促進,組織的・全国的な法的サービスの提供による中小企業支援体制の確立・発展のための方針検討。
 日弁連で広報とコールセンター(統一番号0570-001-240による地域への自動振り分けと当番弁護士方式による弁護士紹介)システムを実施する。開始後6ヶ月はキャンペーン期間として初回面談相談30分無料とし,その後は初回面談30分5250円とする。2010年4月1日実施予定。承認,ただし数名の反対あり。
 我妻 崇 理事(仙台)から中小企業では弁護士を必要とする分野は資金繰りや負債整理などであってどのように対応するのかという質問(倒産防止のための相談や事業再生のための研修などによるアドバイスをしてもらいたい),平嶋育造理事(山梨)から①中小企業相談担当弁護士のイメージについてと②単位会の実情では中小企業相談を別枠で扱えるかどうか疑問との質問(下請法の研修などを受けてもらった弁護士をイメージするが表示の区別は困難,また単位会の実情に応じた相談態勢でいい),田島二三夫理事(栃木)から半年間無料とした後の継続相談の扱いはどうなるのかという質問(基本的に地方会の実情に応じた相談態勢をお願いしたい,個々のケースについての議論は未了)。
 半田 稔 理事(山形)から基本的に事業者は自己負担で良いし,やってみても110番相談もほとんどなかったし,コールセンターを地方で維持するのは負担との反対意見あり。

 旧62期は1割近い30名が弁護士未登録、新62期も1割の約200名が未定のようだ。仙台会では旧62期が1名登録、登録替えが1名、新62期の登録予定者が21名という状況だ。仙台ではよく吸収できていると驚いたが、それでもまだ全国的に見れば吸収し切れていないという結果だ。早く就職が決まって欲しいと願うばかりだが、このままでは毎年未登録者が累積していくのは明らかであり、合格者数の見直しは不可避なのではないか。宮崎会長は「仏独では,大きく強い英米法律事務所進出してきているため,結果として法曹増員対抗する態勢をめざしている。」というが、日本でも英米の法律事務所に対抗するために産めよ増やせの富国強兵政策をとるべきだという発想なのだろうか。ロースクール生の「たとえ就職先がなくて弁護士登録できないとしても、奨学金をもらってロースクールを出た以上、せめて合格だけはしたいんです」という切実な声を聞くと、返す言葉はなく、もう増員反対を言うのはやめようと思っていた。しかし、こういう記事を読むとつい一言いいたくなってしまう。
 「
中小企業法律支援センター設置要綱について説明。中小企業による法的サービスの利用促進,組織的・全国的な法的サービスの提供による中小企業支援体制の確立・発展のための方針検討。日弁連で広報とコールセンター(統一番号による地域への自動振り分けと当番弁護士方式による弁護士紹介)システムを実施する。開始後6ヶ月はキャンペーン期間として初回面談相談30分無料とし,その後は初回面談30分5250円とする。2010年4月1日実施予定。承認」とあるが、一般会員には何のことかさっぱり分からない。依らしむべし知らしむべからずの会務運営方針からすれば、一般会員が事前に内容など知る必要はないということだろう。想像するに中小企業支援当番弁護士のようなものを作って、日弁連のコールセンターで受けた中小企業からの相談を各単位会に割り振って相談業務をやらせるということなのだろう。単位会の各理事があまり反対していないところを見ると、もしかしたら日弁連が単位会に業務委託費を支払って、無料相談の日当も日弁連が負担するということなのかもしれない。
 下請けいじめや貸し渋りなどで困っている中小企業が少なくないことは事実だし、法的対応が可能であれば弁護士が法的サービスを提供する必要があるのはそのとおりだと思う。しかし中小企業は事業者であり、事業の遂行上法的サービスが必要なのであれば自己負担で弁護士に相談するなり依頼するなりするのが当然ではないか。実際中小企業は一般の弁護士にとって顧客の中核のはずで、中小企業からの相談や依頼をないがしろにする弁護士がいるとは思えない。下請法の研修などを受けてもらった中小企業相談担当弁護士を養成して、当番弁護士方式による弁護士紹介を行うそうだが、ここまでくると弁護士を馬鹿にしているのかと思ってしまう。中小企業からの依頼を処理するに当たって必要があれば下請法などは自己研鑽として当然習得すべきだし、それが困難なことだとは思えない。特殊でも専門的でもない中小企業法務をどうして特別視するのか理解できない。半田稔理事(山形)の「基本的に事業者は自己負担で良いし,やってみても110番相談もほとんどなかったし,コールセンターを地方で維持するのは負担」との反対意見は正に正論であろう。
 さらに根本的な疑問は、一般市民の相談が(多重債務や扶助相談を除き)有料であるのに、どうして事業者である中小企業の相談が無料なのかということだ。「中小企業による法的サービスの利用促進,組織的・全国的な法的サービスの提供による中小企業支援体制の確立・発展」というが、ではどうして「市民による法的サービスの利用促進,組織的・全国的な法的サービスの提供による市民の支援体制の確立・発展」の方策を考えないのだろうか。DV、セクハラ、パワハラ、難民認定、生活保護費の搾取、賃金不払い、派遣切り、いじめ、高齢者の消費者被害など市民が弁護士の法的サービスを必要としている事件類型は枚挙にいとまがない。それなのにどうして中小企業だけにコールセンターを作って無料相談など行う必要があるのか。市民向けの法的サービスの利用体制が確立していて、それを中小企業に広げようというなら理解できるが、優先順位が逆としか思えない。
 日弁連はきれい事を言ってないで本音を語るべきだろう。つまり大増員した弁護士を食わせて行くには日弁連自身が業務対策(弁護士の収入確保)に乗り出さなければならない。しかし一般市民を相手にしていてもあまり業務対策にはならないが、中小企業が相手なら業務対策として大きな効果が見込める(正しい見込みとは思わないが)。だから業務対策として日弁連丸抱えで中小企業をターゲットとした顧客獲得キャンペーンをやろうということだろう。しかし弁護士を増員し、広告を自由化して、弁護士同士を自由競争させることによって法的サービスの質を高め、量を増やそうというのが司法改革の考え方だったはずで、日弁連が業務対策に奔走するなどという事態は想定されていなかったのではないか。
 今後過払いバブルが崩壊して、ますます競争が激しくなれば、日弁連がやらなくとも個々の事務所が中小企業をターゲットとした広告宣伝をして顧客獲得を図るだろう。日弁連の構想はある意味民業圧迫とも言えるものだ。そんなことに使うお金と労力があるなら市民のために使うべきだ。

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2009年11月13日 (金)

日弁連法曹人口問題検討会議討議メモを読んで

 今日、仙台弁護士会の弁護士人口問題特別委員会が開かれた。そこで日弁連の法曹人口問題検討会議の討議メモが配布された。その討議メモは「適正法曹人口を考える際の要素」をピックアップして各要素の相関性を図示する内容のものだが、何故か末尾に(余事記載)として日弁連の方向性が書かれていた。
 そこには日弁連の方向性として、(X)-5万人到達後も増員を継続する(合格者数は現状2000~2100人で継続)、(Y)-5万人到達後現状維持を図る(5万人到達の数年前から合格者を暫減していく)、(Z)-5万人到達後弁護士人口を減らす(近い将来から現状より相当程度合格者を絞り込む)の3つを掲げた上で、Xの方向性を志向すべきと書かれている。
 その理由として、「現状において(Z)の方向性を打ち出すことは、責任を放棄することになる。何故なら、法的ニーズを発掘し潜在的ニーズを顕在化することこそ職能団体としての使命であり、司法基盤整備を確立していくことが司法の一翼を担う弁護士会の役割であり、増員の阻害要因を取り除く努力こそ本来の弁護士会の機能(行政機能・公共的機能)というべきである」とされている。
 この討議メモは、「適正な法曹人は何を基準としてこれを定めるべきか。その基準として考慮すべき対象と検討の方法。(今後何をどのように追跡調査していくべきか)」という日弁連執行部からの諮問に対する答申を討議するためのものである。つまり日弁連として適正な法曹人口を提言するに当たって検討すべきと考えられる対象と検討基準を答申するのがこの会議の目的であって、適正な法曹人口の方向性を答申するのが目的ではない。そのことを意識して検討メモでは(余事記載)と付記して上記のような方向性を記載しているのだろう。
 しかし本末転倒とは正にこのことである。日弁連の方向性を決めるために今後調査検討が必要な要素を抽出しようとしているのに、その要素を調査検討する前に既に結論が出されているのだ。しかもその理由は耳にタコができるほど聞かされ続けた弁護士会の使命や責任といった空疎な精神訓話だ。法曹人口問題検討会議の人選は日弁連執行部が行ったのだから、検討会議でこのようなメモが配布されるということは、日弁連執行部は、5万人到達後もそのままのペースで増員を続けることを既に事実上決めていると見るべきだろう。増員の方向性が決まっているなら、「適正法曹人口を考える際の要素」を抽出する意味はない。調査したところで増員の方向性を正当化するための作文に使われるだけであろう。法曹人口問題検討会議は、各単位会や弁連の見直し決議を受けて日弁連がガス抜きのために嫌々設置したのだろうとは思っていたが、ここまで露骨に「検討するふりをしているだけで方向性は既に決まっているのです」と言われると、呆れるしかない。
 今日の委員会で仙台弁護士会弁護士人口問題特別委員会について廃止の上申をすることが決まった。その理由は、①委員会設置後、企業、自治体、会員を対象とした弁護士ニーズ等の調査を行って、弁護士人口増員の見直しと取り敢えずの現状凍結の方向性を打ち出し、それを総会決議、弁連決議の形で実現したこと、②日弁連も現状凍結の提言を行い、実際今年の新司法試験合格者数は予定を大幅に下回り増員は凍結状態になったと考えられることから、委員会としての所期の目的はほぼ達成できたと判断されたからである。私も、これまでそれなりに意味のある活動はできたし、今後委員会を存続させてもこれ以上の成果は望めないと思ったので廃止に賛成した。日弁連が、「適正法曹人口を考える際の要素」を本気で調査検討し、その上で単位会の意見に真摯に耳を傾けようとする姿勢ならば、その受け皿として委員会を存続させる意味もある。しかし弁護士会の使命や責任といった精神論を持ち出されては議論にならない。
 私はこれまで、日弁連執行部や弁護士増員を支持する会員について、本音では大増員は望ましくないと考えているのだが、歴代執行部への配慮や世論の反発を恐れて増員反対を打ち出せないでいるだけだと思っていた。しかしどうも違うようだ。この討議メモには、「弁護士マーケット」、「更なる成長戦略が描ける」、「弁護士会の行政的機能」といった、私のような頭の古い人間には理解しがたい表現が見られる。その意図するところはよく分からないが、日弁連が政治的・社会的に大きな力を持ち、弁護士が業界として発展することを志向しているような気がしてならない。つまり「日弁連の提言する司法や人権に関する政策提言は正しい、しかし従来それを政治の場で十分実現できていない、それは弁護士会の政治的・社会的力が弱いからだ、正しい政策を実現するためにはより大きな弁護士会、強い日弁連が必要だ、そのために大増員は必要なのだ」という言わば大きな司法、その中での強力な日弁連という志向が「本気の増員論者」の考えのように思えてきた。世論(マスコミの論調)を極度に気にするのも、世論の支持なくして日弁連の政策実現はないという認識に基づいているのかもしれない。
 
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