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2010年1月 9日 (土)

司法試験「年3000人合格目標」見直し : ニュース : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

リンク: 司法試験「年3000人合格目標」見直し : ニュース : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞).

 政府は、司法試験の年間合格者を「2010年ごろに3000人に増やす」という計画を下方修正する方向で見直す方針を固めた。無理に実現を目指せば、法曹界の質が低下しかねないためだ。法務、文部科学両省が今春にも有識者会議を設置し、適正な合格者数の検討を始める予定だ。「3000人計画」は02年3月に閣議決定され、裁判員制度の導入とともに司法制度改革の柱の一つとなっている。法務省の司法試験委員会は毎年、合格者数の目標を設定し、段階的な増員を図っている。06年に1009人だった旧司法試験を除く合格者は08年には2065人と倍増したが、09年は2043人と頭打ちになっている。これ以上のペースで合格者数を増やすと試験の質や合格最低点を下げることになるため、計画自体を見直すことにした。
 また、法科大学院も74校と当初の想定より増えており、教育水準の低下を指摘する声が強い。大学院修了生の7~8割が合格すると見込まれていたが、09年の合格率は27・6%にとどまり、合格率低迷が優秀な人材を確保する妨げになることへの懸念も出ている。
 有識者会議では、適正合格者数のほか、〈1〉法科大学院のカリキュラムの見直し〈2〉成績評価と修了認定の厳格化――などを検討し、11年にも結論を出す。政府は法曹人口の全体数や合格者数の目標を作成し、改めて閣議決定する方針だ。
[解説]合格目標下げ 司法の質低下懸念
 政府の司法試験合格者数の計画見直しは、「質の低下」を懸念する法曹界の声を反映したものだ。日本弁護士連合会は現行計画について、「法曹の質が確保できず、弁護士の就職難が深刻になる」と指摘している。合格者増加を見込んだ法科大学院の乱立についても、「優秀な教員を確保できず、教育内容が不十分な大学院が多い」という声が出ている。ただ、地方には、弁護士が足りない地域も多い。青山学院大法科大学院の宮沢節生教授は「国民が弁護士を容易に利用できるようにするためにも、法曹の人的基盤の整備は欠かせない」と語る。合格者数と法曹人口計画の見直しでは、こうした点にも目配りをすることが必要だ。(政治部 横山薫)(2010年1月5日  読売新聞)

 変われば変わる世の中だ。2年前、日弁連が法曹人口増員のペースダウン(決して合格者数の見直しではない)を言ったときは、全マスコミをあげてやれ弁護士の保身だの、身勝手だの、国民への裏切りだのと悪口雑言の総バッシングされたものだ。新自由主義者が唱えた構造改革万能論、自由競争至上主義の悪夢から覚めて正気に返ったのだろうが、マスコミ論調のいい加減さには今更ながら辟易する。
 失敗に学んで増員計画の下方修正をしようという政府の姿勢は高く評価されるが、何故誤ったのかを総括しないと同じ過ちを繰り返すことになりかねない。
 読売が指摘する「地方には、弁護士が足りない地域も多い」というのは事実だが、その解消は弁護士総数の単純増によって達成できるものではなく、公設事務所の増設や過疎地で開業する弁護士への支援を強化することによって達成されるものである。従前増員論の論拠とされた被疑者国選や裁判員制度への対応についても、現に対応できているのであるから見直しに当たっては考慮要素にはならない。法曹人口はあくまで需要予測によって決められるべきことで、法の支配を津々浦々にとか市民に身近な弁護士とかの精神訓話で左右されるべき性質のものではない。諸外国との比較についても、日本には諸外国にはない(諸外国では弁護士がその業務を行っている)税理士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、社会保険労務士など多数の隣接業種が存在しているのであって、それを考慮しない比較は無意味である。またアメリカには法学部は存在せず(従って法学士は存在しない)、アメリカの弁護士の大半は日本で言えば法学部を卒業したのと大差ないレベルであり、大多数の弁護士は弁護士業務ではなく企業や官庁で働いている。同じ弁護士と名がついても国によってその在り方が大きく異なる以上単純な国際比較はあまり意味がないというべきだろう。
 従前弁護士人口問題については、弁護士会内部ですら感情的と言ってもいい対立があり、不毛の論争が繰り返されてきた。論点を整理せず、本来考慮すべきでない事情を過大視したり、データの裏付けを持たない希望的観測や精神論が横行し、冷静な需要予測がなされてこなかった。増員論者は法曹人口は、供給者側が決めることではなく国民の需要が決めることだと言いながら、本来なされるべき法的需要についての基礎データの収集やその冷静な分析を行ってこなかった。その結果が誰の目にも過大と思われる年間合格者数3000人という数字である。需要予測というのは民間企業であれば設備投資に当たって日常茶飯事に行っているもので、リサーチ会社にはそのノウハウがある。希望的観測を廃して現に存する数字を基に議論をするなら需要予測において本来それほど大きな違いが出てくるはずはないのである。
 今後設置される有識者会議ではくれぐれも司法審の失敗の轍を踏むことなく、現実の数字に即した冷静な議論を期待したい。その際忘れてならないのは、今のロースクール生と既にロースクールを卒業した者の救済策の検討である。彼らは合格者数3000人、ロースクール生の8割が合格するという謳い文句を信じてロースクールに入ったのであるから、政策を変更するに当たっては当然その救済が図られるべきであろう。もっとも合格水準に達していない者に下駄を履かせて合格させるわけにはいかないが、現在の5回受験して3回落ちれば受験資格を失うという制度を改め、受験回数制限を撤廃することによって救済を図るべきだろう。
 日弁連も3000人増員を支持してきた今までの立場やメンツにこだわることなく現実に即した意見を述べるべきだろう。この点で今度の日弁連会長選挙は極めて重要な意味を持つ。派閥順送りで従前の執行部の政策を引き継ごうとする候補者には期待できない。何の根拠もなく2043名の現状維持を主張しているようだが、このような合格者数の水準によって現に法曹の質の低下が危惧され、就職難がもたらされているということを全く理解していないようだ。今回は派閥順送りではない新しい日弁連を築こうという候補者に是非頑張ってもらいたい。

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