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2010年2月 6日 (土)

日弁連会長選挙 会員の単純多数決でない理由

 日弁連の会則61条2項では、日弁連会長選挙においては、会員の投票による最多得票者が直ちに当選者となるわけではなく、会員の投票で最多得票を得、かつ弁護士会の総数の3分の1を超える弁護士会において最多票を得なければ当選者にはなれないとされている。このことは私も今回の選挙で初めて知った。
 日弁連の設立は弁護士法45条で定められているが、そこでは「全国の弁護士会は、日本弁護士連合会を設立しなければならない」としている。「全国の弁護士は」ではなく「全国の弁護士会は」とされているので、設立の主体はあくまで弁護士会である。実際昭和24年7月9日に全国51弁護士会が出席して設立者総会が開催され、「日本弁護士連合会設立の件」の議案が可決されて同年9月1日に設立登記がなされた。だから「日本弁護士会」ではなく「日本弁護士連合会」という名称が付けられているのである。
 弁護士自治の核心をなす懲戒権についても、弁護士法56条2項は「懲戒はその弁護士または弁護士法人の所属弁護士会がこれを行う」と定めている。同法60条1項は日弁連にも懲戒権を認めるが、原則は単位弁護士会が懲戒権を有するのである。
 また弁護士法は日弁連に、弁護士会に対する指導・連絡及び監督権を認め、日弁連会則は一定の事項について報告義務を定めるが、それ以上単位会に対する命令権を持つものではない。
 つまり日弁連と単位会との関係は上命下服の関係に立つわけではなく、日弁連の指導監督下にありながらも高度の自治権を与えられていると見るべきだろう。日弁連会長選の上記会則は、このような日弁連と単位会との関係に由来するものと思われる。だからこそいかに会員の多数決で勝ったとしても、単位会の3分の1以上から支持されない者は日弁連の会長にはなれないとしたのだ。
 会則では再投票を行っても当選者を決められない場合には再選挙を行うと定めるのみで、再選挙に当たって会員の最多得票だけで当選者になれるとする規定は設けていない。従って理屈の上では永遠に会長が決まらないという事態も生じうる。それは規定の不備と見るべきではない。再投票を行ってもなお単位会の3分の1以上の支持を得られない候補者は、最多得票を得たとしても再選挙は辞退するという良識に期待したものと考えるべきだ。そうでなければ会員の単純多数決だけで選出してはならないとした会則の趣旨が没却されよう。
 今回も再投票でなお山本氏が単位会の3分の1以上の支持を得られない場合は再選挙は辞退すべきだろう。総得票数で差が1000票あまりにとどまっているのに、単位会の支持では42対9という大差を付けられた以上、本来であれば再投票も辞退するのが良識ある選択だと思うが。

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