フォト

« 河北新報 日弁連指針は独禁法違反と弁護士 債務整理業務で申し立てへ | トップページ | 「企業と提携する仙台弁護士会の広報活動」について »

2010年3月24日 (水)

<政調費>任期満了前の支出、必要性なければ違法 最高裁

リンク: <政調費>任期満了前の支出、必要性なければ違法 最高裁(毎日新聞) - Yahoo!ニュース.

 次の選挙に出馬しない市議が任期満了前、政務調査費でパソコンなどを購入したのは違法な支出か--。地方議員の「第2の報酬」と呼ばれる政務調査費を巡り、最高裁第3小法廷(近藤崇晴裁判長)は23日、「調査研究のための必要性に欠ける場合、特別な事情がない限り違法と判断される」との判断を示した。そのうえで「特別な事情があったかどうか審理が尽くされていない」として、支出を合法とした1、2審判決を破棄し審理を東京高裁に差し戻した。政務調査費を巡っては、前橋市議会で国会議員のパーティー券購入やラケット代などへの支出(08年度分)が発覚し議長が辞任した。京都市議会でも06年度分の支出で約1億1800万円が目的外使用と監査委員に認定されるなど各地で問題化している。
 原告は茨城県かすみがうら市の住民。市議14人が任期満了(07年1月)1~4カ月半前にパソコン、電子辞書、ビデオカメラなど計約150万円分を購入した是非が争われた。小法廷は「『在職10年以上にわたるのに高額で手元に残る物を初めて購入した』という原告の主張が事実なら必要性に欠けることがうかがわれる。その場合、特別な事情がない限り違法」と述べた。1、2審判決は「裁量権を逸脱していない」などと違法性を否定し、原告の請求を棄却していた。【銭場裕司】

 これはかなり意味のある判決だと思う。原審の東京高裁が、「政務調査費の支出は市政と何らかの関連性を有することが必要であるが, その関連性の要件の判断においては議員の裁量権が尊重されなければならず, 一見して明らかに市政とは無関係であるとか, 極めて不相当なもの以外は関連性を認めるべきである。」としたのに対し、最高裁は「議員の調査研究活動は多岐にわたり, 個々の経費の支出がこれに必要かどうかについては議員の合理的判断にゆだねられる部分があることも確かである。 しかし, (中略) 上記のような主張に係る事実が認められるのであれば, 本件各支出は調査研究のための必要性に欠けるものであったことがうかがわれるというべきであり, その場合,特段の事情のない限り,本件各支出は本件使途基準に合致しない違法なものと判断されることとなる。」として破棄差し戻しした。
  つまり、住民側が「調査研究のための必要性に欠けるものであったことがうかがわれるという」事実を立証すれば、議員の方で「特段の事情」を立証できない限り「違法なものと判断される」という判断枠組みを最高裁が採用したことになる。
  どの程度立証すれば「必要性に欠けることがうかがわれる」とされるのかという問題は残るが、従来裁判所は,行政庁や議員に一定の裁量が認められている場合には、「一見して明らかに無関係であるとか, 極めて不相当なものでない限り裁量権の逸脱・濫用はないから違法でない」という枠組みで判断してきた。しかし一見して明らかに無関係な支出は、使途基準に違反するどころか「横領行為そのもの」であって、そのような判断枠組みがおかしいことはそれこそ一見して明らかであった。裁量権の逸脱・濫用論に逃げ込んで厳密な司法判断を回避する傾向にあった下級審に対して警鐘をならす判決と言えよう。
  それにしても議員が任期満了間際に政務調査費を使ってパソコン, プリンター, ビデオカメラ等を買い込むなどというのは浅ましい限りだ。これらの議員は恥という観念を持たないのであろうか。

判決全文は以下の通り

主 文
    原判決を破棄する。
    本件を東京高等裁判所に差し戻す。
理 由
  上告代理人鍛治利秀の上告受理申立て理由について
1 本件は, かすみがうら市の住民である上告人が, かすみがうら市議会議員14名が平成1 8年度に被上告人から交付を受けた政務調査費について使途基準に違反する違法な支出を行っており, 上記各議員は同市に対して上記支出額に相当する金員を不当利得として返還すべきであるのに, 被上告人はその返還請求を違法に怠っているとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被上告人に対し,上記各議員に対して上記不当利得の返還請求をすべきことを求めている事案である。
2 原審の確定した事実関係等の概要は, 次のとおりである。
  (1) かすみがうら市では,地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの) 100条13項の規定を受けて,かすみがうら市議会政務調査費の交付に関する条例(平成17年かすみがうら市条例第6号。以下「本件条例」 という。)を制定し, 議会における会派及び議員に対し政務調査費を交付することとしている。
   本件条例7条は, 会派及び議員は, 政務調査費を別に定める使途基準に従い使用しなければならないと定めている。 これを受けたかすみがうら市議会政務調査費の交付に関する規則(平成17年かすみがうら市規則第5号)は, その5条及び別表第2により,議員に係る上記使途基準(以下「本件使途基準」 という。) として,資料購入費につき 「議員が行う調査研究のために必要な図書・資料等の購入に要す る経費(書籍購入代,新聞雑誌購読料等)」,事務費につき 「議員が行う調査研究に係る事務遂行に必要な経費 (事務用品, 備品購入費, 通信費等) 」 などと規定している。
  (2) 被上告人は,本件条例に基づき,平成18年5月2日,平成18年度の政務調査費(ただし, 平成19年1月27日の任期満了までの分) として,別表の「氏名」欄記載の14名の議員(以下「本件議員ら」 という。)に対し, それぞれ12万5000円を交付した。本件議員らは,交付を受けた政務調査費から,平成18年9月15日から同年12月25日にかけて,別表の「年月日」欄記載の各日付けで, 「項目」欄記載の経費として,パソコン, プリンター, ビデオカメラなど「品名」欄記載の各機器又は書籍(以下「本件物品」 という。) を購入するため,「金額」欄記載の各金額を支出した(なお,本件議員らのうちA, E, F及びNの各議員は,政務調査費から他の支出も行っており, その総額は12万5000円を超過している。以下,別表記載の支出を「本件各支出」 という。)。
(3) 本件議員らは,任期満了による平成19年1月21日施行の市議会議員選挙に立候補することなく, 同月27日に市議会議員としての任期を終えた。なお,本件議員らの任期中の最後の議会 (平成18年度定例議会第4回定例会) の会期は,平成18年12月7日に終了している。
(4) 本件訴訟に先立つ住民監査請求において, 監査委員が本件議員らに対し本件物品の購入目的や用途につき書面による回答を求めたところ, その回答 (以下「本件回答」 という。)は, 「調査研究に必要が生じたため購入し,有効利用した」 , 「文書等を作るために利用した」 などと抽象的な内容にとどまるものがほとんどであった。
(5) 上告人は,本件各支出に関し,本件議員らは, 10年から20年以上にわたる議員としての経歴があるところ, その在職期間中には本件物品と同種の機器や書籍を使用してこなかったにもかかわらず任期満了近くになり初めてこれを購入したり, 緊急の必要性もなく買い換えたりしており, 購入した本件物品が手元に残ることから, その私的使用をもくろんだものにすぎず, 本件使途基準に違反する違法な支出であると主張している。
原審は, 上記事実関係等の下において,次のとおり,本件各支出は本件使途基準に反するものとはいえないと判断して, 上告人の請求を棄却すべきものとした。政務調査費の支出は市政と何らかの関連性を有することが必要であるが, その関連性の要件の判断においては議員の裁量権が尊重されなければならず, 一見して明らかに市政とは無関係であるとか, 極めて不相当なもの以外は関連性を認めるべきである。 本件各支出については, 本件回答に照らしても無関係又は極めて不相当なものとはいえず, 支出の時期を考慮したとしても, 裁量権の範囲を逸脱するものであったとまではいえない
しかしながら, 原審の上記判断は是認することができない。 その理由は, 次のとおりである。
   本件使途基準は, 前記2(1)記載のとおり, 資料購入費につき 「議員が行う調査研究のために必要な図書・資料等の購入に要する経費」 , 事務費につき 「議員が行う調査研究に係る事務遂行に必要な経費」 と定めるなど, 調査研究のための必要性をその要件としている。 議員の調査研究活動は多岐にわたり, 個々の経費の支出がこれに必要かどうかについては議員の合理的判断にゆだねられる部分があることも確かである。 そして, 本件物品は, その機能, 一般的用途からして, 議員の調査研究活動に用いられる可能性はあり, それがパソコンやビデオカメラなどの比較的高額な物品であるからといって, 直ちに上記の必要性を欠くものとはいい難い。しかし, 前記事実関係等によれば, 本件物品は, 本件議員らの任期満了1ないし   4か月半前という時期に購入されており, 任期中の最後の議会の会期後に購入されたものも少なくない。 また, 本件議員らは, 任期満了による選挙に立候補することなく,市議会議員としての任期を終えたというのである。そして,上告人は,本件議員らは10年から20年以上にわたる議員としての経歴を有するところ, このような手元に残る物品を在職中初めて購入したり, 緊急の必要性もなく買い換えたり   したと主張している。 前記の事実に加えて, 上記のような主張に係る事実が認められるのであれば, 本件各支出は調査研究のための必要性に欠けるものであったことがうかがわれるというべきであり, その場合,特段の事情のない限り,本件各支出は本件使途基準に合致しない違法なものと判断されることとなる。 この点, 住民監査請求における本件議員らの監査委員の調査に対する本件回答の内容は, 前記のとおり, そのほとんどが抽象的なものにとどまるところ, 本件において, このような抽象的な回答をせざるを得ないような合理的な理由があるか否かは定かではなく,本件回答があるだけで上記の特段の事情があるということは困難である。そうすると, 上告人の上記主張に係る事実の存否や上記の特段の事情の有無について十分に審理することなく,単に本件物品の品名を認定し,上記のような本件回  答を参酌するだけで, 直ちに本件各支出は本件使途基準に反するものとはいえないとした原審の判断には, 判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるというべきである。
5 以上によれば,論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,上記の点について更に審理を尽く させるため, 本件を原審に差し戻すこととする。
   よって, 裁判官全員一致の意見で, 主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 近藤崇晴 裁判官 藤田宙靖 裁判官 堀籠幸男 裁判官那須弘平 裁判官 田原睦夫)

にほんブログ村 地域生活(街) 東北ブログ 仙台情報へにほんブログ村
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へにほんブログ村

« 河北新報 日弁連指針は独禁法違反と弁護士 債務整理業務で申し立てへ | トップページ | 「企業と提携する仙台弁護士会の広報活動」について »

事件・裁判」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/522409/33915224

この記事へのトラックバック一覧です: <政調費>任期満了前の支出、必要性なければ違法 最高裁:

« 河北新報 日弁連指針は独禁法違反と弁護士 債務整理業務で申し立てへ | トップページ | 「企業と提携する仙台弁護士会の広報活動」について »

最近のトラックバック

無料ブログはココログ
2016年8月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31