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2010年3月22日 (月)

河北新報 日弁連指針は独禁法違反と弁護士 債務整理業務で申し立てへ

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  債務整理を望む依頼者との直接面談を求めた日弁連の指針は、弁護士間の自由競争を阻害し独禁法違反に当たるとして、東京都内の弁護士が、公正取引委員会に排除措置命令を出すよう近く申し立てることが21日、分かった。過払い金返還請求など債務整理業務は、弁護士らに多額の報酬をもたらすが、報酬目当てに依頼者を募っているとの批判があり、日弁連は規制を強めている。申し立ては、自由競争を求める弁護士と、トラブル多発を懸念して一定の制限をしたい日弁連の立場の違いが顕在化した形だ。申し立てることを明らかにしたのは、債務整理件数が国内最大規模の「法律事務所MIRAIO」(旧法律事務所ホームロイヤーズ)代表の西田研志弁護士。
  日弁連は昨年7月、債務整理の依頼者とは原則として直接面談し、意向を尊重するよう弁護士に求める指針を策定した。西田弁護士は指針を「電話やメールによる相談を排除するのは利用者のニーズの無視で、特に地方の人の相談場所を奪う」と批判。「指針に拘束力はないが、弁護士会は強制加入団体で懲戒権もあり、事実上業務を束縛し、自由競争の機会を奪っている」としている。

  日弁連の規制強化は必要性があってのことだろうが、これまでの司法改革路線との整合性はとれるのだろうか。弁護士を大幅に増員し、広告を自由化し、弁護士報酬規定を撤廃すれば、弁護士間の競争が促進されて法的サービスの質が向上し、弁護士費用も低廉化する。これによって国民が全国どこでも身近に気軽に、安価で良質な法的サービスを受けられるようになる、というのが司法改革路線論者の持論だったはずだ。しかし現実には多重債務事件の中の過払い金返還事件だけ摘み食いしたり、返還額に見合わない多額の報酬をとる弁護士が現れて市民とのトラブルが増えている。
  消費者金融会社の過払い金返還額は年間約5000億円規模と思われる。司法書士会のアンケート結果では過払い金返還事件の平均報酬は約27%とされている。弁護士のそれは不明だが大差ないだろう。つまり1350億円の過払い市場が存在するわけだ。 しかも過払い金返還事件はほとんど労力がいらない。業者に取引履歴を開示させて、利息制限法の金利に引き直して過払い額を算出する(これも自分でやるのではなく外注する)、あとは業者に請求して入金を待つだけだ。こんなぼろい商売はなかなかない。テレビCMをバンバン打って儲けようというのはビジネスとして考えれば当然のことだろう。
  そして司法改革路線は、司法試験に受かったから弁護士になれるとは限りません、弁護士になったからといって仕事があるとは限りません、自分たちで需要を掘り起こして競争して生き残っていきなさい、生き残った弁護士だけが国民に安価で良質な法的サービスを提供できるのです、頑張って下さい、という考え方だ。テレビCMで需要を掘り起こし、24時間コールセンターを作って無料で相談を受け付ける、そういう競争をして勝ち抜いていこうとする大手クレサラ事務所は正に司法改革路線の申し子だろう。いまさら日弁連がそれを規制しようというのは筋が通らないような気がする。
  指針では「依頼者との直接、個別面談が必要」とするようだが、被害者が多数に上る集団事件では個別面談をせずに説明会方式で受任する場合も少なくない。弁護団事件では全ての依頼者との間で委任関係が生じるが、だからといって依頼者全員と個別面談することはない。また相続人の一人が外国にいる場合直接面談などありえない。このような事件は例外にするのだろうが、例外を認めるということは直接個別面談以外の方法でも依頼の趣旨、意思を明確に確認できるという前提があるからだ。だとすれば要は、依頼の趣旨、意思を明確に確認できるかどうかであって、確認方法の問題ではないということになる。また過払いだけの摘み食いはいけないというが、相談を受けた中の特定の事項だけを受任することはそれほど珍しいことではない。取り敢えず過払い金を回収するだけでも多重債務者にとってはメリットがあるのだから、禁止する合理性はないだろう。
  そもそも過払い金返還などというものは、サラ金業界から献金を受けた政治家が貸金業規制法に利息制限法の抜け穴を作ったことによって起きた人災である。きちんと利息制限法を適用していれば起きなかったのであり、そのような被害をもたらしたのは国の誤った立法政策である。従って、本来なら特別立法によって国がサラ金業界から回収して、払いすぎた国民に配分すべきなのだ。国がサラ金業者に全ての取引履歴を開示させて過払い額を確定し、いったん国庫に帰属させそれを国民に分配すればよいだけだからそんなに手間のかかることではない。費用は回収金から差し引いても構わないだろうが、弁護士費用や司法書士費用より遙かに低い金額で済むはずだ。サラ金が破綻した場合には、サラ金に貸し付けして高利の上前をはねていた銀行に返還させればよい。このような方法をとれば1350億円もの弁護士費用や司法書士費用をかけずに過払い金返還が実現する。そのかわり今盛んにテレビCMをやっている事務所は軒並み倒産するだろうが。
  日弁連の主観的意図としては、多重債務者の弁護士による二次被害を防止しようというものなのだろう。しかし大手クレサラ事務所がテレビCMで多重債務事件を囲い込み、弁護士会の法律相談センターへの相談が減少しているという現実がある。弁護士が増えすぎて一人当たりの事件数が減少しているのも事実だ。市民の目からは弁護士会と大手クレサラ事務所が過払いバブルを巡って縄張り争いをしているようにも見えるだろう。1350億円の過払い市場は所詮失政が招いたバブルであって早晩消失する。弁護士にしかできない業務があるのだから、司法書士や大手クレサラ事務所との縄張り争いに見えるようなことはしなくても良いように思うが。
 
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