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2010年7月16日 (金)

仙台市民オンブズマンが仙台市と外郭団体(仙台市環境整備公社)との業務委託契約について監査請求

  仙台市民オンブズマンは、本日仙台市監査委員に対し、仙台市が平成22年4月1日に仙台市の外郭団体である仙台市環境整備公社と締結した業務委託契約(委託費約11億円)は、仙台市契約規則に違反し無効であるから既払い金の返還と未払い金の支出差し止めの措置請求を求める旨の住民監査請求を行いました。以下は監査請求書です。

                    仙台市長措置請求書

仙台市監査委員 御中

                                       2010年7月16日
   請求人 仙台市民オンブズマン
     代表 十 河  弘
請求の趣旨
  第1 はじめに
   仙台市には、市が4分の1以上を出資している外郭団体が40ある。平成20年度に管理職で退職した職員は155名だが、そのうち51名が外郭団体に天下っている。株式会社仙台市環境整備公社(以下公社という)も唯一の常勤役員である取締役社長は仙台市管理職職員の天下りである。
   仙台市はこれらの外郭団体との間で毎年巨額の業務委託契約を締結しており(1億円以上のものに限っても)その総額は36億円を超える。そしてこれらの業務委託契約は競争入札ではなく全て随意契約によってなされている。
 
第2 業務委託契約の締結
 1 仙台市と公社との間で、平成22年4月1日、委託費4億9875万円で泉区以外の仙台市における缶・びん・ペットボトル・廃乾電池類選別業務委託契約(以下選別業務委託契約という)が締結された。
 2 仙台市と公社との間で、平成22年4月1日、委託費6億1215万円で缶・びん・ペットボトル・廃乾電池類収集運搬業務委託契約(以下収集運搬業務委託契約という)が締結された。
 3 仙台市と泉清掃協業組合(以下組合という)との間で、平成22年4月1日、委託費1億2965万4000円で、仙台市泉区における缶・びん・ペットボトル・廃乾電池類選別業務委託契約(以下泉区選別業務委託契約という)が締結された。
 4 これらの契約を本件各業務委託契約という。
   本件各業務委託契約は全て特命随意契約によっている。
 
第3 特命随意契約とすることの必要性・合理性
 1 地方自治法234条1項・2項は、契約の締結は一般競争入札が原則であり、政令で定める場合に該当するときに限り随意契約等によることができるとする。
   平成20年度包括外部監査において、上記収集運搬業務委託契約と選別業務委託契約が監査対象とされたが、その際の仙台市の説明と外部監査人の判断は次のとおりである。
 2 収集運搬業務委託契約について
   随意契約とした理由
   「(収集運搬)業務は、地方自治法234条の規定が適用されない公法上の契約と解され、契約締結の方法は市の裁量に委ねられている趣旨を踏まえ、業務の遂行の適正性を重視し、廃棄物処理法施行令4条1号の業務の実施に関し相当の経験を有するものであることに該当する当団体への随意契約としている」。
   外部監査人の判断
   「業務の遂行の適正を重視するなら、廃棄物処理業務の許可業者はこの条件を満たし得ると判断され、特定者に限定する事情は見受けられない。実際、当団体の受託業務地域は泉区を除いた市内全域であるが、泉区については他の民間業者(泉清掃協業組合)が特命随意契約により受託している。当該業務については、泉区を除く市内全域をカバーする特命随意契約であるが、委託条件次第では他の民間事業者が参入できる可能性を有することから、競争性を確保した契約方法への移行の検討は必要であると考える」。
 3 選別業務委託契約について
   随意契約とした理由
   「(選別)業務は、地方自治法234条の規定が適用されない公法上の契約であり、廃棄物処理法施行令4条1項による特命随意契約としているが、当該業務を委託している仙台市環境整備公社は昭和59年に本市と2業者が出資して第3セクターとして設立したものであり長年に渡り誠実な業務で本市の廃棄物の減量と資源化に寄与していることなどを勘案している。また市の選別施設は2箇所あるが、選別業務を一括で受託できる事業者は現状において同社以外に存在しない。当該業務は作業員によるリターナルびんの種類、カレットの色・種類、金属の種類などの選別能力が作業効率を大きく左右するものであるが、当団体では長年培ってきた選別ノウハウを後継者に継承して人材育成を図り、選別精度や品質の向上、処理スピードの向上維持に努めているところであり、別の業者が受託した場合には作業員がノウハウを習熟するまでかなりの能率低下が懸念される」。
   外部監査人の判断
   「選別施設自体は市の施設であり、当団体以外でも利用可能であること、当該業務は比較的単純な軽作業であり、特定人に限定されるほどの専門性は要求されないこと、受託者変更による能率低下の懸念は、契約期間を複数年度で委託することにより対処可能であること、からして他の民間事業者の活用が困難である事情は見受けられず特命随意契約の理由が不明確である。当団体が継続受託することの優位性は説明付ける根拠が不明確である現状においては、特命随意契約ではなく、競争性を確保した契約方法への移行の検討は必要であると考える」。
 4 小括
   上記外部監査人の判断は極めて常識的かつ合理的であって、本件各業務委託契約を特命随意契約にしなければならない必要性・合理性は見いだせない。
   殊に泉区については他の民間業者(泉清掃協業組合)に特命随意契約により委託し、その余の区について公社に特命随意契約で委託するというのは誠に不可思議である。仙台市内においてすら収集運搬業務を適正に遂行しうると仙台市が判断した業者が二者あるのであり、さらに仙台市以外の廃棄物処理業務許可業者の存在を考慮するなら競争入札によれない理由は全くない。既存2業者の棲み分けのために特命随意契約を濫用しているとしか考えられない。
   かように競争性が働かない結果として、平成13年度の選別業務委託契約の委託費は4億9896万円であるところ、平成22年度に至るまでほとんど委託金額の見直しがなされていない。
 
第4 本件各業務委託契約は地方自治法234条に違反する
 1 仙台市が掲げる「地方自治法234条の規定が適用されない公法上の契約」という理由付けは、札幌高裁昭和54年11月14日判決を念頭におくものと思われる。
   同判決は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第6条第2項に定める、市町村が一般廃棄物の収集、運搬又は処分を市町村以外のものに委託する行為は、市町村の固有事務、すなわち市町村の処理すべき本来の行政事務を私人に委託するという行為であるから公法上の契約であることは明らかである。したがって、契約については地方自治法第234条の規定は適用されないものと解される。これにより実質的な観点から考えてみると、地方自治法第234条は契約締結の方法として一般競争入札を原則としているが、これは、第1に契約事務の執行の公正を確保し、第2に地方公共団体として契約する機会を均等に与え、第3にできる限り地方公共団体に有利な条件で契約を締結して経済性の要請にも応えるという理由によるものであるところ、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第4条第5号は、同法第6条の2第2項の規定による市町村が一般廃棄物の収集、運搬、又は処分を市町村以外のものに委託する基準の一つとして、委託料が受託業務を遂行するに足りる額であることと定めており、廃棄物処理法は、一般廃棄物の収集等の業務の公共性にかんがみ、経済性の確保等の要請よりも、業務の遂行の適正を重視しているものと解される。すなわち、廃棄物処理法は、最低価格の入札契約を締結する一般競争入札の制度とは異なる建前をとっているのである。廃棄物処理法は、一般廃棄物の処理業務を委託する場合の基準として、受託者の資格要件、能力、委託料の額、委託の限界、委託契約に定めるべき条項等について詳細に規定し、基準に則り、委託業務が適切遂行されることを予定しているものであって、基準においては契約締結の方法については何ら触れられていないが、それは地方自治法第234条の適用を前提としているからではなく、契約締結の方法を一般競争入札、指名競争入札又は随意契約のいずれにするかは市町村の裁量に委ねている趣旨と解するのが相当である。」と判示する。
 2 札幌高裁判決が先例としての価値を有しないこと
   しかし、「市町村が一般廃棄物の収集、運搬又は処分を市町村以外のものに委託する行為は、市町村の固有事務、すなわち市町村の処理すべき本来の行政事務を私人に委託するという行為であるから公法上の契約であることは明らかである。したがって、契約については地方自治法第234条の規定は適用されないものと解される。」との判示は、どうして公法上の契約(これは単なる講学上の概念であって実定法に根拠を持つものではない)であればアプリオリイに地方自治法234条の規定が適用されないのかその根拠が不明である。このような私法と公法を截然と区別して公法の特殊性を殊更強調する考え方は、古めかしい概念法学の所産である。
   競争原理の導入による市民サービスの向上と行政運営の効率化、コスト意識が重視され、指定管理者制度が導入された現在においてはこのような解釈は到底維持し得ない。すなわち指定管理者制度は地方公共団体が指定する指定管理者に公の施設の管理を委任できる制度であるが、公の施設の管理は本来施設を設置した市町村が処理すべき本来の行政事務である。もしこの判例の考え方に従えば指定管理者の指定手続き自体が市町村の裁量に委ねられるべきことになる。しかし仙台市公の施設に係る指定管理者の指定手続きに関する条例が、指定管理者の指定を受けようとする団体を公募しなければならないと定めているように市町村の裁量に委ねられているわけではない。
 3 札幌高裁判決の誤り
   地方自治法第234条が契約締結の方法として一般競争入札を原則としているのは、上記判決が指摘するとおり第1に契約事務の執行の公正を確保し、第2に地方公共団体として契約する機会を均等に与え、第3にできる限り地方公共団体に有利な条件で契約を締結して経済性の要請にも応えるという理由によるものである。判決は、「廃棄物処理法は、一般廃棄物の収集等の業務の公共性にかんがみ、経済性の確保等の要請よりも、業務の遂行の適正を重視しているものと解される」とするが、地方自治法234条が業務の遂行の適正を無視して経済性の確保等を優先しているなどという解釈自体が誤りである。同条は当該契約によって業務の遂行の適正が確保されることを当然の前提として、契約事務の執行の公正、経済性の要請の確保を図るための契約方法の準則を規定しているのである。
   しかも同法2項は政令で定める場合には随意契約等によることができると定めるが、それは正に判決が指摘する「業務の遂行の適正」が一般競争入札では図れない場合に政令で特例を設けることができるという趣旨である。ところが廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令では随意契約等によることを許容する規定は存在しない。
 4 小括
   かように札幌高裁判決は地方自治法234条の解釈を誤っていることは明らかであるから仙台市が本件各契約を特命随意契約にする根拠にはならない。
   政令で随意契約によることが定められていない以上競争入札によって契約が締結されるべきであり、本件各業務委託契約は地方自治法234条に違反し無効である。
 
第5 契約締結手続きの瑕疵(実質的に見積書を徴求していないこと)
 1 見積書徴求義務
   仙台市の契約規則17条では特命随意契約に当たっては「契約及び見積に必要な事項を示し、なるべく二人以上から見積書を徴するものとする」と規定されている。
 2 公社の選別業務委託契約について
   本件では仙台市から公社に対し、見積依頼書が交付されたのは平成22年4月1日である。驚くべきことに見積書の提出期限は同じ4月1日とされている。
   公社から見積書が提出されたのは同じく4月1日である。見積書には「関係書類を熟覧のうえ仙台市契約規則を守り見積もりいたします」と書かれている。その日に渡されて「熟覧」とは冗談か皮肉のつもりであろうか。しかも見積書には4億7500万円という見積金額総額しか記載されていない。公社の若生滋社長が見積書に押印しているが、若生氏は見積依頼書を4月1日の何時何分に受領し、その後どのような方法で「積算」して見積金額総額を算出し、何時何分に見積書を仙台市の担当者に提出したのであろうか。見積金額は消費税を入れると4億9875万円であり、契約予定額5億0254万3650円とは379万3650円しか違わない。本当に見積依頼書に基づいて「積算」して見積書を作成したのであれば、作成時間においても金額においても神業としか言いようがない。しかし若生氏にそのような特殊な能力があるとは思えないので「積算」はしなかったと見るべきである。
   この業務委託契約は単年度契約であり、特命随意契約だからといって公社が契約できる保障は存在しない。仙台市の契約予定額を上回れば、仙台市は別の業者から見積をとってその業者と契約する可能性がある契約形態である。しかも仙台市契約規則によれば「なるべく二人以上から見積書を徴するものとする」と規定されており、見積依頼書を受領した時点では公社のみに見積依頼がされたかどうかなど公社には分からない。すなわち本来公社は「積算」もしないいい加減な見積書の作成などできないはずの契約なのである。しかし実際には、若生氏は「積算」もせずにその日のうちに上記のような金額の見積書を提出している。積算したのであれば見積総額の内訳が記載されるはずだが内訳は一切記載されていない。
   これらの事情が意味するところは、公社は予め仙台市の契約担当者から契約予定額を教えられた上で、単に仙台市契約規則が求める外形を整えるためだけに本件「見積書もどき」の書面を作成したということである。それ以外に合理的に説明することは不可能である。しかしこんなものは仙台市契約規則が求める「見積書」とはいえない。仙台市からすれば「見積書を徴求した」とはいえないのである。
   さらに驚くべきことには、契約は見積書提出と同じ4月1日に締結されている。5億円の商談が見積依頼から契約締結まで1日で完了することなど取引社会ではあり得ない話である。仙台市の決裁書には「公社より見積書を取得し、見積価格が予定価格の範囲内であれば別紙の業務委託契約書案により契約を締結すること」と記載されている。しかし見積総額が予定価格の範囲内であればそれだけで契約締結できるのであれば見積書を徴求する意味はない。仙台市は「見積書の徴求」を「契約希望金額の聴取」と誤解している。
   仙台市契約規則が随意契約締結に当たって「契約及び見積に必要な事項を示し、なるべく二人以上から見積書を徴するものとする」と規定した趣旨は、事前に見積書を提出させることによって単価の設定など費目毎の金額の妥当性を検討すると共に、「その金額で適正な業務の遂行が可能かどうか」を検証することにある。地方自治法234条で例外とされる随意契約が正当化されるのは、仙台市の説明ないし札幌高裁の前掲判例を引用するなら「業務の公共性にかんがみ、経済性の確保等の要請よりも、業務の遂行の適正を重視する」必要性があるからである。見積価格が予定価格の範囲内であるということだけでどうして「業務の遂行の適正さ」が担保できるのだろう。積算根拠を確認しなければ「業務の遂行の適正さ」など担保できるはずがない。
   本件契約は仙台市契約規則が規定する見積書を徴求していないので違法である。そして随意契約において見積書を徴求することは「業務の遂行の適正を担保する」するために不可欠の重要な手続きであるから、その瑕疵は契約の無効をもたらすと言うべきである。
 3 公社の運搬業務委託契約について
   本件では選別業務委託契約とは異なり仙台市から公社に対し、見積依頼書は交付されていない。本件契約の決裁文書を見ると平成22年4月1日付け起案文書に、決定を求める内容として「従前契約で実績のある2社を特命して見積を依頼し、予定価格内の場合には委託契約を締結すること。」と書かれている。見積を依頼すること自体についても4月1日に決定を求めている。しかし見積依頼文書は存在しない。ちなみにこの決裁文書は、市長らの押印はあるが決裁日も施行日も完結日も記載されていない杜撰なものだ。
   起案文書の添付資料として、「環境局廃棄物管理課業務委託説明会」と題する文書がある。開催日時は平成22年2月24日とされ、今後の日程についてとして「3月10日(水)見積書及び業務委託基準審査申請書の提出期限」と記載されている。配付資料と思われる「平成22年度の委託業務について」と題するA4一枚の驚くほど簡略な文書が付けられている。この説明会をもって口頭で見積依頼がなされたと見うるかであるが、仙台市契約規則上、見積依頼は市長がするものとされているが事前に市長の決裁はない。規則上「契約及び見積に必要な事項を示す」こととされているが契約書案は配布されていない。従って仙台市契約規則に則った見積依頼ではない。
   公社からは平成22年4月1日付けで見積書が提出されている。仮に説明会で口頭での見積依頼がなされたと解釈したとしても、提出期限が守られていないし、期限を守ることができなかった理由の記載もない、業務委託基準審査申請書も提出されていない。起案文書には「起案に至る重要な経過なし」と記載されているが、見積書の提出期限も守れないような業者を「業務の公共性にかんがみ、経済性の確保等の要請よりも、業務の遂行の適正を重視する」本契約において「業務の遂行の適正」を担保できると判断した根拠は何ら示されていない。
   若生氏は、見積依頼もされず、契約書案も交付されず、「平成22年度の委託業務について」と題するA4一枚の簡略な文書だけで、再び神業のごとく内訳の記載が無い「見積書もどき」を提出している。しかし今回は流石の若生氏の神通力もやや鈍ったようで、最初の見積書には6億2300万円と記載されている。予定価格は消費税込みで6億1215万円なので予定価格を超過している。本来であれば見積金額総額が予定価格内ではないのであるからここで契約手続きは終了されるべきである。しかし不思議なことに同じ日付で再度「見積書」という表題の文書が提出されたことになっている。そこには5億8300万円と記載され、欄外に込612、150、000と(消費税込みで)予定価格とどんぴしゃの数字が書かれている。よく見ると数字の書き方が明らかに異なっていて二つの見積書は同一人が書いたものではない。さらに言えば見積書の欄外の込612、150、000の筆跡も明らかに別人のものである。このままでは契約不成立になるので仙台市の担当者が公社に予定価格を教えて(欄外の記載は仙台市の担当者の筆跡であろう)そのとおりに記載させたとしか考えようがない。そうでなければ積算し直しもしないで一気に4000万円も増額し、1円単位まで一致することなどあり得ないことである。積算もせずに契約希望金額に過ぎない金額を記載した見積書もどきを提出し、その場で予定価格を教えてもらって見積書を提出し直して契約を成立させるがごときは杜撰の極みである。これでは見積書を徴求しなければならないとした仙台市契約規則の趣旨は全く満たされない。
   この業務委託契約も単年度契約であり、特命随意契約だからといって公社が契約できる保障は存在しない。しかもこの業務は泉区では別業者が受注している業務であり、仙台市契約規則によれば「なるべく二人以上から見積書を徴するものとする」と規定されているのであるから、見積依頼書を受領した時点では公社のみに見積依頼がされたかどうかなど分からないことである。すなわち本来公社は「積算」もしないいい加減な見積書の作成などできないはずの契約なのである。しかし最初から公社との特命随意契約を締結することが決まっているので、見積書の提出も求めない、(仮に提出を求めたとして)3月10日という提出期限も守らない、金額が予定価格をオーバーすればその場で予定価格を教えて出し直させるという杜撰な手続きが行われたのである。かようにこの「見積書」は、単に仙台市契約規則が求める外形を整えるためだけに作成されたことは疑いようのない事実である。しかしこれは仙台市契約規則が求める「見積書」ではない。仙台市からすれば見積書を徴求したとは言えないのである。
   この契約もまた見積書提出と同じ4月1日に締結されている。仙台市の決裁書には「公社より見積書を取得し、見積価格が予定価格の範囲内であれば別紙の業務委託契約書案により契約を締結すること」と記載されている。しかし見積総額が予定価格の範囲内であればそれだけで契約締結できるのであれば見積書などとる意味はない。仙台市契約規則が随意契約締結に当たって「契約及び見積に必要な事項を示し、なるべく二人以上から見積書を徴するものとする」と規定した趣旨は既に述べたとおりである。見積価格が予定価格の範囲内であるということだけでは「業務の遂行の適正さ」は担保されず、積算根拠の確認が必要である。まして本契約の場合は、見積書提出期限が守られていないのにその理由の説明もなされず、業務委託基準審査申請書は提出されず、さらに当初の見積金額総額は予定価格を4000万円も上回っているのであるから積算根拠を確認する必要性はなおさら高かった。
   にもかかわらず積算根拠(内訳の記載)のない見積書もどきの徴求で契約しているのであるから、本件契約は仙台市契約規則が規定する見積書を徴求していないことになり違法である。しかも随意契約において見積書を徴求することは「業務の遂行の適正を担保する」するために不可欠の重要な手続きであるから、その瑕疵は契約の無効をもたらすと言うべきである。
 4 組合の運搬業務委託契約について
   これについては前項で記載したことがほぼそのまま当てはまる。唯一の違いは1億2965万4000円と予定価格と最初からどんぴしゃの数字が見積金額として記載されていることである。長澤良次理事長の神通力が若生氏を上回ったようである。
   前項記載の理由と同じ理由で本契約も違法無効である。
   付言するに本件起案文書は公社の運搬業務委託契約のものと同一の文書であるが、何故か後に開示されたこちらの文書には公社の関係で開示請求して開示された文書には記載のない決裁日、施行日、完結日の欄に4月1日との記載がなされ、空欄であった公印承認の欄に最知という印鑑が押捺されている。請求人には分からない役所の決まり事があるのかもしれないが、公文書に対する信頼性を著しく毀損するものである。
 5 公社との委託業務契約についての外部監査人の意見
   平成19年度包括外部監査では「株式会社仙台市環境整備公社の財務に関する事務の執行及び管理の状況」が監査の対象として取り上げられた。
   外部監査人の意見として「上記の委託業務契約は仙台市との1年ごとの特命随意契約にて更改が行われており、その都度委託料が契約担当課との交渉のもとに決定される。この際の決定額は、市の契約担当課の積算額に導かれる形で決まるとされ、委託料決定の主導権は、市側にある状況となっている。このため公社においては、特に必要コストの積み上げ計算などはせず、これまでの契約額の傾向値をベースに契約担当課の主導の下で交渉に臨む状況となっている。」、「市側の契約担当課での委託料の積算は、人件費、物件費の単価データに稼働率の推移を適用して算出したり、これに委託処理量の見込みによる係数などを勘案して決定している傾向が強いと見られる。毎年この方式で積算するため上記委託料の推移表で見るように一つの委託業務の契約額は毎年あるゾーンのなかで決定されていく傾向が続いている。これに対して、公社側の委託業務の実際の処理コストは以下の部門別事業原価の計算についてで見るように、委託契約ごとに発生する事業経費は、契約額に対してバラツキがあり、その結果、売り上げ総利益率(いわゆる粗利率)はプラスの率からマイナスの率まで大きく振れている。このことは委託業務ごとの契約額と実際の処理コストとの間で乖離を来してきていることを示すものといえる。」、「公社は第三セクターとして、仙台市のゴミの適正処理と減量資源化を目指して事業遂行する立場にある。この事業遂行は全ての市民の負担する税金によることから、公社としては事業遂行における効率性、経済性を常に確保していくとともに、発注者の仙台市としては第三セクターと結ぶ特命随意契約の内容を客観的、合理的なものとしていかなければならないこととなる。」、「これらの観点から公社へ発注する業務の委託料決定方針を検討すると、契約額の客観性を示すため、公社側の実際の事業遂行コストを把握して契約額に反映することが重要になると考えられる。少なくとも契約における積算内容と公社での実績値を比較検討し、次の積算に生かす工夫が必要となる。この際公社の事業遂行が効率的、経済的に実施されているかどうか、具体的な確認作業も当然必要となり、それが契約額の合理性をもたらすことになると考えられる。現在の契約額と事業コストとの乖離を解消し、客観的括合理的な委託料決定方式を早期に採用するよう検討する必要がある。」と指摘されている。
   外部監査人は公社からの聞き取り調査も踏まえて意見を述べているのであるが、「公社においては、特に必要コストの積み上げ計算などはせず、これまでの契約額の傾向値をベースに契約担当課の主導の下で交渉に臨む状況となっている」との指摘は重要である。公社が積算をしていないことはこの外部監査人の報告書からしても明白である。外部監査人は控えめに「契約担当課の主導の下で交渉に臨む状況」と表現するが、実際には交渉などは行われず市役所の契約担当課が契約額を一方的に決めているのである。
   その結果どのような事態が生じているかと言えば、報告書にあるように「委託業務ごとの契約額と実際の処理コストとの間で乖離を来してきている」のである。
   報告書では「契約額の客観性を示すため、公社側の実際の事業遂行コストを把握して契約額に反映することが重要になると考えられる。少なくとも契約における積算内容と公社での実績値を比較検討し、次の積算に生かす工夫が必要となる。」と指摘されているが、裏を返せば仙台市は公社側の実際の事業遂行コストを把握しておらず、契約における積算内容と公社での実績値を比較検討して次の積算に生かす工夫もしてこなかったということである。
 6 仙台市長の認識
   仙台市はこの外部監査人の報告書を受けて平成21年度に公社の実績値の調査をしたようであるが、公社において必要コストの積み上げ計算をしていないという事実を認識したにもかかわらず、見積書の徴求方法を変更しなかった。
   何度も指摘するように必要コストの積み上げ計算をしないで作成された見積書は見積書ではない。仙台市長は公社の見積書が仙台市契約規則が求めるところの見積書でないことを認識しながら瑕疵ある契約を締結したのであるから違法な財務会計行為をしたことになる。
 
第6 結論
   上記のとおり本件各業務委託契約は違法無効であり、また仙台市長はその事実を知りながら違法に契約を締結した。従って公社及び組合が本件各契約に基づき支払を受けた業務委託金は不当利得であり、また仙台市長は違法な支出を行って仙台市に損害を与えたことになる。よって仙台市長は公社及び組合に対して不当利得返還請求権を、また仙台市長自らに対しては損害賠償請求権を有するが、その請求を怠っている。
   また本件業務委託金は一括払いではなく月払いであるから、7月分以降の業務委託金の支出が予定されている。
   よって、監査委員におかれては、仙台市長に対し、既払いの業務委託金について公社、組合及び仙台市長に対し仙台市に返還ないし賠償を求めるよう勧告すること、及び未払の業務委託金の支出を中止するよう勧告することを求める。
   以上、地方自治法第242条1項の規定により、事実証明書を添えて必要な措置を求める。
 
事実証明書
 1 平成22年度選別業務委託契約決裁書類一式
 2 平成22年度収集運搬委託契約決裁書類一式
 3 平成22年度泉区収集運搬委託契約決裁書類一式
 4 平成20年度包括外部監査の結果報告書
 5 平成19年度包括外部監査の結果報告書
 
付言
   本件監査請求は単に契約締結の手続き的瑕疵の是正を求めることのみを目的とするものではない。仙台市の40に及ぶ外郭団体はその設立時においては一定の必要性が認められるものであったが、現在においてはその存在意義が失われているものが少なくない。退職職員の天下り先確保のためだけに存在させているのではないかとの疑念すら持たれるものもある。
   ことに公の施設に係る指定管理者制度が導入された現在、管理者の公募指定を推進することは、管理委託制度の下で設立された出資団体(外郭団体)の存在意義と相容れない関係が生じている。すなわち指定管理者制度のもとでは管理運営主体として民間事業者を含む幅広い団体を予定しているのであるから必ずしも出資団体が担う必要性はなくなった。むしろ出資団体の存在故に指定管理者の公募が行われず競争原理の導入による市民サービスの向上と行政運営の効率化という趣旨が損なわれている現実がある。
   監査員におかれては本監査請求を契機として、出資団体(外郭団体)の存在意義と指定管理者制度の運用実態を再検討し、仙台市に対し適切な是正勧告をすることを要望する。

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