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2010年7月 4日 (日)

仙台空港アクセス線 公開質問書 レールや橋脚を85億で買うなんて詐欺だろうが

 宮城県は仙台空港鉄道株式会社改革支援プラン行動計画を作って公表した。マスコミでも報道されたがどうも問題性が認識されていないようだ。県が資産を買い取って上下分離方式にするなどと一見もっともらしいことが書かれているが、一言で言えば赤字第三セクターに85億円の税金投入をするということだ。仙台空港アクセス線を廃止すべきだとは思わないが、あたかもまともな資産購入であるかのように県民を欺いて巨額の税金を投入するのは許せない。仙台空港鉄道株式会社が赤字でこのままでは経営が立ち行かないというならきちんと民事再生手続きをとるべきだろう。少なくともどうしてこのような赤字路線を作る羽目になったのかその原因はきちんと究明されるべきだ。
 仙台市民オンブズマンで検討中の公開質問書案を以下に掲載します。

公 開 質 問

                          平成22年7月  日
宮城県知事 村 井 嘉 浩 殿
                 
 本件5月に仙台空港鉄道株式会社改革支援プラン行動計画(以下行動計画という)が公表されました。行動計画では、経営悪化が深刻化している県出資の第三セクター「仙台空港鉄道株式会社」(以下会社という)について、橋脚の減価償却費や土地の固定資産税を圧縮し収支改善を図るために、県が同社が所有する線路の橋脚や土地などの資産を買い取る等の経営支援を行うこととされています。
 具体的には、総額189億円(08年度末現在)の資産のうち、運行に直接関係するホーム・レール・車両(上部構造)は従来通り会社側が所有し、県側が土地・駅舎・橋脚など(下部構造)を85億円程度で14年度までに買い取ること(上下分離方式)を計画しているようです。
 会社の09年度の経常損失は9億7629万円、経費として計上する減価償却費は8億3000万円に達しており、赤字の大きな要因となっている。11年度からは民間金融機関への返済額は毎年8億円になり、現在20億円程度ある運転資金が13年度に底をつくとされています。
 行動計画について下記のとおり質問しますので、8月  日までに御回答下さるようお願い申し上げます。

                  記
1 下部構造の取得額についてどのような算定方法を採用するのですか。
  下部構造は現に会社が鉄道事業に直接使用しており、かつ鉄道事業以外の用途に転用する余地はないという特殊性があります。従って収益還元法以外に公正な価格算定は不可能と考えますがいかがでしょうか。
  また収益還元法によると会社への貸し付け賃料を基に算定することになりますが、会社の経営状態からして低廉な賃料を設定せざるを得ず、85億円などという数字は出てこないと考えられますがいかがでしょうか。
2 下部構造取得後の会社に対する貸し付け賃料は何を基準に決めるのですか。
3 上下分離方式の先例として三陸鉄道の例をあげていますが、この例は土地のみを市町村に無償譲渡し、それを三陸鉄道に無償貸与したものです。実質的には固定資産税の軽減と鉄道軌道輸送高度化事業費補助を受けるためのもので行動計画とは全く異なるものです。行動計画が想定するような上下分離方式を採用して成功した先例があるのでしょうか。
4 行動計画では、切り離した下部構造の維持管理は資産取得者(県)が行うことになるので会社の維持管理経費の削減を図ることが可能とされています。しかしそれは単に県が維持管理費を補助金として交付するのと実質において何ら変わらないのではありませんか。
5 地方財政法2条は「地方公共団体はその財政の健全な運営に努め、いやしくも・・・他の地方公共団体の財政に累を及ぼすような施策をとってはならない」としています。県が土地を買い取ると名取市は5500万円の固定資産税収入を失うことになり正に他の地方公共団体の財政に累を及ぼす施策であって地方財政法に違反するのではありませんか。
6 行動計画の上下分離方式をとることによって県にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
  取得資金が85億円だとすると、県は一般会計から85億円を支出することになり、また取得後の維持管理費も将来にわたって県が負担することになります。取得した下部構造は会社に貸し付けるしか活用方法はありませんが、取得価額に見合った賃料を得ることなどおよそ不可能です。行動計画は下部構造の取得に名を借りた会社の経費補助以外の何ものでもないと思われますがいかがでしょうか。
7 実質的な補助金交付だとすると、地方公営企業法の趣旨に違反するのではありませんか。すなわち地方公営企業法17条の3では「地方公共団体は、災害の復旧その他特別の理由により必要がある場合には一般会計又は他の特別会計から地方公営企業の特別会計に補助することができる」とされていますが、地方公営企業ですらこのように経費補助が限定されているのですから、第3セクターの場合にはなおさら税金による経費補助は許されないということになると考えますがいかがでしょうか。
8 このままでは2013年度に債務超過に陥るわけですが、その時点で民事再生手続きをとるのが本来の会社再建方法だと思いますがいかがでしょうか。
  会社が民事再生手続きをとれない理由があるのでしょうか。
9 民事再生手続きをとれないのは、県が全ての金融機関の融資(約90億円)について損失補償をしており民事再生手続きをとったその時点で県は金融機関から残融資額について即時全額の支払を迫られることになるからではありませんか。
10 「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律第3条」では地方自治体が他の法人の債務について保証契約を締結してはならないとされています。横浜地裁平成18年11月15日判決では「地方公共団体が制限法に反してよいとする理由は見出しにくい。実質的に保証契約と変わらない契約を損失補償契約と称して締結することは、同条の規制を潜脱する。本協定は、形式的には損失補償(契約)であるが、(債務)保証契約と同様の機能、実質を有するものであって、同条による規制を潜脱するものとして違法なものである」とされています。本件における県の金融機関の融資(約90億円)についての損失補償は違法無効なのではありませんか。
11 県は仙台空港アクセス線の需要予測に当たって株式会社日本空港コンサルタンツに調査を委託し平成10年3月に報告を受けています。同報告が示した需要予測モデルは、①全国空港利用者数を算出(算出方法は昭和45年~平成8年までの国民一人当たりGDPと空港利用者数の推移から予測)、②東北6県の空港利用者数対全国シェアを算出し、これを①の数字に乗じる、③②に航空旅客動態調査から得られる仙台空港利用率を乗じるというものです。しかし一番の基礎となる全国空港利用者数の予測に当たり、右肩上がりの成長が続いた時期(昭和45年~平成3年まで)を含めた期間の平均GDP成長率(厳密には平均ではなく複雑な係数化がされているが)を用いたために永遠の右肩上がりを前提に需要予測されています。その結果この需要予測モデルを用いた仙台空港アクセス線の1日当たり利用人数は平成27年度13620人、平成37年度15643人という荒唐無稽とすら言える非現実的な予測がなされています。もし平成4年~平成8年までの期間の平均GDP成長率を用いていれば需要予測は全く違ったものとなったはずです。このような極めて不合理な需要予測モデルを作成した株式会社日本空港コンサルタンツに対し損害賠償請求をするべきと思いますがいかがでしょうか。
12 仙台空港アクセス線の需要予測を誤った原因はどこにあるとお考えですか。
  需要予測を誤った原因を検証するための機関を設けて徹底的に原因を究明し、今後同じ間違いをしないよう公共事業における需要予測の準則を定めるべきだと思いますがいかがでしょうか。

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