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2010年9月17日 (金)

<押尾学被告>遺棄致死は認めず懲役2年6月の実刑 東京地裁判決

リンク: <押尾学被告>懲役2年6月の実刑 東京地裁判決 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース.

 合成麻薬MDMAを一緒に服用して容体が急変した女性を放置して死なせたとして、保護責任者遺棄致死など4罪に問われた元俳優、押尾学被告(32)の裁判員裁判で、東京地裁(山口裕之裁判長)は17日、懲役2年6月(求刑・懲役6年)の判決を言い渡した。
 押尾被告は09年8月2日、東京・六本木のマンションで知人の田中香織さん(当時30歳)にMDMAを渡した麻薬取締法違反(譲渡)と、容体が急変した田中さんを放置して死なせた保護責任者遺棄致死のほか、同じ日に別の合成麻薬を所持した同法違反(所持)、7月に知人からMDMA約10錠を譲り受けた同法違反(譲り受け)の4罪に問われた。
 検察側は「適切に救急搬送すれば9割方救命できた」とする救命医2人の証言などをもとに、容体急変時に119番していれば田中さんをほぼ確実に救命できたと指摘していた。
 これに対し、押尾被告は公判で「MDMAを田中さんに渡していない。人工呼吸や心臓マッサージなどの救命措置をした」と述べ、遺棄致死罪とMDMA譲渡の無罪を主張。弁護側も「田中さんは容体急変後にあっという間に亡くなり、119番しても救命可能性はきわめて低かった」と述べていた。【伊藤直孝】

  押尾被告は酷いやつだと思うし、直ぐに救急車を呼んでくれれば助かったのにという田中さんのご遺族の気持ちは当然だと思う。世間ではこの判決を批判するかもしれないが、私は保護責任者遺棄致死を認めなかったこの判決は妥当なものだと思う。同罪は保護責任者遺棄行為だけでは成立せず、その行為によって被害者が死亡したことが証明されなければ成立しない。つまり直ぐに救急搬送していれば救命できたという証明が必要だ。
  第6回公判で弁護側証人として出廷した救命救急医は、田中香織さんの救命の可能性について「極めて低い」と証言した。「本件で唯一確かなのは薬物の血中濃度」とし、田中さんのMDMAの濃度が異常に高かった点を指摘。証人の救急医は「田中さんの容体を分かっているのは押尾さんだけ。その押尾さんも薬物の影響下であいまい」とし、「唯一確かなのは薬物の血中濃度。血中濃度はうそをつかない」と断言した。死亡鑑定書や医師の調書によると、田中さんの薬物(MDMA)の血中濃度は8~13マイクログラム/グラム。この救急医によると、通常の中毒患者は1~2、致死量は3・1マイクログラム/グラムというデータもあり「田中さんの血中濃度で過去に助かった人はいません。救命の可能性は極めて低い」と証言した。同救急医は日本救急医学会で指導医を務めるかたわら、日本中毒学会の評議員でもある薬物中毒の専門家。検察側証人として出廷した救急医について「薬物中毒の専門ではない」とその証言を疑問視。「致死量の3倍以上のんだのに助かるというのは学問的にどうなのかと思った」と証言台に立った理由を説明したと報じられている。
  一方検察側証人の昭和大医学部(東京都品川区)の教授は、目を見開くなどの症状が出た同6時20分ごろに救急隊が接触すれば「約9割は助けることはできた」。病院内で心肺停止の一歩前になった場合は「被害者は若く、100%近い確率で救命できた」と証言し、また、都立墨東病院(墨田区)の医師も、心臓が機能している段階で救急搬送された場合は「9割以上救命できた」と証言したようだ。しかしこれは心肺蘇生の一般論としては正しいが、ショックの原因が薬物中毒の場合には血中濃度を下げる方法がない以上この一般論をそのまま当てはめることはできない。本件に即して言えば弁護側証人の証言の方が医学的に正しいと言わざるを得ない。検察側立証は詰めが甘かったと言うべきだろう。
 これらの証言から保護責任者遺棄致死は認められないだろうと思っていたが、裁判員裁判だけに果たして冷静な判断ができるのか危惧していた。押尾被告の悪質性や世論を考えると、複数の専門医が助かると言っているのだからということで有罪にされかねないと思っていたが杞憂だった。裁判員が合議でどのような発言をしたかはもちろん分からないが、困難な医学的判断が問題となる事件であっても裁判員は正しいな事実認定ができることが証明されたわけだ。私は国民に強制的に義務付け、被告人に選択権を認めないという制度設計については裁判員制度に懐疑的だったし今もそれは変わらない。ただ事実認定については職業裁判官だけよりむしろ裁判員制度の方がよいと思っていた。制度設計を変えれば裁判員制度は十分機能するように思う。
  もう一つ弁護側証人として出廷した医師は立派だと思う。押尾被告が保護責任者遺棄致死罪にならなければ当然世間やマスコミからのバッシングも予想される。証言して得になることなど何もないだろうによくぞ証言したものだ。こういう医師が増えてくれると民事の医療過誤訴訟も変わっていくと思うが。

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