フォト

« 法科大学院の実質競争倍率は1.91倍 弁護士という職業は学生から見放されつつあるようだ | トップページ | 急増する弁護士トラブル 放送予定|NHK 追跡!AtoZ »

2010年9月 1日 (水)

損失補償契約は無効=金融機関への支払い差し止め-三セクめぐり安曇野市に

リンク: 時事ドットコム:損失補償契約は無効=金融機関への支払い差し止め-三セクめぐり安曇野市に.

 長野県安曇野市が出資する第三セクターに融資した金融機関との間で、市が損失を補償すると契約したのは違法だとして、市議が差し止めなどを求めた訴訟の判決が30日、東京高裁であった。加藤新太郎裁判長は「契約は財政援助制限法に違反しており無効だ」として、訴えを退けた一審長野地裁判決を変更し、補償の差し止めを命じた。
 財政援助制限法は財政安定のため、自治体が会社などの債務を肩代わりする「保証契約」を禁じているが、同法に基づいて出費を差し止める判決は異例。損失補償契約に頼って融資を受けてきた三セクや地方公社に影響を与えそうだ。
 判決によると、旧三郷村(現安曇野市)は2003年、約51%を出資して三セク「安曇野菜園」を設立。その後、同社が銀行などから受けた融資に関し、仮に金融機関側が損失を負った場合、約3億5000万円までの元本や利息を補償すると契約した。
 一連の契約について、加藤裁判長は「制限法が禁じた保証契約と同様の機能を果たす」と判断。「契約が無効ならば、金融機関側に不測の損害を被らせ、取引の安全を害する」という市側の反論は、「効力を認めれば規制の趣旨が失われる」と退けた。(2010/08/30-20:42)

  判決文を見ていないので詳細は分からないが画期的な判決だと思う。損失補償契約といっても一般の人には何のことか分からないあるいは自分たちには関係ないと思っているだろう。しかしこの損失保証契約こそが地方財政を破綻に導く元凶なのだ。
  第三セクターや地方公社は設立時あるいはその後の事業遂行過程で金融機関から融資を受けることになる。民間会社だってこれは同じだが金融機関の融資の姿勢は全く異なる。第三セクターや地方公社の場合には必ず地方自治体が金融機関と損失補償契約を結ぶ。すなわち金融機関の融資が焦げ付いた場合には融資全額(全額でない場合もあるが)を地方自治体が補填するという契約を結ぶのである。金融機関は仮に第三セクターが破綻しても融資金は全て地方自治体が支払ってくれるので絶対に損をしない。だからどんなに杜撰な事業計画であっても融資することになる。焦げ付いたところで最終的には自治体から絶対に回収できるのであるから、金融機関としては第三セクターの事業計画の妥当性を真面目に検討することはないし、その後の事業運営に関心を持つこともない。第三セクターが雨後の竹の子の如く全国つづ浦々に設立され、ことごとく大赤字になっているのはこういうカラクリがあるからだ。
  第三セクターは大赤字でも倒産させない。地方自治体は補助金をつぎ込んでなんとか存続させようとする。それは自分たちの責任を問われるのが嫌だというのが一番の理由だが、もう一つは倒産させると金融機関からの融資を含めその負債の全てを地方自治体が引き受けなければならないからだ。
  民間企業であれば倒産すればそれぞれの融資先が融資金額に応じて損失を被ることになる。だから赤字が続けば金融機関から経営改善を求められるし、経営を続けても赤字解消の見込みがなければ融資を打ち切って怪我が大きくならないよう早めに倒産させることになる。経営の論理が働くのである。しかし損失補償契約のある第三セクターの場合はそうはならない。だからぎりぎりまで存続させることになる。負債は当然税金で支払われるので、結局被害を被るのは税金を納めている住民だ。財政援助制限法が財政安定のため、自治体が会社などの債務を肩代わりする「保証契約」を禁じているのは正にこのような事態を防止する趣旨なのだ。債務の保証はできないが、債務が焦げ付いた場合の損失補償は可能などという論理は法解釈としてあり得ないと言うべきだ。
  損失補償契約がなければ金融機関も第三セクターへの融資に当たっては需要予測や採算性について厳格に審査する。そうなると金融機関からの融資がなければそもそも第三セクターの設立自体不可能だから今のような第三セクターの濫立という事態にはならなかったはずだ。第三セクターが地域経済において果たしている役割は積極的に評価すべきだと思うし、中には効率的に運営されているものもある。しかしその多くは地方自治体職員の天下り先になっていて、親方日の丸の放漫経営に陥っている。税金の無駄遣いの見本のようなものだ。不要非効率な第三セクターは速やかに整理されるべきだし、その際は損失補償契約は無効として金融機関に応分の負担をさせるべきだ。
  損失補償を違法無効だとすると金融機関側に不測の不利益をもたらすとの反論がなされているが、そもそも金融機関は自らの融資判断で融資したのだからその判断ミスは自らが負うのが当然だろう。決して不側の不利益などではない。損失補償が違法無効になれば、地方自治体は自らが出資した分の損失を覚悟すればよいので、赤字の第三セクターを清算することが容易になる。助かるのは地方自治体だ。
  宮城県の第三セクターである仙台空港アクセス線は破綻寸前だが、上下分離方式などという詐欺的な方法を使って税金投入で存続させようとしている。仙台市民オンブズマンの公開質問状に対する回答が来たが、その内容は木で鼻をくくったようなもので真面目に検討したとは思えない。損失補償についても自分に都合の良い行政実例と判例をあげて「違法とは考えていません」の一言で終わりだ。仙台空港アクセス線は存続させるべきだとは思うが、その方法は金融機関にも応分の負担を求める民事再生手続きで行うべきだろう。 

にほんブログ村 地域生活(街) 東北ブログ 仙台情報へにほんブログ村
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へにほんブログ村

« 法科大学院の実質競争倍率は1.91倍 弁護士という職業は学生から見放されつつあるようだ | トップページ | 急増する弁護士トラブル 放送予定|NHK 追跡!AtoZ »

仙台市民オンブズマン」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/522409/36486979

この記事へのトラックバック一覧です: 損失補償契約は無効=金融機関への支払い差し止め-三セクめぐり安曇野市に:

« 法科大学院の実質競争倍率は1.91倍 弁護士という職業は学生から見放されつつあるようだ | トップページ | 急増する弁護士トラブル 放送予定|NHK 追跡!AtoZ »

最近のトラックバック

無料ブログはココログ
2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31