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2010年9月23日 (木)

証人尋問 「同級生で親しい人」は「友達」ではない?

  昨日青森地裁で産科事故の事件について医師の証人尋問があった。仙台地裁の事件なのだが医師が仙台まで来れないというので青森地裁での所在尋問になった。長時間の禁煙に耐えられない私は車で行くことにしたが、さすがに往復700キロの日帰りは疲れた。有料で構わないから新幹線に喫煙スペースを作って欲しいものだ。
  証人の一人は被告病院の産科医、もう一人は移送先の産科医だ。移送時には既に救命困難だったので本来原告としては移送先の産科医の尋問の必要はなかった。ところが訴訟の終盤になって突然被告が別の死因を持ち出してきた。その死因であれば被告病院に過失があろうがなかろうが因果関係は否定されることになる。移送先の産科医の意見書を証拠で出すと同時にそのような主張がなされたので、おそらくその産科医が言い出したことなのだろう。死亡診断書にはそんな死因は書かれてはいないし、両親もそのような説明は一切受けていない。そこで移送先の産科医の尋問も申請した。
  移送先の産科医の主尋問で「・・・医師が友達だからといって有利な証言などしない医師として公正に云々」という証言が飛び出した。口がすべったのだろうか。私は医師の尋問に当たっては必ずその経歴、専門分野、資格などを事前に調べることにしている。だからその2名の産科医が同じ大学の医学部を卒業し、同じ医局に所属し、共にその大学の系列病院に勤務してきたことは分かっていた。しかしまさか「友達」とは知らなかった。
  当然反対尋問で「さきほど主尋問で・・・医師とは友達という証言をなさいましたね」と聞くと、その医師はあわてて「いいえ、友達ではありません」、「同級生で親しかっただけです」と答えた。そこまでの反対尋問でも正面から答えると不利になるような質問には例外的事象を持ち出してはぐらかそうとし続けた。正に「ああ言えばこう言う」という証言態度だったが、この答えには開いた口がふさがらない。親しい同級生が友達でなくてなんだと言うのだろう。詭弁にもならない詭弁を弄すると自分の証言全体の信用性がなくなることが分からないのだろうか。
  私は医師の尋問をたくさんやってきたが、被告側証人であっても専門家として誠実に答えてくれる医師は少なくない。「そういう見方もできると思うが、私はその時・・・・・という根拠で・・・・と考えました。だから・・・・した方が良いと判断したのです」というように正面から反論してくる。本当に優秀な医師はプライドがあるからごまかそうとはしないものだ。例え見解の相違で法廷で激しくやり合ったとしても、そのような医師に対しては尋問後に「お疲れ様でした、どうもありがとうございました」と必ず言うようにしている。
   今回卒業年度を確認しなかったのはうかつだった。同じ医局の出身ということで利害関係の立証は十分だと思ったが、友達関係ならより意見書や証言の信用性は減殺される。やはり経歴の確認は細かなところまで念入りにやらなければならないと反省させられた。
  それにしても医師の尋問は疲れる。私は1時間の反対尋問の準備に50時間以上はかける。4~5時間で8割方完成するのだが、残る2割の詰めに時間がかかる。時間をかけて色々な角度から検討し直してもやはり最初考えたとおりでよいということが多い。しかしだから無駄だということにはならない。その過程で読んだ文献や考えたことは尋問本番で生きてくる。医師が「これもある、こんなことも考えられる・・・・」と誤魔化そうとした時に、「それは場合が違うでしょう、それは正確にはこうだから本件には当てはまらない」などと即座に反論できるようになる。年のせいかだんだん根気がなくなってきたが、尋問準備の手を抜くようになったら弁護士をやめる時だと思っている。
  青森地裁で偶然以前仙台地裁で部長をされていた田村裁判官にお会いした。今青森地裁の所長をなさっているそうだ。信頼できる裁判官なので仙台高裁の部長として帰ってきて欲しいものだ。 

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