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2010年10月15日 (金)

日弁連法曹人口政策会議 単位会も会員も蚊帳の外?

  8月21日に行われた第1回法曹人口政策会議全体会議の議事概要を読んだ。司法改革信者のお経を読まされるのかと思ったら、各委員の発言内容はいずれも危機感を持った現実的なものだった。日弁連で法曹人口に関してこのような率直な議論がなされるのは初めてなのではないか。今日の日弁連新聞にも発言の一部が掲載されているが、増員論を支持する発言はほとんどない。フリートーキングなので意見集約がなされているわけではないが、「法曹人口問題検討会議の3月5日付け答申を踏まえて検討するとされているが、同答申が法的ニーズの潜在的需要が飛躍的に伸びる可能性があるとしているのは何の根拠もなく誤導だ」、「法的ニーズを検証するというが目の前の就職難を見れば既に答えはでている」、「検証する段階ではなく合格者減に向けた具体的行動を起こす時期だ」、「合格者は1000人とすべき」、「マスコミに迎合べきではない、あまりにもマスコミの反論に過剰反応するのはいかがなものか」、「法科大学院はもともとないほうがよい」などなど少し前であればタブーであった発言のオンパレードだ。 もっとも発言者の多くは地方会の委員で東京三会からは若手を除きほとんど実のある発言がなかったが。
  この議事概要を読んだ時は非常に期待が持てると思ったが、「法曹人口政策会議の中間取りまとめ骨子案作成のために」という運営会議の資料を見るとかなり様子が違っている。合格者の具体的数字は出すべきでないという説すら選択枝に上げている。全体会議での意見をきちんと踏まえているのか甚だ疑問だ。法曹人口政策会議はなにせ140人近い大所帯なので、次の全体会議は12月、3回目が2月と年度内に3回しか開かれない。実質は月1回開かれる運営会議で議論され、さらに運営会議での議論の叩き台は正副事務局が作ることになる。
  「法曹人口政策会議中間取りまとめまでのスケジュール案」によると、12月の全体会議までに正副事務局の方で文章化した「中間取りまとめ・正副事務局案第1稿」を提示して議論を行い、各委員にそれを所属単位会に持ち帰ってもらい1月の運営会議までに各単位会で議論してもらう。これらの議論を受けて正副事務局が修正して「中間取りまとめ・正副事務局案第2稿」を作成する。その後運営会議などで議論して最終稿を作って2月の全体会議で決定稿とする。その決定稿を各委員に単位会に持ち帰ってもらい3月の日弁連理事会で法曹人口政策の「中間取りまとめ」として承認を受けるらしい。
  例によって単位会は蚊帳の外のようだ。12月18日の全体会議から1月12日の運営会議までに一体どうやって単位会で議論しろというのだろう。2月19日の全体会議で決定稿ができてから3月17日の理事会までに単位会で議論したところで後の祭りというものだ。そもそも単位会への意見照会や一般会員に対するアンケート調査をしないで、どうやって「中間取りまとめ・正副事務局案」を作るのだろう。
  法曹人口を巡る議論の中で日弁連がやっていない(絶対やろうとしない)ことが2つある。1つは単位会への意見照会、1つは全会員を対象とするアンケート調査だ。何故やらないかといえば単位会に白紙のまま意見照会すれば1000人減員明示説が圧倒的多数だろう。会員アンケートを行っても同じだろう。そうなると日弁連としてそれに反する理事会決定などできなくなる。しかし1000人減員の政策をとったらまたマスコミにぼろくそに言われて日弁連が持たないと危惧しているのだろう。そもそも合格者数を決めるのは司法試験委員会であって日弁連ではない。日弁連が1000人への減員を求めたところで、最終的に判断し責任を負うのは直接的には法務省の司法試験委員会でありそれを指揮監督する内閣だ。
  日弁連のやるべきことは、司法の現状、弁護士の在り方、法曹養成の問題点などについて最も実情をよく知る専門家集団として、その意見を集約して国民に伝えることだ。日弁連の政策は、日弁連執行部が独善的に決めるのではなく大多数の会員の意見を集約して決めるべきことだ。それがもし1000人減員であるなら、それを日弁連の政策として意見表明し、その考え方を国民に伝える努力をすべきだ。もし日弁連の考え方が国民に受け入れられなかったとしても、それはそれで致し方ない。民主主義なのだから。しかし世論を忖度して正しいと思う意見を伝えないのは、国民を判断能力のない者と馬鹿にすることに他ならない。
  ブログで文句垂れてる暇があったら汗を流せと言われそうだが、仙台弁護士会では12月11日に「市民の求める弁護士像と弁護士人口(仮題)」をテーマに市民向けのシンポを行うことを企画中だ。

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