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2010年12月の10件の記事

2010年12月30日 (木)

「命の値段」、非正規労働者は低い? 裁判官論文が波紋

リンク: asahi.com(朝日新聞社):「命の値段」、非正規労働者は低い? 裁判官論文が波紋 - 社会.

  パートや派遣として働く若い非正規労働者が交通事故で亡くなったり、障害を負ったりした場合、将来得られたはずの収入「逸失利益」は正社員より少なくするべきではないか――。こう提案した裁判官の論文が波紋を広げている。
 損害賠償額の算定に使われる逸失利益は「命の値段」とも呼ばれ、将来に可能性を秘めた若者についてはできる限り格差を設けないことが望ましいとされてきた。背景には、不況から抜け出せない日本の雇用情勢もあるようだ。論文をまとめたのは、交通事故にからむ民事訴訟を主に担当する名古屋地裁の徳永幸蔵裁判官(58)。田端理恵子裁判官(30)=現・名古屋家裁=と共同執筆し、1月発行の法律専門誌「法曹時報」に掲載された。
  テーマは「逸失利益と過失相殺をめぐる諸問題」。若い非正規労働者が増える現状について「自分の都合の良い時間に働けるなどの理由で就業形態を選ぶ者が少なくない」「長期の職業キャリアを十分に展望することなく、安易に職業を選択している」とする国の労働経済白書を引用。こうした状況を踏まえ、正社員の若者と非正規労働者の若者の逸失利益には差を設けるべきだとの考えを示した。
  具体的には、非正規労働者として働き続けても収入増が期待できるとはいえず、雇用情勢が好転しない限り、正社員化が進むともいえないと指摘。(1)実収入が相当低い(2)正社員として働く意思がない(3)専門技術もない――などの場合、若い層でも逸失利益を低く見積もるべきだとした。
 そのうえで、逸失利益を計算する際に用いられる「全年齢平均賃金」から一定の割合を差し引いて金額を算出する方法を提案した。朝日新聞は徳永裁判官に取材を申し込んだが、名古屋地裁を通じて「お断りしたい」との回答があった。
  この論文に対し、非正規労働者側は反発している。「派遣労働ネットワーク・関西」(大阪市)の代表を務める脇田滋・龍谷大教授(労働法)は12日に仙台市で開かれた「差別をなくし均等待遇実現を目指す仙台市民集会」(仙台弁護士会など主催)で論文を取り上げ、「企業の経費削減や人減らしで非正規労働者が増えた側面に目を向けていない」と指摘した。脇田教授は朝日新聞の取材に「論文は若者が自ら進んで非正規労働者という立場を選んでいるとの前提に立っているが、若者の多くは正社員として働きたいと思っている。逸失利益が安易に切り下げられるようなことになれば、非正規労働者は『死後』まで差別的な扱いを受けることになる」と話す。
 裁判官の間にも異なる意見がある。大阪地裁の田中敦裁判官(55)らは同じ法曹時報に掲載された論文で「逸失利益については、若者の将来の可能性を考慮すべきだ」と指摘。若い世代の逸失利益を算出する際、正社員と非正規労働者に大きな格差を設けるべきではないとの考え方を示した。
  なぜ、1本の裁判官の論文が波紋を広げているのか。 逸失利益をめぐっては、東京、大阪、名古屋3地裁のベテラン裁判官が1999年、将来に可能性を秘めた若い世代に対しては手厚く配慮することをうたった「共同提言」を発表。おおむね30歳未満の人が交通事故で亡くなったり重い後遺症が残ったりした場合、事故前の実収入が同年代の平均より相当低くても、将来性を考慮したうえで全年齢平均賃金などに基づき原則算出する統一基準を示した。2000年1月以降、この基準が全国の裁判所に浸透したが、長引く不況による非正規労働者の増加に伴い、事故の加害者側が「平均賃金まで稼げる見込みはない」として訴訟で争うケースが増えている。交通事故訴訟に携わる弁護士らによると、実際に非正規労働者の逸失利益が正社員より低く認定される司法判断も出てきているという。
  こうした中で発表された徳永裁判官らの論文。非正規労働者側は、交通事故訴訟に精通した裁判官の考えが他の裁判官にも影響を与え、こうした動きを後押しする可能性があると不安視する。(阪本輝昭)

 注:逸失利益とは、交通事故などで亡くなったり、重度の障害を負ったりした人が将来的に得られたとして算定される収入。以前は男女別全年齢平均賃金などを基準とする「東京方式」と平均初任給を基準とする「大阪方式」で未就労者の逸失利益を算定する方法があり、地域格差があった。2000年1月以降は東京方式に沿った基準に統一され、不況で急増した若い非正規労働者にも適用されている。25歳の男性が交通事故で死亡した場合、67歳まで働けたとして、09年の男性の全年齢平均賃金(約530万円)をもとに生活費を半分差し引いて試算すると約4600万円になる。

  こんなとんでもない論文があるとは知らなかった。非正規労働者は一生非正規、奴隷は生涯奴隷ですか。非正規社員の多くは頑張って働いていればいつか正規社員になれる、平均賃金位は稼ぐようになれると思って働いているはずです。この裁判官達はどうして「おまえらにそんな可能性などない」と決めつけることができるのでしょう。
   被害者が法廷で「正社員として働く意思はある」と証言した場合この裁判官達はどのような認定をするのでしょう。多分「本人は正社員として働く意思があると証言するが、これまでの職歴に照らしにわかに措信し難い」と書くのでしょうね。
  馬鹿な裁判官は一生馬鹿、冷酷な裁判官は一生冷酷というのは真実でしょうが。

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法律事務所に168万円返還命令=弁護士報酬取り過ぎ-東京地裁

リンク: 時事ドットコム:法律事務所に168万円返還命令=弁護士報酬取り過ぎ-東京地裁.

栃木県矢板市の医薬品販売会社が自己破産を申し立てた際、高過ぎる報酬を受け取ったとして、同社の破産管財人が弁護士法人アディーレ法律事務所(東京都豊島区)に231万円の返還を求めた訴訟で、東京地裁(増永謙一郎裁判官)は14日、168万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
 増永裁判官は「必要な事務は一応行われたが、弁護士は現地に一度も赴かず、不適切な指示も出した」と指摘。実際の報酬額294万円に対し、適正な額は126万円以下だったと判断した。
 判決によると、同社は2009年1月、アディーレ法律事務所と契約。同5月に東京地裁に破産を申し立てた。
 同事務所は各地に支店を持ち、債務整理を中心に業務を行っている。代表の石丸幸人弁護士はテレビ出演などで知られる。
 判決後、石丸代表は「報酬は適正額だと思っていたので意外だ」とコメントを出した。また、09年2月の別の判決をめぐり、東京弁護士会から戒告処分を受けたことも明らかにした。(2010/10/14-21:24)

  こんな判決が出ていたんですね。知らなかった。不適切な指示って何だろう、興味津々。法人の破産事件に慣れてないのでしょうか?

鳥取県 議員「働き掛け」全容開示(共同通信)

リンク: 鳥取、議員「働き掛け」全容開示(共同通信) - livedoor ニュース.

  鳥取県は、県情報公開条例に基づき今年3月までの5年間に県議らから受けた「働き掛け」や「提言」の全容計113件を開示、関係議員の実名も公開した。開示は15日付。共同通信が請求した。道路建設に絡み県議が担当課に要望を繰り返した記録など、普段は表面化しにくい行政と議員らの関係の一端が浮き彫りになった。県の積極的な開示姿勢は、外部の過剰な「圧力」をかわすのが狙い。

  開示された文書には「国道建設予定地内に所有地がある県議が、側道の幅員を計画の4メートルから6メートルに広げるほか歩道設置を要求し、電話8回、来庁4回、議会棟への呼出2回、陳情書3回にわたりよろしく頼むと要望していた」ことが明記されているとのことである。阿久根市の市長は議員のことを「欲張り村の村長さん達」と言ったそうだが言い得て妙だ。自治体職員への働きかけは議員先生達の生命線であり、内容が適切なら住民の要望を行政に反映させるという議員本来の職務であろう。しかしそれが私利私欲を図るための不当要求になってはならない。議員と行政職員との関係を透明化させることが必要だ。
  その意味で議員からの働きかけを記録し情報公開の対象にすることは極めて有意義だと思う。島根県以外に長野県でも行われているが、是非全国の自治体で導入して欲しい。宮城県はどうだったろう。一度情報公開請求してみようか。

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時効直前に不起訴=遺族、検審利用できず 医療事故死

リンク: 時事ドットコム:時効直前に不起訴=遺族、検審利用できず-専門家の大半、過失指摘-医療事故死.

 救急車で運ばれた26歳の女性に最低限の検査をせず死亡させたとして、業務上過失致死容疑で書類送検された救急病院の担当医(51)について、東京地検が時効2週間前に嫌疑不十分で不起訴処分としたため、遺族が検察審査会へ申し立てできなかったことが分かった。捜査に協力した専門家の大半は過失を指摘したが、地検は担当医の説明と同じ理由で不起訴とした。遺族は地検から詳しい理由を説明されていないという。
  女性は2005年4月14日夜、激しい腹痛を訴え、東京都世田谷区の2次救急指定病院に入院したが、翌朝死亡。子宮外妊娠による卵管破裂、大量出血が原因だった。
  複数の捜査関係者や地検が遺族側に開示した資料などによると、警視庁は約4年間ほとんど捜査しなかったが09年春に始め、同7月ごろ地検に報告。今年1月には、起訴に向け補充捜査を求められ、態勢を強化した。
  医療過誤事件は、専門家の意見が立証の柱となる。警視庁が見解を求めた少なくとも8人の医師は全員、「最低限の検査をすれば救命できた」と担当医の過失を認めた。
  ところが地検は3月中旬、一転して不起訴とする意向を警視庁に伝え、書類送検時の意見を「厳重処分」にしないよう要請。同庁は意見を変えず同29日に書類送検したが、地検は2日後「急性胃腸炎と考えた」などとした担当医の説明通りの理由で不起訴とした。警察の意見で最も重い厳重処分の事件が不起訴になるのは異例という。(2010/12/29-23:34)

  私は医療過誤について刑事罰を科すことについては消極的で、極端な怠慢型医療過誤のみに限定すべきと考えている。本件がそのようなケースなのか分からないが、一晩中激しい腹痛を訴え続けたのに診断の見直しをしなかったというのなら起訴もあり得たと思う。
  私が酷いと思うのは不起訴にしたこと自体ではなく、「警視庁が約4年間ほとんど捜査しなかったこと」、「地検が不起訴とする意向を警視庁に伝え、書類送検時の意見を厳重処分にしないよう要請したこと」、「東京地検が時効2週間前に嫌疑不十分で不起訴処分としたため、遺族が検察審査会へ申し立てできなかったこと」だ。
  ろくに捜査しないで時効が近づくと不起訴にするというのは医療過誤ではめずらしいことではなく警察、検察の常套手段だ。ちなみに捜査中だと捜査資料であることを盾に司法解剖の結果を遺族に開示せず、民事責任の追及に支障を来すこともある。しかし、時効2週間前の不起訴というのはあんまりだろう。これでは実質上検察審査会制度を否定することになる。検察審査会で2度起訴相当の議決がなされれば強制起訴がなされることになった現在このような制度を否定するような運用は厳しく批判されるべきだ。あまつさえ不起訴処分にしやすいように警察に、書類送検時の意見を厳重処分にしないよう要請するに至っては姑息としか言いようがない。やはり検察は腐りかけているようだ。

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河北新報 今年8500人超が裁判員に 1421件、辞退52%

リンク: 河北新報 内外のニュース/今年8500人超が裁判員に 1421件、辞退52%.

  全国60地裁で今年実施された裁判員裁判は1421件(被告は1498人)で、8500人を超える有権者が裁判員を経験したことが29日、共同通信の集計で分かった。裁判員の辞退率(10月末現在の最高裁集計)は昨年をわずかに下回る51・8%だった。
 判決は無罪が2人で有罪率99・9%。3人に死刑が言い渡され、無期懲役は34人。弁護活動を批判する意見もあり、日弁連は「研修と試行錯誤を続ける」としている。
 共同通信の集計によると、今年の裁判員裁判は制度が施行された昨年の138件(被告は142人)の10倍を超え、多かった地裁は(1)千葉137件(2)東京130件(3)大阪115件(4)名古屋68件(5)さいたま66件―の順。
2010年12月29日水曜日

  市民の目を入れると職業裁判官だけの裁判より事実認定が適正化されて無罪が増えるというのが日弁連のもくろみだったように思うが、相変わらず有罪率は99・9%。量刑も全体的にやや重くなったようだ。8500人もの国民を動員し、膨大な国費を投じても結果が変わらなければ何の意味もないと思うが。
  それとも司法改革信者が呪文のように唱える「国民を統治客体から統治主体へ」「日本の法化社会化」という目的は達成されたことになるのだろうか。別に何も変わっていないように思うが。今の日本にこんな無駄な制度を維持する余裕があるとは思えない。 

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2010年12月25日 (土)

日弁連法曹人口会議の「中間取りまとめ」(案)を読んで

 法曹人口政策会議の「中間取りまとめ」(案)と第2回全体会議議事要旨を読んだ。何故か転送禁止とされている。意思形成過程の会内資料だからという理由だろうが、そういうものも公開して会員の議論の俎上に載せるのが会内民主主義だと思うが。とは言っても信義は守るべきだろうから極一部の表現についての感想を述べるにとどめる。
  中間取りまとめ(案)には「司法基盤整備や社会の受け入れ態勢が未だ不十分な中で、司法試験合格者の急激な増加により、制度の歪みとも言える様な問題が発生している。」、「このような就職難状況が生じること自体、当初予測されていた弁護士への法的需要が未だ社会に現れていない証であるという声もある。」、「もとより就職難問題は社会全体の傾向であり弁護士だけが特別というわけではない。」、「より身近で利用しやすく、分かりやすくて頼りがいのある司法を実現するための運動を進めていく。」と書かれている。
  この「社会」とは国民や企業の意味なのだろうが、社会が受け入れてくれないと嘆くのでは非行少年と同じだ。司法改革を実現するには、本来、日本の社会(国民や企業)は大量増員される弁護士を受け入れて食べさせていくべきなのに政府も社会もその努力が足りない、と言っているように聞こえるがとんでもない高ビーな発想だ。制度が歪んでいるのではなく単純に合格者数が多すぎるだけだ。
  「弁護士への法的需要が未だ社会に現れていない」と言うが、日弁連は10年前は現に弁護士への法的需要はたくさんあって弁護士はその需要に応えられていないと言っていた。いざ大量増員してみると需要がないので、今度は潜在的需要はあるのだが未だ顕在化していないと言うようになった。それを10年間言い続けてこの期に及んでまだ言っている。10年間社会に現れないことを普通「(大増員を必要とする程の)需要は存在しない」と言うのだと思うが。まして弁護士への法的需要が社会に現れていない理由を、国民や企業が弁護士を使ってくれないからだと社会のせいにして受け入れを要求するのでは押し売りのようなものだ。
  就職難問題は社会全体の傾向と言うが、日本の人口も新規学卒者も増えてはいない。それに対して司法試験合格者数は4倍に増えたのだから同列に論じることなどできない。社会全体の就職難状況の下でさらに4倍にも増やしたことが原因なのだから弁護士だけの特別な問題である。
  法曹人口政策会議の設置目的は「法曹人口に関する日弁連の基本政策を立案すること」とされている。政策の立案であるから当然各種統計資料を分析した上での需要予測に依拠した具体的政策の提言をするものだと思っていた。またぞろ「市民にとってより身近で利用しやすく、分かりやすくて頼りがいのある司法を実現するための運動」などというお得意の呪文を聞かされるとは思いもよらなかった。この中間取りまとめ(案)は政策などと呼べる代物ではない。
  宇都宮執行部と法曹人口政策会議に期待した私が馬鹿だったと言う他ないが、今後は競争に敗れて廃業に追い込まれないよう本業に専念しようと思う。

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2010年12月24日 (金)

弁護士偏在解消対策地区設定と特別会費徴収について

 弁護士の過疎偏在問題についてはようやく弁護士ゼロ支部がなくなり、ワン支部も5箇所まで減って解消の目処がついた。ところが日弁連は今度は弁護士1人当たり人口3万人を超える地域を偏在解消対策地区と設定し、2013年までの解消を目指すとのことだ。いつどこで機関決定されたのだろう。この定義だと全国に98箇所もあることになるがどうやって解消するのだろう?まるで増員論者に塩を送るような政策だ。弁護士過疎の対策をとれば世論は増員見直しを受け入れてくれるという発想なのかもしれない。しかし日弁連は自らこれだけ多くの弁護士過疎地区があることを認めているのだから増員見直しを言うなどとんでもないと逆手にとられるのがおちだろう。司法審の意見書に明記されているが、司法審意見書ですら弁護士過疎問題=いわゆるゼロワン支部問題と書いている。これ以上の過疎偏在対策を行う必要がないとは言わないが弁護士1人当たり人口3万人を超える地域を偏在解消対策地区と設定し、2013年までの解消を目指すというのは大風呂敷を広げすぎではないか。これまでもゼロワン解消のために莫大な会の予算をつぎ込んだわけで、これ以上ハードルを上げる自虐的な政策は有志で勝手にやって欲しいと言いたくなる。
 今日日弁連から来た臨時総会招集通知には議題として少年・刑事財政基金のための特別会費徴収の件と法律援助基金のための特別会費徴収の件が上げられている。これらの事業は本来法テラスの事業として政府の責任において行われるべきものだ。どうして特別会費を徴収してまで日弁連が行わなくてはならないのか理解できない。日弁連は会員が打ち出の小槌でも持っていると思っているようだ。政府がこの程度のことすらやらないのは言うところの司法改革がまやかしで、財政負担を伴うものはやる気がないことを如実に示している。
 それでも日弁連は自腹を切ってやるというのだからご立派という他ない。麗しい犠牲的精神だが、私のような志の低い会員はもうついて行けない。当番弁護士の特別会費に始まってここ十数年いろいろな名目で多額の財政負担をしてきたのであるからもういい加減十分ではないか。弁護士大増員で法曹資格を得ても弁護士会に登録すらできない新人が200人も出ている時代だ。このままでは今後は会費を払えずに登録を抹消せざるを得ない会員も出てくるだろう。強制加入団体であることを維持したいなら弁護士会が聖人君子の集まりであるかのごとき発想はやめた方がよいと思うが。

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2010年12月22日 (水)

今年の新入会員数

  仙台弁護士会に新63期の新入会員が27名入会した(他会からの登録替えを含めると29名)。入会予定者は31名だったので4名が2回試験で落ちたようだ。うちで修習した佐藤君は無事合格して入会した。一度に27名というのは過去最高で会員数は360名位になる。私が入会した時は168名位だったので倍以上に増えたことになる。27名というのもびっくりだが、2回試験に4名も落ちるというのは驚きだ。全体では90名が落ちたようだ。今は2回試験落第者向けの予備校もあるそうだ。
  最近では仙台会の会員にも強制加入に疑問を呈する者、会費値下げを言う者、会務活動の在り方に疑問を呈する者も出てきた。仙台弁護士会の有り様も今後急速に変わっていくのだろう。たしかに日弁連が増員路線で突っ走っていた頃は、私も強制加入団体などやめちまえ!と思ったので、このような会員の気持ちは理解できないではない。ただ最低限の一体性は保たないと英国の弁護士会のように弁護士自治を失ってしまう。弁護士自治など不要だと言ってしまえばそれまでだが。
  今仙台弁護士会では普天間基地移設の総会決議を出すかどうかで議論がなされている。もちろん決議の内容には賛成なのだが、何もこんな時代に会員間の亀裂を深めるような決議をしなくてもと思ってしまう。

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陽の目を見なかった弁護士人口問題の答申

 12月18日の日弁連法曹人口政策会議で、正副事務局による「中間とりまとめ案」が示されたために陽の目を見ないことになってしまった答申案です。「中間とりまとめ案」てどんな案なんですかね?仙台弁護士会では今、普天間基地移設の総会決議を出すかどうかで盛んに議論がなされています。弁護士人口問題に取り組もうとする会員がほとんどいないのが残念です。

                   答  申(私案)
                             平成22年12月  日
仙台弁護士会 会長 新 里 宏 二 殿
                          弁護士人口問題検討特別委員会
                             委員長 坂 野 智 憲

諮問事項
① 当会として日弁連法曹人口政策会議にどのような基本方針で対応すべきか。
② ①を踏まえて、世論の理解と支持を得るための当会での具体的な活動方針について

諮問事項①に対する答申の趣旨
1 平成14年3月19日閣議決定がなされた「平成22年ころには司法試験の合格者数を年間3,000人程度とすることを目指す。」との司法制度改革推進計画を見直し、新たに「司法試験合格者数を段階的に削減し、平成30年に法曹人口約4万5000人(弁護士人口約4万人)に達した以降は、将来的にも5万人を大きく超えない法曹人口を維持するため、司法試験の合格者数を年間1000人程度とすること。」との司法制度改革推進計画を閣議決定するよう政府に求めるべきである。
2 日弁連は、法曹人口政策会議によって立案される法曹人口に関する基本政策を基に、できる限り早い時期に日弁連総会決議によって日弁連としての法曹人口政策(政府に対して閣議決定を求める具体的施策)を決定すべきである。
3 法科大学院制度の抜本的見直しを行うべきである。

諮問事項①に対する答申の理由1
1 司法制度改革推進計画の前提が崩れていること
  司法制度改革推進計画は「現在の法曹人口が、我が国社会の法的需要に十分に対応することができていない状況にあり、今後の法的需要の増大をも考え併せると、法曹人口の大幅な増加が急務となっている」という認識に基づいて決定された。
  しかしながら、司法制度改革審議会が平成12年6月全国16地裁において総勢591名に対するアンケート調査を実施しているが、同調査の結果として、弁護士を付けるのに「苦労しなかった」は21%、「全く苦労しなかった」は65・3%であることを明らかとし、更に同調査に基づく報告書において「今回の調査の回答者では弁護士の委任率が高く、かつ、弁護士へのアクセス障害の報告も少なかった」と結論付けている。この結果からすれば「現在の法曹人口が、我が国社会の法的需要に十分に対応することができていない状況にある」との前提自体に疑問がある。この調査については、裁判所に辿り付けた人を対象とするものであり、辿り付けない人も存在するのであるから、必ずしも、アクセス障害がないとまでは言えないとの見方もある。しかしその後、弁護士数が約1・7倍増え、弁護士に辿り着ける客観的可能性が高まっているにもかかわらず事件数自体が増えていないとの事実は、少なくとも現時点においては弁護士へのアクセス障害の問題は殆どなく、法的需要が必ずしも大きくないことを示している。
  次に、「今後の法的需要の増大」については、最高裁判所の司法統計によれば、平成12年度の総新受事件数(民事・行政事件、刑事事件等、家事事件及び少年事件の件数。但し、刑事事件等及び少年事件は人数)は553万7154件であり、平成20年度の総事件件数は443万2986件となっている。この内、統計数値の採用基準の変更により雑事件が77万件減少していることを考慮すると、その実質的な減少数は33万件であり、その減少割合は約6%となる。また、地裁民事の訴訟事件についても、平成12年度は18万4246件であったが、その後漸次低減し、平成17年度には15万4380件まで低下している。その後、過払事件の急増により平成20年度の事件総数は約22万件に達しているものの、その約半分を過払金返還請求事件が占めていることから、実質的には減少傾向は現在も続いていると見られる。なお、過払金返還請求事件は貸金業法の抜本的改正及び消費者金融業者の相次ぐ撤退等により早晩収束するものと予測される。
  かように司法制度改革推進計画が前提する「現在の法曹人口が、我が国社会の法的需要に十分に対応することができていない状況」「今後の法的需要の増大」はいずれも根拠を欠くものであるから計画自体を見直す必要がある。
2 法曹人口の現状
  平成12年4月時点における弁護士数は1万7126人であり、平成22年11月時点における弁護士数は2万8889人とこの10年間で約70%もの増加が図られている。さらに平成21年4月現在司法書士の62%にあたる1万2251人が認定司法書士登録をなし、平成20年度においては、9万1437件の簡裁代理権業務及び53万6622件の裁判外和解手続に関与するに至っている。
  なお、司法制度改革推進計画が依拠する司法制度改革審議会意見書では、日本における法曹人口を当面フランス並にすることが急務であるとしているが、フランス等諸外国にあっては、弁護士が税理士業務等日本における隣接法律関係業務を含めて行っており、日本における法曹人口を検討する場合には司法書士・税理士等の隣接法律関係専門職の存在を考慮することが不可欠である。ちなみに、隣接法律関係専門職を含めた法律専門職一人当たりの国民数を平成21年において比較すると、日本が773名なのに対し、フランスは1275名であり、フランスは日本の6割程度である。
3 弁護士人口急増による弊害
 ① 就業問題とOJTの機会の喪失
   法的需要が増加していないにも関わらず弁護士の急増が図られた結果、平成18年ころから新人弁護士の就職難という事態が発生し、年々深刻度を増しており、司法修習終了時の弁護士未登録者は、平成19年度は新旧60期生で102人、平成20年度の新旧61期生で122人、平成21年度の新旧62期生で184人に上り、平成22年度の内定率は前年同月比10%以上悪化していることからして、司法修習終了時に300人程度の司法修習生が登録できない見込みである。
   この傾向は今後ますます深刻度を増してゆくものと推測されると共にオンザジョブトレーニングを欲しながらも勤務先を得られず、登録後直ちに独立して業務を行わざるを得ない弁護士の増加が余儀なくされることが懸念される。
 ② 勤務弁護士の年収の低下
   勤務弁護士の平均年収は平成18年度から平成20年度までの賃金構造基本統計調査(賃金センサス)によれば約800万円程度で推移していたところ、平成21年度は680万円(平均年齢36・4才・調査人数1350名)と低下しており、勤務できたからといって必ずしも経済的に余裕があるとは言えない。同調査における大学・大学院卒の平均年収は674万円であるが、弁護士の場合、通常月額5万円~7万円程度の様々な名目による会費の負担があることからすれば勤務弁護士報酬は実質的には平均以下ということになる。
   弁護士は、弁護士法により、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とし、そのために法律制度等の改善に努力することを義務付けられている。弁護士会は会員の負担する会費を原資として弁護士法の求める無償の公益的活動を行っている。しかし弁護士の経済的基盤の脆弱化がさらに進めば、月額5万円~7万円に上る会費の負担に耐えられない弁護士が増加し、弁護士会の公益的活動の減退、ひいては自治権を有する強制加入団体としての存立すら危うくなりかねない。
 ③ 法曹志望者の減少
   このような弁護士を巡る厳しい現実が明らかになるにつれ、法科大学院の志願者は著しく減少し、平成15年には3万5521人であった法科大学院適正試験(大学入試センター試験)受験者は年々減少し続けて平成22年度には7898人と78%も減少している。平成22年度の実際の法科大学院入学者数の合計は4122人であるから実質競争倍率は1.9倍である。ここ数年の受験者数の減少率は16%程度で推移しているので、このままでは6年後には競争性が失われる。また法科大学院への社会人入学者の割合も平成16年度の48・4%から29・8%に低下している。このことは、法曹の魅力が低下し、多様で優秀な人材が法曹を目指さなくなっている現実を示している。
4 法的需要に見合った法曹人口を目指すべきこと
  司法制度改革審議会意見書は「実際に社会の様々な分野で活躍する法曹の数は社会の要請に基づいて市場原理によって決定されるものであり、新司法試験の合格者数を年間3000人とすることは、あくまで計画的にできるだけ早期に達成すべき目標であって、上限を意味するものではないことに留意する必要がある。」とする。これは法曹人口を年間合格者数の増減で調整するべきではなく、実際に必要とされる法曹数は市場原理すなわち法曹有資格者間での競争による淘汰に委ねられるべきであるとの見解である。実際、年間合格者3000人政策を維持した場合には平成60年には法曹有資格者人口は12万3000人となるが、その全てが法曹として稼働することは想像できない。
  米国には現在110万人を超す法曹有資格者が存在するが、米国において「法の支配」が全国あまねく実現し、市民や企業が身近で質の高い法的サービスを享受しているとは到底思われない。米国が先進国中最も貧困率が高く、貧困者の多くが法的サービスから疎外されていることは紛れもない事実である。かように法曹有資格者を過剰に供給し、その上で市場原理によって法曹人口が調整されるとする政策によって、「法の支配」が全国あまねく実現し、市民や企業が身近で質の高い法的サービスを享受しうるようになるというのは全く実証されていない仮説である。むしろ競争の過程で生き残るために市民や企業を喰いものにする弁護士の出現、有意な人材が法曹を志望しないことによる法曹の質の低下、過当競争による法的サービスの低下、過当競争と貧窮化による公益活動の低下など様々なマイナス面が強く危惧されるところである。このようないわば冒険的政策を人口減少社会が到来した今の日本において敢えて試みなければならない理由は見出し難い。
  上記マイナス面を重視するなら法曹人口は市場原理に委ねるのではなく、司法試験合格者数を調整することによって、実際の法的需要に見合った法曹人口の増加を図る政策の方が現実的である。
5 適正な法曹人口
  平成12年当時以降の事件数の推移は既に述べたように増加傾向を示していない。平成20年3月7日付日弁連弁護士業務推進センター法的ニーズ、法曹人口調査検討チーム作成報告書によれば、10年後に5万人規模の弁護士人口を安定的に吸収しうるだけの法的ニーズを予測することは困難であると結論付けられている。
  長期的視点で見ても、日本社会は成熟度を増し、諸外国に比して社会が安定していることからすれば社会における紛争が今後増加すると予測することはできない。20年後の日本の人口は国立社会保障・人口問題研究所の予測によると、平成21年が1億2717万人であるところ、平成42年には1億1522万人と約1割の減少が認められ、20年後の紛争も1割程度減少すると推測される。法的需要と一定の相関性を有すると考えられるGDPについても、将来のGDPの増加は微増にとどまると予測されている。
  将来における法的需要を正確に予測することは困難であるが、現に存する法的需要に関するデータや将来の人口動態を基礎にする限り、現在においても将来においても5万人を超える法曹需要は想定できない。従って将来においても5万人を大きく超えない法曹人口になるような増員政策が妥当であり、司法試験の年間合格者もそれに見合う人数にする必要がある。
  他方で年間合格者3000人政策を信頼して法科大学院に入学した者に対する配慮は不可欠であり、直ちに合格者数を1000人や1500人に減少させるのは穏当でない。現在の合格者数は新旧併せて約2200人であるから、現在法科大学院に在学中の者への影響を最小限にとどめるために、今後5年間は合格者数を2000人とし、その後も段階的に徐々に減らして平成31年以降は合格者数を1000人とするのが最も現実的な政策と考えられる。この政策によると平成30年に法曹人口約4万5000人(弁護士人口約4万人)に達することになり、その後は将来的にも5万人を大きく超えない法曹人口を維持することができる。

諮問事項①に対する答申の理由2
1 日弁連臨時総会(平成12年11月1日)において、「法曹人口については、法曹一元制の実現を期して、憲法と世界人権宣言の基本理念による法の支配を社会の隅々にまでゆきわたらせ、社会のさまざまな分野・地域における法的需要を満たすために、国民が必要とする数を、質を維持しながら確保するよう努める」との法曹人口、法曹養成制度並びに審議会への要望に関する決議がなされた。決議主文では明示されていないが、提案理由において「法曹人口は、本来的には、利用者である市民の視点、市民のニーズによって決められるべきもの。国民が必要とする適正な法曹人口を試算するアプローチは種々あるが、概ね5万人程度という数が試算され、現在より大幅な増員が必要」と述べられているほか司法制度改革審議会意見書を積極的に評価する内容となっており、一般には年間合格者3000人政策を容認するものと理解されている。
  しかしこの決議は同意見書の「実際に社会の様々な分野で活躍する法曹の数は社会の要請に基づいて市場原理によって決定されるものであり、新司法試験の合格者数を年間3000人とすることは、あくまで計画的にできるだけ早期に達成すべき目標であって、上限を意味するものではないことに留意する必要がある。」との市場原理論を是とするのか非とするのか、また年間合格者3000人政策を支持するのか否かも明確でない玉虫色のものとなっている。
2 法曹人口増加政策の結果、弁護士人口のみが急増し、それによる弊害が顕著に表れつつある状況に鑑みれば、この決議は、法曹人口に関する日弁連の決議として妥当性を持たないものとなっている。法曹人口に関する日弁連の意思決定は、従前から総会決議の形でなされていたのであるから、理事会決定による提言の形ではなく総会決議によるべきである。
  そして弁護士人口急増による弊害が現在進行形であることに鑑みれば、法曹人口政策会議によって立案される法曹人口に関する基本政策を基に、できる限り早い時期に日弁連総会決議によって日弁連としての法曹人口政策(政府に対して閣議決定を求める具体的施策)を決定する必要がある。

諮問事項①に対する答申の理由3
1 法科大学院制度を再検討する必要性
  法曹人口問題は法曹養成制度としての法科大学院の在り方と密接不可分であり、法科大学院制度の見直しを伴わない法曹人口政策は全く実現可能性がない。たとえいかなる批判にさらされようとも法科大学院制度の抜本的見直しは不可避である。
  法曹人口増員政策見直し問題については、合格者数を削減すると法科大学院ことに地方の小規模法科大学院は立ち行かないとの危惧が指摘され、法科大学院の存在が法曹人口増員政策見直しの最大の障害になっていることは疑いない。従前日弁連は、法科大学院について、その定員削減を提言するにとどまり抜本的見直しの提言を行っていない。しかし答申1のように年間合格者数を段階的に削減し将来的には1000人とする内容の政策提言をするとすれば、法科大学院の総定員を少なくとも2000人程度まで削減しなければならない。それでは多くの法科大学院が経営的に成り立たなくなることは必定であって、単に定員削減を言うのでは無責任の誹りを免れない。法科大学院の存続を図るために過剰な法曹養成が行われるべきものではないことは論を待たないが、単なる定員削減や競争による淘汰に委ねるというのでは、従前制度設計及び現実の運営に深く関わった日弁連としてあまりに無責任である。従って日弁連が決定する法曹人口政策は、法科大学院制度見直しの提言を伴ったものである必要がある。
2 日弁連法曹人口政策会議において具体案を検討すべきこと
  考え得る法科大学院制度見直しの具体案は極めて限られる。経営、施設や教員確保の観点からすれば現在の数のまま定員を減らす方法をとることは現実問題として不可能であろう。現在の制度のままで見直すとすれば法科大学院の総数を20程度にして総定員を2000人程度まで減少させる他はない。
  法科大学院の制度を廃止する、あるいは法科大学院修了を司法試験の受験資格から外せば法科大学院は自然消滅することになる。しかしこのような提言が受け入れられる可能性はほとんどないであろう。
  考えられるものとしては、大学法学部との統合がある。そもそも米国では大学に法学部は存在しない。新たに法科大学院制度を導入した韓国では、大学が法科大学院を設置する場合は代わりに法学部を廃止しなければならないとしている。大学法学部教育と法科大学院教育の二階建ての制度をとっているのは日本だけである。このような二階建ての制度は、法曹養成の期間の面でも学生の経済的負担の面でも非常に不合理なものである。大学にとっても法科大学院専用の施設や専任教員確保という無用な負担が生じている。現在の法科大学院は社会人入学者でも3年間で終了しうる制度設計になっているが、それなら大学法学部に法曹専門課程を設けて4年間で法科大学院の社会人コースと同様の教育を行えば足りる話である。このような制度設計が可能かどうか一度真剣に検討してみる必要があろう。
  いずれにせよ法科大学院の見直しを避けて法曹人口政策を立案することは正に絵に描いた餅であり、当会としては日弁連法曹人口政策会議において法科大学院の見直しを具体的に検討するよう強く提言すべきである。

諮問事項②に対する答申の趣旨
  日弁連が策定する法曹人口政策について世論の理解と支持を得るためには、市民が参加する形でのシンポジウムの開催など、市民の意見を直接聞き、市民に直接訴える企画を行うべきである。

諮問事項②に対する答申の理由
  日弁連が現在の司法制度改革推進計画の見直しを提言することは、弁護士会が司法改革に消極に転じたとの印象を与えかねないとの危惧を述べる意見もある。しかし、従前それが世論であるかのように語られていた「社会生活上の医師である弁護士は多い方がよいと市民は思っている」「弁護士が増えれば法的サービスを安価に受けることができるようになるので市民はそれを望んでいる」「弁護士が増えれば安く気軽に使えると企業は思って」との考えが、本当に市民の認識なのかについては甚だ疑問がある。むしろ市民は、弁護士の数の増加よりも、一生の大事を安心して委ねることのできる専門性と高い職業倫理を持つ弁護士、そのような弁護士にアクセス可能な窓口整備の方を望んでいるとも考えられる。この点は無用な観念論を戦わすのではなく、率直に市民の意見に耳を傾けるべきである。
  従前市民のための司法改革と言いながら、その実意見を聞くのは大企業の経営者、学者、マスコミ出身者、労働組合・消費者団体などの利益団体代表者だけであり、一般市民の意見を聞く場を設定してこなかった。また日弁連、各弁護士会連合会、単位会が弁護士の過疎偏在解消や法テラスが本来業務としない自主事業にいかに多くの予算と労力を投じてきたかが一般市民に伝わってはいない。日弁連が策定する法曹人口政策について世論の理解と支持を得るためには、大手マスコミの論説委員詣でをするのではなく、今後も市民が参加する形でのシンポジウムなどの企画を行うべきである。

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2010年12月 8日 (水)

大阪地検特捜部証拠改ざん事件 「検察の在り方検討会議」に対する申し入れ

  仙台市民オンブズマンは本日、「検察の在り方検討会議」に対し、検討会議が真に検察の再生及び国民の信頼回復を目指して提言を行おうとするのなら検察庁の調査活動費を用いた裏金疑惑の解明が必要不可欠である旨の申し入れを行いました。

「検察の在り方検討会議」に対する申し入れ

                                    平成22年12月7日
仙谷由人法務大臣殿
千葉景子座長殿

                                       仙台市民オンブズマン
                                           代表 十 河  弘

申し入れの趣旨
 「検察の在り方検討会議」(以下単に検討会議という)は、大阪地検の元検事が証拠隠滅罪で逮捕・起訴された上、大阪地検特捜部の当時の部長・副部長までもが犯人隠避罪で逮捕・起訴されるという前代未聞の事態を踏まえ柳田前法務大臣によって設置された。
 柳田法相は第一回会議において「検察の再生及び国民の信頼回復のため、どのような方策があり得るか、幅広い観点から抜本的な検討を加えていただき、有効な改善策、改革策について御提言をいただきたい」と挨拶し、座長である千葉景子委員も「なぜこのような事態に至ったのか、十分な検討を加え、その上で、幅広い観点から抜本的に、検察の在り方についての検討をしなければならないと考えております。」と述べる。
 吉永みち子委員からは「今回は、本当に長い間かかって内部に巣くっていた病巣が、ついに外にまで出てしまった状況なんじゃないかというふうに私は捉えております。ですから、検察の歴史を遡ってどこで間違ったのかとか、どこで最初の病巣ができたのかまでたどっていかないと根絶することができない。なぜかくも自浄作用が効かなかったのか。これは組織の問題、体質の問題、人の問題、それからもしかしたら評価制度の問題、そういう中に病巣を育てたおごりや特権意識を生んだ原因が潜んでいるのだと思います。」との指摘がなされた。
 吉永委員の指摘は正鵠を射たもので、検討会議が真に検察の再生及び国民の信頼回復を目指して提言を行おうとするのなら、調査活動費を用いた検察裏金疑惑の解明が必要不可欠である。このような観点から検察裏金問題を追及してきた仙台市民オンブズマンとして、検討会議に対し、検察裏金の実態と司法判断を紹介し、検察裏金問題の解明を強く申し入れるものである。

大阪地検特捜部証拠改ざん事件の背景
 大阪地検特捜部の証拠改ざん事件の背後には三井環元大阪高検公安部長の口封じ収賄事件がある。三井氏は人事や人間関係のもつれから、 検察の調査活動費の裏金問題を告発しようとしてテレビ番組収録の朝に逮捕され実刑となった。週刊朝日の連載は、 三井氏に実刑が科せられた収賄事件そのものが三井氏を口封じするために検察が暴力団と一結になってでっち上げた冤罪であることをその時の暴力団のメンバーの獄中手記に基づき暴いている。暴力団を手なずけ、 三井検事の収賄容疑を固めさせた検察最大の功労者が今回逮捕された大坪元特捜部長である。
 でっち上げであっても組織を救うことであれば許される、そして賞賛されることを知つた大坪氏が、 部下の不祥事を知つた時にどういう行動パターンを取るかはその時に決まってしまったと言って差し支えない。組織全体と自分の地位を救うためにはどうしたらいいか、万が一発覚した時、組織全体に影響を及ぼさない方法は何かといえば、今回の方法しかない。無論、発覚することが分かっていればそんなことはしなかったであろうがその時は 「絶対発覚しない」と判断したのだと思われる。発覚することがないのに、自らの組織に決定的打撃を与える不祥事を積極的に告白する中間管理職はいない。自分が泥をかぶって組織を守ろうとした点において大坪氏の行動は三井事件の時と全く同じである。三井事件の時には現職検事を冤罪という方法で口封じして組織を守り、今回は部下の不祥事を隠すことで組織を守っただけのことで、方法は異なるだけで方針と動機は一緒である。このように組織を護るためには法をも犯すという検察の土壌を変えない限り同じ事が繰り返されるであろう。

検察裏金の実態と司法判断
  検察調査活動費の情報公開訴訟(仙台地裁平成15年12月1日判決)
1 仙台市民オンブズマンは、仙台高等検察庁及び仙台地方検察庁の平成10年度検察調査活動費(以下調活費という)について情報公開請求した。
  支払明細と領収書は不開示だったが、月別の支払額は開示された。それを見ると毎月全額が使い切られていた。使い切りの陰に裏金ありというのは幾多の公金不正支出問題追求から得た経験則であり、この時点で裏金作りを確信した。
  次に調活費の支出の推移を見るため、11年度、12年度の調活費についても開示請求したところ、高検は10年度960万円が12年度297万に、地検は10年度840万円が12年度346万円に激減していた。しかも11年度から突如として翌月への繰り越しや端数が出始めた。内部告発に基づく検察調活費裏金疑惑が週刊誌上に掲載された(平成11年5月)ことへの対応と推測された。
 高検平成10年度
         受 入 額    支 払 額      繰 越 額
 4月         600、000円      600、000円          0円
 5月         700、000円       700、000円          0円
 6月         700、000円       700、000円          0円
 7月         500、000円       500、000円          0円
 8月         500、000円       500、000円          0円
 9月         800、000円      800、000円          0円
10月       1、000、000円    1、000、000円          0円
11月       1、000、000円    1、000、000円          0円
12月       1、000、000円    1、000、000円          0円
 1月       1、000、000円    1、000、000円          0円
  2月       1、000、000円    1、000、000円           0円
  3月         800、000 円       800、000円           0円
合 計       9、600、000円    9、600、000円

 高検平成11年度
         受 入 額    支 払 額      繰 越 額
 4月         400、000円       88、300円      311、700円
 5月         500、000円       635、955円       175、745円
 6月         500、000円        56、374円       619、371円
 7月         800、000円       524、969円       894、402円
 8月                0円       487、093円       407、309円
 9月         500、000円      770、712円       136、597円
10月         500、000円       150、000円       486、597円
11月         500、000円       679、890円       306、707円
12月       1、000、000円       842、959円       463、748円
 1月                0円       198、000円       265、748円
  2月                0円       160、909円       104、839円
  3月           30、625 円       135、464円           0円
合 計       4、730、625円    4、730、625円

 高検平成12年度
         受 入 額    支 払 額      繰 越 額
 4月         400、000円      300、000円      100、000円
 5月         500、000円     301、600円       298、400円
 6月         400、000円       517、725円       180、675円
 7月         400、000円       448、625円       132、050円
 8月         400、000円        68、706円       463、344円
 9月         400、000円      363、790円       499、554円
10月         
11月                0円       231、473円       268、081円
12月         400、000円       281、748円       386、333円
 1月                0円       200、000円       186、333円
  2月                0円       100、000円        86、333円
  3月          58、513 円       144、846円           0円
合 計       2、958、513円    2、958、513円

2 さらなる裏付けのため全検察庁の10年度から13年度の調活費について開示請求したところ、10年度の使い切りと11年度以降の激減、繰り越し・端数出現が例外なく見られた。検察庁全体では平成10年度約5億9000万円だった調査活動費は平成13年度には約1億7000万に激減していた(その後さらに減少している)。以上の調査から10年度まで裏金として使われていた調活費について、裏金の内部告発を受けて11年3月以降疑惑隠蔽工作を行い始めたことは明白と思われた。
  そこで平成13年6月1日仙台高検検事長を被告として不開示処分取消訴訟を提起した。
3 本来情報公開訴訟における不開示事由の主張立証責任は処分庁にあるが、仙台高検は情報公開法5条4号が「支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」と規定していることを理由に、不開示事由の不存在についての主張立証責任が原告にあると主張し、具体的な主張立証をしようとしなかった。調活費の使途についても「調活費は適正に使用された。そうでないというなら原告が立証せよ」の一点張りで、調活費の急減の理由についてはコンピューター整備費用に流用したからと主張した。
  本件では幸運にも、内部告発直前で口封じのために逮捕された元大阪高検公安部長の三井環氏と法務大臣の裏金否定のコメントに義憤に駆られて内部告発した元検察事務官(副検事)の高橋徳弘氏という2人の証人を立てることができた。高橋証人は、自己が領収書を偽造していた事実に加え、庶務課長が「またクラブから領収書が回ってきた」と話していたこと、検察庁内全職員対象の新年会又は忘年会の後に高検検事のみの2次会が飲食店で設けられておりその場所設定を庶務課長が行っていたことを見ていたという自己の見聞に基づき、領収書偽造によりプールされた調査活動費はクラブや新年会後の2次会費に流用されていたと証言した。三井証人は大阪拘置所内での所在尋問であったが、スナックのママや料亭の女将が事務局長のところへ集金に来ていた、裏金化された調査活動費は、最高検検事等の接待等に使用されていた等と証言した。その上高橋氏の場合には所持していた高検事務局長の公印の押印された調活費領収書偽造依頼文書を証拠として提出することができた。
4 さらに訴訟進行中に平成14年の調活費について開示請求したところ、高検は140万に、地検も97万円に激減していた。もともと検察は公安情報についての独自の情報収集などやってはいないのだから、裏金として使うのをやめたら使い途がなくなるのは当然である。高検は不開示処分当時の高検総務部長を証人に立てたが、検事歴20数年にもかかわらず「仙台高検に来るまで一度も調査活動費を使ったことはない、私の知る範囲では私の周りでも使った人はいないと思う」と証言する始末であった。
5 結局判決では原告の請求は棄却されたものの、仙台地裁は判決理由中で「少なくとも昭和58年から平成5年にかけて、仙台高検の調査活動費に関して、本来協力者が作成すべき領収書が偽造されていたことが認められ、あえて偽造までしていることからして、調査活動費が何らかの不正な使途に流用されていたものと推認されるところである。」、「しかしながら平成10年度の本件調査活動費に関して不正流用があったことについて(中略)これを直接に認めるに足りる証拠はない(中略)これらによれば仙台高検の調査活動費について、平成5年頃までに少なくともその一部が不正に流用されていた事実は認められ、平成10年度の本件調査活動費の不正流用についても疑いとしては濃厚であるけれども、これを認めるまでの証拠は存しないというべきである。」と判示した。すなわち平成5年頃までの検察庁の調活費不正流用の事実を認めたのである。

検察裏金問題解明の必要性
 検察の裏金がいつから存在したのか不明だが、仮に昭和58年以降だとしても平成10年までの15年間で90億円近い金額になる。そのほとんどが検察幹部の遊興費や内部の飲み会に費消されていたというのであるから驚くほかはない。調査活動費に関しては会計検査院との取り決めで領収書の添付が不要とされていた。捜査の密行性が過度に強調され検察は捜査に関する限り外部からの監視を一切受けないアンタッチャアブルな存在になっていった。検察裏金も最初のきっかけは予算不足に対する緊急避難的な流用だったかもしれない。しかし外部の監視の欠如は、やがて検察の特権意識と公金意識の希薄化をもたらし、ついては長年にわたる巨額裏金の私的流用にまで至ったのである。内部告発直前に現職の三井環大阪高検公安部長を逮捕してまで隠さねばならなかったほど検察裏金の闇は深い。この闇を解明しない限り検察の再生及び国民の信頼回復はないと言うべきである。

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