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2010年12月25日 (土)

日弁連法曹人口会議の「中間取りまとめ」(案)を読んで

 法曹人口政策会議の「中間取りまとめ」(案)と第2回全体会議議事要旨を読んだ。何故か転送禁止とされている。意思形成過程の会内資料だからという理由だろうが、そういうものも公開して会員の議論の俎上に載せるのが会内民主主義だと思うが。とは言っても信義は守るべきだろうから極一部の表現についての感想を述べるにとどめる。
  中間取りまとめ(案)には「司法基盤整備や社会の受け入れ態勢が未だ不十分な中で、司法試験合格者の急激な増加により、制度の歪みとも言える様な問題が発生している。」、「このような就職難状況が生じること自体、当初予測されていた弁護士への法的需要が未だ社会に現れていない証であるという声もある。」、「もとより就職難問題は社会全体の傾向であり弁護士だけが特別というわけではない。」、「より身近で利用しやすく、分かりやすくて頼りがいのある司法を実現するための運動を進めていく。」と書かれている。
  この「社会」とは国民や企業の意味なのだろうが、社会が受け入れてくれないと嘆くのでは非行少年と同じだ。司法改革を実現するには、本来、日本の社会(国民や企業)は大量増員される弁護士を受け入れて食べさせていくべきなのに政府も社会もその努力が足りない、と言っているように聞こえるがとんでもない高ビーな発想だ。制度が歪んでいるのではなく単純に合格者数が多すぎるだけだ。
  「弁護士への法的需要が未だ社会に現れていない」と言うが、日弁連は10年前は現に弁護士への法的需要はたくさんあって弁護士はその需要に応えられていないと言っていた。いざ大量増員してみると需要がないので、今度は潜在的需要はあるのだが未だ顕在化していないと言うようになった。それを10年間言い続けてこの期に及んでまだ言っている。10年間社会に現れないことを普通「(大増員を必要とする程の)需要は存在しない」と言うのだと思うが。まして弁護士への法的需要が社会に現れていない理由を、国民や企業が弁護士を使ってくれないからだと社会のせいにして受け入れを要求するのでは押し売りのようなものだ。
  就職難問題は社会全体の傾向と言うが、日本の人口も新規学卒者も増えてはいない。それに対して司法試験合格者数は4倍に増えたのだから同列に論じることなどできない。社会全体の就職難状況の下でさらに4倍にも増やしたことが原因なのだから弁護士だけの特別な問題である。
  法曹人口政策会議の設置目的は「法曹人口に関する日弁連の基本政策を立案すること」とされている。政策の立案であるから当然各種統計資料を分析した上での需要予測に依拠した具体的政策の提言をするものだと思っていた。またぞろ「市民にとってより身近で利用しやすく、分かりやすくて頼りがいのある司法を実現するための運動」などというお得意の呪文を聞かされるとは思いもよらなかった。この中間取りまとめ(案)は政策などと呼べる代物ではない。
  宇都宮執行部と法曹人口政策会議に期待した私が馬鹿だったと言う他ないが、今後は競争に敗れて廃業に追い込まれないよう本業に専念しようと思う。

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