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2011年1月21日 (金)

日弁連法曹人口政策会議中間取りまとめに対する意見

 執行部から日弁連法曹人口政策会議の「中間取りまとめ案」について意見を求められたので委員会として次のような意見を提出しました。

   日弁連法曹人口政策会議「中間取りまとめ案」についての意見

                                                             平成23年1月21日
仙台弁護士会
 会長 新 里 宏 二 殿
                                                       弁護士人口問題検討特別委員会
                                      委員長 坂 野 智 憲

1 「中間取りまとめ」(案)の結論部分である第5項①に「当面の緊急対策として、司法試験合格者数を、現状より更に相当数減員することを求める。」と書かれている。
  しかし法曹人口政策会議(以下政策会議という)の設置目的は「法曹人口に関する日弁連の基本政策を立案すること」とされているのであって「当面の緊急対策」を提言することが目的ではない。「日弁連の基本政策の立案」であるから当然各種統計資料を分析した上での需要予測に依拠した具体的政策の提言をするべきものである。これまでの政策会議の議事概要を見る限り、各種統計資料を分析した上での需要予測をした形跡はなく、政策立案の段取りすら議論されてはいない。主な検討項目毎に部会を作りその成果を全体会議で集約するというやり方でない限り「基本政策の立案」などできるはずがない。
  政策会議が「当面の緊急対策」の提言をしてはならないというものでもないが、肝心の「日弁連の基本政策の立案」の準備もせずに「当面の緊急対策」を議論するというのは本末転倒であろう。
  次に第5項②には「(市民にとって)利用しやすく、分かりやすくて頼りがいのある司法を実現するための運動を進めていく」という司法改革の観念論が書かれている。しかし政策会議の設置目的は「法曹人口に関する日弁連の基本政策」の立案なのであるから全くの贅文である。就職難を理由に減員を求めるだけでは批判を招くとの配慮から付け加えたのであろうが不要である。
  この中間取りまとめ(案)は、「中間」と言うが、政策会議において政策立案の段取りすら議論されてはいないのに一体何の「中間とりまとめ」なのか意味不明である。この中間取りまとめ(案)は政策と呼べるものではないし、今後「基本政策の立案」をするに当たっての骨子とも言えないので取りまとめるべきではない。そのような時間があるなら、各種統計資料を分析した上で需要予測を行うと共にどうしても避けては通れない法科大学院制度の抜本的改革について具体的な議論をすべきである。
  以下では仮に「中間とりまとめ」を理事会決定するならという前提で内容についての意見を述べる。
2 第1項には、法曹人口政策と直接関係のない司法改革についての自画自賛が書かれているが不必要であるから削除すべきである。
3 第2項には「司法基盤整備や社会の受け入れ態勢が未だ不十分な中で、司法試験合格者の急激な増加により、制度の歪みとも言える様な問題が発生している。」と書かれている。
  この「社会」とは国民や企業の意味なのであろうが、「社会の受け入れ態勢が未だ不十分な中で・・・・問題が発生している。」という書き方は、「本来日本の国民や企業は大量増員される弁護士を受け入れて食べさせていくべきなのに政府も社会もその努力が足りない」と言っているようなもので不適切である。
  社会が受け入れられないほど極端な増員をしていることが問題なのに、それを社会の受け入れ態勢の不十分さの問題にすり替えているように受けとめられるので、この「や社会の受け入れ態勢」の部分は削除すべきである。
4 第2項の最後に「制度の歪みとも言える様な問題が発生している。」と書いて、第3項で「すなわち」と続けて法科大学院制度及び新修習制度の機能不全について書いてある。
  しかし合格者数を増やせば従来2000番で落ちていた者が合格するわけで質が低下するのは自明の理である。法科大学院制度を設ける以前は大学卒業後は独学とせいぜい司法試験予備校の答練で基本的知識を身につけてきたのであって、法科大学院の教育内容が独学に劣るとは考えられない。
  質の問題の原因を法科大学院の教育内容の不十分さに求めるのは問題のすり替えであるから第3項第2段落は削除すべきである。
5 第3項第4段落以下で新人弁護士の就職難について書いてある。
  新人弁護士の就職難は事実であるが、この部分の記述が実質的理由付けの過半を占めるというのでは、超氷河期を超えて大氷河期と言われる今日到底市民の理解を得られるものではない。需要予測の誤りを示す事実として引用するならともかく新人弁護士の就職難それ自体を「減員」の理由にすべきではない。
  よって就職難に言及している部分は、「中間取りまとめ案」で全く欠落している「需要論」の中で言及するように書き改めるのでなければ削除すべきである。
6 第3項に「このような就職難状況が生じること自体、当初予測されていた弁護士への法的需要が未だ社会に現れていない証であるという声もある。」と書かれている。
  しかし日弁連は10年前の総会決議では現に弁護士への法的需要はたくさんあって弁護士はその需要に応えられていないと述べていた。いざ大量増員してみると需要がないので、今度は潜在的需要はあるのだが未だ顕在化していないと表現するようになった。それを10年間言い続けてこの期に及んでまだ「法的需要が未だ社会に現れていない」と書かれている。これは潜在的需要があることを前提にしているとしか読めないが、10年間社会に現れない需要を潜在的需要と呼ぶのは詐言に等しい。
  よってこの部分は「このような就職難状況が生じることは、当初予測されていた弁護士への法的需要が社会に存在しないことの証であるという声もある。」と直すべきである。
7 法曹人口政策会議の中間取りまとめでありながら、現在の日弁連の法曹人口政策である平成12年11月の臨時総会決議についての再検討はおろか人口政策を決めるに当たって最も重要な需要論について一切触れられていない。これでは「取りまとめ」という表題をつけることはできない。これらについて論及すべきである。                

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