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2011年4月 6日 (水)

多賀城市での震災出張相談

  昨日多賀城市の震災緊急出張相談に行ってきた。8件の相談があったがいずれも深刻なものだ。報道で知ってはいても今ひとつ被害の深刻さについて現実感がなかったのだが、震災法律問題Q&Aに書いてあるそのままのことを実際に相談されると、やはりこの大震災は本当に起きたんだと改めて思い知らされた。
  8件の相談といっても1人あるいは一家族について色々な問題が併存していて相談内容は多岐に渡った。少し紹介すると、津波でアパートの1階が浸水したが借りている2階は住める状態だ、しかし大家からは建て直すので今月中に出ていってくれと言われているというのがあった。この場合出て行く必要はないと答えるだけでは十分でない。実際には漏電の修理をしないと電気は使えないし、プロパンガスも換えなくてはならない。大家は協力しないだろうから、その場合は自分で修理して構わないし、修理費用は後で大家に請求できること、いずれは退去せざるを得ないとしてもその際は退去の義務はないのだから、引っ越し費用等転居に要する費用くらいは立ち退き料として請求して構わないことまで助言して上げる必要がある。
  会社からもう来なくてよいと言われたがローンもあってどうしてよいか分からないという相談もあった。解雇は無効だから会社に雇用調整助成金の制度を使うよう求めること、それがダメなら休業中でも失業給付を貰えるから労働局に相談するようにと答えたが、これらの制度はまだまだ一般には知られていないようだ。
  妻が勤務先からタクシーで帰宅途中に津波に呑まれて死亡したのだが、敢えて海岸近くの産業道路を通ったタクシー会社の責任を問えないかという相談もあった。予見可能性がないので責任追及は無理なのだが、通勤災害に当たるので遺族補償給付や葬祭料の給付を受けられる。会社によっては上積補償や会社独自の弔慰金を受けられる場合もある。会社が協力しなくとも労働者が申告すれば労働基準監督署が職権調査することになる。しかし一般には通勤災害はおろか労災すらあまり知られていない。今回の震災では労災補償を受けられる被災者が多数に上ると考えられるので是非マスコミで報道して欲しい。
  敷地に他人の車等が流されてきたが撤去してよいかという相談もあった。今回は自治体が国の費用負担の基に撤去することになっているのだが、市役所に聞くと全部撤去するには2,3ヶ月かかるかもということだ。また現在の災害救助法の運用基準では、生活に支障が出ない範囲に限定され全ての瓦礫などを撤去してくれるわけではない。それまで待っていることなどできないから自費で撤去して後で自治体に請求するというのが現実的な答えになるが、ただその場合自治体が後で費用を支払うかどうかについてはまだ国の見解が示されていない。
  石油コンビナートから重油が流出して自宅には今後住めそうにないが石油会社や国が買い取ってくれないのかという相談もあった。特別の補償制度はないようなので、買い取り制度はないと思うが、今後特別立法の可能性はあるし、安全地帯を広げるために石油会社が買い取ってくれる可能性もあるので様子を見るようにと答えるしかなかった。
  他にも色々あったが、今回は1人の被災者が色々な問題を抱えているので、相談されたことに答えるだけではなく、弁護士の方からこれは大丈夫でしたか、あれはどうですかと、困っていそうなことを聞き出して上げることが必要だと思った。今回の震災被害については既存の法律だけで対応するのは無理で色々な特別立法が必要になると思う。弁護士会も相談内容を分析して必要な立法提言をしていくべきだろう。
  一般の人にとってはまだまだ「解雇自由」「賃貸借の解除自由」の世界のようなので、基本的な法律知識の広報が必要だ。またこういう緊急時に相手が応じなければ裁判や調停の制度がありますとよ言ったところで何の解決にもならない、当事者間だけで話をしてもうまく解決できそうにないことも多い。弁護士会のADRのような簡易迅速な紛争解決態勢の整備が必要だと感じた。

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