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2011年6月18日 (土)

仙台弁護士会 災害救助法の費用支出を全額国負担とする提言

「災害救助法の費用支出を全額国負担とする提言」

災害救助法の費用支出を全額国負担とする提言

2011年(平成23年)6月15日

仙台弁護士会     

会 長  森 山   博

1 提言の趣旨
 災害救助法第36条第3号に定める国庫の負担割合を「百分の百」と改正し東日本大震災に遡及適用する、もしくは各都道府県の負担部分を交付金等の公費でまかなうなどの方法により,各都道府県に負担を負わせないような運用をするよう提言する。

2 提言の理由
 災害救助法は,被災者を救助する方法を広く定め,地方自治体に広範な権限を与えることによって,被災地の現場に即した弾力的運用を可能としている。すなわち,同法は被災者を救助する方法として収容施設(応急仮設住宅を含む)の供与,炊出しその他による食品の給与及び飲料水の供給,がれき等の撤去等を幅広く定めている(災害救助法第23条第1項各号,同法施行令第8条)とともに,各都道府県知事に法定受託事務として広範な権限を与え主導的役割を担わせている(同法第22条)。また必要がある場合には各都道府県から市区町村への事務委託を可能とすることで(同法第30条),現場の状況及びその変化に応じた柔軟な対応を可能としているのである。
 東日本大震災は,被災者・被災地に甚大な犠牲・被害を与え,現時点においても約9万人もの被災者が避難所生活を余儀なくされている。このような被災者をその状況に応じて救済するためにはまさに同法を積極的かつ有効に活用することが不可欠である。厚生労働省も,2011年(平成23年)3月19日に「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震に係る災害救助法の弾力的運用について」との通知により,「災害救助法による救助の程度,方法及び期間並びに実費弁償の基準」につき一般基準を超える特別基準の運用を推奨するとともに,国庫負担について申請手続の簡略化,予算措置後の速やかな国庫負担金の概算交付等を定め,同法の積極的かつ有効な運用を促しているところである。
 しかし,その一方で同法の積極的かつ有効な運用を実施していくには莫大な費用が必要である。この点,同法第36条は被災地自治体が支弁した救助に要した費用における一定の場合の国庫負担基準を定めているが,その金額がどれほど莫大なものとなっても全額国庫負担とはせず,最低でも10%の負担を都道府県に求めている。しかし,宮城県をはじめとする被災県は財政難であり,10%の費用負担に耐えられるかという点には大きな懸念がある。この県の費用負担が足かせになることにより被災者への救助がなおざりになっては本末転倒である。
 そもそも,本来,災害時における国民の救助は国の責任において行われるべきものであるが(同法第1条),この災害救助法が法定受託義務として各都道府県知事に主導的役割を担わせたのは,被災地の実情に応じた救助を可能とする点にその趣旨があるのであって,その費用を都道府県が負担することが論理必然として要求されるものではない。厚生労働省は,震災後4回にわたり「東北地方太平洋沖地震に係る災害救助法の弾力的運用について」との通知を出し,同法の活用を促しているが,国庫負担金についての手続きをいくら簡略化しても,また交付をいくら速やかなものとしても,被災地自治体の負担割合自体が変わらないのであればその効果は限定的なものに過ぎず上記の懸念解消には至らないため,同法の積極的活用には限界があるといわざるをえない。
 東日本大震災からすでに3か月が経ち,災害救助法の有効な活用は喫緊の課題となっている。そうした中で,被災地自治体に同法の積極的かつ有効な活用を促すためにも,同法第36条に定める国庫の負担割合を「百分の百」と改正し東日本大震災に遡及適用する,各都道府県の負担部分を交付金等の公費でまかなう,もしくは国庫の負担割合を「百分の百」とする特別措置法を制定する,などの方法で各都道府県に負担を負わせないような運用をするよう提言する。

以 上

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