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2011年6月25日 (土)

東日本大震災の被災者である相続人について相続放棄等の熟慮期間を延長する法律が成立

リンク: 法務省:東日本大震災の被災者である相続人について,相続放棄等の熟慮期間を延長する法律が成立しました.

Q1 
 東日本大震災の被災者である相続人について、相続の放棄や限定承認をできる期間が延長されたと聞きましたが、どのような内容ですか。


A
 今回、「東日本大震災に伴う相続の承認又は放棄をすべき期間に係る民法の特例に関する法律」(以下「特例法」といいます。)が成立し、平成23年6月21日に公布、施行されました。 
 特例法は、東日本大震災の被災者であって平成22年12月11日以降に自己のために相続の開始があったことを知った方(相続人)について、相続の承認又は放棄をすべき期間(以下「熟慮期間」といいます。)を平成23年11月30日まで延長するものです。


Q2  
 特例法の対象となる「東日本大震災の被災者」とは、どのような人ですか。


A
 東日本大震災が発生した平成23年3月11日において以下の市区町村の区域に住所を有していた方をいいます。この区域は、東日本大震災に際し災害救助法が適用された市区町村の区域から東京都の区域を除いたものです。

岩手県 全市町村
宮城県 全市町村
福島県 全市町村
青森県 八戸市,上北郡おいらせ町
茨城県 水戸市,日立市,土浦市,石岡市,龍ヶ崎市,下妻市,常総市,常陸太田市,高萩市,北茨城市,笠間市,取手市,牛久市,つくば市,ひたちなか市,鹿嶋市,潮来市,常陸大宮市,那珂市,筑西市,稲敷市,かすみがうら市,桜川市,神栖市,行方市,鉾田市,つくばみらい市,小美玉市,東茨城郡茨城町,東茨城郡大洗町,東茨城郡城里町,那珂郡東海村,久慈郡大子町,稲敷郡美浦村,稲敷郡阿見町,稲敷郡河内町,北相馬郡利根町
栃木県 宇都宮市,小山市,真岡市,大田原市,矢板市,那須塩原市,さくら市,那須烏山市,芳賀郡益子町,芳賀郡茂木町,芳賀郡市貝町,芳賀郡芳賀町,塩谷郡高根沢町,那須郡那須町,那須郡那珂川町
千葉県 千葉市美浜区,旭市,習志野市,我孫子市,浦安市,香取市,山武市,山武郡九十九里町
新潟県 十日町市,上越市,中魚沼郡津南町
長野県 下水内郡栄村




Q3 
 Q2に記載された市区町村に住民票がなければ、特例法の適用を受けられないのですか。


A  
 平成23年3月11日に、Q2に記載された市区町村に住所を有していたかどうかは、家庭裁判所が、住民票、勤務証明書、在学証明書、公共料金の支払に関する記録などの各種の資料に基づいて、その生活の本拠がQ2に記載された市区町村にあったかどうかで判断することになります。 
 したがって、住民票がなければ、特例法の適用が受けられないというわけではありません。


Q4 
 特例法は、亡くなった方(被相続人)が被災者である場合や、相続の対象となる財産がQ2に記載された市区町村にある場合にも、適用されますか。


A  
 特例法が適用されるためには、相続人が東日本大震災の被災者であることが必要です。被相続人が被災者であるか否か、相続の対象となる財産がQ2に記載された市区町村にあるか否かは、関係ありません。 
 特例法は、相続人が東日本大震災の被災者である場合には、被災による生活の混乱のため、3か月の熟慮期間中に相続の放棄や限定承認の判断をし、あるいは、家庭裁判所に熟慮期間の伸長の申立てをすることが困難であることを前提にしています。したがって、相続の対象となる財産がQ2に記載された市区町村以外にある場合であっても、相続人が東日本大震災の被災者であれば、そのような困難があるものとして、特例法が適用されます。 
 ところで、被相続人が津波で家ごと流されて亡くなったケースでは、相続財産の状況が分からないこともあると思われます。この場合も、相続人が東日本大震災の被災者であれば、特例法の対象となります。しかし、相続人が東日本大震災の被災者でない場合には、家庭裁判所に熟慮期間の伸長等を申し立てることに障害はないと考えられますので、特例法の対象とはなりません。


Q5 
 相続人が未成年者や成年被後見人である場合には、どうなりますか。

A  
 相続人が未成年者又は成年被後見人である場合には、その熟慮期間は、民法により、未成年者又は成年被後見人ご本人ではなく、その法定代理人(例えば、親権者や後見人)を基準に考えることになります。
 そこで、相続人が未成年者又は成年被後見人である場合に、特例法により熟慮期間が延長されるかどうかは、未成年者又は成年被後見人ご本人ではなく、その法定代理人が東日本大震災の被災者であるかどうかによって判断されることになり、法定代理人が東日本大震災の被災者である場合には、特例法が適用されます。


Q6 
 祖父が東日本大震災で亡くなり、次いで、その相続人である父がその相続について承認又は放棄をせずに亡くなりました。その場合、この父の相続人である息子にも、特例法が適用されますか。


A  
 被相続人(祖父)が亡くなり、次いで、その相続人(父)が亡くなった場合には、祖父と父との間の相続についての息子の持つ熟慮期間は、民法により、息子を基準にして考えることになります。 
 そこで、祖父と父との間の相続についての息子の持つ熟慮期間が延長されるかどうかは、息子が東日本大震災の被災者であるかどうかによって判断されることになり、息子が東日本大震災の被災者である場合には、特例法が適用されます。  


Q7 
 相続人が複数いる場合に、その一部の方だけが東日本大震災の被災者であるときは、相続人全員について熟慮期間が延長されますか。


A  
 熟慮期間は、民法上、それぞれの相続人ごとに、自己のために相続の開始があったことを知った時から進行します。特例法は、この点を改めるものではありませんので、相続人が複数いる場合には、これらの相続人のうち、東日本大震災の被災者である方だけに、特例法が適用されます。


Q8 
 特例法が施行された時(平成23年6月21日)に既に3か月の熟慮期間が過ぎていても、相続の放棄や限定承認をすることができますか。


A  
 平成22年12月11日以降に自己のために相続の開始があったことを知った場合であれば、特例法が施行された平成23年6月21日より前に3か月の熟慮期間が過ぎていた場合であっても、特例法によって熟慮期間が平成23年11月30日まで延長されますので、その延長された期間内に相続の放棄や限定承認をすることができます。ただし、Q9で述べるような例外があります。


Q9 
 例外について説明してください。


A  
 既に、単純承認をした場合や、相続財産の全部又は一部を処分していた場合には、これらの行為をした時期が3か月の熟慮期間の経過前であると経過後であるとにかかわらず、もはや相続の放棄や限定承認をすることはできません


Q10 
 既に、家庭裁判所に熟慮期間の伸長の申立てをし、期間を伸長するという審判がされています。その場合は、どのように取り扱われるのですか。


A  
 家庭裁判所の審判による伸長後の期間の末日と、平成23年11月30日のいずれか遅い日が熟慮期間の満了日となります。すなわち、伸長後の期間の末日が平成23年11月30日より前であれば、特例法により、平成23年11月30日までが熟慮期間となります。伸長後の期間の末日が平成23年11月30日より後の日であれば、伸長後の期間の末日までが熟慮期間となります。


Q11 
 平成23年11月30日までに相続の放棄や限定承認をするかどうかを決めることができないときは、どうすればよいですか。


A  
 特例法は、民法の規定による3か月の熟慮期間を平成23年11月30日まで延長するものですが、その期間を家庭裁判所が更に伸長することを否定するものではありません。したがって、平成23年11月30日までになお相続の放棄や限定承認をするかどうかを決めることができないときは、前もって家庭裁判所に熟慮期間の伸長の申立てをすることが必要です。
  特例法は、相続人が東日本大震災の被災者である場合には、被災による生活の混乱のため、3か月の熟慮期間中に相続の放棄や限定承認の判断をし、あるいは、家庭裁判所に熟慮期間の伸長の申立てをすることが困難であることを前提にしています。したがって、相続人が東日本大震災の被災者であれば、そのような困難があるものとして、特例法が適用されます。
  しかし、被相続人が被災者であっても、また相続の対象となる財産がQ2に記載された市区町村に存在しても、相続人が東日本大震災の被災者でない場合には、特例法の対象とはなりません。この点は誤解しやすいのでくれぐれも注意して下さい。
 被相続人の死亡の事実を知って、熟慮期間内に相続放棄をしないと単純相続と見なされます。もし被相続人に借金があった場合にはその債務を全て負担しなければならなくなります。ですから被相続人の債務が相続財産を上回る場合には相続放棄をした方がよいということになります。
 ただし熟慮期間経過後に初めて被相続人に多額の借金があったことを知った場合には、例外的に相続放棄が認められる場合もあるので、そのような場合は弁護士に相談した方がよいでしょう。

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