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2011年6月18日 (土)

福島原発事故による放射汚染、女川原発に関わる要望書  東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター

宮城県知事 村井嘉浩殿

福島原発事故による放射汚染への対応、女川原発に関わる要望書

2011年6月13日

東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター

<代表世話人>             

青木正芳(元日本弁護士連合会副会長)

   

小沢かつ(宮城県母親大会連絡会会長) 

北村龍男(宮城県保険医協会理事長)  

高橋治(社会福祉法人ビーナス会理事長)

 

綱島不二雄(元山形大学教授)       

日野秀逸(東北大学名誉教授)     

 

宮野賢一(仙台市緑ヶ丘被災者の会)  

森  久一(元・山元町長)      

【事務所】               

仙台市青葉区大町2丁目5-10 御譜代町ビル305号室

TEL 022(399)6907

 東日本大震災にともなう福島第一原発の事故および放射能で汚染した水の海洋投棄により放出された放射性物質は、チェルノブイリ原発事故に近い規模とされています。事故の真実に関わる情報が小出しにされ、核種と総放出量を未だに公表していない東京電力と政府への不信があり、事故が収束するめどが立たず現在もなお環境中への放射能放出が続いていることが、ますます国民の不安を大きくしています。貴職が、国に対して情報公開を強く迫ることを求めるものです。

宮城県はもともと女川原発を有しますが、福島原発の事故ではその放射線が福島県との県境地域で5ミリシーベルトを超える年間積算線量になると予想されています。仙南地域や子育て世代などを中心に放射能汚染を心配する県民の声が強く、牧草から国の目安を超える放射性セシウムが検出されてからはとくに子どもの被曝を防ぐことを求める声が高まっています。放射能汚染は、いまと同レベルの汚染が数十年は続き、空間的にも広がることが予想されるので、貴職が正確かつ綿密な放射線計測を要望する声にこたえることを求めるものです。

東日本大震災からの復旧・復興にあたり、宮城県では農林水産業の再建が非常に重要ですが、食糧生産の大原則である「安全・安心」を保障するために、水と食品の放射線モニタリング体制を強化・確立することがその要です。牧草の放射能汚染による酪農家と畜産家の被害救済に最善の措置をとることが緊急に必要です。これから宮城県の漁港が本格的に再開したあと、漁獲した魚から汚染が発見されれば漁業の再建は出ばなをくじかれることになります。海洋水、海洋生物、海底泥の放射能モニタリングは水産業復興に不可欠です。国民の命と安全を守るために、また水産業再建のためにも、放射能汚染対策に万全を期すことを宮城県の復興計画に正しく位置づけることを求めます。

宮城県の原子力対策室は「原発は絶対安全」だと繰り返してきましたが、福島原発事故でそれが虚構にすぎないことが明らかになりました。過酷事故はありうるという立場に明確に転換を表明すべきです。過酷事故が発生した時の初動、避難、防御、測定、除染などの対処法はまったく確立していませんでした。原発の安全基準は、地震、津波、断層等について、新たな知見にもとづいて見直すことがうたわれており、女川原発について総点検するとともに、県の復興計画に原発政策の見直しを明記するよう求めるものです。

そのうえで、以下の事項について検討し具体化することを要請するものです。

【1】、牧草から放射性セシウムが検出されたことへの対応について

1、国の目安を超えるセシウムが検出された牧草の処分は、加害者である東電と原発を推進した行政の責任で行うこと。

放射性セシウムで汚染している牧草を牧草地等に埋脚または梳き込みをさせるという農林水産省の方針は、被害者である酪農家と畜産家に新たな負担を課すだけでなく、消費者に不安を与えて風評被害を拡大する恐れがあるので、撤回するよう強力に国に働きかけること。

2、栄養価の高い一番草を食べさせたいとする酪農家の要望を受けとめて、戸別もしくは地域ごとに刈りとった牧草の測定を行って安全が確認できた牧草を使用できるようにし、飼料を自給している酪農家の被害を最小限にとどめる対処を行うこと。

3、自給飼料を食べさせることができないために購入せざるをえなくなった代替飼料は、県が購入して提供するなど、酪農家と畜産家が借金も負担もしなくてすむようにすること。

4、牧草の自給と放牧を確実に再開するため、牧草地と牧場の空中と土壌の放射線量を測定すること。牧草地の表土の除去等が求められる場合は、国に支援を要請して酪農家や畜産家の負担なしで必要な対策が行われるようにすること。

5、酪農家や畜産家に生じた被害は、東電の負担と国の責任で確実に補償されるようにすること。

【2】、幼稚園・保育所、小中高等学校の敷地内の放射線量測定について

 宮城県で現在測定されている空中放射線は、大部分が地表に降下した放射性セシウムに由来するものと判断されています。幼稚園、保育所、小中高校の保護者は、土ぼこりを吸い込んだり、プールなどで口から体に入ったり、衣服や髪の毛に付着したセシウムが口に入ったりすることによる子どもの内部被曝を心配しています。

すでに丸森町、白石市、村田町、大河原町、亘理町が独自に放射線量の測定を始め、仙台市も学校での測定に乗り出しました。県の責任で全県の子どもの安全を確保すべきです。

文部科学省とアメリカ・エネルギー省がホームページで公開している資料では、丸森町と白石市の一部で年間積算線量が5ミリシーベルトを超えるとされています。フランスの機関のホームページには、放射能プルームが宮城県に飛来した様子が示されています。実際に丸森町、七ヶ宿町、大崎市、栗原市、気仙沼市、山元町と、全県各地の牧草から放射性セシウムが検出されています。

ところが国が進めようとしているモニタリング計画は、福島第一原発から80㎞以内は2㎞のメッシュで、100㎞前後までの範囲は10㎞のメッシュで測定する構想になっています。これは、放射性物質の拡散の実態を見ないで福島原発からの距離だけを目安に避難区域を決めた誤りを再び繰り返すものです。県民の安全を守り不安を解消するために、計画の修正を国に要請することを求めるものです。

1、空間線量率の測定を県内のすべての幼稚園、保育所、小中学校、高等学校、特別支援学校で一週間程度行うこと。その結果を公表し、その際に数値のリスク評価を、わかりやすく県民に知らせること。

2、福島県の学校での測定結果を踏まえて、グランドの土、側溝、屋外プールの底の水について、各市町村毎にモニタリング採取して、放射線量を測定すること。汚染の高い土や泥の撤去など、年間1ミリシーベルトを目標に放射線量を下げる対策に務めること。

3、安全が確認されるまでの当面の間、側溝や屋外プールの掃除は、子どもには行わせないようにすること。

4、国の放射能モニタリング計画について、宮城県で2㎞のメッシュで測定する範囲を拡大し、少なくとも仙台市と川崎町、そして七ヶ宿町、大崎市、栗原市などの牧草から基準値を超えるセシウムが検出された市町村を加えるよう、国に検討を要請すること。

【3】、農産物と海産物のモニタリング、県の検査体制の抜本的強化について

 厚生労働省が4月4日、食品と水道水の放射性物質に関する「地方自治体の検査計画について」を通達しました。宮城県は、農産物についての検査を隔週でスタートさせ、通達が求めていた「週一回程度」の頻度に5月末からやっと移行しました。しかし通達が要請している県独自の検査センター確立については、被災した原子力センターや保健環境センターの測定体制を再建する計画が不明確です。

チェルノブイリ原発事故の際に生じた海水の表層水の汚染は事故の一ヶ月後に最大濃度に達しましたが、スズキの汚染が最大濃度に達したのは事故の5~6ヶ月後、マダラでは約9ヶ月後でした(海洋生物環境研究所 No29=2007年7月号)。

宮城県の水産業を再建するうえで、長期にわたる

海洋水、海洋生物、海底泥の放射能モニタリングが不可欠です。汚染のある魚類や海産物を流通させず、風評被害も生まないだけの検査体制の確立を、水産業を再建する方針の柱の一つとして位置付けて進めるべきです。

1、農産物について、通達の趣旨に従って検査の頻度と検体数を引き上げ、露地物中心の検査に改善する努力を続け、風評被害を起こさないようにすること。

2、2㎝程度の深さまでの表土にとどまっているとされる放射性セシウムの内部被曝を防ぐために、付着と移行が多いと指摘されている山菜、キノコ、タケノコ等の測定を系統的に行い、その結果を公表すること。

3、食品の放射能の健康リスクについての正しい理解を県民に広げる情報提供を強化すること。

4、海藻、ホヤ、牡蠣、ホタテ等の養殖海産物については、県の責任で週一回程度の放射能モニタリングを系統的に行い、放射能汚染による風評被害が起きないように県として系統的な対策をとること。沿岸性種の魚類について、魚種ごとに週一回程度のモニタリングを県の責任で行うこと。

5、カツオ、サバ、サンマなどの広域回遊性の魚類と沿岸性の魚種について、国が進めている調査の情報提供を積極的に求めて公開すること。

6、大震災で損壊した保健環境センターの測定機器を早急に復活するとともに、新らしい要請に対応できるように、県の測定・観測体制を強化すること

7、海洋水、海洋生物、海底泥の放射能汚染に関する基礎研究の強化を国に要請すること。

8、海洋汚染の状態を正確に把握して予測することに不可欠なので、東京電力が海洋に投棄した放射能汚染水について、その核種とそれぞれの放射能値を公表するよう国に求めること。

【4】、女川原発について

 女川原発は3月11日の東日本大震災により外部電源5系統のうち4系統が失われ、非常用ディーゼル発電機のうち2台が起動できなくなり、福島原発のような事故まで「紙一重」でした。その後の4月7日の余震でも、東北電力の東通原発では約50分間電源喪失に陥りました。炉心溶融と環境中への大規模な放射能放出という福島原発並みの過酷事故が起こりうるという立場に転換して、以下の対応をとるよう求めます。

1、東日本大震災により女川原発で生じていた事象について、県民に詳細な説明を行い、課題を明らかにする機会をもつことを東北電力に要請すること。

2、リスクの高いプルサーマル計画については中止すること。

3、地震、津波、断層の発見などの「新しい知見」にもとづいて安全基準を見直し、東北電力に必要な対応を求めること。それまでは女川原発の運転再開は認めないこと。

4、過酷事故を想定して原発防災計画を見直すこと。それまでは女川原発の再開は認めないこと。

新たな原発防災計画は、EPZ(緊急避難地域)を少なくとも半径30㎞の範囲に拡大し、気象条件等によっては放射能汚染がその範囲を超えることを明確にすること。事故発生時にEPZの範囲の住民に避難を呼びかける連絡手段、安全に避難する交通手段、病院や介護施設にいる人々などの要支援者に対する対応、避難場所の確保、放射性ヨウ素による甲状腺がんを防止するための安定ヨウ素剤の配備と配布方法、被ばく医療機関の体制等について明確にし、住民に周知徹底すること。

女川原発で福島第一原発と同程度の過酷事故が発生した場合に宮城県で発生する経済的損失について、試算して明らかにすること。

以上

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