フォト

« 50%致死線量が4シーベルトだから驚くべき数値だ <福島第1原発>浄化装置「サリー」配管から3シーベルト | トップページ | B型肝炎被害対策東北弁護団では8月27日~9月2日までB型肝炎被害無料電話相談を行っています »

2011年8月27日 (土)

民主党法曹養成制度検討プロジェクトチームの中間とりまとめ 「法科大学院修了を司法試験受験資格とすることを見直すべきである」

2011(平成23)年8月22日

法曹養成制度検討プロジェクトチーム中間とりまとめ(メモ)

事務局長 前 川 清 成

1 法科大学院制度に関して、抜本的な見直しが必要であること。
(1) 小泉内閣が推し進めた「司法制度改革」は、日本版ロースクールである法科大学院を創設した上で、その修了者の7、8割が「新司法試験」に合格することを想定していたにもかかわらず(平成13年6月12日、司法制度改革審議会意見書)、総じて法科大学院における教育内容は不十分と言わざるを得ず、この結果、司法試験合格率は25.4パーセントと低迷している(平成22年度)。また法科大学院74校のうち17校、すなわち約4分の1の法科大学院においては、その修了者の司法試験合格率が1割に満たない。
  これに伴い、法科大学院志願者数も平成16年度は7万2800人、志願倍率13.0倍に達したものの、平成23年度は2万2927人、志願倍率5.1倍と、志願者数において約4分の1、志願倍率において約3分の1程度にまで落ち込んでいる(平成23年8月11日、法務省配布資料5)。 法曹を志す者がかくも減少してしまったなら、「高度の専門的な法的知識 を有することはもとより、幅広い教養と豊かな人間性を基礎に十分な職業倫理を身に付け、社会の様々な分野において厚い層をなして活躍する法曹を獲得する」(上記司法制度改革審議会意見書P.11)ことは到底不可能になってしまう。
(2) 司法試験合格後、司法修習を経て、「考試」、いわゆる「二回試験」に合格してようやく法曹資格を取得し得るところ、その不合格者は、従前は毎年1、2名程度に過ぎなかった。
  ところが、法科大学院修了者の第1期生である新60期においては1055名中76名が不合格となり、その後も新61期は113名、新62期は75名、新63期は90名と、法科大学院創設以前に比して激増している。
(3)  これら客観的状況に照らせば、「司法制度改革」の意図した「法科大学院を中核とした法曹養成制度」が蹉跌を来したことは明らかであり、当プロジェクトチームにおいては、引き続き、かつ早急に「法科大学院を中核とした法曹養成制度」の検証と、抜本的な見直しを行う。

2 経済的弱者に対しても司法試験受験の機会を保障すること。
(1) 1において述べた通り法科大学院が十分な教育内容を確保できていないにもかかわらず、司法試験を受験するには、原則として法科大学院を修了しなければならないこととなったが、法科大学院で原則である3年間学ぶには、学費だけでも、平均して、国立においては271万1088円、私立においては427万8817円を要する(平成23年8月18日、文部科学省配布資料6)。したがって、経済的に困難な立場にある者に限らず、法曹を志す者にとっては、この学費こそが最大の経済的障壁となっている。
(2)  このように法科大学院を修了するには多額の学費を要するため、司法修習修了者のうち48.3パーセントの者が奨学金の貸与を受けており、平均貸与額合計は347万円にも達する(平成23年8月18日、法務省配布資料3)。しかも、奨学金は「借金」にほかならないから、万一司法試験に合格できなかった場合(現実には1(1)で述べた通り受験者の約75パーセントが不合格となる)、不合格者の「再スタート」を阻害してしまう。
(3)  したがって、引き続き法科大学院修了を司法試験受験資格とするのであれば、法曹を志す者に対して「機会の平等」を保障し、司法試験の「公平性」、「開放性」を確保するために、法科大学院の学費を大幅に引き下げるべく、国は法科大学院生あるいは法科大学院に対して、思い切った多額の財政支援を実施すべきである。
しかるに、我が国の財政が極めて厳しい状況にあることは、今さら指摘するまでもない。よって、仮に財政的な制約によって(3)記載の財政的支援を実施できないのであれば、法科大学院修了を司法試験受験資格とすることを見直すべきである。
 1において指摘した通り法科大学院が期待された教育効果を上げていないにもかかわらず、法曹を志す者に対して法科大学院での勉強を強制する合理的な理由はない。そもそも法曹には多種多様な人材が求められるのであるから、司法試験の「勉強方法」も法科大学院に統一、画一化する理由は見当たらない。法科大学院で学ぶ者もあれば、経済的な事情等で独学する者など、司法試験合格水準へ達するための勉強方法も多種多様であってよい。

3 「貸与制」か、「給費制」かが本質ではないこと。
 司法修習生に対して、修習期間中に給与を支払うか、あるいは、生活費を貸与するか、いわゆる「給費制」か「貸与制」か、いずれが適当であるかは、現在の法曹養成制度における本質的課題ではない。「給費制」維持論者は「給費制が廃止されたなら、カネ持ちの子どもでないと弁護士になれない」と主張するものの、2(1)で述べた通り司法試験を受験するには法科大学院を修了しなければならないこと、法科大学院を修了するには多額の学費を要することが、法曹を志す者にとっては、最大の経済的負担である。「カネ持ちの子ども」でない者にとっては、晴れて司法試験に合格した後に、生活費を「もらえるか」、「貸してもらえるか」よりも、司法試験受験の資格を得るために要する法科大学院の学費こそが障壁であり、「カネ持ちの子どもでなければ弁護士になれない」社会を否定するためには、法科大学院の学費の負担を解決しなければならない。
  「貸与制」か否かは、法曹への切符をほぼ手中に収めた者にとって、その経済的な負担がさらに増加するか否かの、いわば副次的な問題である。したがって、今般、私たちは「貸与制」に関して、とりあえずの結論を得るに至ったものの、引き続き本質的な課題、すなわち法科大学院制度や、経済的弱者に対しても司法試験受験の機会を保障する方策、加えて「予備試験」の内容や、「回数制限」の緩和、司法修習制度の期間、司法試験合格者数、さらには我が国において法曹が果たすべき役割など、法曹養成制度全般の抜本的な検証と、検討を行い、早期に見直しに着手すべきである。

  民主党が法科大学院にダメ出ししたようだ。「法科大学院が期待された教育効果を上げていないにもかかわらず、法曹を志す者に対して法科大学院での勉強を強制する合理的な理由はない。そもそも法曹には多種多様な人材が求められるのであるから、司法試験の「勉強方法」も法科大学院に統一、画一化する理由は見当たらない。」 、「司法試験を受験するには法科大学院を修了しなければならないこと、法科大学院を修了するには多額の学費を要することが、法曹を志す者にとっては、最大の経済的負担である。」との意見は正に正論だと思う。
  法科大学院制度は、表向きは、法曹養成制度を点から線にすることによって「幅広い教養と豊かな人間性を基礎に十分な職業倫理を身に付け、社会の様々な分野において厚い層をなして活躍する法曹を獲得する」のが目的であったとされている。しかし実はそんなきれい事で作られた制度ではない。当時の大学は司法試験予備校との競争に敗れ、法曹養成機関としては役立たずとされていた。また少子化による学部生減少対策が焦眉の急とされていた。他方増員論者は、法曹人口増員政策をとるにあたって財政負担増の面からの財務省の反対を避けたかった。法科大学院制度は、このような大学復権と少子化対策という大学(文科省)の思惑と、増員論者の思惑が一致して急遽作られたものに他ならない。
  アメリカの大学には法学部がないからロースクールの存在が必要不可欠なのであって日本では全く事情が異なる。事実イギリスにもドイツにもフランスにもロースクールなど存在しない。
  司法試験は言うまでもなく法曹になるための資格試験であり、法科大学院を修了しようがしまいが、合格するに足る能力があれば資格を与えてしかるべきである。それを高い学費と2~3年間の生活費の負担能力がなければ卒業することができない法科大学院修了を受験資格にする理由はない。現在の法曹養成制度は、このような経済的負担が可能な者=所得水準の高い者の師弟でないと司法試験を受験できないといういわば所得による受験制限をしているようなものである。新自由主義の旗の下で格差社会の拡大と固定化をもたらした小泉改革の申し子と言うべきだろう。
 法科大学院修了を司法試験受験資格にしたことによる弊害については今となっては誰もが認識しているはずだ。しかし文部科学省も法務省も日弁連も皆制度導入に率先して賛成したものだから、失敗したと思いながらそのことを言い出せないでいる。それだけではなく、法科大学院の教授になるとその年収は1000~1200万円と聞く。自分の経済的利益のために議論を歪めているとは言わないが、やはり重大な利害関係があることは事実だ。
  日弁連は全理事を委員に含む法曹人口政策会議を立ち上げた。法曹人口政策と法曹養成制度は表裏の関係にあり、両者を切り離して議論することなどできない話だ。しかし何故か法曹養成制度に関する議論は法曹養成関係の委員会に委ねられ、法曹人口政策会議すら口を出せないことになっている。私は法科大学院の教職にある者などその運営に関わっている者は、意見を聴取するのは別として法曹養成制度の議論するに当たっては意思決定に関与させるべきではないと思っている。
  法科大学院制度の見直しについては、法科大学院関係者などの利害関係人を排除して政治主導で行って欲しいと思う。

にほんブログ村 地域生活(街) 東北ブログ 仙台情報へにほんブログ村
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へにほんブログ村
にほんブログ村 地域生活(街) 東北ブログ 宮城県情報へにほんブログ村

« 50%致死線量が4シーベルトだから驚くべき数値だ <福島第1原発>浄化装置「サリー」配管から3シーベルト | トップページ | B型肝炎被害対策東北弁護団では8月27日~9月2日までB型肝炎被害無料電話相談を行っています »

ロースクール・弁護士人口問題」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/522409/41379841

この記事へのトラックバック一覧です: 民主党法曹養成制度検討プロジェクトチームの中間とりまとめ 「法科大学院修了を司法試験受験資格とすることを見直すべきである」:

« 50%致死線量が4シーベルトだから驚くべき数値だ <福島第1原発>浄化装置「サリー」配管から3シーベルト | トップページ | B型肝炎被害対策東北弁護団では8月27日~9月2日までB型肝炎被害無料電話相談を行っています »

最近のトラックバック

無料ブログはココログ
2016年8月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31