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2011年11月の10件の記事

2011年11月26日 (土)

新人弁護士:即時独立を支援 第二東京弁護士会 - とても良いことだとは思うが・・・病根に目を背けた弥縫策でしかないような

リンク: 新人弁護士:即時独立を支援 第二東京弁護士会 - 毎日jp(毎日新聞).

  司法試験の合格者増に伴う弁護士の就職難を背景に、司法修習を終えたばかりの新人弁護士が1人で開業する「即時独立」(即独)を選ぶケースが増えている。第二東京弁護士会は、実務経験に乏しく開業資金もままならない即独弁護士を支援しようと、新人会員を対象に事務所スペースの提供に乗り出す。弁護士会を挙げた取り組みは全国初という。
  通常、新人弁護士は修習後、弁護士事務所に就職して先輩の下で経験を積む。しかし、大都市圏を中心に就職難が深刻化。弁護士会費を払えないため会員登録を保留したまま「就職活動」するケースまで出ているという。
  二弁が提供するのは東京都中野区野方の木造2階延べ223平方メートルの建物。ある会員弁護士の顧客から遺贈された土地に新築し、遺贈者の名をとって「はなさき記念館」と命名した。弁護士7人の入居が可能で、執務室と応接室が1セットで各十数平方メートル。費用は光熱費などを含め月額5万円だ。12月7日に開所式がある。
  使用期間は原則1年間で、この間に弁護技術の習得や独立のための資金準備をする。二弁のベテラン弁護士の事務所に通うなど、さまざまな指導も受けられる。
  入居を決めた鈴木昌太弁護士(44)は92年に大学を卒業、アルバイトをしながら弁護士を目指した。09年に旧司法試験に合格し、今年8月に修習を終えた。だが、応募した事務所約40カ所のほとんどが書類審査ではねられ、記念館での開業を選んだ。
  「月5万円は破格だが、弁護士会費などもあり、経済的に厳しいのは変わらない」と鈴木弁護士。記念館では、高齢者向けの法律相談開催なども想定しており、「地域から信頼される弁護士を目指したい」と抱負を語る。
  開所の準備を担当した前二弁副会長の菅沼友子弁護士は「入居する即独弁護士が互いに切磋琢磨(せっさたくま)しながら成長してほしい」と期待する。【和田武士】

  就職難に苦しむ新人弁護士にとってとても良いことだとは思うが・・・病根に目を背けた弥縫策でしかないような。多分これを契機に日弁連は同種の新人弁護士支援策を各単位会に強要しはじめるだろう。新人弁護士支援が良いことだといってもその原資は会員の会費だ。タコが自分の足を食っているようなもので根本的な解決には何ら寄与しない。合格者数減員の道筋をつけた上で、当面の窮状を救うためにやるというなら協力を惜しまないが、そうでなければ無駄なことと言わざるを得ない。
  こういうことをする以上は弁護士会も深刻な就職難の現状を認識しているのだろう。それでも大増員の旗を降ろそうとしないのだから理解不能だ。弁護士会にとって「司法改革=弁護士大増員」はもはや合理的判断を超越した宗教になってしまっているような気がする。言っても無駄だからもう何も言うまいと思いつつもこの手の記事を見るとつい一言言いたくなってしまう。

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2011年11月25日 (金)

11月26日(土)午前10時~午後3時まで医療事故情報センター主催の全国一斉医療事故110番(無料電話相談)実施

 11月26日午前10時から午後3時まで医療事故情報センター主催の全国一斉医療事故110番(無料電話相談)が実施されます。仙台でも仙台医療問題研究会が無料電話相談を行います。電話番号は022-223-6530(当日のみ)です。希望者には後日面談による無料相談も行います。東北6県であれば宮城県以外の方の相談もお受けします。

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2011年11月23日 (水)

東電、新たな原発事故賠償に備え1200億円供託を検討  供託する金があるなら今起きている福島原発事故の被害者に早く賠償すべきだろう

リンク: asahi.com(朝日新聞社):東電、1200億円供託を検討 新たな事故賠償に備え - ビジネス・経済.

  東京電力と政府が、福島第一原発で新たに事故が起きた場合の損害賠償に備え、東電が1200億円を供託する方向で検討していることが22日、わかった。事故に備えた従来の損害保険の契約が来年1月15日で切れるが、損保各社が契約更新をしない可能性が高いため。「無保険」状態では、廃炉に向けた作業もできなくなる可能性がある。
 原子力損害賠償法(原賠法)では、電力会社などの原子力事業者が原発の運転や核燃料の処理をする際、損害賠償に備えるように義務づけている。地震や津波などの災害による事故に備えて国と契約する「政府補償制度」と、一般の事故に備えた「民間保険」を使うのが一般的だ。原発で事故が起きると、いずれかから最大1200億円の保険金が電力会社に支払われる。
 だが、福島第一原発は事故で設備が大きく壊れている。そのため、損保23社でつくる「日本原子力保険プール」は、「原発事故後の契約はリスクが高い」として、民間保険契約を更新しない方向で検討している。
 「無保険」のままでは、廃炉へ向けた核燃料の取り出し作業などが認められない可能性がある。そこで文部科学省や東電は、民間保険の代わりに、原賠法で定められた「供託」の活用を検討している。東電は現金や有価証券を法務局に預け、事故が起きると賠償に使われる。

  文科省と東電は本当のアホだ。現に原発事故が継続し、賠償も遅々として進んでいないのに「新たに事故が起きた場合の損害賠償に備え」るなどという発想は正気の沙汰とは思えない。「無保険のままでは、廃炉へ向けた核燃料の取り出し作業などが認められない可能性がある」とするが、そんなこと誰も言うはずがない。無保険だろうがなんだろうが早く廃炉作業を進めて欲しいと全国民が思っているはずだ。
  法務局に供託する1200億円もの現金や有価証券があるなら、その金で1日でも早く現に存在する被害者に賠償するべきだろう。

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原発賠償 自治体も東電に請求へ 自治体の損害は原発事故との相当因果関係が認められる限り当然賠償請求すべきものだ

リンク: 原発賠償 自治体も動き 東電に請求へ : 群馬 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞).

  福島第一原発事故で生じた行政の諸経費を巡り、県内の自治体からも東京電力に賠償を求める動きが出始めている。東電が16日に開いた下水汚泥処理に関する費用賠償の合同説明会には、県と13市町村が参加し、今後、賠償請求に踏み切る可能性が高い。ただ、東電はこれらの費用以外には明確な賠償基準を示しておらず、県も「元々の行政サービスとの区分が難しい」と請求に慎重な姿勢を示している。読売新聞の調べで、全国では少なくとも、茨城、千葉、青森、福島の4県で計18自治体が16日までに、7億574万円の損害賠償を請求した。放射線機器の購入費や、渡橋料の減額分補償、職員への特殊勤務手当にまで及ぶ。群馬ではまだ、実際に請求に踏み切った自治体はなく、他県よりも動きが遅いのが実情だ。
 県では、放射性物質を高精度で測定する「ゲルマニウム半導体検出器」3台(計約3900万円)の購入費や、浄水過程での検査・汚泥保管費などが約8000万円と、支出は多岐にわたる。茂原璋男副知事は「はっきりと(国や東電の)基準が出ているものは請求する」とした上で、「日航機墜落事故では、県は賠償請求しなかった。どこまでが請求対象かの線引きは難しく、議論が必要」と話した。

  福島原発事故では自治体についても多種多様な損害が生じている。これらは東京電力による不法行為で生じた損害であり、自治体の財産権を侵害するものであるから、原発事故との相当因果関係が認められる限り当然賠償請求すべきものだ。それは地方自治体の義務であるからそれを怠れば財産管理を怠ったものとして住民監査請求ひいては住民訴訟の対象となる。
  具体的には放射能のモリタリング、農産物・海産物の放射能スクリーニング検査、産地証明書発行、土壌改良・汚染汚泥処理、住民の被爆検査、放射性物質に汚染された可能性のある廃棄物処理、学校・農地・住宅などの除染など諸々の放射能汚染対策に要した経費、原発事故対応のための職員の残業代などの人件費、さらには固定資産税・住民税などの税収減少分も損害として賠償請求すべきだ。
  群馬県は、 「元々の行政サービスとの区分が難しい」「どこまでが請求対象かの線引きは難しく、議論が必要」などと言う。しかし、基準値以上の放射性物質は原子力発電所などの管理区域以外には存在してはならないのであり、原発事故対応は「元々の行政サービス」などではあり得ない。これは原子力村におもねる言い訳にすぎない。自治体が自らの責任を放棄して国や東電任せにする怠慢は許されない。自ら判断して請求すべきものは請求すべきであり、住民も自治体を監視してきちんと賠償請求させなければならない。
  国は福島県とそれ以外でも年間被曝量1ミリシーベルト以上となる地域の除染費用は国が負担するとしている。しかし国が負担すると言ってもその原資は国民の税金だ。本来東電が行うべきことを税金で負担してやる必要は全くない。もちろん当面は国が肩代わりするしかないわけだが、最終的にはきちんと東電に賠償させるべきだ。

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2011年11月19日 (土)

脱原発ひまわりネット 11月30日午後6時30分から仙台弁護士会館で第一回学習会開催

 脱原発ひまわりネットは仙台弁護士会に所属する女性弁護士によって設立されました。11名の若手女性弁護士が呼びかけ人になっています。次世代を担う子供達のために脱原発社会を目指すのが設立趣旨です。
 宮城県にも女川原発が存在します。今回の大震災では非常用電源の一部が使用不能となり外部電源も4系統の内3系統が失われて正に危機一髪でした。津波がもう少し高ければ女川原発も電源喪失によるメルトダウンは免れなかったわけで人ごとではありません。女川原発は現在は運転を中止していますが、東北電力は再稼働させようとしています。そんなことは宮城県民は望んでいないと思います。
 11月30日午後6時30分から仙台弁護士会館で脱原発ひまわりネット主催の第一回学習会が開催されます。「脱原発裁判これまでとこれから」をテーマに脱原発弁護団全国連絡会事務局長の只野靖弁護士の話を聞く予定です。参加は無料でどなたでも参加できます。

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2011年11月18日 (金)

弁護士報酬 3億円超 神奈川県の独自課税訴訟 ザ・訴訟社会というべきか 単に神奈川県が弁護士にぼられているだけだのような気もするが

リンク: 東京新聞:弁護士報酬 3億円超 神奈川県の独自課税訴訟:社会(TOKYO Web).

 神奈川県の独自課税をめぐり、いすゞ自動車(東京)が約十九億五千万円の返還を請求している行政訴訟で、県が弁護士に払う報酬が約三億五千万円に上ることが、かながわ市民オンブズマンが情報公開請求した行政文書で分かった。請求額の2~4%が弁護士報酬の相場とされており、オンブズマンは「法外な報酬。金に糸目を付けない訴訟合戦だ」と、請求額の18・3%に当たる弁護士報酬に疑問を投げかけている。
 この訴訟は、安定収入を目的に県が二〇〇一年に導入した「臨時特例企業税」に対し、いすゞが「地方税法に違反している」として税金の返還を求めて提訴。一審は県の敗訴だったが、二審で逆転勝訴となり、いすゞが上告中。
 開示された県の文書によると、上告審までの一連の訴訟で、県が担当弁護士に計三億五千七百万円を払う契約を結んでいた。
 オンブズマンの大川隆司弁護士は「弁護士報酬の相場は、請求額の2%が着手金で、4%が成功報酬とされている。行政訴訟になれば、さらに低い報酬で引き受けるのが一般的」と批判した。
 県税制企画課は「独自課税による税収は総額で約四百八十五億円。敗訴すれば返還は一企業だけにとどまらず、県の財政圧迫は避けられない」とし、「原告側も日本有数の弁護士だけに、こちらも第一級の弁護士に依頼した。報酬はその弁護士事務所の規定を参考に決めた」と話す。 (中沢誠)

 色んな意味で何とも凄い話だ。この「日本有数の弁護士」、「第一級の弁護士」とは誰なんでしょう。実際二審で逆転勝訴しているのだから有能な弁護士なのだろうが、いくら何でも三億五千七百万円は取りすぎのような。仙台市民オンブズマンに頼んでもらえればこの10分の1でもお引き受けするのですが、日本有数でも第一級でもないからダメなんでしょうね。
 それにしても神奈川県は気前がよい。住民訴訟で住民が勝訴して自治体にお金が戻ると(談合事件が典型例)住民側は弁護士費用を自治体に請求できます。しかし実際に請求すると値切る値切る。理屈は、「住民訴訟というのは金銭請求が目的なのではなく自治体の財務会計行為の適正な遂行を実現するためのものであるから請求額自体は報酬額算定の基礎になるものではない」というのです。だから談合で1億自治体が損をしたから1億返せといって住民訴訟で勝訴しても、1億円を基礎に算定した弁護士報酬など自治体は払いません。自治体側の弁護士には湯水のごとく税金を払っても惜しくはないが、自治体に楯突く住民側弁護士には値切るだけ値切ってやれということなのでしょう。住民訴訟は全くの手弁当でやるのが通常ですから、勝って実際に自治体にお金が戻った時くらい18・3%とは言わないから旧弁護士報酬規定位の弁護士費用は支払って欲しいものです。

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経産省西山氏が福島除染チーム次長に=環境省 色ぼけダメ官僚を次長にするとは福島の放射能除染に真面目に取り組むつもりはないと言っているようなものだ

リンク: 経産省西山氏が福島除染チームに=環境省 (時事通信) - Yahoo!ニュース.

  環境省は18日、東京電力福島第1原発事故の発生後、原子力安全・保安院のスポークスマンを務めた経済産業省の西山英彦官房付を、同日付で福島除染推進チーム次長兼務とする人事を発表した。環境省職員らで構成される同チームで、福島県と連携しながら、市町村の除染計画の策定支援などに当たる。西山氏は、勤務時間中に女性職員との不適切な行為があったとして、9月に停職1カ月の懲戒処分を受けた。

  懲罰人事のつもりだろうが、原発事故直後の時期に事故対応そっちのけで執務室で猥褻行為にふけっていた人間が真面目に除染業務に当たるとは思えない。それを福島除染推進チームの次長にするとは環境省は何を考えているのだろう。まるで福島の除染作業に真面目に取り組むつもりはありませんと言っているようなものだ。汚れ仕事と位置づけて他省のダメ官僚に任せるのではなく、自省のエースを投入して除染推進の意思を福島県民に示すのが環境省の責任だと思うが。
  「市町村の除染計画の策定支援などに当たる」と言ったってどうせ霞ヶ関を一歩も出ずにハンコをつくだけだろう。懲罰人事をするなら西山は次長ではなく現場作業に当たらせるべきだ。 

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2011年11月17日 (木)

公認会計士:合格者が1511人に急減 メンツにこだわらない軌道修正は賢明な判断だと思う 法曹人口問題で自縄自縛に陥っている日弁連とは大違い

リンク: 公認会計士:合格者が急減…新制度導入の混乱影響か - 毎日jp(毎日新聞).

  公認会計士・監査審査会が14日発表した11年の公認会計士試験合格者数は、前年比26%減の1511人で、合格率は前年比1.5ポイント減の6.5%。大幅簡素化した06年の新試験制度導入後で最低となった。合格後も監査法人に採用されない「待機合格者」問題が深刻化し、合格者数を絞り込んだ結果、合格率が急低下した。
 金融庁は新試験制度導入で従来年1000人台だった合格者を2000~4000人に拡大したが、監査法人や企業に採用されない合格者が続出し、資格取得に必要な実務経験が積めない問題が発生。同庁は合格者を救済しようとしたが、業界の反発で断念した経緯があり、同庁の迷走にも批判が出ている。
 14日会見した同審査会試験責任者の広本敏郎常勤委員(元一橋大大学院教授)は合格者減少について、「近年の制度の見直しや新制度の混乱で(受験生が)振り回されている」と苦言を呈した。

「平成23年公認会計士試験の合格発表について(金融庁)」
平成23年公認会計士試験の合格発表が、2011年11月14日に行われました。合格者は1,511人(対前年比530人減)、合格率6.5%
合格者と合格率の推移は以下のとおり
2006年 
 3,108人 14.9%
2007年 
 4,041人 19.3%
2008年 
 3,625人 17.1%
2009年 
 2,229人 10.5%
2010年 
 2,041人 8.0%
2011年 
 1,511人 6.5%
  公認会計士については、平成14年に金融審議会が「社会の経済インフラとしての会計専門職として期待されている」として「平成30年に公認会計士総数5万人・年間合格者数2000人から3000人」との数値目標を掲げた。これを受けて平成15年改正公認会計士法に基づき、平成18年から公認会計士の大幅増員政策がとられていた。増員の理由として掲げられた社会のインフラとしての位置づけも、平成30年に総数5万人、年間合格者数2000人から3000人という目標も、弁護士増員政策と軌を一にするものである。
  しかしその後、公認会計士協会は「監査事務所が急増した合格者を受け入れ切れない」として、実質上の合格者数減員要望を行った。そのため平成21年以降合格者数は急減し、今年は増員前の合格者数に近いところまで減少した。 
  公認会計士協会は就職難の現実を直視して減員要望を行い、金融庁もメンツにこだわらずに減員を実行した。これに対して日弁連は未だに会内の意見すらまとめられない。この違いは何に由来するのだろう。
  合格しても就職すらままならないという場合、それは合格者数に見合った需要がないからだと判断するのが合理的だ。公認会計士協会も金融庁もそのように判断したのだろう。しかし日弁連や弁護士増員論者はそうは考えない。「潜在的需要はあるが弁護士の掘り起こしの努力が足りないのだ、頑張って需要の掘り起こしに努めれば途は必ず開ける」と強弁する。しかし潜在的需要なるものがどこにどれだけあるのかは一切言わない。どうして弁護士会ではこのような精神論が幅をきかしているのか不思議でならない。
本気でそう信じているわけではなく、日弁連自身が弁護士増員政策を正しいものとして推し進めてきたので今さら減員を言うのはメンツが許さないというのが本音だと思うが。
  ただ一番大きいのは両者の試験制度の違いだろう。公認会計士試験には受験資格の制限はない。誰でも受けられる。合格者を減らしたところで他の組織に致命的な悪影響を与えるということはない。他方司法試験は原則として法科大学院課程を修了しないと試験を受けられない。法科大学院は74校もあり定員は4000人を超える。今でさえ20%台の合格率で人気が低迷しているのに、合格者数を減らしてこれ以上合格率が下がろうものなら法科大学院制度は崩壊する。当然のことながら法科大学院には多くの専任の教職員がおり法科大学院が支払う給与で生計を立てている。しかも法科大学院は日弁連が率先して作ったもので、多くの弁護士が法科大学院の教員として報酬を得ている。日弁連自身がこれを潰すことなどできるはずはない。
  そうはいっても弁護士の就職難は現実の問題であるし、会内の不満も大きい。そこで日弁連も「司法基盤が整備されるまでの当面の間は相当数の減員が必要」などとリップサービスの提言をしている。しかし法科大学院制度に手を付けずに減員などできないことは百も承知のはずだ。ところが日弁連は抽象的に定員削減をいうだけで具体策を提示しない。結局日弁連は合格者数減員を本気で考えてはいないということだ。増員を続けるのも地獄、減員も地獄、自ら作った法科大学院制度のために身動き取れなくなっているのだ。このような状況で日弁連が自らを正当化するには「潜在的需要の存在と発掘の努力」を言い続けるしなかいのだろう。
  弁護士の就職難は今後酷くなる一方だ。そうなると益々法科大学院の入学者は減って法科大学院の淘汰が進むだろう。合格水準を落とさなければ受験者数の減少に比例して合格者数も減ることになるだろう。しかしそれは学生や社会人が法曹を志望しなくなることの結果であって法曹界としては悲しむべきことだ。馬鹿げた大増員政策を推し進め、そのために法科大学院の濫造を許したツケをこのような形で支払わされるわけだ。
  仮に日弁連が本気で司法試験合格者数の減員を提言したところで現状ではその実現は不可能だろう。それどころか法科大学院が撤退する際の言い訳に使われて日弁連一人が悪者にされかねない。法科大学院の自然淘汰がある程度進むのを待って、その上で1000人程度への減員を提言するのが現実的だと思う。
 本当は法科大学院の自然淘汰を待つのではなく、大学の法学部に法曹養成コースを作ってその修了を受験資格にするような改革をすべきだと思う(実質的には現在の法科大学院を法学部に組み込むことになる。社会人は2年次からの社会人入学制度で対応すればよい。)。そうすれば大学卒業の時点で就職という選択肢を選ぶこともできるし、何より大学を出てさらに2~3年間法科大学院に行かなければならないという時間と学費・生活費の無駄を避けることができる。そうすれば合格者数を減らしても法曹志望者は確保できるだろう。また現に法科大学院で働いている教職員のクビを切らなくともよいメリットもある。
  それにしても公認会計士と弁護士で増員問題に関するマスコミの対応がこれほど異なるのは何故なのだろう。公認会計士は4000人を1500人に急減させてもマスコミは全く批判しない。他方弁護士は「当面の間は相当数の減員が必要」と言っただけで、「司法改革の理念を忘れたエゴ集団」と総バッシングを受ける。よほど弁護士はマスコミに嫌われているようだ。

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2011年11月 2日 (水)

最高裁初判断「自治体と金融機関の三セク損失補償は適法」これでは1兆7800億円の三セク負債は自治体が全部かぶることになる 傍論でこんな重要な判断をするのはそれこそ暴論だ

リンク: 長野・安曇野菜園:三セク損失補償は適法 最高裁初判断 自治体と金融機関の契約 - 毎日jp(毎日新聞).

 第三セクターの負債について、地方自治体が金融機関と結んだ「損失補償契約」が、財政援助制限法の適用を受けて無効となるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は27日、「制限法の規定を類推適用してただちに無効と解釈するのは相当でない」として、同契約は適法との初判断を示した。裁判官5人全員一致の判断。
 同制限法3条は「政府や地方公共団体は法人の債務について保証契約できない」とするが、小法廷は保証と損失補償は法律上区別されていると判断した。総務省によると、自治体による損失補償を付けた第三セクターの借り入れは昨年3月末現在、438社・総額約1兆7800億円に上るという。
 宮川光治裁判官は補足意見で「地域の政策決定と経済活動は地方議会で個別にチェックされるべきだ」と述べる一方、「三セクにはさまざまな問題があり、抜本的改革を推進しなければならない」とも付言した。
 1審・長野地裁判決(09年8月)は損失補償契約を適法としたが、2審・東京高裁判決(10年8月)は3条を類推適用して無効と判断し、最高裁の判断が注目されていた。
 1、2審判決によると、長野県安曇野市が出資する三セク会社「安曇野菜園」の負債について、旧三郷村や合併後の同市が03年以降、金融機関と損失補償契約を締結。これに対し、一部住民が損失が起きた際の市の支出差し止めを求め提訴し、損失補償契約は無効と主張していた。だが、2審判決後に同社が清算手続きに入ったため、市が将来契約に基づいた支出をする可能性はなくなったとして、小法廷は差し止めの訴えは却下した。

  自治体の損失補償契約の有効性について下級審の判断は分かれていが、最高裁は有効の判断をした。しかも判決に必要ない傍論で。
  第三セクターへの金融機関の融資の大部分は自治体の損失補償契約付きである。最高裁の論理では、結局第三セクターが破綻しても、金融機関は一切リスクを負わず、負債処理は自治体が丸抱えしなければならないということになる。総務省によると、自治体による損失補償を付けた第三セクターの借り入れは昨年3月末現在、438社・総額約1兆7800億円に上るとされている。第三セクターの大部分は大赤字で、自治体の補助で辛うじて破綻が回避されているところも少なくない。最高裁の判断を前提にする限り、自治体は今後いずれかの時点で、この1兆7800億円の金融機関からの借り入れを税金で返済しなければならなくなるわけだ。
  おそらく最高裁は、もし損失補償契約を無効にしたら金融機関のこの1兆7800億円の債権が回収不能となってしまい、金融不安が生じかねないとの政治的配慮から有効と判断したのだろう。しかし全国の自治体はこのような負担にはたして耐えられるのだろうか。
  損失補償契約があるから絶対貸し倒れにはならないということで、金融機関は第三セクターに対しては通常の企業への融資ならば考えられないような安易な貸付をしてきた。第三セクターの収支予測や経営状態などお構いなしで正に湯水のごとく貸付を続けた結果が1兆7800億円である。適正な需要予測もせずに安易に第三セクターを作り続けた自治体に非があるのは当然だが、それに荷担した金融機関が全く何の負担も負わずに税金だけで処理するのが適切なのだろうか。損失補償契約については一律に有効にするのではなく、放漫融資と目される部分や本来損失補償など求めるべきでない日本政策投資銀行の融資については無効とするなどの限定解釈をする余地が十分あった。最高裁はそのような解釈を検討することもしないで、しかも却下判決をする以上本来判断する必要がないのに傍論でこのような重要な判断をしてしまった。拙速としかいいようがない。
  一口に金融機関と言っても色々ある。日本政策投資銀行は、経済社会の活力の向上及び持続的発展、豊かな国民生活の実現並びに地域経済の自立的発展に資するため、一般の金融機関が行う金融等を補完し、又は奨励することを旨とし、長期資金の供給等を行い、もって日本の経済社会政策に金融上の寄与をすることを目的に設立された、政府による100%出資の株式会社である。民間金融機関ではハイリスクで融資が難しいような場合であっても、ある程度のリスクを前提に融資することを目的とした国策会社だ。従って本来第三セクターに融資するにあたって自治体に損失補償契約など求めるべき存在ではない。このような金融機関に対しては、損失補償契約の有効性は否定すべきだろう。

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仙台市民オンブズマンが仙台空港アクセス線の破綻処理=土地・駅舎・橋脚を85億円で買い取る上下分離方式について支出差し止めの監査請求

                宮城県知事措置請求書

宮城県監査委員 御中
                                  2011年11月2日
   
                          請求人 仙台市民オンブズマン
                                 代表 千 葉 晃 平

請求の趣旨
 仙台空港アクセス線の全長7.1キロのうち6キロ分の橋脚、杜せきのした駅と美田園駅の駅舎、仙台空港敷地外の土地を取得するために、取得費85億1000万円を支出することは無価値なものを取得する行為であって地方自治法2条14項に違反する。よって監査委員におかれては、宮城県知事に対し、この資産取得費の支出を中止するよう勧告することを求める。

請求の理由
第1 仙台空港鉄道株式会社改革支援プラン行動計画
 1 借入金の現状
   仙台空港鉄道株式会社(以下会社という)の借入金は、167.5億円(政策投資銀行・市中銀行88.9億円、県78.6億円)。このうち政策投資銀行・市中銀行分は5年据え置き、その後15年間で償還、県転貸債は20年据え置き、その後10年間で償還とされる。平成21年度から市中銀行などへの返済が開始されているが、毎年元利金合計約8億円の返済が必要で資金ショートは時間の問題とされている。
   なお上記借入金以外に、仙台空港アクセス線の建設には国や県、仙台、岩沼、名取3市が計71億円の補助金を支出している。
 2 仙台空港鉄道株式会社改革支援プラン行動計画の策定
   本年5月に県は、仙台空港鉄道株式会社改革支援プラン行動計画(以下行動計画という)を公表した。行動計画では、経営悪化が深刻化している会社について、橋脚の減価償却費や土地の固定資産税を圧縮し収支改善を図るために、県が同社が所有する線路の橋脚や土地などの資産を買い取る等の経営支援を行うこととされた。具体的には、総額189億円(08年度末現在)の資産のうち、運行に直接関係するホーム・レール・車両(上部構造)は従来通り会社側が所有し、県側が土地・駅舎・橋脚など(下部構造)を85億円程度で14年度までに買い取る上下分離方式を計画した。
   会社の09年度の経常損失は9億7629万円、経費として計上する減価償却費は8億3000万円に達しており、赤字の大きな要因となっている。11年度からは民間金融機関への返済額は毎年8億円になり、現在20億円程度ある運転資金が13年度に底をつくとされている。

第2 仙台空港アクセス線の資産取得費の予算可決
 1 東日本大震災による被害
   仙台空港アクセス線は震災による津波被害で設備に大きな被害が発生。同社は復旧費は約36億円に膨らむと見込む。運休区間は代替バスを運行したが、利用者は震災前の1日約7000人から半減した。震災発生から約半年間の運休と利用客の減少などから、本年度の収入は前年度比で約4億円の減少を見込んでいる。震災による収入減などで12年度中にも資金が枯渇する恐れが出てきた。
 2 上下分離方式の導入
   県は、震災被害による減収を踏まえ会社の抜本的な再建策として本年9月5日、「上下分離」方式の導入を正式に表明した。「上下分離方式は、県が駅舎などの『下』部分を保有して維持補修にあたることで、『上』にあたる運行を担う同社の経営を圧迫する減価償却費や固定資産税の圧縮を図る。今回、県が買い取るのは全長7.1キロのうち6キロ分の橋脚、杜せきのした駅と美田園駅の駅舎、仙台空港敷地外の土地で、取得費は85億1000万円。買い取りが実施されれば、会社は売却益と自己資金で金融機関からの借入金約87億円を繰り上げ返済し金利負担が軽減される。同社は、売却額約85億円で金融機関からの借入金を繰り上げ返済する方針。返済負担は大幅に軽減され、12、13年度の資金収支はほぼ均衡化する見通し。15年度からは黒字転換を見込んでいる。」としている。
 3 補正予算の可決
   県議会9月定例会に、県営漁港や被災農地の復旧費などを盛り込んだ総額656億円の11年度一般会計補正予算案が提出された。予算案には、仙台空港アクセス線の資産取得費85億円などが計上され可決された。

第3 上下分離方式の問題点
 1 仙台空港アクセス線の下部構造物はマイナス資産
   下部構造の取得額は85億1000万円とされている。県がどのような資産評価方法をとったのか詳らかでないが、新たに資産を取得するのであるから収益還元法を用いた時価評価によるのが当然である。
   ところで下部構造は現に会社が鉄道事業に直接使用しており、かつ鉄道事業以外の用途に転用する余地はないという特殊性がある。下部構造は引き続き会社に使用させることになるが、85億円で金融機関からの借入金を繰り上げ返済したとしても資金収支が均衡化するに過ぎず賃料収入は望めない。従って買取後長期に渡って無償使用させることになる。つまり収益還元法で下部構造の価格算定をするとほとんどゼロということになる。
   それどころか切り離した下部構造の維持管理は資産取得者(県)が行うことになるのでむしろマイナス資産ということになる。このように全く無価値な下部構造を取得するということは、資産取得に名を借りた負債の肩代わりに他ならない。
 2 仙台空港アクセス線存続の必要性
   もとより仙台空港アクセス線の存続の必要性は論を待たない。また利用客が予定の7割にとどまってはいるものの、仙台市の地下鉄東西線のように運行すればするだけ赤字になるのとは異なり負債さえ処理できれば運行自体での収支均衡は可能である。従って存続させるべきという県の判断は正しいが、問題は負債の処理の仕方である。
 3 負債処理の方法として法的整理を選択すべきこと
   県が行おうとしている上下分離方式は、実は資産の買取ではなく金融機関の負債の肩代わりに他ならない。事実「買い取りが実施されれば、会社は売却益と自己資金で金融機関からの借入金約87億円を繰り上げ返済し金利負担が軽減される。同社は、売却額約85億円で金融機関からの借入金を繰り上げ返済する方針。」とされている。つまり焦げ付き寸前の金融機関への負債を全額県が肩代わりするというのが実態である。これによって政策投資銀行と市中銀行からの合計88.9億円の負債はほぼ全額返済され、あとは20年据え置きの県からの借金だけになる。
   問題は破綻した第3セクターの破綻処理方法としてこれが妥当なのかということである。会社は借入金債務に加え震災復旧費36億円(このうち4分の1は県が補助するが残り4分の3は県が会社に貸し付けることとされている)の負債を抱えているのであって現時点において完全な債務超過に陥っている。本来であれば民事再生手続きがとられなければならない。
   民事再生手続きをとった場合には、営業継続を前提に、債権者である県及び金融機関が大幅な債権放棄をした上で残額を長期返済する再生計画案になると予想される。この場合、県の78.6億円の貸付金はもともと20年据え置きでしかもその後長期に渡る返済である。従って、このような再生計画案になったところで現時点での県の財政に与える影響はほとんどない。債権放棄は甘い需要予測がもたらした結果として甘受すべきものである。
   このような法的整理が可能でありそれが本来の姿であるのに県が資産買い取り方式をとろうとするのは、金融機関の救済が目的である。しかし最大の債権者である政策投資銀行は、国が設立した正に政策投資のリスクを負うべき金融機関であって県民の税金で救済するべきような存在ではない。今回の破綻処理に当たって資産買い取り方式を取ると、金融機関は何らの責任も負担しない結果になる。県民の税金による全額負担で金融機関の全債務が繰り上げ返済されるというのでは到底県民の納得を得られるものではない。
   仙台空港アクセス線の負債処理は民事再生手続きで行うべきである。
 4 現時点で繰り上げ返済することの不当性
   85億1000万円の資金があればどれだけの震災復興事業をすることができるか県は考えるべきである。震災復興に全力を挙げるべき時に金融機関への返済にこれだけの税金を投入する必要は全くない。仮に法的整理を避けるとしても当面の資金ショートを回避するに足りる資金の貸付を行えば足りることである。

第5 結論
   上記のとおり仙台空港アクセス線の全長7.1キロのうち6キロ分の橋脚、杜せきのした駅と美田園駅の駅舎、仙台空港敷地外の土地を取得するために、取得費85億1000万円を支出することは無価値なものを取得する行為であって「地方公共団体はその事務を処理するにあたっては、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」という地方自治法2条14項の規定に違反する。
   また仮に違法でないとしても、震災復興に全力を挙げるべきこの時期に金融機関への返済に当てるためだけに85億1000万円もの県費を費やすことは著しく不当である。
   よって、監査委員におかれては、宮城県知事に対し、上記資産取得費の支出を中止するよう勧告することを求める。
   以上、地方自治法第242条1項の規定により、事実証明書を添えて必要な措置を求める。

  仙台市民オンブズマンは、本日、宮城県の仙台空港アクセス線の負債処理=土地・駅舎・橋脚を85億1000万円で買い取る上下分離方式について支出の差し止めを求める監査請求を行いました。これは売買契約に名を借りた税金による負債の肩代わりであって県民には何のメリットもありません。仙台空港アクセス線は破綻状態ですから負債を処理して再建する必要があることはそのとおりです。しかしその場合は債権者である政策投資銀行や市中銀行にも債権放棄の形で応分の負担が生じるのは当然のことです。融資先が破綻したのに金融機関だけは満額の返済を受けられるなどということは本来あり得ない話です。あり得ない話を可能にするのが上下分離方式ですが、県がアクセス鉄道に支払う代金は全額金融機関への返済に廻ることが決まっているのですからネタのばれている手品というほかありません。
  実は、県がこのようないかさま手品をやらざるを得ない理由は、金融機関の融資に際して将来アクセス鉄道が破綻して損失が出た場合は損失補償するという契約がなされているからなのです。損失補償契約の有効性を前提にするなら、たとえ民事再生手続きで金融機関が大幅な再建カットに同意したとしても、その分は県が損失補填しなければならなくなります。それなら売買に名を借りて弁済資金をアクセス鉄道に交付して負債処理した方が外聞がいいということでしょう。
  自治体の損失補償契約の有効性については下級審の判断は分かれていましたが、ごく最近最高裁が有効の判断をしました。第三セクターへの金融機関の融資の大部分は自治体の損失補償契約付きです。結局第三セクターが破綻しても、金融機関は一切リスクを負わず、負債処理は自治体が丸抱えしなければならないということです。総務省によると、自治体による損失補償を付けた第三セクターの借り入れは昨年3月末現在、438社・総額約1兆7800億円に上るとされています。第三セクターの大部分は大赤字で、自治体の補助で辛うじて破綻が回避されているところも少なくありません。最高裁の判断を前提にする限り、自治体は今後いずれかの時点で、この1兆7800億円の金融機関からの借り入れを税金で返済しなければならなくなるわけです。
  おそらく最高裁は、もし損失補償契約を無効にしたら金融機関のこの1兆7800億円の債権が回収不能となってしまい、金融不安が生じかねないとの政治的配慮から有効と判断したのだと思います。しかし全国の自治体はこのような負担にはたして耐えられるのでしょうか。損失補償契約があるから絶対貸し倒れにはならないということで、金融機関は第三セクターに対しては通常の企業への融資ならば考えられないような安易な貸付をしてきました。第三セクターの収支予測や経営状態などお構いなしで正に湯水のごとく貸付を続けた結果が1兆7800億円です。適正な需要予測もせずに安易に第三セクターを作り続けた自治体に非があるのは当然ですが、それに荷担した金融機関が全く何の負担も負わずに税金だけで処理するのが適切なのでしょうか。損失補償契約については一律に有効にするのではなく、放漫融資と目される部分や本来損失補償など求めるべきでない日本政策投資銀行の融資については無効とするなどの限定解釈をする余地が十分あります。最高裁はそのような解釈を検討すべきだったと思います。
  日本政策投資銀行は、経済社会の活力の向上及び持続的発展、豊かな国民生活の実現並びに地域経済の自立的発展に資するため、一般の金融機関が行う金融等を補完し、又は奨励することを旨とし、長期資金の供給等を行い、もって日本の経済社会政策に金融上の寄与をすることを目的に設立された、政府による100%出資の株式会社です。民間金融機関ではハイリスクで融資が難しいような場合であっても、ある程度のリスクを前提に融資することを目的とした国策会社です。従って本来第三セクターに融資するにあたって自治体に損失補償契約など求めるべき存在ではありません。宮城県は上下分離方式などという手品を考える前に、少なくとも日本政策投資銀行の融資分については債権カットの交渉をすべきです。宮城県は今般未曾有の大震災に見舞われたのですから、政府は日本政策投資銀行に債権全額を放棄させても決しておかしくはないはずです。

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