フォト

« 仙台市民オンブズマンが仙台空港アクセス線の破綻処理=土地・駅舎・橋脚を85億円で買い取る上下分離方式について支出差し止めの監査請求 | トップページ | 公認会計士:合格者が1511人に急減 メンツにこだわらない軌道修正は賢明な判断だと思う 法曹人口問題で自縄自縛に陥っている日弁連とは大違い »

2011年11月 2日 (水)

最高裁初判断「自治体と金融機関の三セク損失補償は適法」これでは1兆7800億円の三セク負債は自治体が全部かぶることになる 傍論でこんな重要な判断をするのはそれこそ暴論だ

リンク: 長野・安曇野菜園:三セク損失補償は適法 最高裁初判断 自治体と金融機関の契約 - 毎日jp(毎日新聞).

 第三セクターの負債について、地方自治体が金融機関と結んだ「損失補償契約」が、財政援助制限法の適用を受けて無効となるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は27日、「制限法の規定を類推適用してただちに無効と解釈するのは相当でない」として、同契約は適法との初判断を示した。裁判官5人全員一致の判断。
 同制限法3条は「政府や地方公共団体は法人の債務について保証契約できない」とするが、小法廷は保証と損失補償は法律上区別されていると判断した。総務省によると、自治体による損失補償を付けた第三セクターの借り入れは昨年3月末現在、438社・総額約1兆7800億円に上るという。
 宮川光治裁判官は補足意見で「地域の政策決定と経済活動は地方議会で個別にチェックされるべきだ」と述べる一方、「三セクにはさまざまな問題があり、抜本的改革を推進しなければならない」とも付言した。
 1審・長野地裁判決(09年8月)は損失補償契約を適法としたが、2審・東京高裁判決(10年8月)は3条を類推適用して無効と判断し、最高裁の判断が注目されていた。
 1、2審判決によると、長野県安曇野市が出資する三セク会社「安曇野菜園」の負債について、旧三郷村や合併後の同市が03年以降、金融機関と損失補償契約を締結。これに対し、一部住民が損失が起きた際の市の支出差し止めを求め提訴し、損失補償契約は無効と主張していた。だが、2審判決後に同社が清算手続きに入ったため、市が将来契約に基づいた支出をする可能性はなくなったとして、小法廷は差し止めの訴えは却下した。

  自治体の損失補償契約の有効性について下級審の判断は分かれていが、最高裁は有効の判断をした。しかも判決に必要ない傍論で。
  第三セクターへの金融機関の融資の大部分は自治体の損失補償契約付きである。最高裁の論理では、結局第三セクターが破綻しても、金融機関は一切リスクを負わず、負債処理は自治体が丸抱えしなければならないということになる。総務省によると、自治体による損失補償を付けた第三セクターの借り入れは昨年3月末現在、438社・総額約1兆7800億円に上るとされている。第三セクターの大部分は大赤字で、自治体の補助で辛うじて破綻が回避されているところも少なくない。最高裁の判断を前提にする限り、自治体は今後いずれかの時点で、この1兆7800億円の金融機関からの借り入れを税金で返済しなければならなくなるわけだ。
  おそらく最高裁は、もし損失補償契約を無効にしたら金融機関のこの1兆7800億円の債権が回収不能となってしまい、金融不安が生じかねないとの政治的配慮から有効と判断したのだろう。しかし全国の自治体はこのような負担にはたして耐えられるのだろうか。
  損失補償契約があるから絶対貸し倒れにはならないということで、金融機関は第三セクターに対しては通常の企業への融資ならば考えられないような安易な貸付をしてきた。第三セクターの収支予測や経営状態などお構いなしで正に湯水のごとく貸付を続けた結果が1兆7800億円である。適正な需要予測もせずに安易に第三セクターを作り続けた自治体に非があるのは当然だが、それに荷担した金融機関が全く何の負担も負わずに税金だけで処理するのが適切なのだろうか。損失補償契約については一律に有効にするのではなく、放漫融資と目される部分や本来損失補償など求めるべきでない日本政策投資銀行の融資については無効とするなどの限定解釈をする余地が十分あった。最高裁はそのような解釈を検討することもしないで、しかも却下判決をする以上本来判断する必要がないのに傍論でこのような重要な判断をしてしまった。拙速としかいいようがない。
  一口に金融機関と言っても色々ある。日本政策投資銀行は、経済社会の活力の向上及び持続的発展、豊かな国民生活の実現並びに地域経済の自立的発展に資するため、一般の金融機関が行う金融等を補完し、又は奨励することを旨とし、長期資金の供給等を行い、もって日本の経済社会政策に金融上の寄与をすることを目的に設立された、政府による100%出資の株式会社である。民間金融機関ではハイリスクで融資が難しいような場合であっても、ある程度のリスクを前提に融資することを目的とした国策会社だ。従って本来第三セクターに融資するにあたって自治体に損失補償契約など求めるべき存在ではない。このような金融機関に対しては、損失補償契約の有効性は否定すべきだろう。

にほんブログ村 地域生活(街) 東北ブログ 仙台情報へにほんブログ村
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へにほんブログ村
にほんブログ村 地域生活(街) 東北ブログ 宮城県情報へにほんブログ村

« 仙台市民オンブズマンが仙台空港アクセス線の破綻処理=土地・駅舎・橋脚を85億円で買い取る上下分離方式について支出差し止めの監査請求 | トップページ | 公認会計士:合格者が1511人に急減 メンツにこだわらない軌道修正は賢明な判断だと思う 法曹人口問題で自縄自縛に陥っている日弁連とは大違い »

仙台市民オンブズマン」カテゴリの記事

トラックバック

« 仙台市民オンブズマンが仙台空港アクセス線の破綻処理=土地・駅舎・橋脚を85億円で買い取る上下分離方式について支出差し止めの監査請求 | トップページ | 公認会計士:合格者が1511人に急減 メンツにこだわらない軌道修正は賢明な判断だと思う 法曹人口問題で自縄自縛に陥っている日弁連とは大違い »

最近のトラックバック

無料ブログはココログ
2016年8月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31