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2011年11月17日 (木)

公認会計士:合格者が1511人に急減 メンツにこだわらない軌道修正は賢明な判断だと思う 法曹人口問題で自縄自縛に陥っている日弁連とは大違い

リンク: 公認会計士:合格者が急減…新制度導入の混乱影響か - 毎日jp(毎日新聞).

  公認会計士・監査審査会が14日発表した11年の公認会計士試験合格者数は、前年比26%減の1511人で、合格率は前年比1.5ポイント減の6.5%。大幅簡素化した06年の新試験制度導入後で最低となった。合格後も監査法人に採用されない「待機合格者」問題が深刻化し、合格者数を絞り込んだ結果、合格率が急低下した。
 金融庁は新試験制度導入で従来年1000人台だった合格者を2000~4000人に拡大したが、監査法人や企業に採用されない合格者が続出し、資格取得に必要な実務経験が積めない問題が発生。同庁は合格者を救済しようとしたが、業界の反発で断念した経緯があり、同庁の迷走にも批判が出ている。
 14日会見した同審査会試験責任者の広本敏郎常勤委員(元一橋大大学院教授)は合格者減少について、「近年の制度の見直しや新制度の混乱で(受験生が)振り回されている」と苦言を呈した。

「平成23年公認会計士試験の合格発表について(金融庁)」
平成23年公認会計士試験の合格発表が、2011年11月14日に行われました。合格者は1,511人(対前年比530人減)、合格率6.5%
合格者と合格率の推移は以下のとおり
2006年 
 3,108人 14.9%
2007年 
 4,041人 19.3%
2008年 
 3,625人 17.1%
2009年 
 2,229人 10.5%
2010年 
 2,041人 8.0%
2011年 
 1,511人 6.5%
  公認会計士については、平成14年に金融審議会が「社会の経済インフラとしての会計専門職として期待されている」として「平成30年に公認会計士総数5万人・年間合格者数2000人から3000人」との数値目標を掲げた。これを受けて平成15年改正公認会計士法に基づき、平成18年から公認会計士の大幅増員政策がとられていた。増員の理由として掲げられた社会のインフラとしての位置づけも、平成30年に総数5万人、年間合格者数2000人から3000人という目標も、弁護士増員政策と軌を一にするものである。
  しかしその後、公認会計士協会は「監査事務所が急増した合格者を受け入れ切れない」として、実質上の合格者数減員要望を行った。そのため平成21年以降合格者数は急減し、今年は増員前の合格者数に近いところまで減少した。 
  公認会計士協会は就職難の現実を直視して減員要望を行い、金融庁もメンツにこだわらずに減員を実行した。これに対して日弁連は未だに会内の意見すらまとめられない。この違いは何に由来するのだろう。
  合格しても就職すらままならないという場合、それは合格者数に見合った需要がないからだと判断するのが合理的だ。公認会計士協会も金融庁もそのように判断したのだろう。しかし日弁連や弁護士増員論者はそうは考えない。「潜在的需要はあるが弁護士の掘り起こしの努力が足りないのだ、頑張って需要の掘り起こしに努めれば途は必ず開ける」と強弁する。しかし潜在的需要なるものがどこにどれだけあるのかは一切言わない。どうして弁護士会ではこのような精神論が幅をきかしているのか不思議でならない。
本気でそう信じているわけではなく、日弁連自身が弁護士増員政策を正しいものとして推し進めてきたので今さら減員を言うのはメンツが許さないというのが本音だと思うが。
  ただ一番大きいのは両者の試験制度の違いだろう。公認会計士試験には受験資格の制限はない。誰でも受けられる。合格者を減らしたところで他の組織に致命的な悪影響を与えるということはない。他方司法試験は原則として法科大学院課程を修了しないと試験を受けられない。法科大学院は74校もあり定員は4000人を超える。今でさえ20%台の合格率で人気が低迷しているのに、合格者数を減らしてこれ以上合格率が下がろうものなら法科大学院制度は崩壊する。当然のことながら法科大学院には多くの専任の教職員がおり法科大学院が支払う給与で生計を立てている。しかも法科大学院は日弁連が率先して作ったもので、多くの弁護士が法科大学院の教員として報酬を得ている。日弁連自身がこれを潰すことなどできるはずはない。
  そうはいっても弁護士の就職難は現実の問題であるし、会内の不満も大きい。そこで日弁連も「司法基盤が整備されるまでの当面の間は相当数の減員が必要」などとリップサービスの提言をしている。しかし法科大学院制度に手を付けずに減員などできないことは百も承知のはずだ。ところが日弁連は抽象的に定員削減をいうだけで具体策を提示しない。結局日弁連は合格者数減員を本気で考えてはいないということだ。増員を続けるのも地獄、減員も地獄、自ら作った法科大学院制度のために身動き取れなくなっているのだ。このような状況で日弁連が自らを正当化するには「潜在的需要の存在と発掘の努力」を言い続けるしなかいのだろう。
  弁護士の就職難は今後酷くなる一方だ。そうなると益々法科大学院の入学者は減って法科大学院の淘汰が進むだろう。合格水準を落とさなければ受験者数の減少に比例して合格者数も減ることになるだろう。しかしそれは学生や社会人が法曹を志望しなくなることの結果であって法曹界としては悲しむべきことだ。馬鹿げた大増員政策を推し進め、そのために法科大学院の濫造を許したツケをこのような形で支払わされるわけだ。
  仮に日弁連が本気で司法試験合格者数の減員を提言したところで現状ではその実現は不可能だろう。それどころか法科大学院が撤退する際の言い訳に使われて日弁連一人が悪者にされかねない。法科大学院の自然淘汰がある程度進むのを待って、その上で1000人程度への減員を提言するのが現実的だと思う。
 本当は法科大学院の自然淘汰を待つのではなく、大学の法学部に法曹養成コースを作ってその修了を受験資格にするような改革をすべきだと思う(実質的には現在の法科大学院を法学部に組み込むことになる。社会人は2年次からの社会人入学制度で対応すればよい。)。そうすれば大学卒業の時点で就職という選択肢を選ぶこともできるし、何より大学を出てさらに2~3年間法科大学院に行かなければならないという時間と学費・生活費の無駄を避けることができる。そうすれば合格者数を減らしても法曹志望者は確保できるだろう。また現に法科大学院で働いている教職員のクビを切らなくともよいメリットもある。
  それにしても公認会計士と弁護士で増員問題に関するマスコミの対応がこれほど異なるのは何故なのだろう。公認会計士は4000人を1500人に急減させてもマスコミは全く批判しない。他方弁護士は「当面の間は相当数の減員が必要」と言っただけで、「司法改革の理念を忘れたエゴ集団」と総バッシングを受ける。よほど弁護士はマスコミに嫌われているようだ。

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