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2012年1月20日 (金)

イソ弁残酷物語 勤務弁護士の勤務条件の低下は著しいようだ

  弁護士増員は国選弁護の受け皿整備や弁護士過疎問題の解消に役立っていることは間違いない。その点は評価したいが、他方新人弁護士の就職難や勤務弁護士の勤務条件低下をもたらしている。
  私の事務所にも勤務弁護士が2名いるが、採用した理由は、一つには個々の事件の検討に十分な時間を取りたいということだった。私は医療過誤事件を専門的にやっているが、医学文献を検討したりカルテを読み込むには膨大な時間がかかる。証拠保全や遠方への出張をかわりにやってもらえれば助かるというのが大きな理由だった。二つ目の理由は医療事件をきちんと取り扱える弁護士を養成したいということだった。三つ目はオンブズマン活動に当てる時間を確保することだった。イソ弁を雇って金儲けをしようなどという発想は全くなかった。だからうちの事務所は個人事件の受任は自由だし、個人事件からの負担金もない。事務所の事件としては医療過誤事件しか受任しないので、それ以外の事務所に来る相談は全てイソ弁の個人事件として受任することができる。
  少し前まではイソ弁をとる事務所は、仕事が増えたからという理由が圧倒的に多かったと思う。個人事件の受任を認めるかどうか、個人事件の収入から負担金を事務所に入れさせるかどうかは色々だが、概ね個人事件の受任は可、負担金はなしか1~2割程度というのが多かったように思う。負担金についてはある程度負担してもらった方がむしろ事務員を使いやすいというのが理由のようだ。給料も30~40万程度が多かったように思う。
  ところが今では個人事件は認めないという事務所も少なくない。受任は認めるが事務員を使ってはダメというところもある。また個人事件の受任を認めるところでも負担金が7割、8割という高率な事務所もある。日弁連の求人情報を見ても個人事件の受任は「相談」、負担金「有り」というものが多い。
  個人事件不可とするのは、忙しいからイソ弁をとるのであって個人事件などに時間を費やされては困るという理由なのだろう。気持ちは分からないではないが、こういう事務所はその分給料が高いのが通例だった。ところが今では20万程度の給料でも個人事件不可とする事務所もあるようだ。
  負担金7割、8割というのは、事務所の設備と事務員を使うのだから使用の対価としてそのくらい負担するのが当然という理由だろう。あるいはそれを超えて積極的にイソ弁の売上から事務所として儲けを出そうという発想なのかもしれない。仮に給料が20万、イソ弁の個人事件の売上が年間300万、負担金8割とすると、ボス弁は年間240万円の給与を支払うが、240万円を負担金としてイソ弁から徴収できるので実質タダでイソ弁を使えることになる。
  人様の経営方針にケチをつけたくはないが、こういうのは搾取以外の何ものでもない。もちろん就職難がこれほど酷くない状態であれば、それは契約自由の問題でありイソ弁がそれでよいと言うなら批判する理由はない。しかし今の厳しい就職状況の下では雇用するボス弁側の力が圧倒的で契約自由の原則は妥当しない。このような状況で、給料が安いのに個人事件受任を不可としたり、高率な負担金を徴収するのは就職難につけ込んだ搾取だと思う。
  弁護士の就職難と勤務条件の低下は今後益々深刻になるだろう。私は後輩を大事にしない組織は絶対にダメになると思っている。今まで日弁連は、「市民のため」「国民のため」と聞こえのいいことばかり言って、弁護士会の将来を担う者達のことを真剣に考えようとしてこなかった。皮肉な見方をすれば、弁護士増員政策は、就職難にあえぐ合格者を作り出し、一部の弁護士が彼らを安い給料でこき使ったりピンハネする手伝いをしているとも言える。 

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