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2012年5月の5件の記事

2012年5月30日 (水)

B型肝炎東北訴訟でようやく初めての和解成立 全国の提訴者4186名、和解成立僅かに351名(最新の数字に訂正)、遅すぎる国の対応

  5月29日仙台地裁でB型肝炎東北訴訟で初めての和解が成立した。和解が成立したのは50歳代肝癌男性と60歳代キャリア男性の2名。いずれも昨年11月30日の提訴なので和解まで半年を要したことになる。
  昨年6月28日、幼少期の集団予防接種などによってB型肝炎に感染した被害者の救済について国と原告との間で基本合意書が締結された。これまでの全国の提訴者数は5月30日現在合計4186名(遺族原告を含むので患者数としては3865名)。この内2070名は和解成立に必要な資料を国に提出済みであるが、和解が成立したのは僅かに351名。和解成立率は16.9%に過ぎない。 国は当初、原告が和解成立に必要な資料を提出後1ヶ月以内に和解を成立させられるか追加資料を要求するか回答すると約束した。しかしその約束は全く守られていない。
  国は基本合意による救済の対象となるB型肝炎患者は全国で43万人に上り、その支給額は今後5年間で最大1兆1000億円になるとして、その財源を確保するために増税が必要と言っていた。しかし基本合意から11ヶ月を経過した現時点においても提訴者は救済対象者の1%にも満たない。その1%にも満たない提訴者ですらたったの351名しか和解に応じていない。
  それもそのはずで、提訴は各地で行うが、国の検討は提出された資料を全て法務省と厚労省に送って、その検討結果に従って各地裁で訟務検事が和解を成立させるという手順だ。そして厚労省が検討に当てている人員は4月に増員されてようや30名(それまではいったい何人でやっていたのだろう)、そのうち医官は3名だそうだ。増員したので今後は毎月300名分の資料を検討して回答することを目指すと言っている。30名でそれが可能なのかどうか怪しいものだが、可能だとしても今後1年間で3600名だから既提訴者の分を検討するにも足りない。しかし既提訴者は救済対象者の僅か1%であり、今後増加する提訴者に対応することができないことは明白だ。提訴しても1年間は指をくわえて待っていろというのが国の姿勢だ。自ら43万人の救済対象者がいると言っておきながら、また和解が遅々として進まない状況を認識しながら僅か30名しか人員を割かないというのは一体どういう神経をしているのだろう。増税の口実に利用しただけではないのか。
  また救済のために「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」を制定しておきながら、実際の広報は厚労省のホームページに載せる以外には、各都道府県に自治体や病院への周知を図るよう要請する通知書とリーフレットを送った程度だ。しかし一片の通知で自治体が積極的に動くはずもない。B型肝炎は余程悪化するまでは自覚症状がなく、職場の健診や献血で偶然気づかれる場合がほとんどだ。しかも健診では肝機能値は測定するが肝炎ウイルスの検査は通常行われない。救済対象者43万人のかなりの者は自分が感染していることにすら気づいていないと考えられる。テレビ・ラジオ・新聞などでの政府公報、病院でのポスター掲示・リーフレット備え置き、自治体ホームページや広報誌への掲載などやれることは幾らでもある。
  そしてB型肝炎特措法の救済枠組みでは、被害者は必ず提訴して裁判上の和解を成立させなければならないこととされている。しかも合意書では国の要求で、感染時カルテ・発症時カルテ・提訴前1年間のカルテなど事細かな資料の提出が必要とされている。原告に必要資料と入手方法を説明しても容易に理解してもらえず何度も問い合わせが来るのが通常だ。資料提出に非協力的な医療機関もある。とても弁護士に委任しなければ提訴できるものではない(弁護団を通じた集団提訴を行わなければそもそも裁判所がパンクするだろうが)。だから救済制度だけではなく全国の弁護団の相談先も広報しなければ実際の救済は望めない。病院の中には特措法をよく理解して、自分の病院の患者さんに積極的に制度の存在や弁護団の連絡先を教えてくれているところがある。おそらくこれが最大の広報になるであろうから、肝炎患者を診ている全ての医師がこの救済制度を理解して自分の患者さんに是非知らせて欲しいものだ。
  時の経過と共に和解に必要な資料は散逸して救済は困難になる。ことに母子感染の否定が絶対条件で、そのためには母親もしくは年長の兄弟の肝炎ウイルス検査データが必須になる。検査がなされないままで母親も年長の兄弟も死亡してしまえば救済の途は閉ざされる。国がこれを狙ってわざと広報しない、和解手続きを遅らせているとまでは言わないが、本気で救済しようとしているとは到底思われない。
  なお実務的な話になるが、特措法の救済の枠組みでは一次感染のキャリアの給付金は50万円とされ、この程度の金額のために提訴までするのはと躊躇している被害者の方もいる。しかし一度キャリアで和解を成立させておけば将来慢性肝炎などに進展した場合に改めて提訴しなくとも差額の支給を受けられる。なにより将来症状が進展した時点では母子感染を否定する資料が得られないことが十分考えられるのでキャリアでも提訴しておく意味は大きい。またHBc抗体検査の結果が陽性であっても低力価(10.0未満)なら母子感染は否定しうる。この点を誤解して陽性だから対象外だと思ってしまっている方もいると思われる。さらに母親が予防接種などで感染して、子供が母子感染したケース(二次感染)も給付の対象となる。単に母子感染だからダメではないので、この点は十分に注意して欲しい。
  B型肝炎の提訴者の内約1100名は肝癌と肝硬変だ。肝癌も肝硬変も以前と異なり不治の病ではなくなってきているが、それでも入退院を繰り返すのが通常で、死亡する方ももちろんいる。国は資料検討態勢を強化して速やかな和解成立に努力すべきは当然だが、それだけで今の遅延が解消されるとは思えない。提出資料の簡素化など抜本的な改善が急務である。
  B型肝炎被害対策東北弁護団では常設の無料相談窓口を開設しています。電話番号は022-796-0152。平日の午前10時から午後2時まで受け付けています。 ご相談いただいた方には弁護団から基本合意の内容や具体的な提訴の方法についての詳しい説明を記載した文書と、併せて今後不明な点を相談することのできる担当弁護士の連絡先を記載した文書を郵送致します。

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B型肝炎東北訴訟でようやく初めての和解成立 仙台地裁で50歳代肝癌男性と60歳代キャリア男性 全国の提訴者4127名、和解成立僅かに266名、遅すぎる国の対応

  5月29日仙台地裁でB型肝炎東北訴訟で初めての和解が成立した。和解が成立したのは50歳代肝癌男性と60歳代キャリア男性の2名。いずれも昨年11月30日の提訴なので和解まで半年を要したことになる。
  昨年6月28日、幼少期の集団予防接種などによってB型肝炎に感染した被害者の救済について国と原告との間で基本合意書が締結された。これまでの全国の提訴者数は合計4127名(遺族原告を含むので患者数としては3809名)。この内1963名は和解成立に必要な資料を国に提出済みであるが、和解が成立したのは僅かに266名。和解成立率は13.5%に過ぎない。 国は当初、原告が和解成立に必要な資料を提出後1ヶ月以内に和解を成立させられるか追加資料を要求するか回答すると約束した。しかしその約束は全く守られていない。
  国は基本合意による救済の対象となるB型肝炎患者は全国で43万人に上り、その支給額は今後5年間で最大1兆1000億円になるとして、その財源を確保するために増税が必要と言っていた。しかし基本合意から11ヶ月を経過した現時点においても提訴者は救済対象者の1%にも満たない。その1%にも満たない提訴者ですらたったの266名しか和解に応じていない。
  それもそのはずで、提訴は各地で行うが、国の検討は提出された資料を全て法務省と厚労省に送って、その検討結果に従って各地裁で訟務検事が和解を成立させるという手順だ。そして厚労省が検討に当てている人員は4月に増員されてようや30名(それまではいったい何人でやっていたのだろう)、そのうち医官は3名だそうだ。増員したので今後は毎月300名分の資料を検討して回答することを目指すと言っている。30名でそれが可能なのかどうか怪しいものだが、可能だとしても今後1年間で3600名だから既提訴者の分を検討するにも足りない。しかし既提訴者は救済対象者の僅か1%であり、今後増加する提訴者に対応することができないことは明白だ。提訴しても1年間は指をくわえて待っていろというのが国の姿勢だ。自ら43万人の救済対象者がいると言っておきながら、また和解が遅々として進まない状況を認識しながら僅か30名しか人員を割かないというのは一体どういう神経をしているのだろう。増税の口実に利用しただけではないのか。
  また救済のために「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」を制定しておきながら、実際の広報は厚労省のホームページに載せる以外には、各都道府県に自治体や病院への周知を図るよう要請する通知書とリーフレットを送った程度だ。しかし一片の通知で自治体が積極的に動くはずもない。B型肝炎は余程悪化するまでは自覚症状がなく、職場の健診や献血で偶然気づかれる場合がほとんどだ。しかも健診では肝機能値は測定するが肝炎ウイルスの検査は通常行われない。救済対象者43万人のかなりの者は自分が感染していることにすら気づいていないと考えられる。テレビ・ラジオ・新聞などでの政府公報、病院でのポスター掲示・リーフレット備え置き、自治体ホームページや広報誌への掲載などやれることは幾らでもある。
  そしてB型肝炎特措法の救済枠組みでは、被害者は必ず提訴して裁判上の和解を成立させなければならないこととされている。しかも合意書では国の要求で、感染時カルテ・発症時カルテ・提訴前1年間のカルテなど事細かな資料の提出が必要とされている。原告に必要資料と入手方法を説明しても容易に理解してもらえず何度も問い合わせが来るのが通常だ。資料提出に非協力的な医療機関もある。とても弁護士に委任しなければ提訴できるものではない(弁護団を通じた集団提訴を行わなければそもそも裁判所がパンクするだろうが)。だから救済制度だけではなく全国の弁護団の相談先も広報しなければ実際の救済は望めない。病院の中には特措法をよく理解して、自分の病院の患者さんに積極的に制度の存在や弁護団の連絡先を教えてくれているところがある。おそらくこれが最大の広報になるであろうから、肝炎患者を診ている全ての医師がこの救済制度を理解して自分の患者さんに是非知らせて欲しいものだ。
  時の経過と共に和解に必要な資料は散逸して救済は困難になる。ことに母子感染の否定が絶対条件で、そのためには母親もしくは年長の兄弟の肝炎ウイルス検査データが必須になる。検査がなされないままで母親も年長の兄弟も死亡してしまえば救済の途は閉ざされる。国がこれを狙ってわざと広報しない、和解手続きを遅らせているとまでは言わないが、本気で救済しようとしているとは到底思われない。
  なお実務的な話になるが、特措法の救済の枠組みでは一次感染のキャリアの給付金は50万円とされ、この程度の金額のために提訴までするのはと躊躇している被害者の方もいる。しかし一度キャリアで和解を成立させておけば将来慢性肝炎などに進展した場合に改めて提訴しなくとも差額の支給を受けられる。なにより将来症状が進展した時点では母子感染を否定する資料が得られないことが十分考えられるのでキャリアでも提訴しておく意味は大きい。またHBc抗体検査の結果が陽性であっても低力価(10.0未満)なら母子感染は否定しうる。この点を誤解して陽性だから対象外だと思ってしまっている方もいると思われる。さらに母親が予防接種などで感染して、子供が母子感染したケース(二次感染)も給付の対象となる。単に母子感染だからダメではないので、この点は十分に注意して欲しい。
  B型肝炎の提訴者の内約1100名は肝癌と肝硬変だ。肝癌も肝硬変も以前と異なり不治の病ではなくなってきているが、それでも入退院を繰り返すのが通常で、死亡する方ももちろんいる。国は資料検討態勢を強化して速やかな和解成立に努力すべきは当然だが、それだけで今の遅延が解消されるとは思えない。提出資料の簡素化など抜本的な改善が急務である。
  B型肝炎被害対策東北弁護団では常設の無料相談窓口を開設しています。電話番号は022-796-0152。平日の午前10時から午後2時まで受け付けています。 ご相談いただいた方には弁護団から基本合意の内容や具体的な提訴の方法についての詳しい説明を記載した文書と、併せて今後不明な点を相談することのできる担当弁護士の連絡先を記載した文書を郵送致します。 

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2012年5月21日 (月)

記事の訂正:新規登録弁護士に対する研修強化という発想 分離修習の一里塚 今必要なのは司法修習を1年6ヶ月に戻すことではないか

 日弁連特別委員会規則第12条「委員、幹事および連合会の職員は、会長の承認を経なければ、委員会の議事の内容に関して外部に発表、その他情報を漏らしてはならない。」に違反するものとしてブログ記事の削除要請を受けたので、記事の表題及び従前の記事の内容を訂正しました。私は部外秘とされない限り公表してもよいのだと誤解していましたがそうではないようです。規則を文言通りに読めば日弁連の委員は委員会以外の場所では議事内容について一切口をつぐんでいなければならないことになります。しかし今の日弁連は重要事項についても単位会に意見照会もしない(あるいは十分な時間的余裕を与えない照会しかしない)で理事会だけで決めています。対外的交渉を要する場合などは議事内容を秘密にする必要もあるでしょうが、一切公表まかり成らぬということでよいのでしょうか。以前裁判所からも記事の削除要請を受けたことがあります。僅か1日2日で削除要請が来るということはネット情報を監視しているのでしょう。

  新規登録弁護士に対する研修強化という発想をする者もいるようだ。たしかに司法修習の期間が1年に短縮され、しかも実務修習の最後の2ヶ月はほとんど意味のないものだから修習が不十分であることはそのとおりだ。しかしそれなら修習期間をせめて1年6ヶ月に戻すことを考えるべきだ。それをしないで新規登録弁護士に対する研修強化を言うのは、法曹養成制度の欠陥から目を背けた弥縫策に過ぎない。ロースクールに対する補助金を廃止ないし減額すれば修習期間を延長することなど容易いことだ。
  司法修習期間の延長を言えないのは、それを言うとだったらロースクールなどどうして作ったのか、いらないじゃないかと言われかねないからだろう。あるいは、大増員による法曹の質の低下を危惧する声に対するアリバイ作りの意図があるのかもしれない。 もちろんそれだけではなくて新規登録弁護士の支援という善意に出たものとは思う。しかし弁護士会独自で新規登録弁護士に対する研修を強化するとなると、分離修習の呼び水になる危険性が多分にある。今後日本の財政は悪化する一方だ。法曹一元など夢物語(法曹一元実現のために弁護士増員が必要不可欠だなどと言っておきながらでいまや日弁連は口にしようともしない)。大多数が弁護士になるのに裁判修習や検察修習など必要ない、修習は2ヶ月で十分、後はそれぞれが独自に研修をすればよいという意見が必ず出てくるだろう。私が財務省の立場ならそのように主張するし多分政治家も賛成するだろう。後から振り返って新規登録弁護士に対する研修強化が分離修習の一里塚だったとほぞを噛んでも遅い。
  さらに言えば新規登録弁護士は受講を義務化されるのだろうが、かなりの時間的拘束を受けることになる。必要な勉強はきちんと自分でやれる、研修など受ける暇があったら仕事をしたいという者もいるだろう。もちろんこのような研修を受けたいと希望する者も少なくないであろうが、それは自分で選択すべきものだ。研修を希望しない者にとっては迷惑千万な制度だろう。そもそも弁護士として活動するために必要最低限の能力・知識は法曹養成期間中に身につけるべきもので、もしそれが身についていないなら法曹資格を与えるべきではない。そして一旦法曹資格を得たならば、その後は自己研鑽すべきものだ。研修の機会を与えるのではなく、一方的に義務化するのは間違っている。
  善意に出た行動が実は墓穴を掘っていたとういのはよくある話だ。今やるべきは司法修習期間を1年6ヶ月に戻す運動と法科大学院課程修了を司法試験受験要件から外す運動をすることだ。法曹志望者が6000人にまで減少しているというのに、弥縫策に時間や金をかけている場合ではないだろう。


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法科大学院志願者も16%減 司法試験に続き、適性試験も  ロースクールはもう終わっている ロースクール修了を司法試験受験資格から外すべきだ

リンク: 東京新聞:法科大学院志願者も16%減 司法試験に続き、適性試験:社会(TOKYO Web).

 日弁連法務研究財団などでつくる「適性試験管理委員会」は18日、法科大学院の志願者に1次試験として課す適性試験(27日と6月10日実施)の志願者数が速報値で延べ1万1160人となり、昨年より2172人(16%)減ったと発表した。
  16日から実施の今年の新司法試験も2006年の開始後、初めて受験者が減ったことが分かっている。
 志願者減に管理委は「入学定員の削減や司法試験合格率の低迷が影響したのではないか」としている。
  適性試験は大学入試センターも行っていたが、昨年から一本化され、新方式では2度目。27日分の志願者は、5186人(昨年比760人減)。(共同)

参考
  志願者数の推移(日弁連法務研究財団大学入試センター)
第1回(平成15年、2003年) 20,043人39,350人
第2回(平成16年、2004年) 13,993人24,036人
第3回(平成17年、2005年) 10,725人19,859人
第4回(平成18年、2006年) 12,433人18,450人
第5回(平成19年、2007年) 11,945人15,937人
第6回(平成20年、2008年) *9,930人13,138人
第7回(平成21年、2009年) *8,547人10,282人
第8回(平成22年、2010年) *7,820人
*8,650人
  実受験者数の推移
第1回(平成15年、2003年) 18,355人35,521人
第2回(平成16年、2004年) 12,249人21,429人
第3回(平成17年、2005年) *9,617人17,872人
第4回(平成18年、2006年) 11,213人16,680人
第5回(平成19年、2007年) 10,798人14,323人
第6回(平成20年、2008年) *8,940人11,870人
第7回(平成21年、2009年) *7,737人*9,370人
第8回(平成22年、2010年) *7,066人
*7,909人
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51953078.htmlから引用

  平成23年の2回分を合計した実受験者数は7,249人だから、16%減だと6,089人になる。
  ロースクールの平成23年度の定員の合計は4493人。倍率1.35、合格率73.7%の試験ということになる。もっとも定員割れが酷いので実入学者数は3600人程度と言われている。それでも倍率1.69、合格率59%の試験だ。もはや競争性が確保されているとはいえない。母集団がこれでは司法試験の合格率は20%台でも多すぎる。
  司法試験を受けるには僅かな予備試験ルートを除けば法科大学院課程修了が必要とされる。法科大学院に入学するには必ず適性試験を受けなくてはならない。従って適性試験の実受験者数が法曹志望者ということになる。その法曹志望者数が僅か6089人まで減少しているわけだ。法曹界は学生から見放されつつあると分析すべきだろう。
  志願者減に管理委は「入学定員の削減や司法試験合格率の低迷が影響したのではないか」としているが馬鹿言ってもらっては困る。実入学者数は入学定員の8割に過ぎない。そんなもの削減したところで影響するはずがない。司法試験合格率の低迷と言うが、かつての司法試験の合格率は2%台に過ぎなかった。それでも法曹志望者数が減少することなどなかった。ロースクールの学費、多くの学生がダブルスクールとして通う予備校の学費、在学中及び合格までの生活費の負担が大きすぎること。それと司法修習生の就職難が法曹志望者数減少の原因であることははっきりしている。日弁連が牛耳る「適性試験管理委員会」が現実に目を背けているだけだ。
  しかし日弁連が目を背けたところで学生は正直だ。多額の借金を背負ってまで(経済的には)将来に希望を持てない法曹界に入ろうとしないのは当然の選択だろう。司法試験合格者数削減に舵を切ったところで直ぐに司法修習生の就職難が改善されるわけではないし、今後の弁護士の経済的困窮が回避されるわけでもない。しかしその上でなお有意な法曹志望者を確保しようとするなら、せめて法科大学院課程修了を司法試験の受験資格から外して経済的負担を軽減するべきだろう。何もロースクールを廃止すべきというのではない。ロースクールが真に法曹養成制度として社会的有用性を持っているのであれば存続し続けるだろう。本来ロースクールで学ぶか、独学か、独学と予備校併用か、それは法曹志望者が選ぶべきことだ。
  弁護士という職業は経済的な魅力は失われつつあるが、社会正義の実現に寄与しうるという意味での職業的魅力は決して失ってはいないはずだ。 しかしこのまま手を拱いていてはそのような職業的魅力から弁護士を志望する学生すら失うことになる。ロースクールは既に法曹養成制度としては終わっているのだという認識を持たなければ、5年後、10年後には司法試験合格者は、出来のよくない金持ちのボンボンだらけになっていることだろう。それで一番被害を被るのは依頼者である一般市民だ。

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2012年5月15日 (火)

弁護士会の会費最高額は釧路弁護士会の年額115万4400円 よく暴動が起きないもんだ 弁護士会は身の丈にあったコアな部分に会務を縮減すべきだ

  仙台弁護士会の全員協議会で会の財政問題が議論されるとのことなので弁護士会の会費について調べてみた。すると弁護士会の会費最高額は釧路弁護士会の年額115万4400円、よくぞこれだけ高い会費を払っているものだ。税金より高い会員もいるんじゃなかろうか。ちなみに最低額は埼玉県弁護士会50万6400円。会員数が一番多い東京弁護士会は58万4400円。仙台弁護士会は68万8800円。それにしても高すぎる会費だ。仮に65歳まで35年間弁護士をやるとすると釧路弁護士会だとなんと4040万円、仙台弁護士会でも2410万円支払うことになる。家一軒買える金額だ。士業団体の会費としてはギネスブックに載るんじゃないか。http://www.moj.go.jp/content/000077010.pdf
  しかし実は弁護士の会に対する負担はこれだけではない。東京弁護士会では法律相談センターで法律相談を担当すると相談料の20%、事件を受任すると弁護士報酬の100万円以下の部分10%、100万円を超え500万円以下の部分15%、500万円を超える部分20%を手数料として消費税を加えて弁護士会に納付しなければならない。何で消費税がかかるのだろう?それだけではない。破産管財人等裁判所の任命する者の報酬中5%相当額を会員特別負担金として納入しなければならない。成年後見人の報酬ですらその5%を納付するとされている。http://www.moj.go.jp/content/000077790.pdf
  弁護士会が選任するわけでもないのにどういう理屈でピンハネできるのだろう。内部自治の問題だから規則で決めれば理屈は不要ということか?これに比べれば仙台弁護士会は法律相談センターで受任した事件の報酬の10%だけだからまだ良心的な方なのかもしれない。
  法律相談センターの運営には人件費や広報費がかかるので運営に必要な限度では一定の手数料は支払うべきだと思う。しかし仙台弁護士会では運営に必要な限度を超えて負担金会費として徴収している。しかしその分は本来事件を受任した会員が得るべきであって会がピンハネしてよい理屈はない。むしろ負担金を納付しない会員との間で不平等が生じる。運営費用の範囲内に負担金を減額すべきだろう。
 
そうなると会費を値上げしなくてはならないとの反論があろうが、現在の会費は本当に適正な額なのだろうか。仙台弁護士会の一般会費(日弁連会費、特別会費を除いた会費)は2万6200円。全国最低額の埼玉県弁護士会のそれは1万3000円(静岡県は1万2000円だが支部会費というのがあるので実質埼玉県が最低)。一弁、二弁、横浜は2万500円だから単に会員数の違いでは説明できない。仙台弁護士会も会費値上げを考える前に埼玉県弁護士会や静岡県弁護士会が何故会費を低く抑えられているのか調査した方がよいだろう。工夫すれば負担金を減額しても会費を値上げしないでやっていけるのではないか。そしてもしどうしても無理なら会務を減らせばよいことだ。
  私が入会した20年前は仙台弁護士会の職員は5人しかいなかった。法律相談センターの相談件数も僅かで、負担金会費は微々たるものだった。それでも今より少ない会費で十分運営できていた。それが今では事務職員は何人いるのか分からないくらい増えている。それだけ会務の量が増えたのだろうが、本当に弁護士会が会務としてやらなくてはならないものなのかどうか20年前に立ち返って検討してみてはどうか。
 
会員数の増大に伴って入会金を含めた会費収入総額は増えている。日弁連を例にとればその一般会計の総収入は、2001年に33億8692万円だったのが2010年には62億5945万円と倍近くになっている。会員が増えればそれに比例して支出が増えるという関係にはないから、本来であれば会費は減額できるはずだ。それを全く野放図に増えた会費を全部使ってしまっている。大部分がゴミ箱に直行するのに、日弁連が作る冊子やパンフレットの豪華なこと。コスト意識が感じられない。
  何も現在弁護士会が行っている会務が社会的に無駄だとか不必要だとか言うつもりはない。しかし社会問題に対する会員の関心や取り組みは多種多様であり、社会正義に資するというだけでそれを会務に取り込むことが正当化されるわけではない。社会正義や人権擁護に会員が個人として取り組むのは自由だし賞賛されるべきだが、会費を使って会務としてやるべきかどうかはコストを含めて慎重に検討されるべきだ。現在日弁連も多くの単位会も司法改革の美名の下に膨張主義をとっているように思われてならない。しかし野放図な会務の拡大は弁護士会の財政規律を歪め、会員の弁護士会離れを加速するだけだ。
  弁護士大増員が続く中で、今後弁護士は困窮化することはあっても今より経済的に豊かになることはあり得ない。今後も急増するであろう若手会員がこんな馬鹿高い会費や負担金を払い続けることができるとは到底思われない。もし弁護士会が強制加入団体であり続けたい、そうでないと社会正義と人権擁護の職責は果たせないと考えるのであれば、身の丈にあったコアな部分に会務は縮減すべきではないか。 

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