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2013年1月23日 (水)

仙台地裁の通常民事訴訟事件の新規提訴数激減 個人や中小企業を顧客とする弁護士の受任件数はせいぜい2~3件と推測される 弁護士は淘汰を甘受するのかそれとも濫訴に走るのか

  地方裁判所の通常民事訴訟事件は事件番号に(ワ)がつくのでワ号事件と呼ばれる。このワ号事件がこれまで弁護士の業務量、収入の主力を占めてきた。私が平成22年12月に仙台地裁に提訴した事件の番号は平成22年(ワ)第2475号、平成23年12月に提訴した事件は平成23年(ワ)第1905号、平成24年12月に提訴した事件は平成24年(ワ)第1532号だった。提訴時期はほぼ同じなので事件数が激減しているのが分かる。まだ平成24年の統計は公表されていないがおそらく仙台地裁の新規提訴数は1600件位だろう。
  訴訟には原告と被告があるので、弁護士の受任対象となる事件数としては3200件になる。弁護士の選任率(一方または双方に付いた関与率とは異なる)は約50%なので1600事件ということになる。仙台弁護士会の弁護士数は約400人だが、実働はおそらく約360人と思われる。これで計算すると1人当たり4.4件ということになる。
  もっとも銀行、政府系金融機関、保証会社、クレジット会社、サービサー、損保会社などを顧客とする弁護士は受任件数が格段に多い。そういう弁護士は1人年間20件30件はざらだろう。そういう弁護士を含めた平均が4.4件なので、専ら個人や中小企業を顧客とする弁護士の受任件数はせいぜい2~3件と推測される。もはや弁護士業務の主力とは言えない。経済が停滞している一方で弁護士数を激増させたのだから当然の結果なのだが、実際に数字として見ると深刻さが分かる。
  民事訴訟以外でも、刑事事件、破産事件、過払いを含む債務整理は減少の一途。家事事件は横ばいで、増えているのは労働審判くらいだ。現時点での影響は司法修習生の就職難という形でしか顕在化していないが、早晩既存弁護士の廃業という形で現れてくるだろう。
  それはもはや止めようがないように思われる。仮に来年から合格者数を1000人にしたところで(そのような可能性はほとんどないが)、既に急激に増やし過ぎてしまったので需要と供給のバランスが回復されるまで淘汰が続くというのが経済法則からして当然だ。 弁護士会多数派が自ら招いた結果であるから弁護士界としては甘受するしかない。
  国民にとって怖いのは淘汰回避のための濫訴に巻き込まれることだろう。現在少なくともまともな弁護士は、勝訴の可能性の低い事件は受任しない、また勝訴の可能性はあっても実際の回収可能性が低い場合も受任しないのが通常だと思う。それは弁護士費用をかけてまで弁護士を依頼する経済的メリットがないと判断される場合には、そのような依頼は受けないことが相談者の利益と考えるからである。よく消費者団体などから消費者事件を引き受ける弁護士が少ないと言われることがあるが、それは悪徳業者からの回収可能性が低いという理由で受任しないことを誤解しているだけだと思われる。もちろん経済的メリットは乏しいと思われても、社会的意義がある場合や依頼者の納得のためという理由で例外的に受任する場合はあるが。私が専門にしている医療過誤訴訟の場合は特に勝訴率の低い訴訟類型なので受任のハードルは高く設定している。もし勝訴の可能性がなくはないという事案を全部引き受けるという方針に転換すれば事件数は3倍以上、着手金収入も3倍以上に増えるだろう。しかしそれが依頼者のためになるとは思われない。
  ところが事件が減って廃業の危機が迫っているとなれば弁護士もそんなことは言っていられなくなる。所詮裁判はやってみなければ分からないという面があるので、勝訴の可能性が全くないわけではないという事件を引き受けても違法ではない。しかしそのような事件受任が常態化すれば、相手方にとっては無用な応訴の負担を強いられるし、依頼者にとっても弁護士費用を無駄にするだけということになる。それは弁護士が食べていくためだけの濫訴にすぎない。
  ディスカバリーの制度、懲罰的慰謝料の制度、訴訟類型に応じた立証責任の軽減の制度などが導入されれば提訴数が増加することは考えられるが、現状では弁護士が増えても事件数が増加する要素は見当たらない。もし今後新規提訴が大幅に増えるようならそれは弁護士が濫訴に走っていると考えてよいだろう。
 

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