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2013年9月20日 (金)

「相談乗れば非弁行為? 富谷の弁護士資格職員、力発揮できず」 仙台弁護士会が本当にこんな誤った指摘をしたのか?

  宮城県富谷町が4月に採用した弁護士資格者の職員が期待された力を発揮できずにいる。職員は弁護士登録しておらず、法律相談に乗るなどすると弁護士法違反(非弁行為)に当たる恐れがあるためだ。町は13日、登録へ向けた条例改正案を町議会9月定例会に出したが否決され、状況を打開できなかった。
  町が任期3年の期限付きで司法修習修了者の職員採用を決めたのは昨年12月。当初は町民の法律相談や行政訴訟への対応などの職務を想定していた。公務員の兼職禁止に触れないよう、弁護士活動に必要な弁護士会への登録をしないのが条件だった。
  しかしその後、仙台弁護士会から「弁護士会に登録のない者が業務を行うと非弁行為に当たる」と指摘があり、町は法律相談などを自粛した。
  現在、職員は条例作成時の審査・助言などに当たっている。
  13日の町議会では、職員の給料を月7万7000円増額し、弁護士会への登録費用に充てさせる条例改正案が出されたが「精査が甘い」「採用時の条例から作り直すべきだ」などと批判され、7対11の反対多数で否決された。
  若生英俊町長は「町側の思いが伝わらず残念。高い専門性を持つ職員の有用性は想定以上で、活躍の幅が広がるよう対策を考えたい」と話した。
 河北新報 最終更新:9月14日(土)8時48分

 

  仙台弁護士会から『弁護士会に登録のない者が業務を行うと非弁行為に当たる』と指摘があり」と書いてあるが、これは本当なのだろうか。にわかに信じられない。
  法曹有資格者である自治体職員の法律相談が弁護士法72条に違反するかどうかは、職員の給与が法律相談の対価性を有するかどうかの問題だ。「職員への給与が報酬と捉えられるため、弁護士登録をせずに市民法律相談を受けるのは違法」という見解は、弁護士を大量に職員に採用した明石市の見解だ。しかし到底説得力を持たないと思う。
  給与の性質は給与全体として評価すべきものであって、職員が遂行する業務を細分化して、それぞれの業務と給与との対価性を論じるなど常識外れだ。法律相談以外の業務を一切行わない場合や、通常の給与とは別に法律相談についての加算給を受けている場合は別であるが、そうでない限り給与は職員の業務遂行全体の対価と考えるべきだ。従って業務の一環として法律相談を行ったとしても、給与は法律相談との関係では個別的対価性を欠くので「報酬」に当たらず、弁護士法72条違反にはならないと考えるべきだろう。少なくとも解釈として両説あり得るのに「非弁行為に当たる」と断定したとすれば仙台弁護士会の指摘は極めて不適切だ。
  それにしてもこの仙台弁護士会の指摘とはどのような機関で意思決定され、誰の名前で富谷町に伝えられたのだろう?仙台弁護士会の意思表明は全て会長名で行われるはずで、富谷町が自粛したからにはやはり会長名で伝えたのだろう。会長が独断でやるとは思えないので少なくとも執行部会にはかけたのだろう。しかし本来このような重要な意思決定をするのであれば、非弁調査を任とする業務対策委員会に諮問し、その答申を踏まえて常議員会の議を経て決定すべきものだ。執行部が独断で決めてよい事柄ではない。それともきちんとした手続きを踏んでいるということか?だとしたら常議員会はいったい何をやっているのだろう。
  日弁連は、自治体職員として弁護士の需要があるから弁護士増員が必要なのだと一貫して主張してきた。ところが蓋を開けてみたら自治体は弁護士登録は必要ない(むしろ兼職禁止に抵触する)として、弁護士会費の公費無担をしない。そのため法曹有資格者が職員として任用されても自腹を切ってまで弁護士登録をしようとはしない。そこで何とか弁護士登録を進めようとして、登録しなければ非弁だなどと難癖を付けているとしか思えない。
   しかしそもそも、弁護士会が普通の人では到底払う気になれないほど高額の会費を強制徴収していることが問題なのだ。
  必要でもないのに職員の給料を月7万7000円増額する議案など否決されて当然だろう。富谷町議会は良識ある判断をしたと言える。ところでなんで「月7万7000円の増額」なのだろう?仙台弁護士会の会費は5万1600円だ。
  富谷町長は 「当初は町民の法律相談や行政訴訟への対応などの職務を想定していた」「高い専門性を持つ職員の有用性は想定以上」 などと言うが認識を誤っていると思う。この職員の経歴や属性を知らないのであくまで一般論であるが、僅か1年間の司法修習を修了しただけで十分なOJTも受けていない者だとすれば法律相談に過大な期待を持つことなどできない。まして数ある訴訟類型の中でも難しいとされている行政訴訟を単独で遂行することなどできるものではない。法曹有資格者であれば「高い専門性を持つ」などというのは幻想に過ぎない。

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» 議案第1号 富谷町一般職の任期付職員の採用等に関する条例の一部改正条例否決について [富谷町議会ウォッチ]
この否決案件について、私は取り上げるべきか大変迷いました。 この条例が特定の職員(弁護士)を対象としており、議員がこの職員に対して大変失礼な発言を繰り返しているからです。 弁護士さんとはいえ、町長や副町長などとは異なりあくまでも一職員です。町のために弁護士事務所を退職してまで来てくれた方に、本人のいないところで議事録のような常識を疑う発言しているのを見て、正直言って嫌悪感をいただかざ...... [続きを読む]

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