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2013年9月 6日 (金)

ブラック事務所に行くべきか即独すべきか

  選択修習も終わりに近づき、司法修習生の就職戦線もいよいよ終盤にさしかかっているようだ。これまでも司法修習生や就職の相談を受けた若手弁護士の間で、あの事務所はやめておいた方がよいとかいう話はよく聞かれた。最近ではそういう事務所について公然とブラック事務所という言葉が使われるようになった。仙台弁護士会でもブラックと呼ばれる事務所は一つや二つではない。どのような事務所がブラックと呼ばれるかだが、第一に勤務弁護士が短期間でやめていく事務所だ。もちろん勤務弁護士側に問題があって出される場合もあるので単に勤務弁護士が居着かないというだけでブラックとされるわけではないが。次は個人事件不可で毎日深夜までこき使われる事務所だ。あとは個人事件の負担金(事務所に上納する金額)が高いところだ。いまや5割は普通だそうだが7割、8割となるとブラックと呼ばれても仕方ない。真偽のほどは分からないが中には10割負担もあるという。個人事件はやってもよいが着手金も報酬も全額事務所に入れさせるわけだ。個人事件を受任して経験を積める可能性があるという意味では個人事件不可よりましかも知れないが、苛斂誅求というものだろう。江戸時代の年貢でさえ五公五民が普通だった。今の勤務弁護士は江戸時代の百姓以下ということか。
  かつてはこんなブラック事務所は司法修習生に相手にされなかったが、今やブラックと知りつつ就職せざるを得ない状況に追い込まれている。65期の中にはなかなか就職が決まらず、ブラックとブラック前門の狼と後門の虎の間で究極の選択を迫られた者もいたようだ。
  6年前私が副会長の時に仙台弁護士会は弁護士人口増員見直しの決議をした。当時はまだ3000人増員路線は絶対視されており、決議に反対する会員も相当数いた。いわく「司法改革の理念を後退させるな。弁護士の需要はまだまだある。過疎偏在をどうする」。現在顕在化している司法修習生の就職難、弁護士の経済的困窮、それによる不祥事の増加、弁護士に対する信頼低下、法曹志望者の減少はいずれも当時から既に危惧されていた。だからこそ直ちに見直す必要があると言ったのに、手を拱いている間に危惧が現実化してしまった。今更過去のことをいっても仕方がないのであるが、増員路線を積極的に推し進めた会員や見直しに反対した会員には、無理してでも勤務弁護士を採用する責任があると思う。事実決議に強く反対した会員のうち二人の会員は、その後積極的に勤務弁護士を採用して事務所規模を拡大している。考え方は違えど言行一致のその姿勢は高く評価されるべきだろう。しかしそのような会員はごく少数で、散々偉そうに司法改革の理念を語っていた会員の多くは知らんぷり。明らかに余裕があると思われるのに勤務弁護士の採用に消極的な方もいる。名指ししたいくらい腹立たしいが。
  といくら吠えたところで就職難が解消するわけでもない。ブラック事務所でも就職すべきか即独すべきか迷っている司法修習生もいるだろうが、私はブラックに行くくらいなら即独をお勧めする。どうせブラック事務所で長いこと耐えられるわけがない反面、今後弁護士の経済状況は悪くなる一方だ。先延ばしすればそれだけ独立後の状況は悪くなるのだから時期を遅らせる理由はない。幸い今なら宮城、岩手、福島の被災3県では、個人の法律相談については法テラスが相談料を負担してくれる。再来年の3月までは実質的に相談料を得ながら無料相談を行うことができる。無料化されているので、弁護士会の法律相談件数も他の弁護士会と違って増加している。分からないことがあってもメーリングリストで聞ける体制があるし、仙台弁護士会には見ず知らずの若手から相談されてもきちんと教えてあげる風土は残っている。今なら何とかなると思うのだが。
  ただし一人での即独はやめた方がよいだろう。3人くらいで共同事務所を作れば工夫次第で相当な費用節減ができるはずだ。また相談者から見て、一人事務所と3人くらいの弁護士のいる事務所では信頼感はまるで違う。我々が一人の医師しかいない診療所と3人の医師のいる病院のどちらを選ぶか考えれば分かることだ。あとはホームページを工夫したり、JCに入って名刺を配りまくれば何とか事務所を維持できると思うのだが。
 

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