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2014年4月22日 (火)

仙台市民オンブズマンが宮城県議会議員の海外視察について差し止めの監査請求 なんとホテル一泊5万3000円

宮城県知事措置請求書
                                                    平成26年4月22日
宮城県監査委員 御中

                          請求人 〒980-0021
                                  仙台市青葉区中央4-3-28 朝市ビル3階
                                  仙台市民オンブズマン代表
                                                野   呂       圭
                                            電話 022-227-9900
                              
 地方自治法第242条1項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求する。

第1 請求の趣旨
      宮城県知事は、別紙の第1項及び第2項の宮城県議会議員の派遣について、一切の公金を支出してはならない。
      との措置を求める。
      
第2 請求の理由
  1 当事者
  (1) 請求人は、国および地方公共団体等の不正、不当な行為を監視し、その是正を求める活動等を行うことを目的とする権利能力なき社団である。
  (2) 別紙の第1項及び第2項において派遣されようとしている議員は、いずれも宮城県議会議員である。別紙第1項記載の議員は自由民主党・県民会議、第2項記載の議員は、みんなの党・無所属の会に属している。
  2 宮城県議会における議員派遣の決定
      宮城県議会は、平成26年3月20日、別紙の第1項及び第2項の議員派遣を決定した。
  3 地方自治法第100条13項の意味内容、議会の裁量
  (1) 地方自治法第100条13項
        地方自治法100条第13項は、「議会は、議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のためその他議会において必要があると認めるときは、会議規則の定めるところにより、議員を派遣することができる。」と定めている。
  (2) 議員派遣の要件
        上記のとおり、議員の派遣は、議会が決定できるものとされているが、これは議会に自由裁量を認めたものではない。「議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため」でありさえすれば自由に派遣できるのではない。「その他議会において必要があると認めるとき」とされていることからすれば、あくまで「議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関して具体的に調査の必要性がある場合」及び「これらに準じる事項について具体的に必要性がある場合」に限られる。ただその「必要性」の判断に当たっては議会に一定の裁量権が与えられていると考えられる。従って派遣の目的、場所、期間等に照らして「必要性が乏しい場合」には裁量権を逸脱するものとして違法となる。
        地方自治法2条第14項は、「地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、最小の経費で最大の効果をあげるようにしなければならない」としている。このことからすれば、経費の支出を伴う議員の派遣については、「必要性」の判断に当たって「経費に見合った効果が見込める場合」か否かが検討されねばならない。もちろん「経費に見合った効果が見込める場合」であるかどうかについても議会に一定の裁量権が認められるが、派遣の目的、場所、期間等に照らして「経費に見合った効果が見込めそうにない場合」には、裁量権を逸脱するものとして違法となる。
  (3) 議会の自律性
    議会の裁量権行使の適否の判断に当たっては、一般的には議会の自律性の観点からある程度穏やかに判断すべきとされている。しかしこと議員の派遣についてはそのような考えをとるべきではない。何故なら議員の派遣は、同僚である議員についての議会の判断であるから、常に「お手盛り」の危険が存在する。この「お手盛り」の危険を避けるためには、「必要性」「費用対効果」について厳格な判断がなされなければならない。
    この点を緩やかに判断したのでは、県民の税金の浪費を許し、ひいては地方議会に対する市民の信頼を失わせ、県民の納税意欲や勤労意欲にすら影響を与えかねない。さらに言えば、県民の代表である議員がお手盛りで税金を浪費するとなれば、当該自治体の議員の見識の低さ、ひいては自治体全体の見識の低さが疑われることすら危惧される。
  (4) 海外視察に関する裁量の幅
        宮城県議会規則第130条は「地方自治法第100条13項の規定により議員を派遣しようとするときは、議会の議決でこれを決定する。ただし、緊急を要する場合は、議長において議員の派遣を決定することができる。2 前項の規定により議員の派遣を決定するに当たっては、派遣の目的、場所、期間その他必要な事項を明らかにしなければならない。」と規定する。
        海外視察は派遣先が海外であるから、国内で議員を派遣する場合と異なり、著しく多額の費用支出を伴う。従って「必要性」「費用対効果」について、国内で議員を派遣する場合に比して、格段に厳格な判断がなされなければならない。
        宮城県議会議員の海外視察に関する取扱要領第2では,「議会は,議員を海外に派遣するときは,あらかじめ定める予算の範囲内において行うことができる。」とされており,平成18年10月2日付の議員海外調査費について(通知)によれば,海外視察は、任期中に2回まで、合計で90万円の支給を認めている。これは議員に任期中2回、90万円の費用支出を伴った海外視察をし得る特権を与えたものではない。その趣旨は、法100条第13項及び規則第130条によれば議員派遣の費用や回数に制限が設けられていないところ、海外への議員派遣については高額になりがちなので上限を設けて制限するところにある。従って上限まで無条件に支出しうるものでないのは当然であるが、むしろ上限に近い費用を要するとされる議員派遣については、その「必要性」「費用対効果」について厳格な上にも厳格な判断がなされなければならないことを意味する。
  (5) 具体的に審査すべき内容
        当該議員の目的が重要であるか、視察先の選定が適切な過程を経てなされているか、視察先の選定が目的に照らし適切か、視察先での視察内容及び視察する時間が視察目的と照らして適切か、全行程の中で視察に宛てられる時間、予想される報告内容、目的と実態が異なっていないか、宿泊施設、利用する交通機関等に不相応に過大な費用支出がないかなどを厳密に審査すべきである。
        そして、上記内容に疑問点があれば、当該議員に対し聴き取り調査を行うなど適切な方法を執るべきである。
  (6) 被災自治体であることの特殊性について
    ア 上記において,海外視察の支出の審査について述べたが,宮城県議会の場合, 議員派遣の「必要性」「費用対効果」を判断するに当たっては、宮城県が東日本大震災の被災県であって、いまだ復興途上にあることが十分に考慮されねばならない。
    イ 未曾有の被害をもたらした2011年3月11日の東日本大震災から3年が経過した。避難生活を送っている人は、今なお26万7419人(2月13日現在)、宮城県だけでも9万人を超えている。
       仮設住宅での生活を余儀なくされている入居者もまだ10万2650人(8県で4万6275戸)と10万人を超え、住まいの復興は遅れている。
         産業の復旧・復興状況を見ると、大震災の前の水準を回復している割合の高い業種は、建設業(66%)、運輸送業(42・3%)に集中し、東北の地場産業である水産・食品加工業(14%)や卸小売り・サービス業(30・6%)の回復はまだ進んでいない。また、被災自治体全体で、事業所の減少や人口流出などにも直面し、今後の生活のメドが立っていない被災者も少なくない。
    ウ 宮城県の「東日本大震災の発生から3年~宮城県の現状・課題、取組について(宮城県)」では被災自治体として宮城県が直面している課題について次のように報告している。
       
        『(1) 住まいの確保(仮設住宅、災害公営住宅)
        平成26年2月末現在、約3万7千戸の応急仮設住宅(民間賃貸借上住宅等を含む)に約8万7千人の方が入居を余儀なくされていることから、災害公営住宅の整備が喫緊の課題となっています。しかし、災害公営住宅の完成は2月末現在で約1万5千戸の計画戸数中、330戸と約2%にとどまっています。住環境の改善が進まないことが、被災者が復興を実感しにくい要因の一つと考えられることから、早期の完成に向けて取り組んでいます。一方、自力で住宅を再建できない方は、仮設住宅等での生活が長期化してしまうといった問題も懸念されています。
        (2) 被災者の心身のケア
         仮設住宅等における、不安定で不自由な生活の長期化に伴い、生活不活発病の増加や高齢者の要介護度の悪化等に加えて、うつ病やアルコール依存症の増加といった被災者の心の問題の深刻化がみられます。このため、高齢者等を見守る「サポートセンター」の強化を図るとともに、被災者の心のケアの活動拠点となる「心のケアセンター」を設置し対応しています。また、被災した子どもたちの多くに、つらい震災経験等に起因するストレスによる、精神的変調や問題行動の増加が懸念されており、きめ細かい支援を継続的に行う必要があります。
        (3) 県外避難者への対応
         現在、全都道府県に約8千人の被災者を受け入れていただき、様々なご支援をいただいています。
        2.復興まちづくり
         かつてない規模で展開される市街地や集落の再建を同時並行して進めなければならないものの、復興まちづくり事業に従事する職員の不足をはじめ、資材や人件費の高騰、事業用地の確保や関係者間の合意形成の遅れ等が事業の進捗に影響を及ぼしています。平成26年2月末現在、防災集団移転促進事業により住宅建設可能となった地区は194地区中9地区(約5%)、また、被災市街地土地区画整理事業による工事着手地区は34地区中11地区(約32%)の進捗にとどまっており、事業の加速化を図らなければなりません。
        3.保健、医療、福祉
         全県的に見ると、被災した医療機関や社会福祉施設の復旧は進んでいるものの、震災前から医師等が特に不足していた沿岸部における医療機関(無床診療所や歯科診療所を含む)の再開率は、石巻地域で約89%、気仙沼地域で約73%にとどまっています(平成25年9月現在)。このため、引き続き施設の復旧を進め、将来に向けて必要な地域医療を担う医師などの安定的な確保に努めるとともに、高齢者や障がいのある人も地域で安心して暮らしていけるよう、保健・医療・福祉分野の連携による地域包括ケア体制の確立・充実を図る必要があります。
        4.雇用の確保
        被災者が安定的な生活を営むためには、雇用の確保が喫緊かつ重要な課題です。雇用情勢を見ると、平成26年1月の有効求人倍率は県全体で1.31倍と、復興需要などにより震災直後と比較して大幅に改善していますが、希望する職種や賃金等のミスマッチにより、求人・求職者のバランスに差が見られます。また、復興需要が落ち着いた後の雇用機会の縮小が懸念されています。
         5.地域産業の再生
        (1) 第1次産業の早期復興
         本県の基幹産業の一つである水産業の壊滅的被害をはじめ、第1次産業の被害も甚大でした。平成26年2月末現在、農地については除塩などにより約68%の復旧工事が完了していますが、高齢化等による従事者の大幅な減少が見込まれており、農地の面的集約や経営の大規模化による競争力のある経営体の育成等が急務となっています。
         水産業については、漁港の本復旧工事の着手が進み、また、主要魚市場の水揚げ量も回復しつつありますが、冷凍冷蔵施設や水産加工施設等の受入機能の復旧に遅れが見られるほか、震災により失った販路の回復等が課題となっています。
        (2) 被災事業者の事業再開
        平成26年1月末現在、中小企業等グループ補助金の交付を受けた事業者のうち、復旧が完了した事業者は約65%にとどまっています。資材の高騰による施設設備の再建工事の遅れや取引先の喪失による受注の減少、更にはスキルを持った従業員の転出など、時間の経過に伴い、地域の産業再生を図っていく上での様々な課題が顕在化していることから、これらの課題の解消に向け、県内企業の生産水準の回復に全力を挙げて取り組んでいます。
         6.インフラの復旧
         道路等のインフラについては概ね復旧が完了し、空港・港湾の利用状況も震災前の水準を回復しつつあります。その一方で鉄道については、一部区間で今なお運休を余儀なくされており、復旧の遅れが人口流出に影響する恐れがあることから、内陸へのルート変更などの津波対策を踏まえ、復興まちづくりと一体となった再整備を迅速に進める必要があります。』
    エ 議会が今議員を派遣すべき場所は、今なお悲惨な現状にあるこれらの地域である。議会が今審査すべき議案はこれらの課題についての議案である。議会が今調査すべき宮城県の事務はこれらの課題への取組状況であり,上記の課題に対して具体的な必要性がなければ,そもそも不必要な調査であると推定されると言うべきである。
  (7) 今般の議員派遣について
        上記基準に従う限り、別紙第1項及び第2項の議員派遣について、宮城県が支出をすることは、地方自治法第100条13項に違反する。
        以下、具体的に述べる。
  4 ベトナム社会主義共和国への企業進出推進等に関する調査(別紙第1項)について(甲1第2頁~)
    (1) 視察の目的
        ア 本視察の目的は,「ベトナム社会主義共和国における本県企業の進出実態、現地地方政府による企業進出奨励策、工業団地・新市街地形成状況、第一次産業の実態に関する調査」とされている。
        イ しかし,前述したとおり,宮城県は,「中小企業等グループ補助金の交付を受けた事業者のうち、復旧が完了した事業者は約65%にとどまっています。資材の高騰による施設設備の再建工事の遅れや取引先の喪失による受注の減少、更にはスキルを持った従業員の転出など、時間の経過に伴い、地域の産業再生を図っていく上での様々な課題が顕在化していることから、これらの課題の解消に向け、県内企業の生産水準の回復に全力を挙げて取り組んでいます」とされているように、被災事業者は震災からの復旧すらおぼつかない状況なのである。「希望する職種や賃金等のミスマッチにより、求人・求職者のバランスに差が見られます。また、復興需要が落ち着いた後の雇用機会の縮小が懸念されています」というように雇用情勢も厳しいのである。そのような時に「ベトナム社会主義共和国における本県企業の進出実態、現地地方政府による企業進出奨励策、工業団地・新市街地形成状況」など調査する必要はさらさらない。
         また発展途上国であり、高齢化もしていない「ベトナムの第一次産業の実態に関する調査」などする必要性などない。
      ウ このように,本件の調査目的は,そもそも現在の県政にとって,全く重要でないものである。
    (2) 視察先での視察内容及び視察時間
        ア 今回の視察では、視察先施設が特定されているものについて、その訪問時間は1時間から1時間半である。
            しかし、現地の視察先とのやりとりは通訳を介してなされるところ、通訳を介するとコミュニケーションをとるのに倍以上の時間がかかる。
          挨拶にかける時間も考慮すると、実質コミュニケーションをとれるのは30分~45分程度である。この時間設定が適切なものであるか、疑問である。
      イ 5月8日の午後に予定されている訪問先「市内商業街区」は、場所が特定されていないにもかかわらず、3時間の時間設定がなされている。これは、付近の観光に中てられる可能性が非常に高く、精査の必要性が非常に高い。
    (3) 宿泊施設、交通機関等に不相応に過大な支出がないか
          日本からの往復に使用される飛行機はビジネスクラスであるほか、宿泊施設は、「シェラトン・サイゴン」であり、現地の高級ホテルである。かかる出費は不相当に過大である。
  (4) まとめ
        以上のとおり、別紙第1項のベトナム視察への公金支出は、その必要性がなく,また支出される費用も過大であるので,派遣の目的、場所、期間等に照らして「経費に見合った効果が見込めそうにない場合」といえ,地方自治法100条第13項に違反する。
5 フランス・ドイツにおける経済政策、エネルギー政策、観光政策等に関する調査(別紙第2項)について(甲1第13頁目~)
  (1) 視察の目的
      ア 本県議員派遣の目的は、「フランス・ドイツにおける中小企業の振興施策、原発と再生可能エネルギー対応、インバウンド対策、農業振興策、観光政策等に関する調査」とされている。
      イ しかし,「フランス・ドイツにおける中小企業の振興施策の調査」は、「資材の高騰による施設設備の再建工事の遅れや取引先の喪失による受注の減少、更にはスキルを持った従業員の転出など、時間の経過に伴い、地域の産業再生を図っていく上での様々な課題が」解消する目処が立った後で考えるべきことであって今調査する必要などない。
        「原発と再生可能エネルギー対応の調査、観光政策等に関する調査」も結構だが、約3万7千戸の応急仮設住宅(民間賃貸借上住宅等を含む)に約8万7千人の方が入居を余儀なくされている」「災害公営住宅の完成は2月末現在で約1万5千戸の計画戸数中、330戸と約2%にとどまっている」現状の改善に目処が付いた後の話であろう。
    ウ このように,本件の調査目的は,そもそも現在の県政にとって,全く重要でないものである。
  (2) 視察先の選定過程及び視察先の選定
        視察先の選定過程においてどのような議論を踏まえたのか全く明らかでない。
        また、視察先はドイツ及びフランスという、大国であり、一つ一つの国に視察すべきところが多くあるにもかかわらずなぜわざわざ2国を選定しているのか理解に苦しむ。行程では移動時間に大きな時間を取られており、無駄が多い。
  (3) 視察先での視察内容及び視察時間
      ア 3日目
          JNTOフランクフルトが視察先としてあげられているが、1時間程度の時間しか無いこと、電話や書面などでの問い合わせで十分に足りると思われる。
          午後は、カールスエー市の視察が予定されているが、「エネルギーの丘」の他は場所が具体的に設定されていないため、具体的に何を視察するのか全く不明である。単なる観光に終わる可能性が非常に高い。
      イ 4日目
          視察先に在ドイツ日本国大使館が上げられているが、JNTOフランクフルトにおいて述べたのと同様、電話や書面などでの問い合わせで十分に足りると思われ、貴重な時間をここでつぶす必要性は全くない。観光をカムフラージュするための「ためにする視察」である可能性が非常に高い。
          午後のJETROベルリンも、JNTOフランクフルトで述べたのと同様、わざわざ訪問しなければならない必要性が明らかでない。
      ウ 5日目
          訪問先はJETROパリ、ユネスコ日本政府代表部、在仏日本大使館である。これらの施設をわざわざ訪問する必要性に乏しい。
      エ 6日目
          ランジス国際市場を訪問するとあるが、具体的にどこで何を視察するのか明らかでない。単なる観光に終わる可能性が非常に高い。
          JNTOパリ、CLAIRパリをわざわざ訪問する必要性がないことはすでに述べたとおりである。
      オ 7日目
          リヨンスマートコミュニティを一日かけて視察するとあるが、その視察先、視察内容は明らかでない。単に、フランス第2の都市を観光するだけに終わる可能性が非常に高い。
      カ 企画書では、フランスが原子力の割合が1番多いことに言及し、あたかも原発関連の調査をするようであるが、視察先からはその具体的内容は全く見えない。その他、企画書で掲げられる調査事項があまりに抽象的で、視察先において何を視察するつもりなのか具体的関連性が明らかでない。
  (4) 全行程の中で視察に宛てられる時間
        ドイツからフランスへの移動に大きな時間がとられ、無駄が多いことは先に述べた。
  (5) 宿泊施設、交通機関等に不相応に過大な支出がないか
        日本からの往復に使用される飛行機はビジネスクラスであるほか、宿泊施設は、「ウェスティングランド・フランクフルト」「ル・メリディアン・エトワール」「シェラトン・フランクフルト・エアポート」であり、現地の高級ホテルである。また、使用する列車は1等席とされている。かかる出費は不相当に過大であることは明らかである。
        「仮設住宅等における、不安定で不自由な生活の長期化に伴い、生活不活発病の増加や高齢者の要介護度の悪化等に加えて、うつ病やアルコール依存症の増加といった被災者の心の問題の深刻化がみられます」と指摘されるとおり,今,宮城県の住民は,非常に厳しい状況に置かれている者も多い。そのような中,ドイツ・フランスに行って、一泊5万3000円のルメリディアンエトワールホテルに泊まる必要性が一体どこにあると言うのであろう。仮設住宅で長期間に渡って不自由な思いをし体を壊している者すらいる被災者のことを考えれば一泊5万3000円のホテル宿泊など言語道断と言うべきである。
  (6) まとめ
        以上のとおり、本調査は,その必要性がなく,また支出される費用も過大であるので,派遣の目的、場所、期間等に照らして「経費に見合った効果が見込めそうにない場合」といえ,別紙第2項のドイツ・フランスへの視察への公金支出は、地方自治法100条第13項に違反する。
  6 議員派遣決定に当たり、宮城県議会は何ら審査をしていない。
     今般の議員派遣にあたり、宮城県議会は内容について審査をした資料は公開されていない。従って、何ら審査をせず、議員派遣を決定したものと思われる。宮城県議会の議員派遣に関する対応がここまでずさんなものであることからすれば、地方自治法100条13項違反が推定されると言うべきである。
  7 すでに実施ずみの調査の内容からしても、今回の調査の違法性は大いに疑われる(甲3)。
  (1) 宮城県議会は、平成26年2月18日、以下の議員派遣を決定した。
                                        記
        名称 ニュージーランドにおける大震災対策・エネルギー対策・環境保護対策等に関する調査
        期間 平成26年3月25日~3月31日(7日間)
        場所 ニュージーランド
        議員 渡辺和喜、佐々木征治、池田憲彦、石川光次郎、 只野九十九
        費用 360万円(当初受領額450万円、90万円返納)
  (2) 本件議員派遣に対して、平成26年3月6日、4人の議員に対し合計360万円を宮城県から支出済みである。これは視察に対して支払われる最高額である。
        その一人あたりの支出内容は、航空賃700、340円、現地交通費173、000円、国内交通費32、840円、宿泊料・雑費が100、000円、旅行雑費が8、860円とされており、ここから115、040円を調整額として減額して支出されている。
  (3) 本調査団は、日本とニュージーランドへの往復移動はビジネスクラスを利用していた。
        また、この調査団の調査先は、クライストチャーチ市、マウントクック、デカポ湖、ロトルア、オークランド、ワイヘキ島などであるが、これらは一般に観光地として有名な場所であり、行程表をみても具体的に何を視察して来たのか全く明らかでなく、単なる観光である可能性が非常に高い。
        これに関しては、別途支出した費用の返還をもとめる監査請求をする予定であるが、かかる疑わしい視察について宮城県議会はほとんど無審査で派遣を決定している。
        本件の別紙第1項及び第2項についても、ほとんどノーチェックで通していると思われ、それだけでも違法が推定されると言うべきである。
  8 結論
      以上の通り、別紙第1項及び第2項記載の議員派遣は、いずれも地方自治法100条13項に違反するので、宮城県知事は、同議員派遣について、公金を一切支出してはならいとの措置をとるべきである。
                                                                      以上
(事実証明書)
 甲第1号証 ベトナム及びドイツ・フランスへの議員派遣に関する一切の文書
  甲第2号証  ニュージーランドへの議員派遣(2014.3.25~3.31)に関する一切の文書における大震災対策・エネルギー対策・環境保
  同第3号証  東日本大震災の発生から3年~宮城県の現状,課題,取組について
  同第4号証 宮城県議会議員の海外視察に関する取扱要領
(添付書類)
  事実証明書写し 各1通
                                                                      別紙

1 名称:ベトナム社会主義共和国への企業進出推進等に関する調査
    目的:ベトナム社会主義共和国における本県企業の進出実態、現地地方政府による企業進出奨励策、工業団地・新市街地形成状況、第一次産業の実態に関する調査
    期間:平成26年5月5日~5月9日(5日間)
    場所:ベトナム社会主義共和国
    議員:今野隆吉、相沢光哉、畠山和純、小野隆議、長谷川洋一、本木忠一、外崎浩子、寺澤正志
    議員派遣の決定日:平成26年3月20日

2 名称:フランス・ドイツにおける経済政策、エネルギー政策、観光政策等に関する調査
    目的:フランス・ドイツにおける中小企業の振興施策、原発と再生可能エネルギー対応、インバウンド対策、農業振興策等に関する調査
    期間:平成26年5月25日~6月2日(9日間)
    場所:フランス共和国、ドイツ連邦共和国
    議員:渡辺忠悦、堀内周光、境恒春
    議員派遣の決定日:平成26年3月20日

  仙台市民オンブズマンは、宮城県監査委員に対し、宮城県議会議員の海外視察にかかる費用について支出差し止めの監査請求を行いました。監査請求する予定であることが4月16日の河北新報で報じられたところ、4月21日にフランス・ドイツ視察は急遽取り止めになったと報じられました。持病で医師に海外視察を避けた方がよいと言われたからだそうです。しかし視察予定の堀内周光議員と境恒春議員は30代前半の若手で、選挙期間中文字通り走り回っている姿がブログにアップされています。渡辺忠悦議員は昨年12月に会派の視察で沖縄に、同じく12月に北海道に視察に行っており、そのことを自身の広報誌に掲載しています。持病で止められたなどということは到底信用できません。監査請求を恐れて中止にしたのだと推測しています。
  文書開示請求で県議会から公開された見積書によれば、、宿泊先は「ウェスティングランド・フランクフルト」「ル・メリディアン・エトワール」「シェラトン・フランクフルト・エアポート」といずれも高級ホテル。「ル・メリディアン・エトワール」に至っては一泊5万3000円です。未だ仮設住宅で不自由な思いをしている宮城県民が約8万7千人もいるのにどういう金銭感覚をしているのでしょうか。多分このことが公になって非難を浴びることを危惧したのだと思われます。中止しただけ立派と言うべきでしょうが、こんな贅沢旅行を計画した事実は消えません。
  宮城県議会議員の海外視察に関する取扱要領及び議員海外調査費についての通知によれば,海外視察は、任期中に2回まで、合計で90万円の支給を認めています。しかしこれは議員に任期中2回、90万円の費用支出を伴った海外視察をし得る特権を与えたものではありません。議案の審査などのために議員を海外に派遣することが必要と判断された場合の、費用と回数の上限を定めたに過ぎません。それをこの議員達は、任期中2回、90万円の範囲で海外旅行に行ける特権を与えられたものと勘違いしているわけです。
  自由民主党県民会議所属の県議4名が本年3月25日~3月31日までニュージーランド海外視察に行きました。2月18日の派遣の議決の際は5名で行く予定でしたが、3月6日に1人の不参加が決まりました。その理由がすごい。公開された県議会の文書には「当初は海外視察の期間内には特に行事がないことから視察の目的に賛同し参加することとしていたが,3月29日に行われる登米市豊里での県道の供用開始式典に出席を求められ,地元の関係者からも出席すべきとの意見もあったことから(中略)地元での行事が急遽入ったことにより全日程を不参加とするとの意向が示されたものである。」と記載されています。特に行事がなく暇だと思ったから海外視察に参加することにしたものの、地元(選挙区)の式典が入ったので視察への参加を中止したというのである。県道の供用開始式典など時間にしてせいぜい1時間であろう。しかも議員は単に来賓として挨拶するだけのはずだ。そんな程度のことで、県議会が議決して派遣を命じた視察への不参加が許されるというのだから驚きだ。しかも海外視察への参加の理由が「海外視察の期間内には特に行事がないことから視察の目的に賛同し」というのもたまげた。それはつまり県道の供用開始式典程度の行事が入っていれば海外視察視察には参加しなかったということだ。当の議員から、県道の供用開始式典への参加より重要性が低いとしか認識されていない海外視察に90万円もの税金を使うというのだからもはやあきれるほかない。
  かつて仙台市民オンブズマンは宮城県議会と仙台市議会の海外視察について住民訴訟を提起し、最高裁まで争ったが結局敗訴で終わった。理由は議会の裁量権と自律性の尊重だとされた。しかし今の宮城県は東日本大震災によって被った甚大な被害からなんとか立ち直ろうと全力を尽くしている時だ。そんな時に、こんな贅沢海外旅行に税金を投じることは許されることではない。いずれ捲土重来で住民訴訟を提起することになるだろうが、今度は良識のある裁判官に常識的な判断をして欲しいものだ。

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2014年4月16日 (水)

法曹人口・司法試験合格者数に関する緊急提言 自由民主党 「司法試験委員会についても、司法試験の合否判定に当たっては本提言が厳しい現状認識の反映であることを十分に踏まえるよう強く求める」

法曹人口・司法試験合格者数に関する緊急提言
平成26年4月9日
自由民主党政務調査会
司法制度調査会・法曹養成制度小委員会合同会議
1.はじめに
   21世紀の国際社会において、わが国が自由・民主主義・基本的人権・法の支配といった基本的な価値に立脚し、存分にそのリーダーシップを発揮するためには、法の支配の貫徹を担う司法が力強くその役割を果たすことが不可欠である。また、複雑高度化し、多様化する国際社会において、わが国が本来の活力と国力を取り戻すためにも、個人や企業等の自由かつ創造的な活動を支える司法、法曹の力は極めて重要である。とりわけわが国が通商国家・科学技術立国としてグローバル社会を勝ち抜くため、内外のルール形成・運用の様々な場面で、法曹が先端的で高度な専門性を備えるプロフェッションとしてその役割を十分に果たすことが欠かせない。
このような、わが国を支える力強い司法を築き、それを担うにふさわしい法曹を養成すべく、司法制度改革のもと、平成16年、法科大学院を中核とする「プロセス」としての法曹養成制度がスタートした。しかしながら、近年、法曹となるまでの時間的・経済的負担感の増大、司法試験合格後の就職難等を背景とした法曹志望者(法科大学院受験者、同入学者等)の減少が続き、有為な人材が法曹を目指さないという深刻な状況が指摘されるに至った。
  具体的には、当初5610人を数えた法科大学院入学者も、平成23年度3620人、平成24年度3150人、平成25年度2698人と毎年500人規模で激減しており、本年度に至っては、法科大学院入学定員総数の約6割に過ぎない2300人を下回る見込みである。法曹志望者の減少にともない、大学進学者の中でも法学部志望者自体が減少傾向にあり、司法のみならず日本の行政や経済界に法教育を受けた人材を供給する力も急激に衰えつつある。
  国際社会でリーダーシップを発揮し、本来の国力を取り戻すため、力強い司法・法曹の存在が不可欠であること、さらにはデフレ経済から脱却して経済活動が活性化し、国家として活力を取り戻す過程にある重要な時期にあることに鑑みれば、こうした状況はわが国にとって国家的な危機とすら言うべき事態である。
  平成25年6月に出された法曹養成制度検討会議の取りまとめもかかる危機意識に基づいたものである。そして同取りまとめで言及されるように、この問題の抱える課題の重さやそれまでの検討経過に照らすならば、法曹養成制度の改善には一刻の猶予もないというべきである。
  しかし、同取りまとめを踏まえて同年9月にスタートした法曹養成制度改革推進会議等における議論の進捗状況に鑑みれば、こうした危機意識に沿った議論がなされているとは必ずしも言いがたい。また、在るべき法曹人口について政府は内閣官房法曹養成制度改革推進室が行う法曹人口調査の結果を待って判断するとしているが、この調査には今後1年以上も時間がかかり、調査結果を待ってさらに議論を重ねるということでは遅きに失することが明白である。このような徒に時を重ねる対応では、わが国の法曹養成制度及び司法制度は早晩危機に瀕すと言っても過言ではない。
  このような事態に鑑み、法曹養成制度があるべき司法制度の理念と機能を取り戻すため、そして有為な人材が法曹を志願する道を拓き、ひいては我が国に力強い司法を築くために、いわば一旦体質を強化して再出発をする必要がある。そのためには、社会に対し、特に法曹を目指す若者に対して、法曹人口とりわけ司法試験合格者数に限定してでも直ちにメッセージを発信するべきであると認識し、当調査会として緊急に本提言を取りまとめるものである。
2.当調査会での議論の状況
  当調査会の議論は法曹養成制度全般にわたる広範なものであるが、ここでは法曹人口とりわけ司法試験合格者数に限定した上で、これに関連する限りのものを記載することとする。なお、他の課題に関しては当調査会においてあらためて提言に及ぶ予定である。
  司法試験の年間合格者数については、資格試験である司法試験は絶対評価により決定されるべきものであり、あらかじめ合格者数を限定することは適切でないとする意見、その原則のもとで、改革は緒に就き始めた段階でまだまだ質も量も豊かな法曹は我が国の将来のためにも絶対に必要であるとする意見、法曹としての質を確保するため前後期の司法修習制度・OJTをふまえてアプレンティスシップを達成できる人数であるべきとの意見があった。その一方で、司法試験合格者のうち、上位合格者層と下位合格者層との間には歴然たる質の差が見られるという指摘があり、これを前提に合格者数は1000人以下を目安にすべきであり法曹需要を見極めるまでは当面500人以下とすべきとの意見、若者の法曹離れを直視しその根本対策として合格者数を1500人とすべきとの意見があった。
  全体としては現在の司法試験合格者数は、良質な法曹人材に対する実際の需要を大きく超えており、現状より削減すべきとの意見が少なくなかったことは重く受け止める必要がある。
   このほか、法曹人口の問題は、法曹有資格者の活動領域の拡大の問題と不可分であることを忘れてはならず、今のところ新たな分野への進出は法曹全体から見ればごく一部にとどまっているが、今後法曹養成の過程において、先端的な分野や幅広い分野での専門知識、語学力、交渉能力、調整能力などを備えるための研鑽を法曹志願者に積ませることによって、社会の様々なニーズに応えることが可能となり、新たな分野で法曹が活躍する機会が広がっていくことが期待されるとの意見、法科大学院で学ぶ経済的・時間的余裕がなくても、また、諸事情から法科大学院という制度に乗ることが困難な者であっても、司法試験受験資格を与えられるべきであって、本来、受験資格制限は撤廃されるべきものであるとの意見もあった。
3.法曹人口・司法修習等をめぐる状況についての認識
  上記のような問題意識ならびに法曹人口をめぐる状況などを踏まえ、当調査会において政府、最高裁をはじめ、関係団体等から丁寧にヒアリング等を重ねてきた。その結果、下記のような法曹人口及びこれに関連する法曹養成、司法修習等をめぐる状況や課題について認識した。
(ア) 平成12年頃には約2万人だった法曹人口は、平成25年には約3万8500人となり、特に弁護士は約1万7000人から約3万4000人とほぼ倍になるなど、弁護士人口の面からは司法アクセスは改善したと認められること
(イ) 他方、裁判官、検察官をはじめとする法曹公務員の採用人数は、司法制度改革後もそれほど増加せず、また定員数も司法試験合格者数の増大に見合う程度に増加させてこなかったこと等から、弁護士登録数のみが急増するという偏った結果となっていること
(ウ) 直近の第66期において、司法修習終了直後の弁護士会一括登録日の未登録者が570人に上るなど、司法修習終了時に就職先を確保できない者が激増しているという点からも弁護士人口の飽和状況が認められる中、登録1年未満の新人弁護士のみで開業するなど先輩弁護士から指導を受けられない環境にある者が多数いることや、弁護士会等による組織的なOJTの体制が十分整っていないことから、実務経験・OJT 不足という法曹の質の問題を生じている例が増えていること
(エ) 裁判官・検察官をはじめとする法曹公務員や、国際分野、企業法務の分野など今後ますます法曹有資格者の活動領域拡大が必要とされる分野があるものの、現状においては、司法制度改革審議会が想定したほどに法曹有資格者の活動領域の拡大が進んでおらず、限定的なものにとどまっていること
(オ) 上記のとおり、ここ数年、法科大学院入学者数は激減し大幅な定員割れとなっており、平成25年度は4261人の定員数に対し2698人の入学者しかなく、実に93%の法科大学院で定員割れを起こす事態になっている上、さらに平成26年度は2300人を下回る入学者にとどまると見込まれ、平成25年度の法科大学院修了者数は、2990人(暫定値)となったところ、ここ数年の実入学者数及び修了率の実績をも踏まえると、法科大学院の修了者数は、平成26年度は2500人程度、平成27年度に至っては2100人を割り込むことも予想されること
(カ) 予備試験は「経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者」を対象とする本来の制度趣旨に反して、その受験者が司法試験予備校を利用した法学部生、法科大学院在学生、同修了生が過半を占めており、実質的には法学部生・法科大学院生のいわば「飛び級」試験として機能している状態にあること
(キ) 司法修習について、現在各期の司法修習生が2000人程度いるところ、東京や大阪などの大都市を中心に実務修習において事件の割当に苦慮する一方で、司法研修所の教室や寮の収容定員等の関係から、修習の導入期および終盤における集合教育が国民の期待に応えうる法曹として実戦力を涵養しつつ法曹養成の総仕上げを行う実務教育としての役割を十分果たしていないとの指摘もみられること
(ク) 司法試験合格者数が2000人に増加したにもかかわらず、判事補に適する質を有する司法修習生が任官せず定員を満たさないと最高裁判所が自認するような状況にありながら、司法修習における二回試験及び集合修習の修習生各人の成績分布の把握や分析、これに基づく司法修習の改善の取組が司法修習委員会において十分になされていないこと
4.緊急提言
  上記のような調査、ヒアリング等を踏まえ、当調査会として活発かつ広範な議論を重ねてきた結果、当調査会は、法曹の現状を強く憂慮し、力強い司法を実現するためにも司法試験合格者数の提言を行うべきと認識し、速やかにこれを実施すべく法曹養成制度の中核となっている法科大学院修了者数の推移を前提に検討して提言に及ぶこととした。
  このことは、本検討と同じく法曹養成の分野で法科大学院の統廃合を促進する取組みが現在行われているが、司法試験合格者数の目安が示されればそこから逆算して法科大学院全体の定員規模は自ずと決まってくるのであり、将来における法科大学院全体の定員規模を検討する上でもその目安を示す必要があることを念頭に置いたものである。
  法科大学院の修了者数は、平成22年度4535人、平成23年度3937人、平成24年度3457人と年々減少しているところ、法科大学院の実入学者数及び修了率の実績からすると、平成25年度の修了者数は2990人(暫定値)、平成26年度は2500人程度、平成27年度は2100人を割り込むと予測される。
   法科大学院修了者の司法試験における累積合格率(ある年度の法科大学院修了者のうち受験期間内における合格者の割合)は、これまで概ね5割程度で推移しているのが現実であり、受験回数制限の緩和や法科大学院における組織見直し等の諸施策を考慮しても短期間で合格率が上昇するとは考えられない。
  したがって、法科大学院修了者の累積合格率から算出される司法試験合格者数は、平成25年度修了者数約2990人に対しては1500人程度、平成26年度修了者数約2500人に対しては1200~1300人、平成27年度修了者数約2100人に対しては1000~1100人となる。毎年の司法試験合格者のうち、法科大学院修了直後の者が半数以上を占めることからすれば、毎年の法科大学院修了者数が減少する以上、司法試験合格者数についても、当然ここしばらくは毎年減少していくと考えられる。
  そうだとすれば、予備試験合格者からの司法試験合格者数が、平成25年度は120人であったことを併せ考慮しても、全体としての司法試験合格者数を現状の2000人程度で維持することは、法曹の質を低下させる可能性が高く相当ではない。
  実際、法曹実務の現場からは、実感として若手法曹の質の低下が見られると指摘されているが、前記のとおり、最高裁判所においては、司法修習生の質を検証するための修習生各人の成績分布の把握や分析がなされていない。
  また、司法試験合格後の司法修習において、前記の通り、導入期、実務修習及び集合修習いずれにおいても現在の合格者数2000人に対応する法曹として求められる質を維持できる修習が実施されないまま改善されてこなかったこと、修習終了後は弁護士会では先輩弁護士の指導や弁護士会の組織的OJTを受けることがかなわず、経験者から学ぶことが困難な事態も生じており、全体として法曹の質を維持することが困難な事情が生じているのが今の法曹を巡る現実である。
  そして、司法試験の合格者数は、前記のとおり今後しばらくは毎年減少していくものと考えられ、しかも、下記に付言するような様々な取組みには時間を要するのであり、それまでの間は質を維持した人材の増加が見込めない状況の下、人為的に合格者数を増加させるべきではない。
  そこで、当調査会は、我が国に力強い司法を築くために一旦体質を強化すべく、司法試験合格者数は、まずは平成28年までに1500人程度を目指すべきことを提言する。その際、現在、法科大学院に在学している学生への影響についても考慮する必要がある。
  我が国の司法が厳しい現実に直面していることを真摯に受け止め、法曹の質を維持しつつ社会から法曹志願者を呼び戻す方策をとることは、我が国の法曹養成制度として確実に実施しなければならない緊急の課題であり、先に指摘したとおり、法曹養成制度改革推進室の法曹人口調査は平成27年3月までに取りまとめてその後議論を重ねるものであって遅きに失している。したがって、推進室に対しては、可及的速やかに法曹人口調査を遂行するとともに、検証に耐えうる十分な調査を行うよう求める。また、当調査会としても同調査の経過を把握することが必要であり、推進室に対して、当調査会にも随時調査経過を報告するよう求める。
  また、司法試験委員会についても、その中立性・独立性は理解するものの、司法試験の合否判定に当たっては、本提言が前記のような厳しい現状認識の反映であることを十分に踏まえるよう強く求める。
  本提言において議論を重ねる上で様々なご指摘をいただいたが、法曹の選抜・養成と不可分の課題として、下記の各点については特に今後一層の検討、見直しを行っていく必要があることを付記する。
以上

  自民党の法曹人口・司法試験合格者数に関する緊急提言をきちんと読んでみたが、法曹養成制度検討会議の取りまとめや日弁連の提言などと比較すると、驚くほどまっとうな提言だ。
  特に「法曹となるまでの時間的・経済的負担感の増大、司法試験合格後の就職難等を背景とした法曹志望者(法科大学院受験者、同入学者等)の減少が続き、有為な人材が法曹を目指さないという深刻な状況が指摘されるに至った。具体的には、当初5610人を数えた法科大学院入学者も、平成23年度3620人、平成24年度3150人、平成25年度2698人と毎年500人規模で激減しており、本年度に至っては、法科大学院入学定員総数の約6割に過ぎない2300人を下回る見込みである。法曹志望者の減少にともない、大学進学者の中でも法学部志望者自体が減少傾向にあり、司法のみならず日本の行政や経済界に法教育を受けた人材を供給する力も急激に衰えつつある」との現状認識は正鵠を得ている。とかく理念やあるべき論に終始し勝ちなこの種の提言が多い中で、客観的数字に基づいた現状認識をしている点は高く評価できる。
  「このような徒に時を重ねる対応では、わが国の法曹養成制度及び司法制度は早晩危機に瀕すと言っても過言ではない。このような事態に鑑み、法曹養成制度があるべき司法制度の理念と機能を取り戻すため、そして有為な人材が法曹を志願する道を拓き、ひいては我が国に力強い司法を築くために、いわば一旦体質を強化して再出発をする必要がある。そのためには、社会に対し、特に法曹を目指す若者に対して、法曹人口とりわけ司法試験合格者数に限定してでも直ちにメッセージを発信するべきであると認識し、当調査会として緊急に本提言を取りまとめるものである。」とされているが、この点も全く同感だ。
  法曹養成制度を考える上で何より重要なのは「法曹を目指す若者」の視点である。既得権益にしがみつこうとするロースクール関係者や理念ぼけしている日弁連のお偉いさんの思惑などで左右されるべきではない。
  「ここ数年、法科大学院入学者数は激減し大幅な定員割れとなっており、平成25年度は4261人の定員数に対し2698人の入学者しかなく、実に93%の法科大学院で定員割れを起こす事態になっている上、さらに平成26年度は2300人を下回る入学者にとどまると見込まれ、平成25年度の法科大学院修了者数は、2990人(暫定値)となったところ、ここ数年の実入学者数及び修了率の実績をも踏まえると、法科大学院の修了者数は、平成26年度は2500人程度、平成27年度に至っては2100人を割り込むことも予想される」「法科大学院修了者の司法試験における累積合格率(ある年度の法科大学院修了者のうち受験期間内における合格者の割合)は、これまで概ね5割程度で推移しているのが現実であり、受験回数制限の緩和や法科大学院における組織見直し等の諸施策を考慮しても短期間で合格率が上昇するとは考えられない。したがって、法科大学院修了者の累積合格率から算出される司法試験合格者数は、平成25年度修了者数約2990人に対しては1500人程度、平成26年度修了者数約2500人に対しては1200~1300人、平成27年度修了者数約2100人に対しては1000~1100人となる。毎年の司法試験合格者のうち、法科大学院修了直後の者が半数以上を占めることからすれば、毎年の法科大学院修了者数が減少する以上、司法試験合格者数についても、当然ここしばらくは毎年減少していくと考えられる。そうだとすれば、予備試験合格者からの司法試験合格者数が、平成25年度は120人であったことを併せ考慮しても、全体としての司法試験合格者数を現状の2000人程度で維持することは、法曹の質を低下させる可能性が高く相当ではない。」との分析は衝撃的結果であると同時に全く正しい。
  もし司法試験合格者数2000人という水増しを続けるならば、平成28年には司法試験は競争性が失われ、法科大学院修了者全員が合格する事態になってしまう。法科大学院は平成25年ですら4261人の定員数に対し2698人の入学者しかなく実質的に競争性を失っている。修了認定も甘い。その上司法試験の競争性まで失われてしまっては、国民の法曹に対する信頼は失墜し、法曹資格は紙くず同然となるだろう。
  ただ今回の提言が、このような「司法試験合格者数は、平成27年度修了者数約2100人に対しては1000~1100人となる」という現状分析をしながら、「まずは平成28年までに1500人程度を目指すべきことを提言する」としていることは疑問である。妥協の産物として出てきた数字なのだろうが、これでは「特に法曹を目指す若者に対する、法曹人口とりわけ司法試験合格者数についてのメッセージ」としては極めて不十分である。
  提言は「司法試験委員会についても、その中立性・独立性は理解するものの、司法試験の合否判定に当たっては、本提言が前記のような厳しい現状認識の反映であることを十分に踏まえるよう強く求める」とする。これは現在の合格水準を維持するならば「司法試験合格者数は、平成25年度修了者数約2990人に対しては1500人程度、平成26年度修了者数約2500人に対しては1200~1300人、平成27年度修了者数約2100人に対しては1000~1100人となる」はずなのだから、合格ラインを下げて水増し合格させるような合否判定は厳に慎むべきというメッセージと受け止められる。
  私は緊急提言の中ではこの司法試験委員会に対する要望こそが最も重要なものに思える。具体的な合格者数を示さなくとも、現在の合格ラインを堅持すれば自ずと合格者数は減少するのである。できれば合格ラインをやや上げてさらなる減員をするのが望ましい。合格ラインを下げて水増し合格させるような愚だけは絶対にすべきではない。
  提言では「司法試験合格者数が2000人に増加したにもかかわらず、判事補に適する質を有する司法修習生が任官せず定員を満たさないと最高裁判所が自認するような状況にありながら」と指摘するが、最高裁判所がそんなことを言っているとは初めて知った。最高裁は、本来もっと判事補を採用したいのだがそれだけの質を有する司法修習生が任官を希望しないという認識を持っているということだろう。どこまで本気で言っているのか分からないが、仮に事実だとすればそれこそ由々しき事態だ。

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