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2014年5月 8日 (木)

2014年の法科大学院の入学者総数2272人、定員の6割 過去最低を更新 全体の91%にあたる61校が定員割れ

リンク: 法科大学院の入学者、定員の6割 過去最低を更新  :日本経済新聞.

 文部科学省は8日、今春の法科大学院の入学状況をまとめた。入学者総数は2272人、全67校の定員に占める割合(充足率)は60%で、いずれも過去最低を更新。全体の91%にあたる61校が定員割れで、28校では入学者が10人未満だった。定員削減や統廃合が進んでいるものの、学生離れに追いつかない現状が浮き彫りになった。
 文科省は統廃合を促すため、定員充足率や司法試験合格率の低い法科大学院への補助金カットを決めているが、学生の進級時に「共通到達度確認試験(仮称)」を設ける方針を新たに決めた。成績が悪い学生に法曹とは別の進路を勧めることも想定している。今年度中に試行したい考え。
 2014年の法科大学院全体の定員は3809人。最も多かった05~07年(5825人)と比べると3割以上減った。入学者数は13年より426人減り、定員充足率は3ポイント低下した。定員割れの法科大学院が全体の9割を超えたのは2年連続。
 定員充足率が低い法科大学院は東海大(3%)、新潟大(5%)、神奈川大(8%)、愛知学院大(10%)、北海学園大(12%)など。東海大と新潟大は入学者が1人で、いずれも15年春から学生募集を停止することを発表している。
 充足率が100%を超えたのは千葉大、首都大学東京、一橋大、筑波大、京大、大阪大の6校。そのほか東大(93%)や神戸大(96%)、中央大(88%)、慶応義塾大(87%)など司法試験の合格率が比較的高い法科大学院に人気が集中する傾向が鮮明になっている。
 法科大学院はピーク時に74校あったが、1校が廃止、15校が募集停止を表明しており、現時点で58校まで減る見通し。

 今年の入学者総数は2272人。2300人割れすると噂されていたが現実となった。2013年の入学者総数は2698人だから減少率は15.78%。減少のスピードも全く歯止めがかからない。このままだと来年の予想入学者総数は1913人となる。
  入学者数減少の原因については司法試験合格率の低迷と言われているがそうではない。司法試験は法科大学院修了後5年以内に3回受験できる(現在は5年以内5回まで)。3年以内の累積合格率が公表されているが、2010年の入学者のそれは43.9%。当初喧伝された7~8割合格には届かないが、旧司法試験の合格率が2%台だったことを考えればそれほど低くはない。しかも2010年の入学者数は4122名だ。今年の入学者数2272人を基礎にするとおおよそ8割は合格することになる。現在の合格者数2000人を維持するとすれば来年以降はほぼ入学者全員が司法試験に合格できる計算になる。法曹資格を得られないリスクが原因で入学者数が減少しているとは到底考えられない。
  入学者数減少の原因は、一重に就職難と弁護士の経済的基盤の脆弱性が一般に知られるようになったからだ。やり甲斐や社会的貢献度という意味での弁護士の職業的魅力はいささかも減じていないと思うが、進路はそれだけで選択されるものではない。学生の立場にすれば、やはり最低限の経済的安定が見込めることと、リスクとリターンがある程度均衡していることが条件となる。法曹の圧倒的多数を占める弁護士という職業が、もはやそのような条件を満たすものとは認識されなくなりつつあるというのが入学者数減少の原因だ。
  法曹資格を得ても弁護士登録できない者の数、登録はできても勤務弁護士を経ない即独者の数、給料をもらえないノキ弁の数は毎年確実に増えている。勤務弁護士になれたとしても給与や負担金などの待遇は確実に低下している。それに加えて、司法統計を見れば明らかなように民事刑事とも事件数は減少の一途、他方裁判業務以外の職域拡大はごく僅かにとどまっている。 国税庁の統計によれば弁護士で
赤字の者と所得額500万円以下の者の合計は1万9676人(54.8%)とされている。http://jsakano1009.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-b7b3.html
  そのような不安定で不確実なリターンしか得られないのに、法科大学院から司法修習終了まで最短でも4~5年かかるし、その間多くの者は300万~1000万の借金をしなくてはならない。そのあげく法曹資格を得ても法曹として就職できる保証はない。こんなハイリスクローリターンでは学生の進路として選択されにくくなるのは当然だろう。
  「今年の法科大学院の志願者数は延べ1万1450人で2474人減った」と報じられているが、法科大学院は複数の掛け持ち受験も可能だし二次募集もあるので、単に全ての法科大学院の志願者数を合計しただけの数字である。「延べ」とされているのはこの意味。実際の志願者数は2013年の「法科大学院全国統一適性試験」の実受験者が4792人であるからこの数が正しい。実際に受験する者の数はさらに少ない。大学卒業あるいは卒業見込みであれば誰でも受験できる法科大学院の競争倍率が僅か2倍であって、ほとんど競争試験として意味をなさないレベルにある。かつ数年後には入学者のほぼ全員が司法試験に合格するというのであるから法曹の質の低下は必至である。法治国家では社会的紛争は最終的には司法手続きで解決されることになっている。それを担う法曹は一職業というにとどまらず社会のインフラと位置づけられる。そのインフラが質的に崩壊しようとしているのが現実だ。
  このような危機的状況にあるにもかかわらず、日弁連と法科大学院関係者がやろうとしているのは、①比較的優秀性を保っている予備試験ルートを制限することで法科大学院の入学者を確保、②就職難対策としての法曹有資格者の職域拡大、③法科大学院修了者の法曹以外の分野への進出である。②と③は分かりやすく言うと、「官公庁・地方自治体・企業の皆さんどうか1人でも多くの弁護士・法曹有資格者・それ以外の法科大学院修了者を雇ってあげて下さい。このままでは私たちは食べていけなくなりそうです。何でもやりますのでどうかお願いします」ということだ。官庁や企業にすり寄りおもねることしか考えていない。在野精神が聞いて呆れる。こんなことで法科大学院の入学者減少に歯止めがかかると本気で思っているのだとしたら笑うしかない。
  法科大学院制度そのものが、司法試験合格者3000人という大風呂敷を広げた日弁連の思惑と、教員のポストを増やそうという大学関係者の思惑が一致してできたものだ。プロセスとしての法曹養成などは後付けの理屈に過ぎない。しかし皮肉なことに、この無謀な増員路線による就職難と法科大学院の強制による経済的負担が学生の法曹離れをもたらした。その結果が法科大学院入学者数の激減である。
  最低限の経済的安定が見込めることと、リスクとリターンがある程度均衡していることが学生から進路として選択される条件だとすれば、処方箋は明らかだ。司法試験合格者数を1000名以下に減らして就職難の解消と勤務弁護士の待遇改善を図ることと、法科大学院修了を司法試験の受験資格から外すことだ。司法修習生の給費性復活は望ましいが就職状況が改善されれば必須のものではない。
  理念と過去の執行部の無謬性に固執する日弁連と、自己保身しか考えない法科大学院関係者には、もはや何を期待しても無駄だろう。現在法曹養成について最もまともな考えを持っている自民党に期待するほかないようだ。http://jsakano1009.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-2e3d.html

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