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2014年12月24日 (水)

65 期・66期会員に対するアンケート調査(日本弁護士連合会) 2014年の年額所得(見込)「400~500万円未満」が最多(21.9%),「200万円未満」「200~300万円未満」「300~400万円未満」の合計も31.1%

  日本弁護士連合会は、現新65期及び66期全会員合計3618名を対象にアンケート調査を実施した(実施期間:2014年7月31日~8月29日)。有効回答数は990名 (回収率:27.4%)。仙台弁護士会の回答者数は12名。
1 就業形態
  新規登録時の就業形態は,「勤務弁護士」「民間企業・団体」「公務員」「日本司法支援センターのスタッフ弁護士」の合計で834名(84.3%)であり,それ以外の就業形態である者は156名(15.7%)である。「それ以外」とは,「事務所内独立採算弁護士」「独立開業」「既存事務所の共同経営弁護士」等である。
  調査日現在での就業形態は,「勤務弁護士」「民間企業・団体」「公務員」「日本司法支援センターのスタッフ弁護士」の合計で798名(80.6%),それ以外の就業形態は192名(19.4%)である。新規登録時点と調査日現在の時点を比較すると,「勤務弁護士」「民間企業・団体」等が減り「それ以外」が増えた。
2 2014年の年額所得(見込)
  2014年の年額所得(見込)は,「400~500万円未満」が最多(21.9%)。「200万円未満」「200~300万円未満」「300~400万円未満」の合計は,990名中307名(31.1%)である。
  2014年の年額所得(見込)が400万円未満である者307名のうち「勤務弁護士」は192名,「既存事務所の共同経営弁護士」は11名で両者合わせて66.1%を占める。
3 奨学金債務
  奨学金債務または司法修習貸与金債務を負担する者は,990名中843名(85.2%)である。債務総額は「300~500万円程度」216名,「500~700万円程度」161名,「700万円以上」198名である。
4 新規登録時から現在までに就業形態・就業先を変更したか
  就業先・就業形態ともに変更した者は74名(7.5%)。就業形態は変えず、就業先のみ変更した者は39名(3.9%)。就業先は変えず、就業形態のみ変更した者は27名(2.75)。就業先・就業形態ともに変更していない者は850名(85.9%)。
  就業先または就業形態の変更の理由は,「就業先における自分の将来性が感じられなかった」55名(39.3%),「 人間関係に問題があった」51名(36.4%),「先輩弁護士等による十分な指導が受けられなかった」39名(27.9%),「やりたい仕事ができなかった」32名(22.9%),「就業先の業務拡大・発展の見込みがなかった」27名(19.3%)。
5 就業先・就業形態の変更希望,登録取消
 (1) 就業先・就業形態の変更希望
   今後数年以内に就業先または就業形態を「変更したい」と思う者は,990名中430名(43.4%)である。
   変更希望の理由は,「収入に満足できない」164名,「自分の将来性が感じられない」135名,「就業先の業務拡大・発展の見込がない」82名,「先輩弁護士による十分な指導を受けたい」65名,「現在の就業先において人間関係に問題がある」55名である。
 (2) 登録取消
   登録取消を「考えたことがある」者は990名中177名(17.9%)である。
   登録取消を考えた理由は「会費負担が重い」92名,「収入が不安定」78名,「法曹以外への転職」77名である。留学を考えたは8名、出産育児のためは15名に過ぎない。
   「会費負担が重い」と回答した者の内訳は勤務弁護士48名,独立開業19名,民間企業・団体,事務所内独立採算弁護士がそれぞれ9名である。
   登録取消を「考えたことがある」177名のうち,2014年の年額所得(見込)が400万円未満の者は88名で49.7%を占めている。所得の低さは登録取消の大きな動機となっている。
6 勤務弁護士・既存事務所の共同経営弁護士・事務所内独立採算弁護士の所属先からの金銭支払いの形態
  固定給のみ480名(58.2%),固定給+歩合制186名(22.5%),完全歩合制36名(4.4%),最低所得保障のみ15名(1.8%),最低所得保障+歩合19名(2.3%),金銭支払いはない41名(5%)
7 事務所から支払われる固定給の額(年額)
  200万円未満9名(1.3%),200万円~300万円未満21名(3.1%),300万円~400万円未満116名(17.4%),400万円~500万円未満205名(30.7%),500万円~600万円未満148名(22.2%),600万円~700万円未満79名(11.8%),700万円~800万円未満37名(5.5%),800万円~900万円未満10名(1.55),900万円~1000万円未満13名(1.9%),1000万円以上22名(3.3%)。
8 2014年(1月~12月)の年額所得(収入-経費)(見込み)
  200万円未満71名(7.2%),200万円~300万円未満85名(8.6%),300万円~400万円未満151名(15.3%),400万円~500万円未満217名(21.9%),500万円~600万円未満186名(18.8%),600万円~700万円未満125名(12.6%),700万円~800万円未満64名(6.5%),800万円~900万円未満30名(3.0%),900万円~1000万円未満13名(1.3%),1000万円以上38名(3.8%)

  有効回答数は990名 (回収率:27.4%)であるから,新人弁護士の置かれている状況を示すものとして信頼しうるデータだろう。
  2014年の年額所得(見込)「400~500万円未満」(21.9%),「200万円未満」「200~300万円未満」「300~400万円未満」の合計(31.1%)をどう見るかだが,全弁護士の申告所得の中央値が600万円であるからそれほど低いとは言えないかもしれない。しかし奨学金債務または司法修習貸与金債務を負担する者が85.2%にのぼり)である。債務総額「300~500万円程度」216名,「500~700万円程度」161名,「700万円以上」198名という負債を考慮すると経済的安定とはほど遠い。
  注目すべきは,就業先・就業形態ともに変更した者74名(7.5%)。就業形態は変えず、就業先のみ変更した者39名(3.9%)という点だ。僅か7ヶ月~1年7ヶ月の間に11.4%の者が事務所を移るか独立していることになる。かつてはこのような短期間で事務所を変えたり独立する勤務弁護士はほとんどいなかった。不本意な事務所に就職せざるを得なかったが耐え切れなかった者が1割以上いるということだ。その理由も,就業先における自分の将来性が感じられなかった55名(39.3%), 人間関係に問題があった51名(36.4%),先輩弁護士等による十分な指導が受けられなかった39名(27.9%),やりたい仕事ができなかった32名(22.9%)就業先の業務拡大・発展の見込みがなかった27名(19.3%)というのだから悲しい。

  今後数年以内に就業先または就業形態を「変更したい」と思う者が,990名中430名(43.4%)もいる。変更希望の理由は,「収入に満足できない」164名,「自分の将来性が感じられない」135名,「就業先の業務拡大・発展の見込がない」82名,先輩弁護士による十分な指導を受けたい65名,現在の就業先において人間関係に問題がある55名とされている。多くの勤務弁護士が,就業先の事務所に対し辞めたいと思うほどの大きな不満を抱えていることを示している。
  登録取消を「考えたことがある」者が990名中177名(17.9%)もいるのは驚きだ。その理由も「会費負担が重い」92名,「収入が不安定」78名,「法曹以外への転職」77名とされ,経済的苦境や法曹への失望が多くを占めている。「時間にゆとりがない」57名、「体力の限界」36名がいるがこれらはブラック事務所でこき使われているのだろう。今はまだ「登録取消を考えたことがある」にとどまっているが,早晩新規登録者の2割の者が2年以内に「登録を取消した」になるだろう。

  そもそも日弁連は,このアンケート結果も弁護士実勢調査の結果も公表はしていない。これは日弁連が内閣官房法曹養成制度改革推進室に提出した資料である。まずは一般会員に公表するのが筋だろう。日弁連はいつこの結果を公表し,調査結果についてどのようなコメントをするのだろう。新人弁護士のこのような窮状は司法改革を掲げて大増員を推進してきた日弁連が望んだ姿なのだろうか。法の支配を津々浦々に広げる(未だに意味不明だが)司法改革実現のために甘受すべき代償なのだろうか。
  日弁連は2014年度会務執行方針で,「若手会員支援」のために「司法修習生と若手会員に対する就職支援及び独立開業支援を継続して行います。」「法律事務所への就職支援に止まらず、企業、地方自治体、団体等への就職も視野に入れ、これに必要な支援を行います。」「日弁連総合研修センターによる会員全体のスキルアップ研修の充実に力を入れるとともに、特に若手会員に対しては、多くの弁護士会で行われているOJT強化の取組を支援し、日弁連もこれをサポートします。」「若手会員に役立つ業務モデルの発掘及びその情報提供を行い、成功モデルを周知します。」「事務所内外で先輩弁護士に相談できる機会を持てない若手会員が増加していることに鑑み、いくつかの弁護士会が行っている若手会員向けの相談窓口を全国に広めるために有用な情報の収集と共有化に努め、モデルとなるような相談窓口創設のための検討を行います。」としている。
  やらないよりはましかもしれないが見苦しい弥縫策としか映らない。先ずは過去の政策の過ちを認めて謝罪すべきだろう。その上で,合格者数減の最大の足かせであり,法曹志望者激減と奨学金債務の元凶となっている「法科大学院修了を司法試験の受験資格としていること」の廃止運動を行うべきだ。同時に肥大し過ぎた会務をバッサリと切ってできる限りの会費減額を行うというのが現実的政策だ。たいして効果が望めない「若手会員支援策」に会費を使うくらいなら若手会員の会費負担をさらに軽減すべきだろう。

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