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2014年12月の3件の記事

2014年12月28日 (日)

司法試験の受験資格から法科大学院課程修了要件の削除を求める弁護士会決議  仙台弁護士会はこのような決議をしないのだろうか?

  「司法試験の受験資格から法科大学院課程修了要件の削除を求める」趣旨の弁護士単位会決議は、これまで札幌弁護士会、千葉県弁護士会、埼玉県弁護士会が出している。愛知県弁護士会も、日弁連の「法科大学院制度の改善に関する具体的提言(案)」についての意見照会に対する意見書の形で同趣旨の意見書を出している。今年の12月2日には奈良県弁護士会が総会決議を出した。
  決議や意見の理由は表現に違いはあるが、「法曹志望者数は激減し、将来の司法を支えるべき多様かつ有能な人材を法曹界に輩出することが困難になりつつある事態が生じている。法曹志望者数が激減し、多様かつ有為な人材が法曹を目指さなくなることは、将来の司法を支える人的基盤が脆弱となり、現代社会において司法が果たしている人権擁護機能を後退させてしまうことになる。司法試験の受験資格を得るためには、法科大学院課程の修了が条件となっており、それが志願者減少の主たる原因である。」とする点で一致している。
  愛知県弁護士会の意見書の「法科大学院に通うことは、それ自体に伴う経済的な負担(すなわち、学費、多くの学生が現実にダブルスクールとして通っている予備校の学費、在学中及び合格までの生活費の負担など)や長期間にわたる時間的な負担が伴う。多額の借金を負ってまで、経済的にも希望が持てない法曹界に入ろうとする者が減少するのは至極当然のことである。また、経済的負担には耐えうるけれども時間的負担に耐えられない人も多くいることが想像される。法曹を志す者にこのような経済的・時間的負担を強い、そしてそれをこれからも強い続けるのは、法曹を志望しようと考えている社会人や学費や生活費の経済的負担に耐えられない人にとっては、現行制度が法曹への道を断念せよと言うに等しい。すなわち、経済的、時間的理由から有為な人材が法曹への道を断念せざるをえない制度は不公平、不平等であり、これを許容し続けることは不正義であると言わざるをえない。」、「現在、日弁連は直ちに1500人にまで司法試験合格者を削減するよう舵を切ったばかりであり、直ちに司法修習生の就職難を克服できるわけではないし、弁護士の経済的事情も特に魅力的なものになる見通しは全くない。しかし、私たちはこの現状下でもなお有為で多様な法曹志願者を確保しなければならない。そのためには法曹志願者の法科大学院課程を修了することに伴う経済的負担及び時間的負担を軽減する必要があり、当会はその施策として、法科大学院課程修了を司法試験の受験資格から外すべきことを提言するものである。このように制度を変更することにより、いつでも誰でも自由に受験することが可能となり、有為で多様な人材が法曹を志願することができ、かつ開放的で実力本位の司法試験が実施されることになる。このような制度であれば、法科大学院の定員を削減する必要もなくなる。また、法科大学院に進学するかどうかも学生が自由に判断することができるようになり、現在のような過酷な経済的・時間的・精神的負担から解放されることになる。したがって、法曹志願者数が回復することは容易に予測できる。」との理由が最も端的なものである。
  司法試験の受験資格から法科大学院課程修了要件が削除されるべき理由は多々あり、複合的なものであるが、私は、やはり最大の理由は、資格試験でありながら不公平、不平等という点にあると思う。司法試験は、言うまでもなく法曹として職責を果たしうる能力を有するか否かを判定する試験である。法曹として職責を果たしうる能力を有しているにもかかわらず、法科大学院課程を修了していないことの一事を以て試験すら受けさせないということが許されない不正義であることは自明の理であろう。
  そもそも法科大学院課程修了を司法試験の受験資格としたのは次の理由による。合格者数を3000人に大増員するとなると当時の司法研修所では二年間の司法修習は人的・物的に不可能で、司法修習を一年間に短縮するためには司法修習を補う仕組みが必要と考えられた。他方大学は少子化による学部生減少を補う新たな大学院制度を望んでおり、文科省も自らの省益拡大を望んでいた。このような思惑によって法科大学院制度が構想されたが、法科大学院と司法試験の受験資格をリンクさせないことには法科大学院の学生を確保することはできないと考えられた。そこで法科大学院課程修了を司法試験の受験資格とすることによって法科大学院制度を経済的に成り立たせようとしたのである。しかしこのような法科大学院の経済的利益が、資格試験の生命である公平性・平等性を奪う理由にならないことは明らかであろう。 
  兵庫県弁護士会でも執行部が同じ趣旨の総会決議を出そうとしたが、まず常議員会で否決され、その後常議員12名からの総会招集の求めに応じて臨時総会が招集された。しかし総会では招集手続きについて問題ありとする意見が多数出され、議長が内容面に入るかどうかについて挙手を求めたところ、実質審理に入ることに反対する会員が多数を占めたために実質審理に入ることなく終結したとのことである。
  このように既に5単位会で「司法試験の受験資格から法科大学院課程修了要件の削除を求める」趣旨の総会決議ないし意見が出されているが、日弁連にはその意見に耳を傾ける姿勢は微塵もない。理事会で心ある一部の理事がいかに正論を言おうと、日弁連執行部が自らの意思で法科大学院制度を法曹養成の中核とする方針を変えることは全く期待できない。
  しかし、3000人増員路線についてもかつて日弁連は聖域として死守する姿勢を示していた。それが曲がりなりにも変更して1500人程度までの減員を言い始めたのは、地方単位会が次から次へと増員反対の決議を上げ、もはやその意向を無視しては日弁連の運営が立ち行かないとの判断があったものと思われる。従って、司法試験の受験資格から法科大学院課程修了要件を削除することについても、地方単位会や弁連が決議を出し続ければ日弁連の姿勢を変えることも不可能ではないように思う。
  兵庫県弁護士会において日弁連擁護派との熾烈な争いの末に葬り去られたようにそれは簡単なことではない。しかしそれをやらないことには、有為な人材の法曹志望者数減少は止められないはずだ。仙台弁護士会では二世弁護士が急増している。司法修習生の
貸与申請者数と申請率の推移は新65期(1742人,87.1%) 、66期(1654人,80.8%)、 67期(1449人,73.6%)、 68期(1181人,67.1%)と申請者数、率とも年々下がり、率はついに7割を切ったとされている。「考えられる理由として最も合理的なのは、やはり、弁護士就職難を含む広い意味での経済的事情から法曹を諦める人が増え続けていることの反射として、貸与を受けなくても生活費に困らない修習生が年々、相対的に増え続けており、法曹の卵の属性が偏りつつある」との意見もある。別に今の二世弁護士が有為な人材でないなどと言うつもりは毛頭ない。しかしこのような傾向が今後益々進むようであれば、やはり法曹界の人材が歪なものになっていくことが懸念される。
  仙台弁護士会の総会でも法曹養成に関する決議が準備されようとしている。委員会のメーリスでは参考資料として奈良県弁護士会の決議が流されていたので、仙台会でも司法試験の受験資格から法科大学院課程修了要件の削除を求める趣旨の決議をするのかと期待した。しかし今日のメールを見たところ単に「法曹人口と給費制について、2月21日の総会で決議を挙げる方向で進めることとした」と書いてある。しかし既に何度も決議や会長声明を出している法曹人口と給費制について今さら総会決議することに何の意味があるのだろう?仙台会ではよく「松川事件以来の伝統」ということが言われる。松川事件二審判決後、日弁連が「司法裁判に対する言動に慎重を求める声明」を出そうとした際に、当時の仙台会が常議員会を開いて日弁連の声明に反対することを決議し、仙台会選出の日弁連副会長と理事が理事会で反対意見を述べた結果、声明が見送られたことを指す。しかしながら、少なくとも私が入会した後は仙台弁護士会が積極的に日弁連の方針に反対姿勢を示したことはほとんどない。基本的には日弁連追従路線である。仙台弁護士会は、増員見直しについて、いち早く総会決議を出してその後の地方単位会決議続出の流に寄与しただけに、この問題についても総会決議がなされることを期待したい。

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2014年12月24日 (水)

65 期・66期会員に対するアンケート調査(日本弁護士連合会) 2014年の年額所得(見込)「400~500万円未満」が最多(21.9%),「200万円未満」「200~300万円未満」「300~400万円未満」の合計も31.1%

  日本弁護士連合会は、現新65期及び66期全会員合計3618名を対象にアンケート調査を実施した(実施期間:2014年7月31日~8月29日)。有効回答数は990名 (回収率:27.4%)。仙台弁護士会の回答者数は12名。
1 就業形態
  新規登録時の就業形態は,「勤務弁護士」「民間企業・団体」「公務員」「日本司法支援センターのスタッフ弁護士」の合計で834名(84.3%)であり,それ以外の就業形態である者は156名(15.7%)である。「それ以外」とは,「事務所内独立採算弁護士」「独立開業」「既存事務所の共同経営弁護士」等である。
  調査日現在での就業形態は,「勤務弁護士」「民間企業・団体」「公務員」「日本司法支援センターのスタッフ弁護士」の合計で798名(80.6%),それ以外の就業形態は192名(19.4%)である。新規登録時点と調査日現在の時点を比較すると,「勤務弁護士」「民間企業・団体」等が減り「それ以外」が増えた。
2 2014年の年額所得(見込)
  2014年の年額所得(見込)は,「400~500万円未満」が最多(21.9%)。「200万円未満」「200~300万円未満」「300~400万円未満」の合計は,990名中307名(31.1%)である。
  2014年の年額所得(見込)が400万円未満である者307名のうち「勤務弁護士」は192名,「既存事務所の共同経営弁護士」は11名で両者合わせて66.1%を占める。
3 奨学金債務
  奨学金債務または司法修習貸与金債務を負担する者は,990名中843名(85.2%)である。債務総額は「300~500万円程度」216名,「500~700万円程度」161名,「700万円以上」198名である。
4 新規登録時から現在までに就業形態・就業先を変更したか
  就業先・就業形態ともに変更した者は74名(7.5%)。就業形態は変えず、就業先のみ変更した者は39名(3.9%)。就業先は変えず、就業形態のみ変更した者は27名(2.75)。就業先・就業形態ともに変更していない者は850名(85.9%)。
  就業先または就業形態の変更の理由は,「就業先における自分の将来性が感じられなかった」55名(39.3%),「 人間関係に問題があった」51名(36.4%),「先輩弁護士等による十分な指導が受けられなかった」39名(27.9%),「やりたい仕事ができなかった」32名(22.9%),「就業先の業務拡大・発展の見込みがなかった」27名(19.3%)。
5 就業先・就業形態の変更希望,登録取消
 (1) 就業先・就業形態の変更希望
   今後数年以内に就業先または就業形態を「変更したい」と思う者は,990名中430名(43.4%)である。
   変更希望の理由は,「収入に満足できない」164名,「自分の将来性が感じられない」135名,「就業先の業務拡大・発展の見込がない」82名,「先輩弁護士による十分な指導を受けたい」65名,「現在の就業先において人間関係に問題がある」55名である。
 (2) 登録取消
   登録取消を「考えたことがある」者は990名中177名(17.9%)である。
   登録取消を考えた理由は「会費負担が重い」92名,「収入が不安定」78名,「法曹以外への転職」77名である。留学を考えたは8名、出産育児のためは15名に過ぎない。
   「会費負担が重い」と回答した者の内訳は勤務弁護士48名,独立開業19名,民間企業・団体,事務所内独立採算弁護士がそれぞれ9名である。
   登録取消を「考えたことがある」177名のうち,2014年の年額所得(見込)が400万円未満の者は88名で49.7%を占めている。所得の低さは登録取消の大きな動機となっている。
6 勤務弁護士・既存事務所の共同経営弁護士・事務所内独立採算弁護士の所属先からの金銭支払いの形態
  固定給のみ480名(58.2%),固定給+歩合制186名(22.5%),完全歩合制36名(4.4%),最低所得保障のみ15名(1.8%),最低所得保障+歩合19名(2.3%),金銭支払いはない41名(5%)
7 事務所から支払われる固定給の額(年額)
  200万円未満9名(1.3%),200万円~300万円未満21名(3.1%),300万円~400万円未満116名(17.4%),400万円~500万円未満205名(30.7%),500万円~600万円未満148名(22.2%),600万円~700万円未満79名(11.8%),700万円~800万円未満37名(5.5%),800万円~900万円未満10名(1.55),900万円~1000万円未満13名(1.9%),1000万円以上22名(3.3%)。
8 2014年(1月~12月)の年額所得(収入-経費)(見込み)
  200万円未満71名(7.2%),200万円~300万円未満85名(8.6%),300万円~400万円未満151名(15.3%),400万円~500万円未満217名(21.9%),500万円~600万円未満186名(18.8%),600万円~700万円未満125名(12.6%),700万円~800万円未満64名(6.5%),800万円~900万円未満30名(3.0%),900万円~1000万円未満13名(1.3%),1000万円以上38名(3.8%)

  有効回答数は990名 (回収率:27.4%)であるから,新人弁護士の置かれている状況を示すものとして信頼しうるデータだろう。
  2014年の年額所得(見込)「400~500万円未満」(21.9%),「200万円未満」「200~300万円未満」「300~400万円未満」の合計(31.1%)をどう見るかだが,全弁護士の申告所得の中央値が600万円であるからそれほど低いとは言えないかもしれない。しかし奨学金債務または司法修習貸与金債務を負担する者が85.2%にのぼり)である。債務総額「300~500万円程度」216名,「500~700万円程度」161名,「700万円以上」198名という負債を考慮すると経済的安定とはほど遠い。
  注目すべきは,就業先・就業形態ともに変更した者74名(7.5%)。就業形態は変えず、就業先のみ変更した者39名(3.9%)という点だ。僅か7ヶ月~1年7ヶ月の間に11.4%の者が事務所を移るか独立していることになる。かつてはこのような短期間で事務所を変えたり独立する勤務弁護士はほとんどいなかった。不本意な事務所に就職せざるを得なかったが耐え切れなかった者が1割以上いるということだ。その理由も,就業先における自分の将来性が感じられなかった55名(39.3%), 人間関係に問題があった51名(36.4%),先輩弁護士等による十分な指導が受けられなかった39名(27.9%),やりたい仕事ができなかった32名(22.9%)就業先の業務拡大・発展の見込みがなかった27名(19.3%)というのだから悲しい。

  今後数年以内に就業先または就業形態を「変更したい」と思う者が,990名中430名(43.4%)もいる。変更希望の理由は,「収入に満足できない」164名,「自分の将来性が感じられない」135名,「就業先の業務拡大・発展の見込がない」82名,先輩弁護士による十分な指導を受けたい65名,現在の就業先において人間関係に問題がある55名とされている。多くの勤務弁護士が,就業先の事務所に対し辞めたいと思うほどの大きな不満を抱えていることを示している。
  登録取消を「考えたことがある」者が990名中177名(17.9%)もいるのは驚きだ。その理由も「会費負担が重い」92名,「収入が不安定」78名,「法曹以外への転職」77名とされ,経済的苦境や法曹への失望が多くを占めている。「時間にゆとりがない」57名、「体力の限界」36名がいるがこれらはブラック事務所でこき使われているのだろう。今はまだ「登録取消を考えたことがある」にとどまっているが,早晩新規登録者の2割の者が2年以内に「登録を取消した」になるだろう。

  そもそも日弁連は,このアンケート結果も弁護士実勢調査の結果も公表はしていない。これは日弁連が内閣官房法曹養成制度改革推進室に提出した資料である。まずは一般会員に公表するのが筋だろう。日弁連はいつこの結果を公表し,調査結果についてどのようなコメントをするのだろう。新人弁護士のこのような窮状は司法改革を掲げて大増員を推進してきた日弁連が望んだ姿なのだろうか。法の支配を津々浦々に広げる(未だに意味不明だが)司法改革実現のために甘受すべき代償なのだろうか。
  日弁連は2014年度会務執行方針で,「若手会員支援」のために「司法修習生と若手会員に対する就職支援及び独立開業支援を継続して行います。」「法律事務所への就職支援に止まらず、企業、地方自治体、団体等への就職も視野に入れ、これに必要な支援を行います。」「日弁連総合研修センターによる会員全体のスキルアップ研修の充実に力を入れるとともに、特に若手会員に対しては、多くの弁護士会で行われているOJT強化の取組を支援し、日弁連もこれをサポートします。」「若手会員に役立つ業務モデルの発掘及びその情報提供を行い、成功モデルを周知します。」「事務所内外で先輩弁護士に相談できる機会を持てない若手会員が増加していることに鑑み、いくつかの弁護士会が行っている若手会員向けの相談窓口を全国に広めるために有用な情報の収集と共有化に努め、モデルとなるような相談窓口創設のための検討を行います。」としている。
  やらないよりはましかもしれないが見苦しい弥縫策としか映らない。先ずは過去の政策の過ちを認めて謝罪すべきだろう。その上で,合格者数減の最大の足かせであり,法曹志望者激減と奨学金債務の元凶となっている「法科大学院修了を司法試験の受験資格としていること」の廃止運動を行うべきだ。同時に肥大し過ぎた会務をバッサリと切ってできる限りの会費減額を行うというのが現実的政策だ。たいして効果が望めない「若手会員支援策」に会費を使うくらいなら若手会員の会費負担をさらに軽減すべきだろう。

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2014年12月21日 (日)

日本弁護士連合会弁護士実勢調査2014の結果について 弁護士の所得額中央値600万円

  日弁連が、2014年(平成26年)7月29日~9月19日までの間に、本年7月時点の全会員を対象に実施した弁護士実勢調査の結果が明らかにされた。回答者数は3724人(回答率10.8%)。ちなみに仙台会の回答者数は54人。回答者の属性は経営弁護士66.4%,勤務弁護士20.9%で,その余はノキ弁・法テラススタッフ・組織内弁護士などである。

1 現在の取扱事件数(裁判所事件,交渉事件を含め,報酬請求の単位となるもの)は,中央値は25件,平均値は約34件である。2008年の「センサス」と比較すると,「40件」を境にして「40件未満」が増加,「40件以上」が減少している。全体的に事件数減少の方向へ移動している。
2 全事件のうちの裁判所事件数(調停含む)は,中央値12件,平均値は16件である。このうち家事事件数は中央値3件,平均値約4件である。
3 収入額(売上げ)は,中央値1430万円。平均値2402万円である。
  2010年の「経済基盤調査」では,中央値2112万円。平均値は3304万円だった。
4 所得額は,中央値600万円,平均値907万円である。
  2010年の「経済基盤調査」では中央値959万円,平均値1471万円だった。
5 
2014年度に新人採用予定があるのは,自分の勤務形態を「経営者弁護士」と回答した者のうち9.6%,2015年度以降に採用予定がある者は約4.2%。採用予定を「3年以内」とする者が6.2%,「状況次第」とする者が14.4%と,採用見通しは厳しい。
6 弁護士を採用した場合の給与・報酬額は「400万円~500万円未満」が26%,「500万円~600万円未満」が約23%である。「300万円~400万円未満」は15.6%,「300万円未満」が約2.5%である。
  採用予定が「ない」理由では,業務量確保の見通しがないとする者が約61%で圧倒的である。

  予想通り売上げ、所得共に激減している。取扱事件数も減っている。取扱事件数の中央値が25件,そのうち裁判所事件数が12件,調停や家事事件を除く一般民事は多分その半分であろう。これでは経営はかなり厳しい。
  収入額(売上げ)1430万円,所得額600万円となると経費は差し引き830万円になる。勤務弁護士が回答者の20.9%いるとはいえ、経営者弁護士もかなり経費を切り詰めいているのが分かる。月額69万円で事務所を維持するのはかなり難しい。近時法テラススタッフや組織内弁護士が就職先として人気を集めいていると聞く。経営者弁護士の将来性への不安の現れであろうか。
  2010年の「経済基盤調査」の結果と対比すれば,ここ数年の内に相当数の経営者弁護士が貧困層に転落するのは必至のように思われる。
  日弁連には現在20億円の繰越金があるそうだ。これだけ会員数を増やしておいて会費は減額しないのだから会費収入は右肩上がり,使い切れなくて当然だ。しかし日弁連は特別会費の一部の減額・一般会計化をするものの会費減額は全く考えていない。20億円の繰越金も日弁連の重点施策に使うのだそうだ。全くどうかしている。今でも多くの会員は日弁連に何も期待しないし関心も持っていない。日弁連が会員から見放されて強制加入団体でなくなるのもそう遠くのことではないと思う。

弁護士実勢調査http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/hoso_kaikaku/dai14/siryou03.pdf

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