司法・予備試験出願者、初の減少 背景に「法曹離れ」か いよいよヤバイかもしれない
通過すれば法科大学院を修了しなくても司法試験の受験資格が得られる予備試験の今年の出願者数が2014年より79人少ない1万2543人(速報値)となり、11年の制度開始以降初めて前年を下回ったことが23日、法務省のまとめで分かった。 法科大学院の志願者も04年度は約7万2千人だったが、14年度は1万1450人にまで激減しており、弁護士の就職難などを理由とした法曹志望者の減少が背景にあるとみられる。 予備試験は経済的事情などで法科大学院に通えない人を想定して導入されたが、現役学生が法曹(裁判官、検事、弁護士)への「近道」として受験するケースが多い。
ついに予備試験の出願者数まで減り始めた。予備試験は、法科大学院の経済的負担と時間的無駄を回避するために導入以来一貫して出願者数が増加していた。それが減り始めたということは、「法科大学院の経済的負担と時間的無駄」がないとしても法曹は志願しないということだ。法科大学院志願者も激減、予備試験出願者も減少に転じたということは、法曹という職業が学生にとってもはや魅力的な職業には写っていないということだろう。
なんとも悲しいことだが、馬鹿げた増員による過当競争がもたらした就職難、既存弁護士の貧困化、品のないTVCMの氾濫、貧困化がもたらす金銭的不祥事の増加という現実を見るならば、法曹を目指さないという学生の選択はむしろ賢明なのであろう。
仙台弁護士会では21日の総会で司法試験合格者数減員についての決議を行った。直ちに1500人へ、なるべく早く1000人へ減らすべきという決議だ。しかし仮にこれが実現されたとしても、今となっては焼け石に水だろう。というより政策的に減らさなくとも法曹志望者が減れば(合格水準を落とさない限り)自然に合格者数は減っていく。昨年合格者数が2000人から1800人に減ったのは政策的に減らしたのではなく、受験者のレベルが下がったために自然に減ったと考えられている。今後もどんどん減っていくだろう。
怖いのは法科大学院制度を維持するために合格レベルを下げて無理矢理合格者数を確保することだ。質の悪い弁護士が多数輩出され、その者達が過当競争から虚偽誇大広告で依頼者を集め、それでも喰えずに悪事に手を染め、弁護士の信用が失墜するという、考えたくもない弁護士界の近未来が近づいているように思えてならない。そんなことになれば市民にとっても迷惑この上ない話しだ。