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2015年4月26日 (日)

平成25年度国税庁統計に見る弁護士の経済状態 コメント付記

             2008年     2009年    2010年   2011年    2012年 
確定申告者数   23470人    25533人   26485人    27094人   28116人 
申告所得総額  3299億円   3030億円  2847億円  2698億円  2699億円

70万円以下    2661人    4920人    5818人    5714人   5508人 
100万円以下    218人     269人     268人     295人    365人 
150万円以下    490人     366人     465人     424人    585人 
200万円以下     544人     365人     459人     502人    594人 
250万円以下    609人     535人     482人     544人    651人 
300万円以下    581人     619人     470人     608人    708人 
400万円以下   1206人    1054人    1093人    1534人   1619人 
500万円以下   1254人    1182人    1447人    1596人   1860人 
     合計    7563人    9310人   10502人   11217人  11890人 
            32.2%    36.5%    39.6%    41.4%    42.2%

           2013年       
確定申告者数   28263人 (無申告者数5272人)2013年10月の会員数33535人 
申告所得総額  2656億円   

70万円以下    4521人    500万~1000万  7247人(2012年は7049人) 
100万円以下    449人    1000万以上     9065人(2012年は9177人) 150万円以下    710人      
200万円以下     788人      
250万円以下    765人      
300万円以下    830人      
400万円以下   1887人     
500万円以下   2002人     
     合計   11952人      
            42.2%

2013年業種別平均所得金額      2012年
医師           2402万円    2418万円
歯科医師         936万円     943万円
弁護士           940万円     960万円
会計士・税理士     641万円     646万円
司法書士・行政書士  359万円     366万円

https://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/shinkoku2013/pdf/h25_02_tokeihyo.pdf

  国税庁の上記統計は、各年の確定申告に基づき、業種別の「所得階級別人員」を公表しているもの。所得とは、総収入金額から必要経費を控除した後の金額(総所得金額)。所得税の計算上は事業上の必要経費のほか、基礎控除や扶養控除、社会保険料控除などの所得控除を受けることもできるが、統計で使われている「総所得金額」はこれらの所得控除を差し引く前の金額。弁護士の無申告者数は5272人だがこれらは給与所得のみでかつ還付申請の必要もなかった者と思われる。これらの者を除外したデータではあるが弁護士の経済状態をほぼ正確に示していると考えられる。
  2012年と比較してそれほど大きな変化はない。急激な経済状況の悪化には歯止めがかかったようにも見えるが、経済状況の悪化が一時的なものでないことが明らかになったとも言える。確定申告者数が増加したにもかかわらず、申告所得総額は2012年の2699億円から2656億円に43億円減少している。減少幅は小さくなったが弁護士業界全体の所得の長期低落傾向は続いている。弁護士数の増加と確定申告者数の増加が比例していないのは、若手が独立できない状況にいることを示していると思われる。
  1000万以上の所得のある者は、2012年の9177人から9065人に減少したもののまだこれだけいる。一億円以上の所得のある弁護士が293人、3000万円以上なら1961人もいる。弁護士と歯科医師の平均所得金額はほぼ同じだが、両者を比較すると弁護士は3000万円を超える者の比率が歯科医師より遙かに高い。歯科医師で一億円以上の所得のある者は49名と弁護士より遙かに少ない。つまり弁護士は所得格差が大きいことを示している。会計士・税理士の平均所得金額は641万円で弁護士より遙かに低いが、500万円以下の比率は39.1%と弁護士より低い。弁護士の平均所得金額が940万円といっても、高額所得者が平均を押し上げている構造だ。
  会計士・税理士の平均所得金額641万円、司法書士・行政書士のそれが359万円というのは意外なほど低い。ただ税理士の場合は税理士試験を経ずに税務署での職務経験で資格を得る者が多く、そのような者は退職後に片手間に仕事をしているからであろうか。司法書士・行政書士も司法書士単体であればもっと高いのだろう。それを考えても、弁護士の経済状態はまだましと言えるだろう。もっとも、平均所得金額を押し上げている高額所得者層が今後増加するとは考えられない。そして弁護士業界の人員増加率は、他業種とは比べものにならないくらい高いので、早晩平均所得金額でも会計士・税理士並になることは間違いないだろう。
  高額所得者層の減少が思ったほど見られないのは意外だ。まだまだ儲かっている弁護士も多いということだ。しかし、なにせ今後も大増員に伴う新規参入者が止めどなく入ってくるのだから、徐々に値崩れを起こして高額所得者層も減少していくだろう。
  いつの世もどの業界にも勝ち組はいるわけで、弁護士の高額所得者層もまだまだ多い。一億円以上の所得のある弁護士は弁護士総数の0.87%、3000万円以上なら5.8%だ。この数字を見れば、今後新たに弁護士になる者が高額所得者になる可能性は十分あることになる。ただそうはなれない可能性が高いこともこの統計データは示している。もちろん収入は弁護士の職業的魅力の一部に過ぎないのだが、これから弁護士を目指そうとする方はよくよくこの統計データを見て、悔いのない選択をして欲しい。

  私の記事について次のようなコメントが寄せられました。なるほど主たる所得が弁護士としての所得である弁護士に限って考えれば状況はさらに悲惨ということになりますね。

・ 弁護士で最高の所得を得たもの(10億円超、20億円以下)の主たる所得は、弁護士としての所得ではない。(おそらく、不動産や株式などの投資による所得。)

・ 統計全体を見ても、15%強が、主たる所得が弁護士としての所得ではない。
 主たる所得は、この場合、投資や年金。(年収200万円以下の層は、高齢弁護士が国民年金などを受給し、年金額が弁護士としての所得を上回っている、というケースが紛れ込んでいる可能性が高い。年収600万円未満の層であれば、やめ判事やめ検の厚生年金も紛れ込んでいる可能性が高い。年収600万円以上の階層であれば、投資による所得が弁護士の所得を上回っているものと推察される。)
  主たる所得が弁護士である場合も、これが高齢者であれば、年金により、弁護士一人当たり年間100万円から400万円程度、トータルの所得を押し上げています。たとえば、20人が出席する委員会では、だれもそうとはいわなくとも、3人くらいは弁護士以外の所得で主に生計を営んでいる、ということになります。その他にも、年金で相当潤っている高齢者もいます。
  将来的には、年金は減額傾向にあるものの、配当は増加傾向にあります。そうすると、今後も、弁護士を主たる所得としない階層のうち、高額所得者の階層は固定化され、それ以外が落ちていく、ということになりそうです。
 国際事務所は高いフィーをとるから大丈夫、という見解もあるようですが、個人的には、大手事務所は営業のための経費が膨らみ続けており、無理があるとおもいます。また、財務省やら、原発のADRやら、外資系コンサル会社やらに出向させて、各弁護士の食い扶持を弁護士事務所以外から得させている始末、これでようやく事務所の規模を維持しているので、内情はやはり厳しそうです。また、一見するとPLはよさそうでも、BSは悲惨、ということもあり得ます。
  要するに、弁護士自体は斜陽産業だが、年金生活者やブルジョワが弁護士という肩書で申告をしているために、このような不労所得が弁護士平均年収を押し上げている。弁護士としての所得のみを計算すれば明らかに惨劇ですが、本来、この弁護士としての所得のみを調査できる弁護士会が、国税以上に弁護士の平均年収を押し上げるような統計結果を出す始末で、全く信用されない。業界の悲惨な実態は隠されています。

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