酷すぎる東北大学ロースクールの水増し合格
第68回法科大学院特別委員会配付資料で各法科大学院の入学者選抜実施状況が明らかとなった。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/05/18/1357974_6_1_1.pdf
東北大学法科大学院を見ると平成27年の競争倍率は、全国公立大学法科大学院の中で下から2番目に低い1.29倍。私立を含めた全法科大学院の平均倍率ですら1.87倍だからその低さは際立つ。ところが定員充足率を見ると、全法科大学院の平均0.69に対し東北大学ローは0.70。入学者数確保のために水増し合格させたことは明らかだろう。
平成21年と比較すると、東北大ローの平成21年受験者数は347名、合格者数は132名で競争倍率2.63倍。平成27年は受験者数72名、合格者数56名。平成21年と平成27年で受験者の質がそれほど変わるはずはない、むしろ低下している可能性の方が高い。平成21年の合格ラインを維持したとすれば、平成27年の合格者数は27名になるはずだ。残りの29名は不合格になるはずのところを合格ラインを下げて合格させたわけだ。
東北大ローほど極端でなくともほとんどの法科大学院は同じように合格ラインを下げて入学者数を確保している。法科大学院修了が司法試験の受験資格である以上、このことが何を意味するかは明白だ。予備試験合格者を除けば、法科大学院修了者=司法試験受験者であるから司法試験受験者の質の極端な低下を意味する。
日経新聞によると、「政府は21日、司法試験の合格者数を年間1500人以上とする検討案を公表した。検討案は政府の法曹養成制度改革推進室がまとめ、有識者会議(座長・納谷広美元明治大学長)の21日の会合で提示した。14年の合格者は1810人と8年ぶりに2千人を割った。法曹志望者は減少傾向にあり『何の措置も講じなければ合格者数は1500人を下回りかねない』」と指摘し、1500人以上を確保すべきだとした。」と報じられている。しかし現在及び将来予想される法科大学院の入学者選抜実施状況からすればとんでもない話しだ。法科大学院入学者の質の低下が進む中で合格者数をこのような数に固定するなら、それは必然的に司法試験の合格水準を意図的に下げなくてはならないことを意味する。法科大学院修了を司法試験の受験資格にしている限り、仮に合格者数を1000名にしたとしても、いずれは司法試験の合格水準を下げることで水増し合格を図らなければならなくなるだろう。
もはや法科大学院修了を司法試験の受験資格から外す以外に法曹の質を維持する方法はないというべきだろう。
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