入学者1人の法科大学院も 9割超定員割れ 実際の入学者は2201人で、定員充足率は平均で69%
今年度の法科大学院入試で、54校のうち93%にあたる50校で定員割れだったことが、文部科学省の調査でわかった。定員割れの学校が9割を超えたのは3年連続。
今年度入試では新たに13校が募集を停止し、54校の総入学定員は3169人。受験者数は9351人で、法科大学院が創設された2004年度以降初めて1万人を割り込んだ。受験者数を合格者数で割った実質的な「競争倍率」は1・87倍で、過去最低となった。
実際の入学者は2201人で、定員充足率は平均で69%。大学別で定員充足率が最も低かったのは愛知学院大の5%で、定員20人に対して入学者は1人。静岡大と東洋大はともに10%で、いずれも定員20人に対し入学者はそれぞれ2人だった。これら3校を含む計5校は、来年度からの募集停止を発表している。(2015年5月11日21時49分 読売新聞)
平成26年度の実入学者は2272人(15.8%減)だから、今年度は昨年度より71人減(3.1%減)ということになる。一見減少傾向に歯止めがかかったかのように見えるが、実態は水増し合格で入学者数を確保したに過ぎない。
慶應義塾大学は受験者数1096人、合格者数525人、入学者数204人で競争倍率は2.09倍、早稲田大学は受験者数1202人、合格者数601人、入学者数151人となんとか競争倍率2倍を守っている。しかし、中央大学は受験者数1067人、合格者数734人、入学者数241人で 競争倍率は1.45倍。明治大学に到っては、受験者数396人、合格者数336人、入学者数88人で競争倍率は1.18倍。法政大学は、受験者数113人、合格者数103人、入学者数34人で競争倍率は1.10倍の低さだ。
慶応や早稲田も競争倍率2倍ぎりぎりなので、入試が有効な選抜機能を果たしているかはなはだ疑問ではあるが、入学者数確保のための水増し合格に手を染めていないとはいえるだろう。中央は昨年に引き続き水増し合格に走った。明治や法政に到ってはほぼ全入、見栄も外聞もなく入試の選抜機能を放棄して入学者を確保した。
法科大学院関係者は法科大学院修了者の7~8割を司法試験に合格させろなどと言っているが、選抜機能を喪失しつつある法科大学院制度の下でそんなことをしたら法曹界は阿呆曹界になってしまう。今後、法科大学院制度を死守しようとする関係者や文科省から、司法試験を易しくするよう圧力がかかることだろう。法科大学院改革などもうどうでもよいので、とにかく現在の司法試験の合格水準だけは落とさないよう司法試験委員会に頑張ってもらうしかない。
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