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2016年8月の1件の記事

2016年8月 4日 (木)

大渕愛子弁護士の懲戒処分はやはり重すぎると思う

大渕愛子弁護士が業務停止一ヶ月の懲戒処分を受けた経緯は次のとおり。

 大渕弁護士は、いわゆる持込案件の形で法テラスに受任審査を申込み、平成2211月下旬、申立外Cとの間で相手方「T」事件名「養育費等請求事件」受任範囲、「示談」着手金「105000円〔消費税5000円〕実費「2万円」とする代理援助契約書を取り交わした。同弁護士は、上記代理援助契約書に先立ち、経済的利益の額を500万円とした上で、同事件について申立外Cから着手金「178500円〔消費税8500円を含む〕」成功報酬「得られた経済的利益の10%」顧問料「事件終結までの月額2万1000円〔消費税分1000円を含む〕とすることの了解を得ていたことから、上記代理援助契約に基づいて法テラスから支払われる着手金・実費の他に、申立外Cとの間で合意した上記着手金、成功報酬、顧問料を得られると思い、申立外Cから代理援助額による着手金を超える着手金7万8500円を受領するとともに、その後、顧問料として10万円〔月額2万円×5ヶ月分〕の合計178500円を受領した。同弁護士のた上記金員の受領は、法テラスで定めた代理援助契約条項、「事件の処理に関し、甲〔被援助者〕のために金銭を立替え又は甲から金銭その他の利益を受けないこと。ただし特別の事情があり、乙〔受任者〕が丙〔日本司法支援センター〕の承認を得たときはこの限りではない。」に違反する。しかしながら、被調査人は、申立外Cとの合意に基づいて受領したものであるから、返金する必要がないとして、申立外Cおよび法テラスから返金を求められたにも関わらす、平成231031日に至るまで返金しなかった。従って、非行の程度は大きいといわざるを得ない。被調査人は、法テラスの利用は今回が初めてであったことや、弁護士になってすぐに中国に行き、中国で渉外事務の仕事をしていたので、平成231013日に東京弁護士会の副会長から説明を受けるまで法テラスのルールを知らなかったと主張するが、その真偽はともかく、法テラスが認定した金額以外の金員を受領できないことは、法テラスを利用する弁護士ならば知っておかなければならないことであるから、責任を免ずる理由にはならない。同弁護士は、平成231031日にいたり、申立外C名義の口座宛に返金する方法により、178500円を返金している事実が認められるけれども、しかしながら、その送金時期は遅すぎるといわざるを得ない。被調査人は、申立外Cから平成23年6月21日および同年同月27日に電子メールにて返金を求められた際に拒否しているばかりでなく、同年7月13日に法テラスの事務局から電話にて返金を求められた際にも返金を拒否している。少なくともこの時点で自らの認識が正しいのか否かを再考し、代理援助額とは別に受領した金員を申立外Cに返金すべきであった。それにもかかわらず、同弁護士は、委任者と合意をしているのだから返金する必要はないとして、法テラスからの返金要求を拒否している。よって、弁護士としての品位を失うべき非行があると認められる。

  たしかにルール違反ではあるが、500万円の養育費等請求事件で、「着手金178500円〔消費税8500円を含む〕」成功報酬「得られた経済的利益の10%」顧問料「事件終結までの月額2万1000円」というのは旧日弁連報酬規程を遙かに下回るもので、事件終結までの期間にもよるがむしろ良心的といってよいと思う。旧日弁連報酬規程では最低着手金が10万円とされていたことからすれば、現在の法テラスの代理援助額着手金10万円の方が非常識なものである。そうはいってもやはりルールはルールだから178500円を返金すべきは当然だ。
 問題はこのルール違反が「弁護士としての品位を失うべき非行」に当たるかであるが、かなり微妙だと思う。やや遅いとは思うが約4ヶ月後には全額返還していること、金額がそれほど多額でないこと、法テラスの利用が今回初めてであったこと、他に同種のルール違反が確認されていないことを斟酌すれば、ルール違反ではあるが「品位を失うべき非行」とまでは言えないとの判断もあり得たと思われる。
 ちなみに
法テラスでは、平成21年までの3年間に被疑者国選弁護制度で依頼を受けた全国の弁護士およそ3700人について不正がなかったか調査した。その結果、157人が容疑者との接見の回数や裁判への出廷の回数を水増しするなどの方法で、合わせておよそ450万円の報酬を過大に請求していたことが判明した。法テラスは、不正に受け取った報酬の返還を求めたほか、過大請求の件数や金額が特に多かった19人については、1年から3か月間、国の費用での弁護業務の依頼をしないことを決めた。
  しかし、
この19人の不正請求は明らかに詐欺罪に該当する。これらの不正行為については所属単位会に情報提供されたがこの内懲戒請求されたものは一人もいない。単位会は所属会員に「品位を失うべき非行」がある場合は会立件で懲戒手続きを開始することができる。しかしどの単位会もそれをしなかった。法テラスも被害者であるからやろうと思えば懲戒請求できたし、むしろ彼らの理屈に照らせば当然懲戒請求してしかるべきであったがしていない。それどころか情報公開請求に対して、過大請求した弁護士名を黒塗りにして開示した。
 大渕弁護士の今回の行為は少なくとも最初に178500
円を受領した時点では故意はなかったと考えられる。両者を比較したときあまりにも均衡を失しているというべきだろう。
 百歩譲って懲戒自体は致し方ないとしても、誰がどう見ても戒告止まりだと思う。過去の懲戒事例を見ると、これより遙かに悪質と思われるケースで戒告が選択されたものは少なくない。
 業務停止となれば当該弁護士は受任中の全ての事件を辞任しなければならず、顧問契約も全て解除しなければならない。事務所を使用できないどころか事務所の看板まで撤去しなければならない。普通の弁護士であれば容易には立ち直れないダメージを受けることになる。公務員の停職処分とは全く不利益の程度が違うのである。だから業務停止は誰が見ても悪質だという場合に選択されるのが通例であり、今回の業務停止処分は過去の事例と比較しても明らかに均衡を欠いていると思う。
 何故本件で東京弁護士会が業務停止を選択したのか理解できないが、その心の底には人気女性弁護士がマスコミでチヤホヤされていることへの反感や妬み嫉みが潜んでいる思うのはゲスの勘ぐりというものか。
 マスコミやネットでも散々叩かれているが、水
に落ちた犬を叩くような反応もいかがかと思う。そんなに自分たちは品行方正に生きているのだろうか。日本の社会はいつからこんなに不寛容になったのだろう。

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