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カテゴリー「仙台市民オンブズマン」の39件の記事

2015年12月 9日 (水)

ざまを見ろ <仙台東西線>平日利用 予測大幅に下回る 仙台市民オンブズマンの予測の最下限にとどまる

  仙台市地下鉄東西線の開業後初の平日となった7日の推計利用者について、市交通局は8日、約4万9400人と発表した。通勤通学の利用が本格化したが、1日8万人とした市の需要予測を約38%下回った。開業日の6日の約10万8900人から半減し、厳しい平日のスタートとなった。
 自動改札で乗車した人数を基に推計した。市地下鉄南北線の駅で乗車し東西線駅で降りた人は推計に含まれないという。交通局は「あと1万人は上積みできる」と説明するが、それでも予測には届かない。
  駅別の利用者数は表の通り。南北線と接続する仙台(青葉区)が最多だったが1万人に届かなかった。事業所が多く立地する市東部の卸町、六丁の目(若林区)も想定の約半分で、通勤手段として浸透していないことがうかがえる。
  東西の起点の八木山動物公園(太白区)、荒井(若林区)と薬師堂(同)の3駅には駅前広場を設置。パーク・アンド・ライドやバスとの乗り継ぎを見込むが、予測に達していない。
  一方、いずれも青葉区で、市中心部の青葉通一番町、西部の国際センター、川内の3駅は予測を超えた。買い物客や大学の学生、職員の利用が押し上げたとみられる。
  また、通勤通学定期券は7日現在で約1万1000枚が売れた。11月の発売直後は伸び悩んでいたが、今月6、7の両日で約2900枚を販売した。
  1日当たりの需要予測は、市が計画当初の1998年、13万2000人と試算。その後13万人(2002年)、11万9000人(03年)と下方修正を繰り返し、東日本大震災後の12年に8万人とした。
  市交通局幹部は「平日の初日であり、もう少し推移を見たい。8万人を目指し、新年度を見据えて通勤通学者の利用促進を働き掛けたい」と話す。

  仙台市民オンブズマンは東西線建設費用の支出の差し止めを求めて訴訟を起こした。
  裁判の中では、費用対効果や需要予測が争点となった。仙台市は事業計画当初、費用便益比(注:ある公共事業にかける費用とそれによってもたらされる便益の費で1を下廻ると費用に見合った便益が得られないので公共事業は認可されない)
を2.63としていたが、予測が過大であると国土交通省から指摘を受け、数値を1.62に修正して事業認可を受けた。しかしこの数値は国が鉄道を建設する際に比較検討するために用いるマニュアルを仙台市が改変して算出したもので、マニュアル通りだと算出される数値は1.09であった。一審の仙台地方裁判所は判決でオンブズマンの訴えを棄却したが、東西線事業の費用便益比は1.09だと認めた。
 オンブズマンは判決を不服として控訴した。二審では、パーソントリップ調査が争点となった。パーソントリップ調査は、交通モデルに基づき将来のトリップ数(人が移動する回数)を予測するもので、仙台市が主張する東西線の需要予測も1992年(平成4年)の第3回パーソントリップ調査が基となっている。2002年(平成14年)に行われた第4回仙台都市圏パーソントリップ調査では、4通りの予測が行われた。そのうち3つの予測はバス事業者や鉄道事業者への多額の補助金や高速道路の料金引き下げ、居住する地域の制限、採算性を考慮しないなど実現が難しい前提が多く設定されている。現実的な政策・施策を続けた場合の2015年(平成27年)時の鉄道トリップは35万7千人/日と予測とされ、結果として現況より5万8千人トリップ/日しか増えない。また、仙台市が東西線の需要予測の基とした第3回パーソントリップ調査による2015年(平成27年)時の鉄道のトリップ数42万3千/日と第4回パーソントリップ調査結果である鉄道トリップ数を比較すると短期間に鉄道需要が乱高下するという辻褄が合わない事態が発生している。市民オンブズマンは第4回パーソントリップを論拠とし、東西線の利用者数は1日当たり4万9千人から6万人であり、費用便益比は1を下回ると主張した。これに対し仙台市は、パーソントリップ調査から導き出された数値は参考値であり、それがそのまま需要予測になるわけではないと反論した。また、証人尋問では仙台市の交通政策課長が需要予測を検証しなおせば事業自体の見直しにつながると述べ、仙台市の需要予測の危うさを事実上認める証言をした。判決で仙台高等裁判所は、第4回パーソントリップ調査の優位性を一部認める一方で、仙台市の事業の手法に違法性があるとはいえないとして、オンブズマンの控訴を棄却した。費用便益比については、一審同様、市の主張を否定し、1.1であるとした。
  仙台市民オンブズマンはさらに上告したが、最高裁判所はこれを受理せず、二審の判決が確定した。
  今回の1日利用者約4万9400人という数字は仙台市民オンブズマンが裁判で主張した推定利用者数の正に最下限だ。認可時の予測の僅か37%。東西線事業の費用便益比は利用者13万人ですら1.09とすれすれなのだから、その僅か37%しか利用しないのであるから建設費4000億円をドブに捨てたようなものだ。パーソントリップ調査の数字を直視すれば1日利用者約4万9400人という数字は最初から分かっていたことだ。問題は建設費が無駄遣いだったことにとどまらない。この利用者数では運賃収入では建設費の回収はおろか人件費・運行経費というランニングコストすら賄えなえず、単年度収支ですら赤字になることは必定だ。地下鉄東西線を運行する限り、仙台市は永遠に毎年一般会計から巨額の赤字補填をしなければならないことになる。東西線建設を推進した仙台市の歴代市長、幹部、賛成した市議会議員はいったいどうやって責任を取るつもりか。彼らは需要予測を誤ったのではない。過失ではなく絶対に達成できない数字をでっち上げて市民を欺いた故意犯だ。仙台市民オンブズマンは次のとおり奥山市長に対しても事業廃止の申しれをしたが奥山市長はそれを無視した。現職の奥山市長も同罪である。

       地下鉄東西線建設事業廃止の申し入れ
                             平成23年5月18日
仙台市長奥山恵美子殿
                    仙台市民オンブズマン代表十河弘

  仙台市が建設を行っている地下鉄東西線建設事業の実施を断念することを求め、以下のとおり申し入れます。
1.申入れの結論
 今回の東日本大震災の復興事業に総力を尽くすことが必要であり、現在進行中の地下鉄東西線建設工事を中止し、地下鉄東西線事業の実施を断念するよう申し入れます。
2.申入れの理由
  仙台市が将来人口の推計値の減少に伴い、地下鉄東西線の需要予測の見直しを行うことが、今年2月23日の河北新報で報じられました。
  仙台市民オンブズマンは、第4回パーソントリップで為されたはずの計算結果を真摯に受け止めれば、地下鉄東西線の需要は一日11万9000人という従前の需要予測の6割以下であると推測し、仙台市の需要予測は事業推進のため第4回パーソントリップの結果を直視しないものであると批判してきました。
  需要予測が、仙台市民オンブズマンの予測値に近く、地下鉄東西線が福岡市の地下鉄七隈線の実例のようになるとすれば、地下鉄東西線は単年度収支ですら黒字になることはなく、毎年一般会計から巨額の赤字補填をしなければならないという状況になります。
  しかるに、今回の東日本大震災の現状は、地下鉄東西線事業の必要性を、早急かつ真剣に問いかけています。東西線建設に市民の税金を投入するよりも、復興のために税金を投入することが優先されることは明らかです。
  幸いに、建設費の執行額は平成22年度末で事業費総額の約4割の1100億円程度にとどまっていると思われ、震災後は、工事自体が一時中断されているようです。
  事業を再検討し、事業を断念するとすればこの機会を逃してはなりません。
よって,上記のとおり申し入れる次第です。
  なお,仙台市が東西線への支出差止め訴訟の際に頑なに拒んでいた需要予測の見直しを今後行うのであれば、第4回パーソントリップの成果を利用して正しい需要予測を行いその内容を公開すべきであると考えています。

地下鉄南北線の現状
  平成20年10月31日仙台高裁で地下鉄南北線に対する一般会計からの補助金が地方公営企業法17条の3に違反しているか否かの判決がありました。裁判所は、違反するものではないと判断しました。「恒常的に」補助金を出すことが「特別の理由」があるとして許されるのであれば、法律が定めた地方公営企業の「独立採算性」は絵に描いた餅になってしまいます。判決はいろいろ長々と「理由」を述べますが、長々になるのは、論理をごまかしているからに他なりません。
  南北線の赤字と補助金額
  南北線も、乗車人員の過大予測(予測30万人に対して実情16万人)によって、赤字が平成19年度末で約1100億円に達しました。実はこのほかに740億円ほど赤字穴埋めのために補助金が注ぎ込まれているので、実際の赤字は1840億円となります。</u>裁判となっている平成17年、18年の補助金は合計25億円ほどでしたが、平成19年度は約20億円となりました。平成20年度は約25億円、平成21年度以降は30億円を超える補助金を出すことが予定されていて、今後も市民の税金が地下鉄事業のために使われていきます。
  地方公営企業の独立採算原則と補助金
  地方公営企業は、独立採算で企業運営をしなければなりません(独立採算が無理なら企業化せずに一般の都市施設として運営することになります)。但し、政令(地方公営企業法施行令)で定められた特定の経費については一般会計からの補助を受けることができます。政令で定められたもの以外は、地方公営企業法17条の3で定めている「災害の復旧その他特別の理由により必要がある場合」にのみ補助金を受けることができることになっています。
  政令は、概略「性質上地方公営企業の収入で賄うのが適当でない経費」「性質上地方公営企業の収入でまかなうことが客観的に困難な経費」について、補助ができる経費を特定して定めています。
  判決は、政令の定めは「通常考えられる経費」として一般会計が負担すべき経費を特定しているので、「臨時例外的経費・個別具体的経費」については「特別の理由」によるものとして補助ができるという判断をしました。
  補助される補助金のほとんどは、地下鉄建設のために発行した債券(借入金)の償還のための経費です。地下鉄の建設に多額の費用がかかることは最初からわかっていることで、「臨時例外的経費・個別具体的経費」とは言えません。建設費のための借入金の返済に補助が必要ならば、最初から政令は補助を認めているはずです。しかし、そうなってはいません。

  鉄道事業法5条により経営上健全であることが鉄道事業の許可に際しては必要です。鉄道事業許可を受けるときは、独立採算で運営ができなければ「経営上健全」と言えません。従って、地下鉄は補助金なしで運営ができる建前になっているので、地下鉄建設費の償還費用を、政令は補助対象に記載できるはずもないのです。

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2015年2月20日 (金)

宮城県、観光客の旅費半額補助へ  特定の個人の遊興費に直接税金を投入するなど正気の沙汰とは思われない

  宮城県は19日、県内を訪れる観光客の宿泊代や交通費を、半額程度助成する事業に新年度から取り組む方針を固めた。旅行券や旅行商品を販売する事業者などに割引相当額を補助し、東日本大震災で落ち込んだ観光客入り込み数の回復を期す。関連経費約10億円を計上した本年度一般会計補正予算を開会中の県議会2月定例会に追加提案する。  
  補助対象は、インターネットのサイトや旅行会社の窓口で販売される宿泊施設と鉄道や飛行機のパッケージ商品など。ほかに、観光客が県内の宿泊施設で利用可能な旅行券をサイトや旅行会社、コンビニエンスストアなどで割引価格で購入できるようにする。一部は4~5月の大型連休前の利用開始を目指す。
  補助率は現時点で5割程度を見込み、観光客1人当たりの利用上限は原則として設けない。観光客の居住地も制限せず、県内在住者でも利用できる。中部地方以西など、県内を訪れる人が少ない遠方からの観光客ほど割引幅が大きくなる制度設計も模索する。
  補助総額は7、8億円程度になるとみられ、インターネットの割引システム構築経費や旅行券発券手数料次第で変動する可能性もある。対象の販売事業者はプロポーザル方式で選定する。
  現在、県は政府の「地域住民生活緊急支援交付金」を財源に総額約32億円の経済対策を取りまとめている。経済対策には旅行代金補助のほか、県内への移住促進事業などを盛り込む予定だ。

  こんな税金の使い方が許されるのだろうか。財源は政府の「地域住民生活緊急支援交付金」だから県の腹が痛むわけではない。東日本大震災で落ち込んだ観光客入り込み数の回復を目指すならば観光スポットの整備を助成するなど恒久的な対策に当てるべきであろう。特定の個人の遊興費に直接税金を投入するなど正気の沙汰とは思われない。「地域住民生活緊急支援交付金」の趣旨に明らかに反している。どうせ国がくれるものだから使わなければ損という根状だからこんな馬鹿げたことを考えつくのだろう。「地域住民生活緊急支援交付金」は県の独自財源ではないが紛れもなく国民の血税なのに。
  財源が政府の交付金の場合には住民監査請求はできない。ほぼオール与党の県議会も反対しないだろう。河北新報も無批判で報道している。この記事を書いた記者はおかしいと思わないのだろうか。こうして誰のチェックも受けないまま税金が無駄遣いされていく。

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2014年4月22日 (火)

仙台市民オンブズマンが宮城県議会議員の海外視察について差し止めの監査請求 なんとホテル一泊5万3000円

宮城県知事措置請求書
                                                    平成26年4月22日
宮城県監査委員 御中

                          請求人 〒980-0021
                                  仙台市青葉区中央4-3-28 朝市ビル3階
                                  仙台市民オンブズマン代表
                                                野   呂       圭
                                            電話 022-227-9900
                              
 地方自治法第242条1項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求する。

第1 請求の趣旨
      宮城県知事は、別紙の第1項及び第2項の宮城県議会議員の派遣について、一切の公金を支出してはならない。
      との措置を求める。
      
第2 請求の理由
  1 当事者
  (1) 請求人は、国および地方公共団体等の不正、不当な行為を監視し、その是正を求める活動等を行うことを目的とする権利能力なき社団である。
  (2) 別紙の第1項及び第2項において派遣されようとしている議員は、いずれも宮城県議会議員である。別紙第1項記載の議員は自由民主党・県民会議、第2項記載の議員は、みんなの党・無所属の会に属している。
  2 宮城県議会における議員派遣の決定
      宮城県議会は、平成26年3月20日、別紙の第1項及び第2項の議員派遣を決定した。
  3 地方自治法第100条13項の意味内容、議会の裁量
  (1) 地方自治法第100条13項
        地方自治法100条第13項は、「議会は、議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のためその他議会において必要があると認めるときは、会議規則の定めるところにより、議員を派遣することができる。」と定めている。
  (2) 議員派遣の要件
        上記のとおり、議員の派遣は、議会が決定できるものとされているが、これは議会に自由裁量を認めたものではない。「議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため」でありさえすれば自由に派遣できるのではない。「その他議会において必要があると認めるとき」とされていることからすれば、あくまで「議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関して具体的に調査の必要性がある場合」及び「これらに準じる事項について具体的に必要性がある場合」に限られる。ただその「必要性」の判断に当たっては議会に一定の裁量権が与えられていると考えられる。従って派遣の目的、場所、期間等に照らして「必要性が乏しい場合」には裁量権を逸脱するものとして違法となる。
        地方自治法2条第14項は、「地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、最小の経費で最大の効果をあげるようにしなければならない」としている。このことからすれば、経費の支出を伴う議員の派遣については、「必要性」の判断に当たって「経費に見合った効果が見込める場合」か否かが検討されねばならない。もちろん「経費に見合った効果が見込める場合」であるかどうかについても議会に一定の裁量権が認められるが、派遣の目的、場所、期間等に照らして「経費に見合った効果が見込めそうにない場合」には、裁量権を逸脱するものとして違法となる。
  (3) 議会の自律性
    議会の裁量権行使の適否の判断に当たっては、一般的には議会の自律性の観点からある程度穏やかに判断すべきとされている。しかしこと議員の派遣についてはそのような考えをとるべきではない。何故なら議員の派遣は、同僚である議員についての議会の判断であるから、常に「お手盛り」の危険が存在する。この「お手盛り」の危険を避けるためには、「必要性」「費用対効果」について厳格な判断がなされなければならない。
    この点を緩やかに判断したのでは、県民の税金の浪費を許し、ひいては地方議会に対する市民の信頼を失わせ、県民の納税意欲や勤労意欲にすら影響を与えかねない。さらに言えば、県民の代表である議員がお手盛りで税金を浪費するとなれば、当該自治体の議員の見識の低さ、ひいては自治体全体の見識の低さが疑われることすら危惧される。
  (4) 海外視察に関する裁量の幅
        宮城県議会規則第130条は「地方自治法第100条13項の規定により議員を派遣しようとするときは、議会の議決でこれを決定する。ただし、緊急を要する場合は、議長において議員の派遣を決定することができる。2 前項の規定により議員の派遣を決定するに当たっては、派遣の目的、場所、期間その他必要な事項を明らかにしなければならない。」と規定する。
        海外視察は派遣先が海外であるから、国内で議員を派遣する場合と異なり、著しく多額の費用支出を伴う。従って「必要性」「費用対効果」について、国内で議員を派遣する場合に比して、格段に厳格な判断がなされなければならない。
        宮城県議会議員の海外視察に関する取扱要領第2では,「議会は,議員を海外に派遣するときは,あらかじめ定める予算の範囲内において行うことができる。」とされており,平成18年10月2日付の議員海外調査費について(通知)によれば,海外視察は、任期中に2回まで、合計で90万円の支給を認めている。これは議員に任期中2回、90万円の費用支出を伴った海外視察をし得る特権を与えたものではない。その趣旨は、法100条第13項及び規則第130条によれば議員派遣の費用や回数に制限が設けられていないところ、海外への議員派遣については高額になりがちなので上限を設けて制限するところにある。従って上限まで無条件に支出しうるものでないのは当然であるが、むしろ上限に近い費用を要するとされる議員派遣については、その「必要性」「費用対効果」について厳格な上にも厳格な判断がなされなければならないことを意味する。
  (5) 具体的に審査すべき内容
        当該議員の目的が重要であるか、視察先の選定が適切な過程を経てなされているか、視察先の選定が目的に照らし適切か、視察先での視察内容及び視察する時間が視察目的と照らして適切か、全行程の中で視察に宛てられる時間、予想される報告内容、目的と実態が異なっていないか、宿泊施設、利用する交通機関等に不相応に過大な費用支出がないかなどを厳密に審査すべきである。
        そして、上記内容に疑問点があれば、当該議員に対し聴き取り調査を行うなど適切な方法を執るべきである。
  (6) 被災自治体であることの特殊性について
    ア 上記において,海外視察の支出の審査について述べたが,宮城県議会の場合, 議員派遣の「必要性」「費用対効果」を判断するに当たっては、宮城県が東日本大震災の被災県であって、いまだ復興途上にあることが十分に考慮されねばならない。
    イ 未曾有の被害をもたらした2011年3月11日の東日本大震災から3年が経過した。避難生活を送っている人は、今なお26万7419人(2月13日現在)、宮城県だけでも9万人を超えている。
       仮設住宅での生活を余儀なくされている入居者もまだ10万2650人(8県で4万6275戸)と10万人を超え、住まいの復興は遅れている。
         産業の復旧・復興状況を見ると、大震災の前の水準を回復している割合の高い業種は、建設業(66%)、運輸送業(42・3%)に集中し、東北の地場産業である水産・食品加工業(14%)や卸小売り・サービス業(30・6%)の回復はまだ進んでいない。また、被災自治体全体で、事業所の減少や人口流出などにも直面し、今後の生活のメドが立っていない被災者も少なくない。
    ウ 宮城県の「東日本大震災の発生から3年~宮城県の現状・課題、取組について(宮城県)」では被災自治体として宮城県が直面している課題について次のように報告している。
       
        『(1) 住まいの確保(仮設住宅、災害公営住宅)
        平成26年2月末現在、約3万7千戸の応急仮設住宅(民間賃貸借上住宅等を含む)に約8万7千人の方が入居を余儀なくされていることから、災害公営住宅の整備が喫緊の課題となっています。しかし、災害公営住宅の完成は2月末現在で約1万5千戸の計画戸数中、330戸と約2%にとどまっています。住環境の改善が進まないことが、被災者が復興を実感しにくい要因の一つと考えられることから、早期の完成に向けて取り組んでいます。一方、自力で住宅を再建できない方は、仮設住宅等での生活が長期化してしまうといった問題も懸念されています。
        (2) 被災者の心身のケア
         仮設住宅等における、不安定で不自由な生活の長期化に伴い、生活不活発病の増加や高齢者の要介護度の悪化等に加えて、うつ病やアルコール依存症の増加といった被災者の心の問題の深刻化がみられます。このため、高齢者等を見守る「サポートセンター」の強化を図るとともに、被災者の心のケアの活動拠点となる「心のケアセンター」を設置し対応しています。また、被災した子どもたちの多くに、つらい震災経験等に起因するストレスによる、精神的変調や問題行動の増加が懸念されており、きめ細かい支援を継続的に行う必要があります。
        (3) 県外避難者への対応
         現在、全都道府県に約8千人の被災者を受け入れていただき、様々なご支援をいただいています。
        2.復興まちづくり
         かつてない規模で展開される市街地や集落の再建を同時並行して進めなければならないものの、復興まちづくり事業に従事する職員の不足をはじめ、資材や人件費の高騰、事業用地の確保や関係者間の合意形成の遅れ等が事業の進捗に影響を及ぼしています。平成26年2月末現在、防災集団移転促進事業により住宅建設可能となった地区は194地区中9地区(約5%)、また、被災市街地土地区画整理事業による工事着手地区は34地区中11地区(約32%)の進捗にとどまっており、事業の加速化を図らなければなりません。
        3.保健、医療、福祉
         全県的に見ると、被災した医療機関や社会福祉施設の復旧は進んでいるものの、震災前から医師等が特に不足していた沿岸部における医療機関(無床診療所や歯科診療所を含む)の再開率は、石巻地域で約89%、気仙沼地域で約73%にとどまっています(平成25年9月現在)。このため、引き続き施設の復旧を進め、将来に向けて必要な地域医療を担う医師などの安定的な確保に努めるとともに、高齢者や障がいのある人も地域で安心して暮らしていけるよう、保健・医療・福祉分野の連携による地域包括ケア体制の確立・充実を図る必要があります。
        4.雇用の確保
        被災者が安定的な生活を営むためには、雇用の確保が喫緊かつ重要な課題です。雇用情勢を見ると、平成26年1月の有効求人倍率は県全体で1.31倍と、復興需要などにより震災直後と比較して大幅に改善していますが、希望する職種や賃金等のミスマッチにより、求人・求職者のバランスに差が見られます。また、復興需要が落ち着いた後の雇用機会の縮小が懸念されています。
         5.地域産業の再生
        (1) 第1次産業の早期復興
         本県の基幹産業の一つである水産業の壊滅的被害をはじめ、第1次産業の被害も甚大でした。平成26年2月末現在、農地については除塩などにより約68%の復旧工事が完了していますが、高齢化等による従事者の大幅な減少が見込まれており、農地の面的集約や経営の大規模化による競争力のある経営体の育成等が急務となっています。
         水産業については、漁港の本復旧工事の着手が進み、また、主要魚市場の水揚げ量も回復しつつありますが、冷凍冷蔵施設や水産加工施設等の受入機能の復旧に遅れが見られるほか、震災により失った販路の回復等が課題となっています。
        (2) 被災事業者の事業再開
        平成26年1月末現在、中小企業等グループ補助金の交付を受けた事業者のうち、復旧が完了した事業者は約65%にとどまっています。資材の高騰による施設設備の再建工事の遅れや取引先の喪失による受注の減少、更にはスキルを持った従業員の転出など、時間の経過に伴い、地域の産業再生を図っていく上での様々な課題が顕在化していることから、これらの課題の解消に向け、県内企業の生産水準の回復に全力を挙げて取り組んでいます。
         6.インフラの復旧
         道路等のインフラについては概ね復旧が完了し、空港・港湾の利用状況も震災前の水準を回復しつつあります。その一方で鉄道については、一部区間で今なお運休を余儀なくされており、復旧の遅れが人口流出に影響する恐れがあることから、内陸へのルート変更などの津波対策を踏まえ、復興まちづくりと一体となった再整備を迅速に進める必要があります。』
    エ 議会が今議員を派遣すべき場所は、今なお悲惨な現状にあるこれらの地域である。議会が今審査すべき議案はこれらの課題についての議案である。議会が今調査すべき宮城県の事務はこれらの課題への取組状況であり,上記の課題に対して具体的な必要性がなければ,そもそも不必要な調査であると推定されると言うべきである。
  (7) 今般の議員派遣について
        上記基準に従う限り、別紙第1項及び第2項の議員派遣について、宮城県が支出をすることは、地方自治法第100条13項に違反する。
        以下、具体的に述べる。
  4 ベトナム社会主義共和国への企業進出推進等に関する調査(別紙第1項)について(甲1第2頁~)
    (1) 視察の目的
        ア 本視察の目的は,「ベトナム社会主義共和国における本県企業の進出実態、現地地方政府による企業進出奨励策、工業団地・新市街地形成状況、第一次産業の実態に関する調査」とされている。
        イ しかし,前述したとおり,宮城県は,「中小企業等グループ補助金の交付を受けた事業者のうち、復旧が完了した事業者は約65%にとどまっています。資材の高騰による施設設備の再建工事の遅れや取引先の喪失による受注の減少、更にはスキルを持った従業員の転出など、時間の経過に伴い、地域の産業再生を図っていく上での様々な課題が顕在化していることから、これらの課題の解消に向け、県内企業の生産水準の回復に全力を挙げて取り組んでいます」とされているように、被災事業者は震災からの復旧すらおぼつかない状況なのである。「希望する職種や賃金等のミスマッチにより、求人・求職者のバランスに差が見られます。また、復興需要が落ち着いた後の雇用機会の縮小が懸念されています」というように雇用情勢も厳しいのである。そのような時に「ベトナム社会主義共和国における本県企業の進出実態、現地地方政府による企業進出奨励策、工業団地・新市街地形成状況」など調査する必要はさらさらない。
         また発展途上国であり、高齢化もしていない「ベトナムの第一次産業の実態に関する調査」などする必要性などない。
      ウ このように,本件の調査目的は,そもそも現在の県政にとって,全く重要でないものである。
    (2) 視察先での視察内容及び視察時間
        ア 今回の視察では、視察先施設が特定されているものについて、その訪問時間は1時間から1時間半である。
            しかし、現地の視察先とのやりとりは通訳を介してなされるところ、通訳を介するとコミュニケーションをとるのに倍以上の時間がかかる。
          挨拶にかける時間も考慮すると、実質コミュニケーションをとれるのは30分~45分程度である。この時間設定が適切なものであるか、疑問である。
      イ 5月8日の午後に予定されている訪問先「市内商業街区」は、場所が特定されていないにもかかわらず、3時間の時間設定がなされている。これは、付近の観光に中てられる可能性が非常に高く、精査の必要性が非常に高い。
    (3) 宿泊施設、交通機関等に不相応に過大な支出がないか
          日本からの往復に使用される飛行機はビジネスクラスであるほか、宿泊施設は、「シェラトン・サイゴン」であり、現地の高級ホテルである。かかる出費は不相当に過大である。
  (4) まとめ
        以上のとおり、別紙第1項のベトナム視察への公金支出は、その必要性がなく,また支出される費用も過大であるので,派遣の目的、場所、期間等に照らして「経費に見合った効果が見込めそうにない場合」といえ,地方自治法100条第13項に違反する。
5 フランス・ドイツにおける経済政策、エネルギー政策、観光政策等に関する調査(別紙第2項)について(甲1第13頁目~)
  (1) 視察の目的
      ア 本県議員派遣の目的は、「フランス・ドイツにおける中小企業の振興施策、原発と再生可能エネルギー対応、インバウンド対策、農業振興策、観光政策等に関する調査」とされている。
      イ しかし,「フランス・ドイツにおける中小企業の振興施策の調査」は、「資材の高騰による施設設備の再建工事の遅れや取引先の喪失による受注の減少、更にはスキルを持った従業員の転出など、時間の経過に伴い、地域の産業再生を図っていく上での様々な課題が」解消する目処が立った後で考えるべきことであって今調査する必要などない。
        「原発と再生可能エネルギー対応の調査、観光政策等に関する調査」も結構だが、約3万7千戸の応急仮設住宅(民間賃貸借上住宅等を含む)に約8万7千人の方が入居を余儀なくされている」「災害公営住宅の完成は2月末現在で約1万5千戸の計画戸数中、330戸と約2%にとどまっている」現状の改善に目処が付いた後の話であろう。
    ウ このように,本件の調査目的は,そもそも現在の県政にとって,全く重要でないものである。
  (2) 視察先の選定過程及び視察先の選定
        視察先の選定過程においてどのような議論を踏まえたのか全く明らかでない。
        また、視察先はドイツ及びフランスという、大国であり、一つ一つの国に視察すべきところが多くあるにもかかわらずなぜわざわざ2国を選定しているのか理解に苦しむ。行程では移動時間に大きな時間を取られており、無駄が多い。
  (3) 視察先での視察内容及び視察時間
      ア 3日目
          JNTOフランクフルトが視察先としてあげられているが、1時間程度の時間しか無いこと、電話や書面などでの問い合わせで十分に足りると思われる。
          午後は、カールスエー市の視察が予定されているが、「エネルギーの丘」の他は場所が具体的に設定されていないため、具体的に何を視察するのか全く不明である。単なる観光に終わる可能性が非常に高い。
      イ 4日目
          視察先に在ドイツ日本国大使館が上げられているが、JNTOフランクフルトにおいて述べたのと同様、電話や書面などでの問い合わせで十分に足りると思われ、貴重な時間をここでつぶす必要性は全くない。観光をカムフラージュするための「ためにする視察」である可能性が非常に高い。
          午後のJETROベルリンも、JNTOフランクフルトで述べたのと同様、わざわざ訪問しなければならない必要性が明らかでない。
      ウ 5日目
          訪問先はJETROパリ、ユネスコ日本政府代表部、在仏日本大使館である。これらの施設をわざわざ訪問する必要性に乏しい。
      エ 6日目
          ランジス国際市場を訪問するとあるが、具体的にどこで何を視察するのか明らかでない。単なる観光に終わる可能性が非常に高い。
          JNTOパリ、CLAIRパリをわざわざ訪問する必要性がないことはすでに述べたとおりである。
      オ 7日目
          リヨンスマートコミュニティを一日かけて視察するとあるが、その視察先、視察内容は明らかでない。単に、フランス第2の都市を観光するだけに終わる可能性が非常に高い。
      カ 企画書では、フランスが原子力の割合が1番多いことに言及し、あたかも原発関連の調査をするようであるが、視察先からはその具体的内容は全く見えない。その他、企画書で掲げられる調査事項があまりに抽象的で、視察先において何を視察するつもりなのか具体的関連性が明らかでない。
  (4) 全行程の中で視察に宛てられる時間
        ドイツからフランスへの移動に大きな時間がとられ、無駄が多いことは先に述べた。
  (5) 宿泊施設、交通機関等に不相応に過大な支出がないか
        日本からの往復に使用される飛行機はビジネスクラスであるほか、宿泊施設は、「ウェスティングランド・フランクフルト」「ル・メリディアン・エトワール」「シェラトン・フランクフルト・エアポート」であり、現地の高級ホテルである。また、使用する列車は1等席とされている。かかる出費は不相当に過大であることは明らかである。
        「仮設住宅等における、不安定で不自由な生活の長期化に伴い、生活不活発病の増加や高齢者の要介護度の悪化等に加えて、うつ病やアルコール依存症の増加といった被災者の心の問題の深刻化がみられます」と指摘されるとおり,今,宮城県の住民は,非常に厳しい状況に置かれている者も多い。そのような中,ドイツ・フランスに行って、一泊5万3000円のルメリディアンエトワールホテルに泊まる必要性が一体どこにあると言うのであろう。仮設住宅で長期間に渡って不自由な思いをし体を壊している者すらいる被災者のことを考えれば一泊5万3000円のホテル宿泊など言語道断と言うべきである。
  (6) まとめ
        以上のとおり、本調査は,その必要性がなく,また支出される費用も過大であるので,派遣の目的、場所、期間等に照らして「経費に見合った効果が見込めそうにない場合」といえ,別紙第2項のドイツ・フランスへの視察への公金支出は、地方自治法100条第13項に違反する。
  6 議員派遣決定に当たり、宮城県議会は何ら審査をしていない。
     今般の議員派遣にあたり、宮城県議会は内容について審査をした資料は公開されていない。従って、何ら審査をせず、議員派遣を決定したものと思われる。宮城県議会の議員派遣に関する対応がここまでずさんなものであることからすれば、地方自治法100条13項違反が推定されると言うべきである。
  7 すでに実施ずみの調査の内容からしても、今回の調査の違法性は大いに疑われる(甲3)。
  (1) 宮城県議会は、平成26年2月18日、以下の議員派遣を決定した。
                                        記
        名称 ニュージーランドにおける大震災対策・エネルギー対策・環境保護対策等に関する調査
        期間 平成26年3月25日~3月31日(7日間)
        場所 ニュージーランド
        議員 渡辺和喜、佐々木征治、池田憲彦、石川光次郎、 只野九十九
        費用 360万円(当初受領額450万円、90万円返納)
  (2) 本件議員派遣に対して、平成26年3月6日、4人の議員に対し合計360万円を宮城県から支出済みである。これは視察に対して支払われる最高額である。
        その一人あたりの支出内容は、航空賃700、340円、現地交通費173、000円、国内交通費32、840円、宿泊料・雑費が100、000円、旅行雑費が8、860円とされており、ここから115、040円を調整額として減額して支出されている。
  (3) 本調査団は、日本とニュージーランドへの往復移動はビジネスクラスを利用していた。
        また、この調査団の調査先は、クライストチャーチ市、マウントクック、デカポ湖、ロトルア、オークランド、ワイヘキ島などであるが、これらは一般に観光地として有名な場所であり、行程表をみても具体的に何を視察して来たのか全く明らかでなく、単なる観光である可能性が非常に高い。
        これに関しては、別途支出した費用の返還をもとめる監査請求をする予定であるが、かかる疑わしい視察について宮城県議会はほとんど無審査で派遣を決定している。
        本件の別紙第1項及び第2項についても、ほとんどノーチェックで通していると思われ、それだけでも違法が推定されると言うべきである。
  8 結論
      以上の通り、別紙第1項及び第2項記載の議員派遣は、いずれも地方自治法100条13項に違反するので、宮城県知事は、同議員派遣について、公金を一切支出してはならいとの措置をとるべきである。
                                                                      以上
(事実証明書)
 甲第1号証 ベトナム及びドイツ・フランスへの議員派遣に関する一切の文書
  甲第2号証  ニュージーランドへの議員派遣(2014.3.25~3.31)に関する一切の文書における大震災対策・エネルギー対策・環境保
  同第3号証  東日本大震災の発生から3年~宮城県の現状,課題,取組について
  同第4号証 宮城県議会議員の海外視察に関する取扱要領
(添付書類)
  事実証明書写し 各1通
                                                                      別紙

1 名称:ベトナム社会主義共和国への企業進出推進等に関する調査
    目的:ベトナム社会主義共和国における本県企業の進出実態、現地地方政府による企業進出奨励策、工業団地・新市街地形成状況、第一次産業の実態に関する調査
    期間:平成26年5月5日~5月9日(5日間)
    場所:ベトナム社会主義共和国
    議員:今野隆吉、相沢光哉、畠山和純、小野隆議、長谷川洋一、本木忠一、外崎浩子、寺澤正志
    議員派遣の決定日:平成26年3月20日

2 名称:フランス・ドイツにおける経済政策、エネルギー政策、観光政策等に関する調査
    目的:フランス・ドイツにおける中小企業の振興施策、原発と再生可能エネルギー対応、インバウンド対策、農業振興策等に関する調査
    期間:平成26年5月25日~6月2日(9日間)
    場所:フランス共和国、ドイツ連邦共和国
    議員:渡辺忠悦、堀内周光、境恒春
    議員派遣の決定日:平成26年3月20日

  仙台市民オンブズマンは、宮城県監査委員に対し、宮城県議会議員の海外視察にかかる費用について支出差し止めの監査請求を行いました。監査請求する予定であることが4月16日の河北新報で報じられたところ、4月21日にフランス・ドイツ視察は急遽取り止めになったと報じられました。持病で医師に海外視察を避けた方がよいと言われたからだそうです。しかし視察予定の堀内周光議員と境恒春議員は30代前半の若手で、選挙期間中文字通り走り回っている姿がブログにアップされています。渡辺忠悦議員は昨年12月に会派の視察で沖縄に、同じく12月に北海道に視察に行っており、そのことを自身の広報誌に掲載しています。持病で止められたなどということは到底信用できません。監査請求を恐れて中止にしたのだと推測しています。
  文書開示請求で県議会から公開された見積書によれば、、宿泊先は「ウェスティングランド・フランクフルト」「ル・メリディアン・エトワール」「シェラトン・フランクフルト・エアポート」といずれも高級ホテル。「ル・メリディアン・エトワール」に至っては一泊5万3000円です。未だ仮設住宅で不自由な思いをしている宮城県民が約8万7千人もいるのにどういう金銭感覚をしているのでしょうか。多分このことが公になって非難を浴びることを危惧したのだと思われます。中止しただけ立派と言うべきでしょうが、こんな贅沢旅行を計画した事実は消えません。
  宮城県議会議員の海外視察に関する取扱要領及び議員海外調査費についての通知によれば,海外視察は、任期中に2回まで、合計で90万円の支給を認めています。しかしこれは議員に任期中2回、90万円の費用支出を伴った海外視察をし得る特権を与えたものではありません。議案の審査などのために議員を海外に派遣することが必要と判断された場合の、費用と回数の上限を定めたに過ぎません。それをこの議員達は、任期中2回、90万円の範囲で海外旅行に行ける特権を与えられたものと勘違いしているわけです。
  自由民主党県民会議所属の県議4名が本年3月25日~3月31日までニュージーランド海外視察に行きました。2月18日の派遣の議決の際は5名で行く予定でしたが、3月6日に1人の不参加が決まりました。その理由がすごい。公開された県議会の文書には「当初は海外視察の期間内には特に行事がないことから視察の目的に賛同し参加することとしていたが,3月29日に行われる登米市豊里での県道の供用開始式典に出席を求められ,地元の関係者からも出席すべきとの意見もあったことから(中略)地元での行事が急遽入ったことにより全日程を不参加とするとの意向が示されたものである。」と記載されています。特に行事がなく暇だと思ったから海外視察に参加することにしたものの、地元(選挙区)の式典が入ったので視察への参加を中止したというのである。県道の供用開始式典など時間にしてせいぜい1時間であろう。しかも議員は単に来賓として挨拶するだけのはずだ。そんな程度のことで、県議会が議決して派遣を命じた視察への不参加が許されるというのだから驚きだ。しかも海外視察への参加の理由が「海外視察の期間内には特に行事がないことから視察の目的に賛同し」というのもたまげた。それはつまり県道の供用開始式典程度の行事が入っていれば海外視察視察には参加しなかったということだ。当の議員から、県道の供用開始式典への参加より重要性が低いとしか認識されていない海外視察に90万円もの税金を使うというのだからもはやあきれるほかない。
  かつて仙台市民オンブズマンは宮城県議会と仙台市議会の海外視察について住民訴訟を提起し、最高裁まで争ったが結局敗訴で終わった。理由は議会の裁量権と自律性の尊重だとされた。しかし今の宮城県は東日本大震災によって被った甚大な被害からなんとか立ち直ろうと全力を尽くしている時だ。そんな時に、こんな贅沢海外旅行に税金を投じることは許されることではない。いずれ捲土重来で住民訴訟を提起することになるだろうが、今度は良識のある裁判官に常識的な判断をして欲しいものだ。

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2014年3月 9日 (日)

新展示施設着工 仙台国際センター西側に整備 | 仙台市がまたまた税金の無駄遣い

リンク: 新展示施設着工 仙台国際センター西側に整備 12月完成 | 河北新報オンラインニュース.

  仙台市は青葉区の仙台国際センター西側に整備する新展示施設の建設に着手した。12月に完成し、来年3月に仙台で開催される国連防災世界会議のメーン会場となる予定で、一般利用は同4月に始まる。
  青葉区の桜岡大神宮で7日にあった起工式には、市や施工業者の関係者ら約30人が出席した。奥山恵美子市長は「東北の定住人口が少子高齢化で減少する中、コンベンションや観光の機能を高め、交流人口を増やしたい」と述べた。
  施設は県スポーツセンター跡に建設される。鉄骨2階、延べ床面積約6060平方メートルで、最大2560人を収容できる展示室(3000平方メートル)と、196人が入れる会議室を四つ備える。隣接する仙台国際センターとは渡り廊下でつなぐ。
  本体工事費は約23億8000万円。通路や擁壁など外構部分も含めた総事業費は、約25億3000万円となる。
  市国際プロモーション課によると、新展示施設の開設で、今までは難しかった参加者5、6000人規模の会議を誘致できる。近くにある東北大の施設も合わせれば、一帯で1万人を超える規模の会議も可能。経済波及効果は約100億円を見込んでいる。

 仙台市は、たぶんたった一度の国連防災世界会議にしか使われないであろう箱物を造ろうとしている。全く経済性を無視した税金の無駄遣いだ。
  既存の仙台国際センターの運営状況は次のとおり

  仙台国際センター運営の20年
 
http://www.sira.or.jp/japanese/profiles/download/kinenshi.pdf
  指定管理者評価シートhttp://www.city.sendai.jp/soumu/gyoukaku/shiteikanri/pdf/22/22140.pdf#search='%E4%BB%99%E5%8F%B0%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC+%E5%8F%8E%E6%94%AF'
 
 平成22年度の年間利用件数は783件。施設利用率は60%(平成19年度以降低下傾向)。使用料収入は2億2765万円。その他の収入が766万円。仙台市が指定管理者に支払った費用が3億5141万円。その他市が負担した費用が677万円。
  平成23年度は使用料収入は2億4739万円。その他の収入が533万円。仙台市が指定管理者に支払った費用が3億4722万円。その他市が負担した費用が1億0324万円。
  既存の仙台国際センターですら全く採算がとれない大赤字なのである。もちろんコンベンションセンターの公共性に鑑みれば赤字でも施設を維持する必要性はあると思う。しかし、事実上の増設である新展示施設の建設は別問題で、増設の必要性・合理性が示されなければならない。
  財団法人仙台国際交流協会の中期計画では「国際会議などのコンベンション誘致における都市間競争の激化:平成 6年に制定された「国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等による国際観光の振興に関する法律」により,全国各地の都市が「国際会議観光都市」に認定され,社会的・経済的波及効果が期待される国際コンベンションの誘致に対する国の取り組みが強化された。国際会議や全国会議等のコンベンションが都市にもたらす直接的な経済効果や,都市のイメージアップ等のシティセールス効果,及び観光や雇用等,継続的な効果の大きさが近年注目されてきたことにより,都市間のコンベンション誘致競争が激化している。各自治体においても,新しいニーズに応える形でのコンベンション施設の整備や,アクセスの整備等,誘致体制が一層強化されている。その中で,当センターのコンベンション施設としての魅力や優位性を的確に広報し,誘致につなげていく必要がある。」と指摘されているように、都市間のコンベンション誘致競争が激化している中ではこれまでと同じ程度の国際会議や全国会議を誘致することすら厳しいのである。
  仙台市は、「今後新展示施設の開設で、今までは難しかった参加者5、6000人規模の会議を誘致できる。近くにある東北大の施設も合わせれば、一帯で1万人を超える規模の会議も可能」と言うが、規模だけでいえばその程度のコンベンション施設を有する自治体は幾つもある。仙台市が今回国連防災世界会議の誘致に成功したのは被災自治体だったというだけのことで、今後仙台が横浜や神戸などと誘致競争をして勝てる要素は見当たらない。仙台市の考えは根拠のない希望的観測に過ぎない。
  仙台市がきちんと需要予測をした上で建設に踏み切ったのなら何も言わないが、今回は全く需要予測をしていない。現在国内で参加者5、6000人規模の会議が幾つ行われていてその内どれを誘致できるのかを検証しないで建設に踏み切るのは無謀というものだ。常識的に考えれば人口減少、産業の空洞化が進む日本では今後国際会議や全国会議は減少すると考えるべきだろう。その中で仙台がコンベンション誘致競争に勝てるとする根拠は何ら示されていない。
  結局今回の新展示施設は国連防災世界会議開催のためだけに造られるもので、それが終わったらほとんど不要の施設になる可能性が高い。国際センターですら稼働率60%なのだから新展示施設を使う必要性はほとんどないだろう。仙台市は今後国際センターと新展示施設を一体として民間会社に運営をさせる予定だが本当に引き受け手が見つかるのだろうか。見つかったとしても仙台市の補助金漬けの不健全な運営になることは火を見るよりも明らかで本来のPFIの手法とはかけ離れたものとなるに違いない。
  仙台市は、「経済波及効果は約100億円を見込んでいる」というが、国連防災世界会議を一度開催するだけでどうしてそんな波及効果があるのか理解できない。
  25億3000万円の建設費だけではなく現在毎年支出されている運営費用の補助金約1億円はさらに膨らむことになる。仙台市は08年4月、保育所の待機児童数が全国ワーストの740人に達し、12年までに保育所の整備などで410人まで減らしたが、13年は533人と増加に転じた。こんなそれこそ今後2度と使われないかもしれない箱物に巨額の税金をつぎ込むのは待機児童をゼロにしてからにして欲しい。

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2013年2月13日 (水)

北九州市での震災がれき処理費用17億6000万円余について宮城県知事に賠償を求める住民監査請求 復興予算の無駄遣いは許されません

宮城県知事措置請求書

宮城県監査委員 御中
                           2013年2月12日
   
                  仙台市青葉区中央四丁目3-28-3階
                         (電話022-227-3267)
                        請求人 仙台市民オンブズマン
                          代表 千 葉 晃 平

請求の趣旨

 宮城県知事が、平成24年8月31日に北九州市と締結した「災害廃棄物処理(北九州市搬出)業務委託契約」及び宮城県知事が締結し平成24年10月11日に成立した鹿島JVとの「災害廃棄物処理施設建設工事などを含む災害廃棄物処理業務(石巻地区)に係る業務委託契約の変更契約」の北九州市関連部分は、必要性を欠いており、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第3条2項及び同法第11条1項の定める善管注意義務に違反する違法な契約である。同法は補助事業者に法令違反などの違法がある場合は補助金の交付決定を取り消し、交付済みの補助金については返還を命じるものとされている。この違法な契約によって宮城県は17億6040万4628円の債務を負担した(一部は支出済み)。よって監査委員は、宮城県知事に対し、17億6040万4628円の損害賠償をするなど適切な損害回復の措置をとるよう勧告することを求める。

請求の理由

第1 「災害廃棄物処理施設建設工事などを含む災害廃棄物処理業務(石巻地区)に係る業務委託契約」
 1 契約締結
   平成23年9月16日、県は、石巻ブロックにおける災害廃棄物処理のために、鹿島JVとの間で、契約金額1923億6000万円、契約期間平成26年3月末までとして、「災害廃棄物処理施設建設工事などを含む災害廃棄物処理業務(石巻地区)に係る業務委託契約」を締結した。
 2 委託業務の概要
   委託業務の概要は、災害廃棄物685万4000トン及び津波堆積物200万㎡を二次仮置き場で処理することである。具体的には第一段階で、石巻市雲雀野地区に二次仮置き場用地を確保するために、同所の一次仮置き場に搬入済みの廃棄物を県外への搬出・処分39万8000トン、県内リサイクル32万3000トンにより処分し、第二段階で二次仮置き場整備の後、粗選別、破砕、焼却などのプラント施設の整備を行い、一次仮置き場からの搬入を開始し、ブロック内・県内処理などで306万7000トン、県外処理で254万2000トンを処理し、場内焼却などで52万4000トン減量するというものである。
 3 災害廃棄物等処理の基本事項
   処理における基本事項として、ブロック内で処理できないものについては県内施設での処理を優先し、ブロック内・県内での処理が不可能な場合にあっては県外での処理を行うが、二次仮置き場での用地の確保の制約などにより県内での処理能力には限界があるため受託業者と民間の処分場間で広域的な調整を行うこととされた。
 4 処理スケジュール及び進捗状況
   国と県の災害廃棄物の処理スケジュールでは、平成24年4月頃からプラント試運転、その後プラント稼働、最終処分が行われ、平成25年12月まで稼働する予定とされた。このスケジュールは現在でも変更されていない。
   石巻ブロックの現状は、破砕選別ヤードは平成24年7月から全施設が稼働開始し、9月から稼働時間が24時間に延長された。焼却ヤードでは5基の焼却炉が5月~7月にかけて火入れし、6月~9月にかけて本格稼働を開始した(1日当たり1588.5トンの焼却能力)。

第2 災害廃棄物等発生推計量の推移
 1 プロポーザル発注時の推計量
   鹿島JVなどへのプロポーザル発注時の災害廃棄物等の量は、平成23年3月時点での推計に基づいて決められた。発注時の災害廃棄物(県受託分)は1107万トン、津波堆積物(県受託分)は408万㎡であった。
 2 平成24年7月「宮城県災害廃棄物処理実行計画(第2次案)」策定時の推計量
   平成24年7月時点における災害廃棄物(県受託分)は683万トン、津波堆積物(県受託分)は237万トンである。各JVとの災害廃棄物処理業務委託契約と比較して約4割も減少している。 
 3 石巻ブロックの減少量
   上記推計量の見直しにより、石巻ブロックでの災害廃棄物の処理量は785万トンから375万トン減の310万トンに、津波堆積物の処理量は292万から実に249万トン減の43万トンになった。
   減少率は災害廃棄物約69%、津波堆積物約85%であり、県全体の減少率に比べても遙かに減少幅は大きい。

第3 本件契約の締結
 1 宮城県知事は、平成24年8月31日、北九州市との間で、委託料6億2220万4628円で「災害廃棄物処理(北九州市搬出)業務委託契約」(以下北九州委託契約という)を締結した。
 2 宮城県知事は、平成24年10月11日に成立した鹿島JVとの「災害廃棄物処理施設建設工事などを含む災害廃棄物処理業務(石巻地区)に係る業務委託契約の変更契約」(以下石巻ブロック変更契約という)を締結した。
   この契約による変更設計金額の増額分は11億3820万円である。

第4 損害の発生
 1 災害廃棄物は一般廃棄物であるから原則として市町村が処理をすることになる。しかし今回は地方自治法第252条の14、第1項の規定に基づき県が石巻市など13市町から災害廃棄物処理の事務委託を受けることになった。同法に基づいて締結された災害廃棄物処理の事務の委託に関する規約第4条で委託事務に要する経費は市(町)の負担とされている。
 2 東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律第2条第2項により市(町)が負担する災害廃棄物処理事業費の9割について国の災害等廃棄物処理事業補助金が交付される。残りの1割についても地域ニューディール基金と震災復興特別交付税によって賄われ実質市(町)の負担はない。
   しかし、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第3条2項は、「補助事業者等は、補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに留意し、法令の定及び補助金等の交付の目的に従つて誠実に補助事業等を行うように努めなければならない」とし、同法第11条1項は「補助事業者等は、法令の定並びに補助金等の交付の決定の内容に従い、善良な管理者の注意をもつて補助事業等を行わなければならず」と規定する。従って補助事業者がかかる善管注意義務に違反する場合は補助金が交付されずあるいは交付済みの補助金について交付決定が取り消されて返還を命じられることになる。市(町)から委託を受けた県はこの補助事業者に当たるのであって、県が善管注意義務に違反すれば、北九州委託契約及び石巻ブロック変更契約に基づいて受託者に委託料を支払っても、後日補助金の交付を受けられないあるいは返還を命じられることになる。
 3 またそもそも県と市(町)との間で締結された災害廃棄物処理の事務の委託は行政上の受託契約であるから、県には善良な管理者として「廃棄物の適正な処理」を行う注意義務が課されている。規約第2条も事務の範囲を「平成23年東北地方太平洋沖地震による災害により特に必要となった廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分などの処理」としており、県が「廃棄物の適正な処理」怠った場合には、その部分に関する委託事務に要する経費は市(町)の負担にはならないと考えることができる。
 4 いずれにしても、県が善管注意義務に違反すれば、北九州委託契約及び石巻ブロック変更契約に基づいて受託者に委託料を支払っても、後日補助金の交付を受けられないあるいは返還を命じられることになるのであるから県に損害が生じることになる。

第5 北九州委託契約及び石巻ブロック変更契約の違法性
 1 処理量の大幅減少
   もともと各JVとの災害廃棄物処理業務委託契約は、県が設置した「災害廃棄物処理業務プロポーザル審査委員会」での慎重な審査の結果、災害廃棄物1107万トン、津波堆積物408万㎡の全量を平成26年3月までに処理しうる提案であると判断した上で締結されたものである。
   それがさらに4割も処理量が減少したのであるから、受託者であるJVが契約期間内に委託業務を完了できないなどという可能性は皆無であり、むしろ相当期間の工期短縮が見込めると判断するのが当然である。
   ことに石巻ブロックは上記のとおり減少率は災害廃棄物約69%、津波堆積物約85%という大幅なものである。
 2 処理設備の本格稼働
   しかも上記のとおり石巻ブロックでは破砕選別ヤードは7月から全施設が稼働開始し、9月から稼働時間が24時間に延長され、焼却ヤードでは5基の焼却炉が5月~7月にかけて火入れし、6月~9月にかけて本格稼働を開始した。宮城県知事が北九州委託契約を締結した8月31日は、正に石巻ブロックでの災害廃棄物処理が本格化して急ピッチで進もうとしていた時期である。
   このような時期に北九州委託契約を締結する必要性は皆無である。
 3 広域処理は当初から予定されていたこと
   県は広域処理の理由として「鹿島JVとの当初契約においては、一部の災害廃棄物について県外処理施設での処理を計画していたが、その後放射能への懸念が大きく取り上げられるようになり、鹿島JVが当初計画していた受入側の地方公共団体及び搬出予定先との調整に困難が生じた。そこで発注者である県も調整に当たることとした」と述べる。
   しかし鹿島JVは最初から、「第一段階での県外への搬出・処分39万8000トン」、「第二段階でブロック内・県内処理などで306万7000トン、県外処理で254万2000トン」という計画だったのである。県外処理量は県の言うような「一部の災害廃棄物について県外処理施設での処理を計画していた」どころではなく、処理を受託した災害廃棄物685万4000トンの実に43%に当たる294万トンを県外処理する予定だったのである。
 4 広域処理の必要性が皆無であること
   上記のとおり災害廃棄物の処理量は契約締結時から375万トンも減少したのであるから、仮に県外処理がゼロになっても鹿島JVの計画によれば処理可能ということになる。まして実際には県外処理がゼロになどなってはいない。
   しかも処理プラントは本格稼働が始まったばかりであり、業務完了期限までまだ1年半以上も残している。この時点で、鹿島JVが、委託契約を変更してまで自らが受託した廃棄物処理を北九州市に委託してもらわなければならないほどに「当初計画していた受入側の地方公共団体及び搬出予定先との調整に困難が生じた」などとは到底考えられない。
   平成24年7月「宮城県災害廃棄物処理実行計画(第2次案)」によれば、県が処理事務の委託を受けた災害廃棄物920万トンのうち処理確定量は708万トン及び県内処理拡大分112万トンを除いた100万トンが平成24年7月現在での処理未確定量であり、県外での広域処理の協力を依頼する必要があるとされている。ここでいう「処理確定量及び県内処理拡大分」の意味内容が詳らかでないが、最終処分の目処が立った量という意味と推測される。だとすれば処理プラントの稼働が本格化して間がなく、処理業務の履行期限まで1年8ヶ月もあるこの時点ではむしろ極めて順調に処理業務は進んでいると評価すべきである。広域処理を進める必要があったとしても、それは災害廃棄物処理を受託した各JVが行うべきことであって、県が鹿島JVとの契約の変更(実質的契約の一部解除)をしてまで自ら他の自治体と災害廃棄物処理契約を締結しなければならない事情があるとは言えない。この時点において残り100万トンについて処理の目処が立たないから契約を変更して欲しいと各JVが県に要請したというような事実はない。
   このように北九州委託契約の必要性は皆無である。そして北九州委託契約の必要性が皆無であれば、北九州市まで災害廃棄物を運搬する業務も不要であるから石巻ブロック変更契約(北九州市関連部分)も必要性がない。
 5 県の説明の不合理性
   県は北九州委託契約による広域処理の必要性について、①県の被災からの早期の復興推進と「がれき」が存在することによる県民の物理的・精神的な苦痛を早急に解消する必要があることから、災害廃棄物処理のスピードをあげなければならないこと、②県内での一般廃棄物最終処分場での残余容量を考慮すると、災害廃棄物を焼却処理することによって生じる焼却灰の埋め立て処分量を極力減量化する必要があること、をあげる。
   しかし石巻ブロックの処理を要する災害廃棄物は310万トンである。その僅か0.74%である2万3000トンを北九州市で処理したところで「がれき」が存在しなくなるわけではない。ましてこの程度で「がれき」が存在することによる県民の物理的・精神的な苦痛が早急に解消されることなどあり得ない。
   最終処分場については、県によれば平成25年1月の見直しで「最終処分については、現在調整中の県内最終処分場の確保及び県が災害廃棄物処理業務の委託を行っているJVと連携した最終処分量の削減、山形県、茨城県の民間最終処分場との交渉をすすめる」ことによって今後北九州市での広域処理は不要とされている。従って県の上記②の説明は一般論を言うに過ぎず、到底17億6040万4628円もの委託費をかけてまで北九州で廃棄物処理を行うことの必要性・合理性を説明しうるものではない。
   重ねて述べるが、僅か0.74%であっても「がれき」が減るのは事実であるが、それをもって「必要性」が肯定されてはならない。災害廃棄物処理業務についての国庫助成の原資は、東日本大震災からの復興を目的とした特別増税である。補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第3条2項が、「補助事業者等は、補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに留意し」と規定するように、補助事業者は常に補助金の財源が国民の血税であることに留意して費用対効果を厳密に検討して国民の納得しうる事業を行うべき義務がある。従ってここで問われるべき「必要性」は17億6040万4628円もの費用をかけてまで僅か0.74%の「がれき」を処理する必要性があったのかである。実際に北九州市に搬出されたがれきは石巻市川口町一次仮置き場に置かれていたものであるが、付近住民に問うたとしても誰も必要だとは言わないであろう。
   県は北九州市での処理によって川口町一次仮置き場のがれき搬出が進んだかのごとくホームページで喧伝しているが、実際には仙台市や茨城県の民間処分場に搬出されたがれきの方が遙かに多いのである。そして雲雀野の焼却ヤードでは1日当たり合計1588.5トンの焼却能力を持つ焼却炉5基が9月には全てフル稼働したのである。北九州市に搬出した2万3000トンのがれきは僅か2週間で処理しうるのである。それを待てなかった理由を説明できて初めて「必要性」が肯定されうるのである。
 6 以上詳述したとおり北九州委託契約及び石巻ブロック変更契約は、必要性を有しないものであるから、宮城県知事が災害廃棄物処理業務を行うに当たって負っている善管注意義務に違反する違法な契約である。

第6 復興予算の無駄遣いは許されない
   環境大臣は、平成24年4月23日付けで宮城県知事に対し「内閣総理大臣による協力要請結果を踏まえた今後の災害廃棄物の広域処理の推進について」の依頼を発出した。これが本件北九州委託契約及び石巻ブロック変更契約締結の全ての始まりである。
   おそらく宮城県知事にとって本件契約締結は本意ではなく、忙しい最中に余計な事務作業を強いられるだけの迷惑千万なものだったと推測される。当時進めていた災害廃棄物量推計の見直し作業で既に大幅な減量が見込まれると共に一次仮置き場への災害廃棄物の集積、分別、二次仮置き場での処理プラント建設も順調に進んでおり、各JVが進めている以上の広域処理の必要性などないことは県知事自身がよく知っていたはずである。
   にもかかわらず本件契約締結に至ったのは国の要望に逆らえば復興に支障が出るかも知れないとの危惧と、所詮全額国庫負担なのだから敢えて断る必要もないとの考えからであろう。これが一部でも県の予算を使う内容であれば当然断っていたと推察される。その意味では当時の民主党政権と環境省のスタンドプレイに利用されただけで責任を問うのは酷とも考えられる。
   しかしながら復興予算の原資は特別増税までして捻出した国民の血税である。17億6040万4628円もの無駄遣いは余りにも巨額すぎてこれを見過ごすことはできない。今後も長期間に渡って続く復興事業遂行に当たって、県知事は常に費用対効果を厳密に検討しなければならない。鹿島JVとの「災害廃棄物処理施設建設工事などを含む災害廃棄物処理業務(石巻地区)に係る業務委託契約の変更契約」の内容は、今回対象とした北九州市関連部分以外にも多々問題点がある。災害廃棄物量推計量の減少をそのまま委託料減額に反映したのでは減額幅が大きくなりすぎるので、ゼネコン救済のために当然当初業務に含まれるはずの業務を追加工事として増額変更しているとしか思われないものもある。復興事業に当たっては迅速性もさることながら費用対効果の厳密な検証が不可欠であり、この見地から敢えて本件監査請求に及んだ次第である。

第7 結論
   宮城県知事が北九州委託契約及び石巻ブロック変更契約を締結した行為は、善良な管理者として災害廃棄物処理業務を行うべき義務に違反するものとして不法行為に該当する。よって宮城県知事には県に対し、県が被った17億6040万4628円の損害を賠償すべき責任がある。
   以上、地方自治法第242条1項の規定により、事実証明書を添えて、宮城県知事に対し、17億6040万4628円の損害賠償をするなど適切な損害回復の措置をとるよう勧告することを求める。

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2011年12月16日 (金)

東北文化学園大学補助金住民訴訟終結  補助参加人である新日本有限責任監査法人と仙台市民オンブズマンの間で合意が成立   監査法人から仙台市に解決金4億円が入金

東北文化学園大学補助金違法支出住民訴訟の終結に際しての声明
                                   2011(平成23)年12月16日
                                                                    仙台市民オンブズマン

 仙台市民オンブズマンのメンバーが原告となって被告仙台市長に対して求めていた東北文化学園大学補助金違法支出住民訴訟は、訴訟外において2011(平成23)年10月31日に、監査法人側との間で合意(和解)が成立し、本日同合意に基づき監査法人側から仙台市に対し解決金4億円が入金されました。原告らは同合意に基づき訴えを取り下げ、訴訟は終結することになります。
 本住民訴訟は、学校法人東北文化学園が大学設置認可申請をした際に、虚偽の財産目録を作成して違法に大学設置認可を取得した上で、仙台市から8億1000万円の補助金交付を受けたところ、このような違法な補助金支出は東北文化学園大学の財産目録を監査した公認会計士の任務懈怠にも原因があるとして、公認会計士及び同会計士が所属していた監査法人に対して同額の賠償を求めるよう請求した訴訟です。
 本住民訴訟は、2005(平成17)年4月8日に提訴し、2009(平成21)年4月13日に仙台地裁第2民事部(畑一郎裁判長裁判官、廣瀬孝裁判官、遠藤啓佑裁判官)が原告の請求を全面的に認容する判決を下しました。これに対し、監査法人側が控訴しましたが、仙台高裁第1民事部(小野貞夫裁判長裁判官、綱島公彦裁判官、髙橋彩裁判官)も2010(平成22)年3月12日、一審判決を維持して控訴を棄却しました。監査法人側はこの高裁判決に対して上告をし、最高裁第一小法廷に係属しました。 
  その後、監査法人側との協議を経て、今般、監査法人側が仙台市に対して解決金4億円を支払うことを条件に、本住民訴訟を取り下げることで合意しました。
  4億円は高裁判決の認容額(7億6907万4390円)の5割強でありますが、本件各関係者の責任割合を勘案し、許容できる範囲と判断して上記内容で応じることとしました。
 本住民訴訟を通じて、公認会計士・監査法人の大学設置認可申請における財産目録監査の重要性が確認された意義は大きいと言えます。すなわち、大学設置は国や自治体からの補助金受給のほか、学生、職員等の大多数の利害関係人に影響を及ぼすものであり、それ故に学校法人の監査にあたっては高度の専門性を有する公認会計士を信頼して行われています。本住民訴訟における地裁・高裁判決及び本合意は、この点を確認するものと評価できます。
 仙台市に支払われる4億円は非常に貴重なものです。
  仙台市民オンブズマンは、この4億円が東日本大震災の被災者に対する具体的な支援に充てられることを希望します。くれぐれも無駄な公共事業に充てられることのないよう仙台市に対して強く要望いたします。                           

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2011年11月18日 (金)

弁護士報酬 3億円超 神奈川県の独自課税訴訟 ザ・訴訟社会というべきか 単に神奈川県が弁護士にぼられているだけだのような気もするが

リンク: 東京新聞:弁護士報酬 3億円超 神奈川県の独自課税訴訟:社会(TOKYO Web).

 神奈川県の独自課税をめぐり、いすゞ自動車(東京)が約十九億五千万円の返還を請求している行政訴訟で、県が弁護士に払う報酬が約三億五千万円に上ることが、かながわ市民オンブズマンが情報公開請求した行政文書で分かった。請求額の2~4%が弁護士報酬の相場とされており、オンブズマンは「法外な報酬。金に糸目を付けない訴訟合戦だ」と、請求額の18・3%に当たる弁護士報酬に疑問を投げかけている。
 この訴訟は、安定収入を目的に県が二〇〇一年に導入した「臨時特例企業税」に対し、いすゞが「地方税法に違反している」として税金の返還を求めて提訴。一審は県の敗訴だったが、二審で逆転勝訴となり、いすゞが上告中。
 開示された県の文書によると、上告審までの一連の訴訟で、県が担当弁護士に計三億五千七百万円を払う契約を結んでいた。
 オンブズマンの大川隆司弁護士は「弁護士報酬の相場は、請求額の2%が着手金で、4%が成功報酬とされている。行政訴訟になれば、さらに低い報酬で引き受けるのが一般的」と批判した。
 県税制企画課は「独自課税による税収は総額で約四百八十五億円。敗訴すれば返還は一企業だけにとどまらず、県の財政圧迫は避けられない」とし、「原告側も日本有数の弁護士だけに、こちらも第一級の弁護士に依頼した。報酬はその弁護士事務所の規定を参考に決めた」と話す。 (中沢誠)

 色んな意味で何とも凄い話だ。この「日本有数の弁護士」、「第一級の弁護士」とは誰なんでしょう。実際二審で逆転勝訴しているのだから有能な弁護士なのだろうが、いくら何でも三億五千七百万円は取りすぎのような。仙台市民オンブズマンに頼んでもらえればこの10分の1でもお引き受けするのですが、日本有数でも第一級でもないからダメなんでしょうね。
 それにしても神奈川県は気前がよい。住民訴訟で住民が勝訴して自治体にお金が戻ると(談合事件が典型例)住民側は弁護士費用を自治体に請求できます。しかし実際に請求すると値切る値切る。理屈は、「住民訴訟というのは金銭請求が目的なのではなく自治体の財務会計行為の適正な遂行を実現するためのものであるから請求額自体は報酬額算定の基礎になるものではない」というのです。だから談合で1億自治体が損をしたから1億返せといって住民訴訟で勝訴しても、1億円を基礎に算定した弁護士報酬など自治体は払いません。自治体側の弁護士には湯水のごとく税金を払っても惜しくはないが、自治体に楯突く住民側弁護士には値切るだけ値切ってやれということなのでしょう。住民訴訟は全くの手弁当でやるのが通常ですから、勝って実際に自治体にお金が戻った時くらい18・3%とは言わないから旧弁護士報酬規定位の弁護士費用は支払って欲しいものです。

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2011年11月 2日 (水)

最高裁初判断「自治体と金融機関の三セク損失補償は適法」これでは1兆7800億円の三セク負債は自治体が全部かぶることになる 傍論でこんな重要な判断をするのはそれこそ暴論だ

リンク: 長野・安曇野菜園:三セク損失補償は適法 最高裁初判断 自治体と金融機関の契約 - 毎日jp(毎日新聞).

 第三セクターの負債について、地方自治体が金融機関と結んだ「損失補償契約」が、財政援助制限法の適用を受けて無効となるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は27日、「制限法の規定を類推適用してただちに無効と解釈するのは相当でない」として、同契約は適法との初判断を示した。裁判官5人全員一致の判断。
 同制限法3条は「政府や地方公共団体は法人の債務について保証契約できない」とするが、小法廷は保証と損失補償は法律上区別されていると判断した。総務省によると、自治体による損失補償を付けた第三セクターの借り入れは昨年3月末現在、438社・総額約1兆7800億円に上るという。
 宮川光治裁判官は補足意見で「地域の政策決定と経済活動は地方議会で個別にチェックされるべきだ」と述べる一方、「三セクにはさまざまな問題があり、抜本的改革を推進しなければならない」とも付言した。
 1審・長野地裁判決(09年8月)は損失補償契約を適法としたが、2審・東京高裁判決(10年8月)は3条を類推適用して無効と判断し、最高裁の判断が注目されていた。
 1、2審判決によると、長野県安曇野市が出資する三セク会社「安曇野菜園」の負債について、旧三郷村や合併後の同市が03年以降、金融機関と損失補償契約を締結。これに対し、一部住民が損失が起きた際の市の支出差し止めを求め提訴し、損失補償契約は無効と主張していた。だが、2審判決後に同社が清算手続きに入ったため、市が将来契約に基づいた支出をする可能性はなくなったとして、小法廷は差し止めの訴えは却下した。

  自治体の損失補償契約の有効性について下級審の判断は分かれていが、最高裁は有効の判断をした。しかも判決に必要ない傍論で。
  第三セクターへの金融機関の融資の大部分は自治体の損失補償契約付きである。最高裁の論理では、結局第三セクターが破綻しても、金融機関は一切リスクを負わず、負債処理は自治体が丸抱えしなければならないということになる。総務省によると、自治体による損失補償を付けた第三セクターの借り入れは昨年3月末現在、438社・総額約1兆7800億円に上るとされている。第三セクターの大部分は大赤字で、自治体の補助で辛うじて破綻が回避されているところも少なくない。最高裁の判断を前提にする限り、自治体は今後いずれかの時点で、この1兆7800億円の金融機関からの借り入れを税金で返済しなければならなくなるわけだ。
  おそらく最高裁は、もし損失補償契約を無効にしたら金融機関のこの1兆7800億円の債権が回収不能となってしまい、金融不安が生じかねないとの政治的配慮から有効と判断したのだろう。しかし全国の自治体はこのような負担にはたして耐えられるのだろうか。
  損失補償契約があるから絶対貸し倒れにはならないということで、金融機関は第三セクターに対しては通常の企業への融資ならば考えられないような安易な貸付をしてきた。第三セクターの収支予測や経営状態などお構いなしで正に湯水のごとく貸付を続けた結果が1兆7800億円である。適正な需要予測もせずに安易に第三セクターを作り続けた自治体に非があるのは当然だが、それに荷担した金融機関が全く何の負担も負わずに税金だけで処理するのが適切なのだろうか。損失補償契約については一律に有効にするのではなく、放漫融資と目される部分や本来損失補償など求めるべきでない日本政策投資銀行の融資については無効とするなどの限定解釈をする余地が十分あった。最高裁はそのような解釈を検討することもしないで、しかも却下判決をする以上本来判断する必要がないのに傍論でこのような重要な判断をしてしまった。拙速としかいいようがない。
  一口に金融機関と言っても色々ある。日本政策投資銀行は、経済社会の活力の向上及び持続的発展、豊かな国民生活の実現並びに地域経済の自立的発展に資するため、一般の金融機関が行う金融等を補完し、又は奨励することを旨とし、長期資金の供給等を行い、もって日本の経済社会政策に金融上の寄与をすることを目的に設立された、政府による100%出資の株式会社である。民間金融機関ではハイリスクで融資が難しいような場合であっても、ある程度のリスクを前提に融資することを目的とした国策会社だ。従って本来第三セクターに融資するにあたって自治体に損失補償契約など求めるべき存在ではない。このような金融機関に対しては、損失補償契約の有効性は否定すべきだろう。

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仙台市民オンブズマンが仙台空港アクセス線の破綻処理=土地・駅舎・橋脚を85億円で買い取る上下分離方式について支出差し止めの監査請求

                宮城県知事措置請求書

宮城県監査委員 御中
                                  2011年11月2日
   
                          請求人 仙台市民オンブズマン
                                 代表 千 葉 晃 平

請求の趣旨
 仙台空港アクセス線の全長7.1キロのうち6キロ分の橋脚、杜せきのした駅と美田園駅の駅舎、仙台空港敷地外の土地を取得するために、取得費85億1000万円を支出することは無価値なものを取得する行為であって地方自治法2条14項に違反する。よって監査委員におかれては、宮城県知事に対し、この資産取得費の支出を中止するよう勧告することを求める。

請求の理由
第1 仙台空港鉄道株式会社改革支援プラン行動計画
 1 借入金の現状
   仙台空港鉄道株式会社(以下会社という)の借入金は、167.5億円(政策投資銀行・市中銀行88.9億円、県78.6億円)。このうち政策投資銀行・市中銀行分は5年据え置き、その後15年間で償還、県転貸債は20年据え置き、その後10年間で償還とされる。平成21年度から市中銀行などへの返済が開始されているが、毎年元利金合計約8億円の返済が必要で資金ショートは時間の問題とされている。
   なお上記借入金以外に、仙台空港アクセス線の建設には国や県、仙台、岩沼、名取3市が計71億円の補助金を支出している。
 2 仙台空港鉄道株式会社改革支援プラン行動計画の策定
   本年5月に県は、仙台空港鉄道株式会社改革支援プラン行動計画(以下行動計画という)を公表した。行動計画では、経営悪化が深刻化している会社について、橋脚の減価償却費や土地の固定資産税を圧縮し収支改善を図るために、県が同社が所有する線路の橋脚や土地などの資産を買い取る等の経営支援を行うこととされた。具体的には、総額189億円(08年度末現在)の資産のうち、運行に直接関係するホーム・レール・車両(上部構造)は従来通り会社側が所有し、県側が土地・駅舎・橋脚など(下部構造)を85億円程度で14年度までに買い取る上下分離方式を計画した。
   会社の09年度の経常損失は9億7629万円、経費として計上する減価償却費は8億3000万円に達しており、赤字の大きな要因となっている。11年度からは民間金融機関への返済額は毎年8億円になり、現在20億円程度ある運転資金が13年度に底をつくとされている。

第2 仙台空港アクセス線の資産取得費の予算可決
 1 東日本大震災による被害
   仙台空港アクセス線は震災による津波被害で設備に大きな被害が発生。同社は復旧費は約36億円に膨らむと見込む。運休区間は代替バスを運行したが、利用者は震災前の1日約7000人から半減した。震災発生から約半年間の運休と利用客の減少などから、本年度の収入は前年度比で約4億円の減少を見込んでいる。震災による収入減などで12年度中にも資金が枯渇する恐れが出てきた。
 2 上下分離方式の導入
   県は、震災被害による減収を踏まえ会社の抜本的な再建策として本年9月5日、「上下分離」方式の導入を正式に表明した。「上下分離方式は、県が駅舎などの『下』部分を保有して維持補修にあたることで、『上』にあたる運行を担う同社の経営を圧迫する減価償却費や固定資産税の圧縮を図る。今回、県が買い取るのは全長7.1キロのうち6キロ分の橋脚、杜せきのした駅と美田園駅の駅舎、仙台空港敷地外の土地で、取得費は85億1000万円。買い取りが実施されれば、会社は売却益と自己資金で金融機関からの借入金約87億円を繰り上げ返済し金利負担が軽減される。同社は、売却額約85億円で金融機関からの借入金を繰り上げ返済する方針。返済負担は大幅に軽減され、12、13年度の資金収支はほぼ均衡化する見通し。15年度からは黒字転換を見込んでいる。」としている。
 3 補正予算の可決
   県議会9月定例会に、県営漁港や被災農地の復旧費などを盛り込んだ総額656億円の11年度一般会計補正予算案が提出された。予算案には、仙台空港アクセス線の資産取得費85億円などが計上され可決された。

第3 上下分離方式の問題点
 1 仙台空港アクセス線の下部構造物はマイナス資産
   下部構造の取得額は85億1000万円とされている。県がどのような資産評価方法をとったのか詳らかでないが、新たに資産を取得するのであるから収益還元法を用いた時価評価によるのが当然である。
   ところで下部構造は現に会社が鉄道事業に直接使用しており、かつ鉄道事業以外の用途に転用する余地はないという特殊性がある。下部構造は引き続き会社に使用させることになるが、85億円で金融機関からの借入金を繰り上げ返済したとしても資金収支が均衡化するに過ぎず賃料収入は望めない。従って買取後長期に渡って無償使用させることになる。つまり収益還元法で下部構造の価格算定をするとほとんどゼロということになる。
   それどころか切り離した下部構造の維持管理は資産取得者(県)が行うことになるのでむしろマイナス資産ということになる。このように全く無価値な下部構造を取得するということは、資産取得に名を借りた負債の肩代わりに他ならない。
 2 仙台空港アクセス線存続の必要性
   もとより仙台空港アクセス線の存続の必要性は論を待たない。また利用客が予定の7割にとどまってはいるものの、仙台市の地下鉄東西線のように運行すればするだけ赤字になるのとは異なり負債さえ処理できれば運行自体での収支均衡は可能である。従って存続させるべきという県の判断は正しいが、問題は負債の処理の仕方である。
 3 負債処理の方法として法的整理を選択すべきこと
   県が行おうとしている上下分離方式は、実は資産の買取ではなく金融機関の負債の肩代わりに他ならない。事実「買い取りが実施されれば、会社は売却益と自己資金で金融機関からの借入金約87億円を繰り上げ返済し金利負担が軽減される。同社は、売却額約85億円で金融機関からの借入金を繰り上げ返済する方針。」とされている。つまり焦げ付き寸前の金融機関への負債を全額県が肩代わりするというのが実態である。これによって政策投資銀行と市中銀行からの合計88.9億円の負債はほぼ全額返済され、あとは20年据え置きの県からの借金だけになる。
   問題は破綻した第3セクターの破綻処理方法としてこれが妥当なのかということである。会社は借入金債務に加え震災復旧費36億円(このうち4分の1は県が補助するが残り4分の3は県が会社に貸し付けることとされている)の負債を抱えているのであって現時点において完全な債務超過に陥っている。本来であれば民事再生手続きがとられなければならない。
   民事再生手続きをとった場合には、営業継続を前提に、債権者である県及び金融機関が大幅な債権放棄をした上で残額を長期返済する再生計画案になると予想される。この場合、県の78.6億円の貸付金はもともと20年据え置きでしかもその後長期に渡る返済である。従って、このような再生計画案になったところで現時点での県の財政に与える影響はほとんどない。債権放棄は甘い需要予測がもたらした結果として甘受すべきものである。
   このような法的整理が可能でありそれが本来の姿であるのに県が資産買い取り方式をとろうとするのは、金融機関の救済が目的である。しかし最大の債権者である政策投資銀行は、国が設立した正に政策投資のリスクを負うべき金融機関であって県民の税金で救済するべきような存在ではない。今回の破綻処理に当たって資産買い取り方式を取ると、金融機関は何らの責任も負担しない結果になる。県民の税金による全額負担で金融機関の全債務が繰り上げ返済されるというのでは到底県民の納得を得られるものではない。
   仙台空港アクセス線の負債処理は民事再生手続きで行うべきである。
 4 現時点で繰り上げ返済することの不当性
   85億1000万円の資金があればどれだけの震災復興事業をすることができるか県は考えるべきである。震災復興に全力を挙げるべき時に金融機関への返済にこれだけの税金を投入する必要は全くない。仮に法的整理を避けるとしても当面の資金ショートを回避するに足りる資金の貸付を行えば足りることである。

第5 結論
   上記のとおり仙台空港アクセス線の全長7.1キロのうち6キロ分の橋脚、杜せきのした駅と美田園駅の駅舎、仙台空港敷地外の土地を取得するために、取得費85億1000万円を支出することは無価値なものを取得する行為であって「地方公共団体はその事務を処理するにあたっては、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」という地方自治法2条14項の規定に違反する。
   また仮に違法でないとしても、震災復興に全力を挙げるべきこの時期に金融機関への返済に当てるためだけに85億1000万円もの県費を費やすことは著しく不当である。
   よって、監査委員におかれては、宮城県知事に対し、上記資産取得費の支出を中止するよう勧告することを求める。
   以上、地方自治法第242条1項の規定により、事実証明書を添えて必要な措置を求める。

  仙台市民オンブズマンは、本日、宮城県の仙台空港アクセス線の負債処理=土地・駅舎・橋脚を85億1000万円で買い取る上下分離方式について支出の差し止めを求める監査請求を行いました。これは売買契約に名を借りた税金による負債の肩代わりであって県民には何のメリットもありません。仙台空港アクセス線は破綻状態ですから負債を処理して再建する必要があることはそのとおりです。しかしその場合は債権者である政策投資銀行や市中銀行にも債権放棄の形で応分の負担が生じるのは当然のことです。融資先が破綻したのに金融機関だけは満額の返済を受けられるなどということは本来あり得ない話です。あり得ない話を可能にするのが上下分離方式ですが、県がアクセス鉄道に支払う代金は全額金融機関への返済に廻ることが決まっているのですからネタのばれている手品というほかありません。
  実は、県がこのようないかさま手品をやらざるを得ない理由は、金融機関の融資に際して将来アクセス鉄道が破綻して損失が出た場合は損失補償するという契約がなされているからなのです。損失補償契約の有効性を前提にするなら、たとえ民事再生手続きで金融機関が大幅な再建カットに同意したとしても、その分は県が損失補填しなければならなくなります。それなら売買に名を借りて弁済資金をアクセス鉄道に交付して負債処理した方が外聞がいいということでしょう。
  自治体の損失補償契約の有効性については下級審の判断は分かれていましたが、ごく最近最高裁が有効の判断をしました。第三セクターへの金融機関の融資の大部分は自治体の損失補償契約付きです。結局第三セクターが破綻しても、金融機関は一切リスクを負わず、負債処理は自治体が丸抱えしなければならないということです。総務省によると、自治体による損失補償を付けた第三セクターの借り入れは昨年3月末現在、438社・総額約1兆7800億円に上るとされています。第三セクターの大部分は大赤字で、自治体の補助で辛うじて破綻が回避されているところも少なくありません。最高裁の判断を前提にする限り、自治体は今後いずれかの時点で、この1兆7800億円の金融機関からの借り入れを税金で返済しなければならなくなるわけです。
  おそらく最高裁は、もし損失補償契約を無効にしたら金融機関のこの1兆7800億円の債権が回収不能となってしまい、金融不安が生じかねないとの政治的配慮から有効と判断したのだと思います。しかし全国の自治体はこのような負担にはたして耐えられるのでしょうか。損失補償契約があるから絶対貸し倒れにはならないということで、金融機関は第三セクターに対しては通常の企業への融資ならば考えられないような安易な貸付をしてきました。第三セクターの収支予測や経営状態などお構いなしで正に湯水のごとく貸付を続けた結果が1兆7800億円です。適正な需要予測もせずに安易に第三セクターを作り続けた自治体に非があるのは当然ですが、それに荷担した金融機関が全く何の負担も負わずに税金だけで処理するのが適切なのでしょうか。損失補償契約については一律に有効にするのではなく、放漫融資と目される部分や本来損失補償など求めるべきでない日本政策投資銀行の融資については無効とするなどの限定解釈をする余地が十分あります。最高裁はそのような解釈を検討すべきだったと思います。
  日本政策投資銀行は、経済社会の活力の向上及び持続的発展、豊かな国民生活の実現並びに地域経済の自立的発展に資するため、一般の金融機関が行う金融等を補完し、又は奨励することを旨とし、長期資金の供給等を行い、もって日本の経済社会政策に金融上の寄与をすることを目的に設立された、政府による100%出資の株式会社です。民間金融機関ではハイリスクで融資が難しいような場合であっても、ある程度のリスクを前提に融資することを目的とした国策会社です。従って本来第三セクターに融資するにあたって自治体に損失補償契約など求めるべき存在ではありません。宮城県は上下分離方式などという手品を考える前に、少なくとも日本政策投資銀行の融資分については債権カットの交渉をすべきです。宮城県は今般未曾有の大震災に見舞われたのですから、政府は日本政策投資銀行に債権全額を放棄させても決しておかしくはないはずです。

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2011年5月18日 (水)

岐阜市発注工事:経費削減理由に273万円返還申し入れるも市が断る

リンク: 岐阜市発注工事:「希望社」経費削減理由に273万円返還申し入れ 市が断る /岐阜 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース.

  岐阜市茜部本郷の建設会社「希望社」(桑原耕司会長)が同市発注工事を落札し、工事経費が削減できたなどとして273万円の返還を市に申し入れ、市に断られていたことがわかった。同社が17日、公表した。
  市によると、同社は10年7月、市中央卸売市場の耐震補強工事を1億5561万円で請け負った。その後、同社が品質向上などを追加提案して設計変更。契約金額は1億8396万円に増えた。同社は、経費節減などで契約金額より工事原価が下回って利益が出た場合、利益の半額を施主に返還する一方、追加工事が発生した場合は増額分の半額を経費として請求するルールを民間工事で適用。市にも提案したが、契約には盛り込まれなかった。
  今回は、このルールに基づき、経費節減で市に返還すべきだとする593万円から、設計変更に伴い市に請求する321万円を差し引いて273万円の返還を申し入れたという。
  市まちづくり推進部の川島幸美津部長は「契約は適正な手続きで結ばれ、工事の品質も適正に終わった」と話す。一方、同社側は「市の公共工事は市民の税金なので、余ったお金は返すのが当社のルール。税金の使い方を考える問題提起として今後も同じようなお金が出たら返還していく」と話している。
 同社は今年1月、県発注工事でも落札価格と「適正価格」の差額880万円の寄付を申し出たが、県から断られている。【立松勝】5月18日朝刊

  経費節減などで契約金額より工事原価が下回って利益が出たというのであるから、その半分の返還を受けることに何の支障があるのだろう?岐阜市は「契約は適正な手続きで結ばれ、工事の品質も適正に終わった」というが、それは当たり前の話で返還を断る理由になっていない。これを前例にすると、今後はこのようなルールを契約条項に盛り込むべきだということになって、契約手続きの変更と経費節減状況の確認業務が加わることになる。おそらく岐阜市の本音は、どうせ税金だから面倒なことはしたくないということではないか。
  公共事業の経費節減を真剣に考えるならこのようなルールを契約条項に盛り込むべきである。また少なくとも寄付として受け入れることが可能なことは明らかだから受け入れを断る理由はない。

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