「裁判員」被災地免除へ、呼び出し中止検討 裁判員裁判自体を中止すべきだ
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東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島3県での裁判員裁判について、各裁判所は、津波で壊滅的被害を受けたり、東京電力福島第一原子力発電所の事故で多数の住民が避難を余儀なくされたりした市町村の裁判員候補者には、呼び出し状を送付しない方向で調整を始めた。
各地裁では、前年秋に作成した裁判員候補者名簿から裁判ごとに50~80人程度の候補者をくじで選び、呼び出し状を郵送している。裁判に参加することで重大な不利益が生ずる場合は辞退が認められるため、被災地の候補者から申し出があれば辞退が認められるとみられるが、裁判員法には、一定の地域を呼び出しの対象からあらかじめ除外する手続きは定められていない。
呼び出し中止は当然のことだと思うが、この際裁判員制度自体を中止すべきだ。従前は裁判官だけで刑事裁判を行ってきたのだから、裁判員などいてもいなくても何の支障もない。言わば盲腸のようなものだ。
それなのに裁判員用法廷の新設・改築、裁判員の日当・旅費、呼び出し手続きの外部委託費用、広報費など膨大な国費が投じられている。平成23年度の裁判所の予算では42億4600万円が計上されている。法務省も約7億円(21年度のデータ)を計上している。市町村は裁判員用の保育費の無償化等の支援策をとっている。裁判所や検察庁職員の事務作業増大、弁護人の複数選任など間接的な費用を加えればさらに膨大になる。そして就業している裁判員の場合は、本来生産活動に充てられるはずの労働時間が失われるわけでマクロで見ればGDPにも影響していることになる。
裁判員制度自体の是非はともかくとして、裁判員がいなくとも刑事裁判に何の支障もないことは間違いない。1年間中止するだけで裁判員関係の予算約50億円を被災者救済に廻すことができる。東日本大震災によってこれだけ多くの被害がでているにもかかわらず、裁判員裁判を行うのは無駄という他ない。そんな金があるなら被災者救済に用いるべきだ。
理屈の問題としても被災地に限って呼出を中止することはできないはずだ。すなわち裁判所は、市町村の選挙管理委員会が調整した裁判員候補者予定者名簿に基づいて裁判員候補者名簿を調製する。第一回の公判期日が決まれば、裁判所はこの裁判員候補者名簿から「くじ」で裁判員候補者として呼び出す者を決めて呼び出さなければならない。「くじ」以外の選定手続きは存在しないし、予めくじ引きの対象から一定の範囲の裁判員候補者を除外することも許されていない。となる既に裁判員候補書名簿に登載されている被災地の候補者の呼出を中止することは法律上不可能ということになる。
呼出中止するにも特別立法が必要ならばいっそのこと裁判員制度自体を1年間中止することにすればよい。元々最高裁も法務省も財務省も裁判員制度には乗り気ではなかったのだから、弁護士会が中止を提言すれば実現可能性はある。
ところが司法改革信者やそれに迎合した転びバテレンの日弁連役職経験者は、大震災による被害を目の当たりにしながら、それでも裁判員裁判を継続すべきだと言う。彼らは裁判員制度にどれだけの税金が使われているのか分かっているのだろうか。自分たちが推進してきた制度なので何が何でも実施しなくてはならないという発想だろうが、東電と同じ官僚主義が弁護士会にも蔓延しているようだ。