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カテゴリー「弁護士会・法テラス」の72件の記事

2016年8月 4日 (木)

大渕愛子弁護士の懲戒処分はやはり重すぎると思う

大渕愛子弁護士が業務停止一ヶ月の懲戒処分を受けた経緯は次のとおり。

 大渕弁護士は、いわゆる持込案件の形で法テラスに受任審査を申込み、平成2211月下旬、申立外Cとの間で相手方「T」事件名「養育費等請求事件」受任範囲、「示談」着手金「105000円〔消費税5000円〕実費「2万円」とする代理援助契約書を取り交わした。同弁護士は、上記代理援助契約書に先立ち、経済的利益の額を500万円とした上で、同事件について申立外Cから着手金「178500円〔消費税8500円を含む〕」成功報酬「得られた経済的利益の10%」顧問料「事件終結までの月額2万1000円〔消費税分1000円を含む〕とすることの了解を得ていたことから、上記代理援助契約に基づいて法テラスから支払われる着手金・実費の他に、申立外Cとの間で合意した上記着手金、成功報酬、顧問料を得られると思い、申立外Cから代理援助額による着手金を超える着手金7万8500円を受領するとともに、その後、顧問料として10万円〔月額2万円×5ヶ月分〕の合計178500円を受領した。同弁護士のた上記金員の受領は、法テラスで定めた代理援助契約条項、「事件の処理に関し、甲〔被援助者〕のために金銭を立替え又は甲から金銭その他の利益を受けないこと。ただし特別の事情があり、乙〔受任者〕が丙〔日本司法支援センター〕の承認を得たときはこの限りではない。」に違反する。しかしながら、被調査人は、申立外Cとの合意に基づいて受領したものであるから、返金する必要がないとして、申立外Cおよび法テラスから返金を求められたにも関わらす、平成231031日に至るまで返金しなかった。従って、非行の程度は大きいといわざるを得ない。被調査人は、法テラスの利用は今回が初めてであったことや、弁護士になってすぐに中国に行き、中国で渉外事務の仕事をしていたので、平成231013日に東京弁護士会の副会長から説明を受けるまで法テラスのルールを知らなかったと主張するが、その真偽はともかく、法テラスが認定した金額以外の金員を受領できないことは、法テラスを利用する弁護士ならば知っておかなければならないことであるから、責任を免ずる理由にはならない。同弁護士は、平成231031日にいたり、申立外C名義の口座宛に返金する方法により、178500円を返金している事実が認められるけれども、しかしながら、その送金時期は遅すぎるといわざるを得ない。被調査人は、申立外Cから平成23年6月21日および同年同月27日に電子メールにて返金を求められた際に拒否しているばかりでなく、同年7月13日に法テラスの事務局から電話にて返金を求められた際にも返金を拒否している。少なくともこの時点で自らの認識が正しいのか否かを再考し、代理援助額とは別に受領した金員を申立外Cに返金すべきであった。それにもかかわらず、同弁護士は、委任者と合意をしているのだから返金する必要はないとして、法テラスからの返金要求を拒否している。よって、弁護士としての品位を失うべき非行があると認められる。

  たしかにルール違反ではあるが、500万円の養育費等請求事件で、「着手金178500円〔消費税8500円を含む〕」成功報酬「得られた経済的利益の10%」顧問料「事件終結までの月額2万1000円」というのは旧日弁連報酬規程を遙かに下回るもので、事件終結までの期間にもよるがむしろ良心的といってよいと思う。旧日弁連報酬規程では最低着手金が10万円とされていたことからすれば、現在の法テラスの代理援助額着手金10万円の方が非常識なものである。そうはいってもやはりルールはルールだから178500円を返金すべきは当然だ。
 問題はこのルール違反が「弁護士としての品位を失うべき非行」に当たるかであるが、かなり微妙だと思う。やや遅いとは思うが約4ヶ月後には全額返還していること、金額がそれほど多額でないこと、法テラスの利用が今回初めてであったこと、他に同種のルール違反が確認されていないことを斟酌すれば、ルール違反ではあるが「品位を失うべき非行」とまでは言えないとの判断もあり得たと思われる。
 ちなみに
法テラスでは、平成21年までの3年間に被疑者国選弁護制度で依頼を受けた全国の弁護士およそ3700人について不正がなかったか調査した。その結果、157人が容疑者との接見の回数や裁判への出廷の回数を水増しするなどの方法で、合わせておよそ450万円の報酬を過大に請求していたことが判明した。法テラスは、不正に受け取った報酬の返還を求めたほか、過大請求の件数や金額が特に多かった19人については、1年から3か月間、国の費用での弁護業務の依頼をしないことを決めた。
  しかし、
この19人の不正請求は明らかに詐欺罪に該当する。これらの不正行為については所属単位会に情報提供されたがこの内懲戒請求されたものは一人もいない。単位会は所属会員に「品位を失うべき非行」がある場合は会立件で懲戒手続きを開始することができる。しかしどの単位会もそれをしなかった。法テラスも被害者であるからやろうと思えば懲戒請求できたし、むしろ彼らの理屈に照らせば当然懲戒請求してしかるべきであったがしていない。それどころか情報公開請求に対して、過大請求した弁護士名を黒塗りにして開示した。
 大渕弁護士の今回の行為は少なくとも最初に178500
円を受領した時点では故意はなかったと考えられる。両者を比較したときあまりにも均衡を失しているというべきだろう。
 百歩譲って懲戒自体は致し方ないとしても、誰がどう見ても戒告止まりだと思う。過去の懲戒事例を見ると、これより遙かに悪質と思われるケースで戒告が選択されたものは少なくない。
 業務停止となれば当該弁護士は受任中の全ての事件を辞任しなければならず、顧問契約も全て解除しなければならない。事務所を使用できないどころか事務所の看板まで撤去しなければならない。普通の弁護士であれば容易には立ち直れないダメージを受けることになる。公務員の停職処分とは全く不利益の程度が違うのである。だから業務停止は誰が見ても悪質だという場合に選択されるのが通例であり、今回の業務停止処分は過去の事例と比較しても明らかに均衡を欠いていると思う。
 何故本件で東京弁護士会が業務停止を選択したのか理解できないが、その心の底には人気女性弁護士がマスコミでチヤホヤされていることへの反感や妬み嫉みが潜んでいる思うのはゲスの勘ぐりというものか。
 マスコミやネットでも散々叩かれているが、水
に落ちた犬を叩くような反応もいかがかと思う。そんなに自分たちは品行方正に生きているのだろうか。日本の社会はいつからこんなに不寛容になったのだろう。

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2016年5月22日 (日)

米大手法律事務所、破産法担当としてAI弁護士を世界で初めて導入

米大手法律事務所、破産法担当としてAI弁護士を世界で初めて導入

http://business.newsln.jp/news/201605121918300000.html

   全米10都市以上に拠点を構える大手法律事務所のBaker & Hostetlerは、破産法担当者としてAIによる弁護士を世界で初めて導入したことを発表した。このAIシステムは、IBM Watson上で知識ベースが構築されたもので専門家の知識と経験を上回る専門性を発揮することができる世界的にも類を見ない本格的なAIとなる。今後、Baker & Hostetlerでは、このAI弁護士を使った法律支援業務の提供を複数の企業向けに提供することを予定しており、既に、複数のAI顧問契約を結んだとしている。
   
IBM Watsonは、2011年に放送されたクイズ番組「Jeopardy!」に出演することで、競合となる人間のクイズ王を破り、見事に優勝を勝ち得たスーパーコンピューターを用いたAIシステムとなる。他のAIシステムは、知識ベースを構築するには、知識をコンピューター向けの専用形式のデータに変換する必要があるのに対して、IBM Watsonは、自然言語理解能力を有しているところに特徴を持つ。このため、ユーザーは、様々なデバイスを通じてあたかも本物の人間の担当者と応答を行っているかのように、質問と回答を得ることができるというものとなる。
   
IBMでは、2011年に放送されたクイズ番組「Jeopardy!」で優勝して以降は、IBM Watsonを利用した専門業務向けAIを開発するため、医療機関などと提携して、AI専門家の育成を続けてきた。企業法務、診断内科などの専門業務は、IBM Watsonの応用が効く分野として、IBMはこれまで総力を挙げてAIの開発に取り組んできた分野となる。

  先日テレビで、グーグルの人工知能AlphaGoが韓国のプロ棋士に4勝1敗で圧勝したことを取り上げた番組を見て衝撃を受けた。これまでの人工知能は基本的にコンピューターの演算速度に依存し、考えられるあらゆる手を計算して最善手を判断していた。しかし囲碁は手が多すぎていくら演算速度を上げても人間には敵わないとされてきた。
  ところがAlphaGoのソフトウエアには、囲碁のルールすら組み込まれていない。過去の棋譜をニューラルネットに入力する「教師あり学習」と、勝利を報酬に囲碁AI同士を対局させて鍛える「強化学習(教師なし学習)」だけだという。AlphaGoは2015年10月の時点で、3000万局もの自己対局をこなしたとされ、それによって未知の定石や打ち筋といったイノベーションを生み出したのだ。正に自ら考え学習する人工知能が登場したわけだ。 これまで人間が担っていた「認識」「検知」に関わる分野、例えば医療用画像の解析などでは人間を超える精度を実現しつつあるという。
  人間の思考は経験に基ずく直観的判断が可能であり、この点においてAIは絶対敵わないと思っていた。しかしこのようなディープラーニング方式のAIであればこれが可能であり、しかも学習速度が桁違いである。 IBMのAI弁護士はディープラーニング方式のAIではないようだが、それでも既に実用化されている。ディープラーニング方式のAI弁護士が開発されれば、現在弁護士が行っている業務の相当部分がAIで賄えることになるだろう。AI医師やAI裁判官の登場もそんなに先のことではないような気がする。イノベーションの行き着く先はとんでもない大量失業社会なのかもしれない。
  ディープラーニングには人間が読める論理コードはなく、あるのは各ニューラルネットの接続の強さを表すパラメーターだけでアルゴリズムは人間にとってブラックボックスになっているとされる。つまりAI弁護士やAI医師の判断が仮に間違っていたとしても人間はそれに気付くことができないのだ。人類がAIに依存し、そのAIが暴走して人類が滅びるというのはSFの世界の定番だ。だがこうなってくるとAIの適用分野を慎重に判断しないと夢物語でもなくなりそうだ。

2015年1月31日 (土)

横浜弁護士会の楠元和貴弁護士(43)が遺産4000万円を着服 横浜弁護士会が懲戒手続き

リンク: 遺産4000万円を着服 横浜弁護士会が懲戒手続き (カナロコ by 神奈川新聞) - Yahoo!ニュース.

  横浜弁護士会は30日、会員の楠元和貴弁護士(43)が依頼人のために預かった現金計約4千万円を返金せずに着服した、と発表した。依頼人と弁護士会は、懲戒処分のための調査を弁護士会綱紀委員会に請求。弁護士会はさらに業務上横領容疑で告発も検討している。
 預かり金の着服が発覚したのは、藤沢市の男性と、大和市の男性からそれぞれ依頼を受けた遺産相続に関わる事件。同弁護士会によると、藤沢市の男性は2013年、親族間での遺産分割を依頼。昨年6月に分割協議を成立させ、相手方から約2650万円を男性のために預かりながら、約150万円しか男性に返金していなかった。大和市の男性ら3人は09年、親族間での遺産分割を求めて楠元弁護士に依頼。相手方の親族から3人に計約1650万円が渡ることになったが、13年6月に同弁護士が預かった後、返金していなかった。
  藤沢市の男性が昨年9月に弁護士会の窓口に苦情を申し出て発覚。今月6日には大和市の男性も被害を訴えたことから、弁護士会が対応に乗り出した。楠元弁護士は弁護士会の調査に対し、事実関係を認めた上で、「必ず金は返す」と釈明。着服した理由については「別の依頼者とのトラブルで金を返さなければいけなかった」などと話したというが、入院しているため十分な聞き取りができておらず、私的流用の疑いもあるとしている。
  楠元弁護士は2000年に弁護士登録。横浜弁護士会には05年に入会した。小野毅会長は記者会見で、「重大な問題が起きてしまい残念」と謝罪。被害拡大防止のため、懲戒処分前に公表したと説明した。

  横浜弁護士会では昨年12月にも預かった遺産の一部約4700万円を着服したとして、猪俣貞夫弁護士(75)を業務停止1年4カ月の懲戒処分としている。猪俣弁護士は「所属弁護士が辞めたり、本来入るはずの仕事の報酬が入らなかったりして、事務所の経営が苦しくなった。やってはならないことをしてしまった」と話したとされる。弁護士会は猪俣弁護士を業務上横領容疑で県警に告発し、横浜地検は起訴猶予処分とした。
   楠元弁護士は高齢の猪俣氏と異なり53期の中堅弁護士だ。弁護士の金銭を巡る不祥事はもはや歯止めが効かないようだ。背景には馬鹿げた増員による弁護士の経済的苦境があるのだろう。その意味では日弁連の誤った増員政策が弁護士の非行を助長してきたとも言える。横浜弁護士会の会長は談話で「会員に対する倫理研修などを徹底して行う」と言っているが、故意犯である横領を「倫理研修」で止められるわけがない。抑止効果があるとすれば、弁護士の業務上横領は金額を問わず必ず除名にするという厳しい懲戒処分の運用くらいだろう。
  4700万円も着服したのに業務停止1年4カ月は甘すぎる。全額返済しているからといって起訴猶予処分にした地検の対応も疑問だ。当然起訴すべきだろう。依頼者の金に手を付ける人間に弁護士の資格はない。今回は躊躇なく除名にすべきだと思う。

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2015年1月17日 (土)

<強姦被告側弁護士>「示談なら暴行ビデオ処分」被害女性に-毎日新聞  事実なら除名にすべきだ

  宮崎市のオイルマッサージ店で女性客ら5人に性的暴行などを加えたとして強姦(ごうかん)罪などに問われている経営者の男(44)の宮崎地裁での16日の公判で、20代の被害女性が「被告側弁護士から『暴行の様子を撮影したビデオがある。告訴を取り下げれば処分する』と脅された」と証言した。被告側の男性弁護士は取材に対し「選択肢として提示した。脅されたと思われるなら仕方ない」と交渉の事実関係を認めた。
  女性は証人尋問で、経営者逮捕後の2014年3月、自らの代理人弁護士を通じ、被告側弁護士から「『法廷でビデオが流されると分かっているのか。流されたくなかったら告訴取り下げをしろ。示談金はゼロ』と言われた」と述べた。さらに女性は「(ビデオが)流出したらどうしよう、なぜこんな思いをしなければいけないのか」と訴えた。
  宮崎県弁護士会所属の被告側弁護士は閉廷後、取材に対し「『告訴を取り下げたら(ビデオを)処分するが、どうする』とは言った」と認めたが「法廷での被害者の不利益が大きいのではないかと考え、選択肢として示した」と脅しではなかったとした。ビデオの動画は示談交渉決裂後、捜査側に提出したという。
  起訴状によると、経営者は10~13年、店で20~40代の女性客らに暴行したなどとして14年2~7月、強姦と強姦未遂、強制わいせつ罪で起訴された。起訴内容を否認している。【菅野蘭】

 こんな卑劣なことをする弁護士がいるとは同じ弁護士として恥ずかしい限りだ。これはもう示談交渉などというものではなく強要罪そのものだ。宮崎県弁護士会は懲戒請求を待たずに弁護士会立件で懲戒手続きを進めるべきだろう。そして事実が確認されれば除名処分が相当だ。
  自由と正義の今月号に事務所内で事務員のスカート内を盗撮した弁護士が業務停止6
月の懲戒処分を受けたことが公告されている。これだって業務停止6月は軽すぎる。
  弁護士法56条1項の定める懲戒事由は「弁護士としての品位を失うべき非行」だ。暴行ビデオを使って被害女性に告訴取り下げを強要するがごときは、弁護士としての品位どころの話しではない。人間として許されない行為であって除名以外の処分はあり得ないと思う。

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2015年1月14日 (水)

法テラスを被告とする委任契約に基づく費用請求事件の仙台地裁平成26年11月19日判決と控訴理由書  私の解釈は間違っているだろうか

  私が原告として法テラスを訴えている委任契約に基づく費用請求事件で、仙台地方裁判所第一民事部は請求を棄却しました。控訴して現在仙台高等裁判所第二民事部に係属中です。判決及び控訴理由を紹介します。私にはどう考えても法テラスや仙台地裁の考えは不合理、不公平だと思うのですが。ちなみに法テラスの代理人は、裁判所から法テラスの業務方法書の証拠提出を求められたところ、「被告に立証責任はないから被告からは提出しない」として提出を拒みました。何と大人げない対応かと呆れましたが、本当に官僚的ですね。

仙台地裁平成26年(ワ)第127号法テラスを被告とする委任契約に基づく費用請求事件判決  平成26年11月19日判決言渡

原 告 坂野 智憲 
被 告 日本司法支援センター代 表者理事長 梶谷 剛

                    主  文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

                    事実及び理由
第1 請求
   被告は,原告に対し, 14万7500円を支払え。

第2 事案の概要
   本件は, 被援助者Xを当事者とする仙台高等裁判所における損害賠償請求控訴事件の追行を受任範囲とする代理援助契約を被告との間で締結した弁護士である原告が, 訴訟上の救助決定を受けていたXの控訴を棄却するとの判決を受け, 上告審については継続受任しないこととして被告に終結報告書を提出し, 被告において事件終結決定をした後, Xがした上告兼上告受理申立てが棄却及び不受理決定され, 訴訟費用の負担が確定して裁判所から請求を受けるに至ったとして,被告に対し,委任契約に基づき,訴訟費用相当額の費用14万7500円の支払を請求している事案である。

1 争いのない事実等
 (1)ア 原告は,弁護士である(争いのない事実)。
   イ  被告は, 総合法律支援法に基づき, 総合法律支援に関する事業を迅速かつ適切に行うことを目的として設立された法人である。
 (2) X,原告及び被告は,平成23年8月19日,Xが損害賠償を求める訴え(以下「本件援助案件」という。)につきXが原告に委任し, 被告が原告に対してその着手金及び実費を立替払いし,Xが被告に対して同立替金を割賦償還することを内容とし,同契約に規定のない事項については業務方法書によるとの代理援助契約を締結した(乙1,弁論の全趣旨)。 ,
 (3) X,原告及び被告は,平成25年2月14日,本件援助案件の控訴審につき, Xが原告に委任し, 被告が原告に対してその着手金及び実費を立替払いし,-が被告に対して同立替金の割賦償還を終結時まで猶予することを内容とし, 同契約に規定のない事項については業務方法書によるとの代理援助契約(以下「本件代理援助契約」という。)を締結した(争いのない事実,甲1)。
 (4)  仙台高等裁判所は,平成25年6月.28日,本件援助案件の控訴審において, 第一審において請求を棄却された-の控訴を棄却するとの判決をした(甲2)。
 (5)  原告は,被告に対し,平成25年7月3日,Xが上告の意向を持っているが, 原告は受任しないとして, 本件援助案件の控訴審についての終結報告書を提出し,被告は,同月8日,本件援助案件の控訴審について事件終結決定(以下「本件事件終結決定」という。)をした(甲3, 5,弁論の全趣旨)。
  (6)  原告は,被告に対し,平成25年9月20日,本件援助案件につきXが上告兼上告受理申立てをしたが, 原告の後任の弁護士が見付からなかったためいずれも却下され, 訴訟費用負担の主文が確定し,Xに対して本件援助案件の第一審及び控訴審の印紙代の請求がされる予定であるとして, 印紙代14万750 0円の追加費用支出を求める申立書を提出したが, 被告は, 同月25日,同年7月8日付けで事件終結しているため追加支出できないとの決定をした(甲4, 5)。
  (7)  原告は,被告に対し,平成25年10月7日,前記(6)の決定に対して不服申立てをしたが, 被告は, 原告からの終結報告書に基づいて行われた終結決定において立替金の総額を確定していることから, 終結決定後の追加支出はできないとして,不服申立てを却下するとの決定をした(甲6, 7)。
  (8)  被告の業務方法書(甲8)
      被告の業務方法書には, 以下の規定がある。
      5条 この節において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
   1号 代理援助 次に掲げる援助をいう。
       ア 裁判所における民事事件, 家事事件又は行政事件に関する手
続(以下「民事裁判等手続」という。)の準備及び追行(民事裁判等手続に先立つ和解の交渉で特に必要と認められるものを含む。 ) のため代理人に支払うべき報酬及びその代理人が行う事務の処理に必要な実費の立替えをすること。
     11条 センターが,援助を行う案件(以下「援助案件」という。)について立て替える費用(以下「立替費用」という。)の種類は,次の各号に掲げるとおりとする。
   1号 代理援助又は書類作成援助に係る報酬
   2号 代理援助又は書類作成援助に係る実費
   3号 保証金
   4号 その他附帯援助に要する費用
  50条1項 受任者等は,立替費用につき,援助開始決定その他の決定に定める額に不足が生じたときは, 地方事務所長に追加費用の支出の申立てをすることができる。
   3項 地方事務所長は, 第1項の申立てを受けた場合において, その申立ての全部又は一部を相当と認めるときは, 地方扶助審査委員の審査に付し, その判断に基づき, 立替基準に従って, 追加費用の支出について決定する。
   5項 地方事務所長は,第1項の申立てを受けた場合において,その申立てが次の各号に掲げる要件のいずれかに該当するときは, その申立ての全部又は一部を認めない決定をすることができる。
   1号 立替基準に合致しないとき。
   2号 その他相当ではないと認めるとき。
  56条1項 地方事務所長は,次の各号に掲げる事由があるときは,地方扶助審査委員の審査に付し, その判断に基づき, 援助の終結決定をする。
   1号 事件が終結し, 受任者等から終結報告書が提出されたとき。
   ただし, 終結決定の対象となる事件に関連する事件が継続している場合で,かつ第58条第2項の規定により関連事件の終結決定又は第83条の27第1項の震災法律援助終結決定を待って報酬金の決定をすることとしたときは, この限りでない。
   2号 援助を継続する必要がなくなったとき。 _
   3号 受任者等が辞任し又は解任され, 後任の受任者等の選任が困難なとき。
  57条1項 地方事務所長は,終結決定において,事件の内容,終結に至つった経緯その他の事情を勘案して次の各号に掲げる事項を決定し, 立替金の総額を確定する。
   2号 追加支出の額,支払条件及び支払方法

2 争点
 (1) 追加支出請求の主体
 (2) 本件事件終結決定の効果
 (3) 業務方法書57条の消費者契約法違反の有無

3 争点に関する当事者の主張
 (1) 争点(1)(追加支出請求の主体)
 (原告の主張),
  原告は,Xが当事者である本件援助案件の第一審及び控訴審につき, 受任者としての地位を有しており, 被告に対して追加費用の支出を請求すべき義務があるし, 業務方法書50条1項でも受任者等が追加費用支出申立ての主体とされているから, 原告が受任者としての立場に基づき, 追加支出請求をすることができる。
 (被告の主張)
  業務方法書上, 受任者が追加費用請求の主体とされていることは認めるが,本件援助案件の控訴審については, 平成25年7月8日付けで本件事件終結決定がされているし, 被告が決定した追加費用を受給できる主体は被援助者であるから, 原告は実体的利益の帰属主体ではなく, 原告適格を 有しないから本件訴えは却下又は棄却されるべきである。
 (2) 争点(2)(本件事件終結決定の効果)
 (被告の主張)
  援助開始決定後に不足が生じたときの追加費用の支出決定は, 業務方法書50条3項に基づき,被告が行うこととされているところ,業務方法書57 条1項柱書, 2号は追加支出の終期を終結決定時までに固定しているから,本件においても, 本件終結決定後にされた追加費用支出請求は認められない。
  また,追加費用請求権は,援助開始決定や代理援助契約の締結により,当然に追加費用の具体的請求権が発生するものではなく, 本件において, こ.の具体的請求権が発生したとはいえない。
 (原告の主張) 
  本件において, 原告が被告に対して事件終結報告書を提出し, 本件事件終結決定がされた時点では,本件援助案件の控訴審判決中の訴訟費用負担の裁判は確定しておらず, 追加費用支出の申立てをすることは不可能である一方, 上告審での新たな受任者選任のため, 速やかに事件報告書を提出しなければならない状況にあった。受任者等が追加費用の支出の申立てをすることができるとする業務方法書50条1項は, 代理援助契約に基づいて被告が負担する債務を規定したものであり,援助の必要性が継続しているにもかかわらず,明確な合意がない限り, 申込者の同意を得ずに一方的に債務を免れることはできないのにそのような明文の規定は存在しない。
  そうすると, 本件事件終結決定は, 援助の必要性が継続しているのに被告が一方的に下したもので無効であり, 追加支出に応じるべき被告の債務を免れる効果はない。そして,業務方法書50条は,原則として追加支出の申立てを受けた場合には支出することとし, 例外的に支出拒否可能要件が認められる場合にのみ支出を拒否することができるとされているのであり, 訴訟費用の追加支出申立てが拒否されることはあり得ないから, 追加費用の具体的請求権が発生したといえる。 .
 (3) 争点(3)(業務方法書57条の消費者契約法違反の有無)
 (原告の主張)
  代理援助契約は, 被援助者と被告の間で締結される第三者のためにする契約であり, 第三者たる受任者が受益の意思表示をすれば, 受任者が被告に対して直接に報酬 ・ 実費を請求する権利が発生する。
  業務方法書57条1項柱書, 2号により, 被告の終結決定には追加支出に応じるべき債務を免れさせる効果があるとすると, 第三者のための契約である代理援助契約において, 契約成立後に債務者である被告が一方的に給付を拒否することができる業務方法書57条は, 民法537条の場合に比して消費者である被援助者の利益を一方的に害する条項であり, 信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるから, 消費者契約法10条により無効となる。
  そして, 業務方法書が一定の手続を経て作成されているとしても消費者契約法適用の可否とは無関係であるし, 最終的な利益の帰属主体がXであることからすると, 原告が消費者契約法違反を主張することは, 同法の立法目的にも適うものである。 また, 追加費用支出が認められればXはいったん被告に立て替えてもらった上で分割弁済できるのであるから, これが認められないことによりlの利益が害されることとなる。したがって,少なくとも業務方法書57条のうち,追加支出の終期は終結決定時までに固定されているとの部分は無効であるから, 被告は追加費用支出を拒むことはできない。
 (被告の主張)
  代理援助契約は, 被援助者, 受任弁護士及び被告の間で締結する一本の三面混合契約であり, その一部を対象として契約の有効性を判断することはできないし, 受任者は弁護士という事業者として同契約を締結していたのであるから, 受任弁護士である原告が消費者契約法違反を主張することはできない。そして, 業務方法書は, 最高裁判所及び被告評価委員会の意見を聴いた法務大臣の認可を受けるものであり, 被告が被援助者との圧倒的な情報力及び交渉力の格差を利用して被援助者に不利となる内容を盛り込んで独自に決定するものではない。また, 追加費用の支出は, 被援助者が裁判所に対して負う印紙代を被告が立て替え, その償還を被告から被援助者に求める制度であり, 被援助者の経済的負担は被告の立替えの有無にかかわらず最終的には同じであり, 被告の終結決定により被援助者の利益が一方的に害される状況とはいい難い。したがって, 業務方法書57条の規定に消費者契約法を適用して一部無効とすることはできない。

第3 争点に対する判断
 1 争点(1)(追加支出請求の主体)
  本件は, 原告が被告に対して金銭の給付を求める給付を求める訴えであり,給付の訴えにおいては, 自らがその給付を請求する権利を有すると主張する者に原告適格があるというべきであるから, 原告は, 原告適格を有する。 
  被告は,本件終結決定により,原告は追加費用請求の主体でなくなったと主張するが, 原告は本件終結決定の効力を争っているので, この点については, 後記2で検討する。

 2 争点(2)(本件事件終結決定の効果)
  前記第2,1(3)(8)及び証拠(甲1)によれば,本件代理援助契約は,本件援助案件の控訴審をその対象とし,その9条, 10条において,事件が終結し, 原告から終結報告書が提出されたときは, 被告は援助の終結決定をし, その際, 追加支出額及び立替金の総額を決定することとされていて, 業務方法書56条,57条にも同趣旨の規定があるところ, このような契約の内容及び業務方法書の規定からすれば, 援助の終結決定により追加支出の額が確定されるのであり, 終結決定後に追加費用支出をすることは予定されていないと解される。
  原告は, 援助の必要性が継続しているにもかかわらず, 明文の規定もなく追加費用支出申立てができなくなるとは解されず, 本件事件終結決定は無効であると主張する。 しかし, 上記のとおりの契約及び業務方法書の規定からすれば, 終結決定後に追加費用支出がされることは予定されておらず, そのことも契約内容となっていると解されるし, 本件代理援助契約について, 援助の必要性がある限り, 終結決定がされてもなお被告において追加費用を支出しなくてはならないと解すべき手掛かりとなる契約条項や業務方法書の規定は存在しないから, 原告の主張は採用できない。
  したがって, 被告において, 本件事件終結決定後にされた追加費用支出申立てに応じるべき義務はないこととなる。
 3 争点(3)(業務方法書57条の消費者契約法違反の有無)
  原告は,業務方法書57条が消費者契約法10条に違反すると主張する。この点,仮に本件代理援助契約が,原告の主張するとおりの第三者のためにする契約であると解されるとしても, 被告と被援助者であるXとの間の契約上, 被援助者が追加費用の支出を求めることができるのは, 前記2で説示したところからすると終結決定がされるまでの間であって, 原告の受益の意思表示により発生するのも終結決定がされるまでの間の受任者として原告自ら追加費用支出請求ができるという権利にとどまる。 そうすると, 原告の受益の意思表示により, 原告は援助の必要がある限り終結決定後も追加費用支出請求ができる権利を取得したのに, 業務方法書57条によりその.後に同権利が制限されるという関係にはないから, 業務方法書57条により被告が終結決定後には追加支出に応じるべき債務を負わないという点は,民法537条, 538条に比して消費者の権利を制限するものとはいえず, 業務方法書57条が消費者契約法10条に違反するとはいえない。
 4  以上検討のとおり, 業務方法書57条が消費者契約法に違反するとはいえず,本件事件終結決定後に被告が追加費用支出申立てに応じるべき義務はないから, 原告の請求は理由がないことに帰する。 よって, 原告の請求を棄却することとして, 主文のとおり判決する。

    仙台地方裁判所第1民事部

                              裁判官 荒谷 謙

平成26年(ネ)第404号 委任契約に基づく費用請求控訴事件

控訴人  坂野智憲

被控訴人 日本司法支援センター

控 訴 理 由 書

平成27年1月15日

仙台高等裁判所 第2民事部 御中

 上記当事者間の頭書事件における控訴人の控訴理由は以下のとおりである。

第1 事件終結決定の効果について

1 原判決

 原判決は,代理援助契約書(乙1)9条,10条及び業務方法書(甲8)56条,57条の規定に照らせば,援助の終結決定により追加支出の額が確定されるのであり,終結決定後に追加費用支出をすることは予定されていない旨判示する。業務方法書57条に「追加支出額の確定効」「立替金総額の確定効」があると理解するのであろう。

2 終結決定後の追加費用支出は可能であること

しかし原判決の係る解釈は誤りである。控訴人が主張しているのは、終結決定後に訴訟上の救助の取消決定がなされて初めて納付義務が生じる訴訟費用についての追加費用支出である。終結決定の時点で未だ発生していない費用については、終結決定において追加支出を決定することなど不可能である。そして同50条によれば追加費用は支出するのが原則であるから、もしこの代理援助契約の本質的効果である「代理援助に係る実費の支出」の一部を制限するのであればその旨が明記されなければならないはずである。しかし同57条は、終結決定後に初めて納付義務が生じる費用について特段の定めをしていない。

これをもって原判決のように「終結決定後に追加費用支出をすることは予定されていない」と解釈するのが正しいか、「終結決定後に追加費用支出をすることも許される」と解釈するのが正しいかは、代理援助契約の目的に遡って解釈されるべきである。

 業務方法書2条は,「あまねく全国において,法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会の実現を目指して,その業務の迅速,適切かつ効果的な運営を図る」と規定する。被告が実施する代理援助制度は,経済的に困窮する者に対し弁護士費用,実費等の援助を行うことを根幹とするものであるから,代理援助契約の目的とは,経済的に援助を必要とする者に対し,必要な範囲で弁護士費用,実費の立替を行うことに尽きる。そして、経済的に援助を必要とする者に対し実費の立替を行う必要性において「終結決定の時点で未だ発生していない費用」と「終結決定の時点までに既に発生している費用」とで異なるところは全くない。だとすれば、明文で禁止されていない限り「終結決定後に追加費用支出をすることも許される」と解釈するのが正しいといわねばならない。同57条は「終結決定までの間に発生した費用については追加支出額などを決定して、その時点までの立替金の総額を確定する」という消極的な意味にとどまり、「終結決定後に発生した費用についての追加支出を認めない」という積極的な意味を持つ規定ではないのである。

 もし原判決のように同57条に「追加支出額の確定効」「立替金総額の確定効」を持たせるとするならば、例えば同562号の「援助を継続する必要がなくなったとき」の判断を誤って終結決定をしてしまった場合には、同70条の9の明白な誤記などには当たらないので、是正の術がないことになってしまう。これは明らかに不合理である。本来であれば同63条の3の終結決定を変更する決定に、「終結決定後に費用が発生した場合の変更決定」を明示しておくべきだったのである。しかし業務方法書の規定の不備を被援助者の不利益に帰することは背理であるから、同57条が終結決定後に初めて納付義務が生じる費用について特段の定めをしていない以上、同50条により終結決定後に追加費用支出をすることも許されると解釈すべきものである。

第2 事件終結決定の有効性について

1 そもそも終結決定は無効であること

 仮に原判決のように「援助の終結決定により追加支出の額が確定されるのであり,終結決定後に追加費用支出をすることは予定されていない」と解釈するとしても、本件ではそもそも終結決定は無効である。

代理援助契約書9条及び業務方法書56条には,「事件が終結し,受任者等から終結報告書が提出されたとき」に援助の終結決定がなされるとの規定が存在する。原判決は,かかる規定を根拠に,終結報告書の提出をもって援助の終結決定がされるとの認定を行っている。

 しかし,「事件が終結し,受任者等から終結報告書が提出されたとき」との規定は,率直に読めば「事件が終結し,かつ,受任者等から終結報告書が提出されたとき」と理解されるべきである。すなわち,終結報告書の提出のみによって終結決定を下すことは許されず,「事件が終結し」ているか否かが審査されなければならない。

 この点につき,業務方法書の規定上,事件の終結事由を定めた明文は存在しない。明文が存在しない以上,何をもって事件の終結事由とするかについては,代理援助契約の目的に遡って解釈されるべきである。

 業務方法書2条には,「あまねく全国において,法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会の実現を目指して,その業務の迅速,適切かつ効果的な運営を図る」との規定が存在する。かかる規定は,代理援助契約の目的を抽象的に表現したものである。被告が実施する代理援助制度とは,経済的に困窮する者に対し弁護士費用,実費等の援助を行うことを根幹とするものであるから,代理援助契約の目的を端的に表現すると,金銭的援助を通して法的紛争の適切な解決を実現することとなろう。

 上記のように,代理援助契約の目的とは,経済的に援助を必要とする者に対し,必要な範囲で弁護士費用,実費の立替を行うことに尽きる。このような目的からすると,代理援助契約における事件の終結事由とは,被援助者に対する経済的援助の必要性が消滅したことを意味することは明らかである。このように解さなければ,経済的援助の必要性が存続しているにもかかわらず事件の終結が認められ得ることとなり,代理援助契約の目的に反する結果となる。

2 本件終結決定時において援助の必要性は消滅していないこと

 これを本件に当てはめると,被控訴人宮城地方事務所が終結決定を下した時点で,訴外Xには援助の必要性が存在しており,本件終結決定は要件を欠いた無効なものである。

既に原審において主張しているところではあるが,訴外渡邊は第1審及び第2審の訴訟費用につき訴訟救助の決定を受けていたところ,いずれも敗訴し,訴訟費用の負担を命じる判決を下された。従って,敗訴判決が確定した時点で訴訟費用の支払義務が発生することは明らかであり,援助の必要性は客観的に存続していた。被控訴人宮城地方事務所は,このような状況を認識したにもかかわらず,援助の必要性の存在を考慮することなく,終結報告書の提出という事実のみに基づき終結決定を下したのである。

3 終結報告書を提出についての被控訴人の運用

 もし仮に,被控訴人において,援助の必要性の有無が確定した段階で終結報告書を提出することを可能とする運用を行っていたのであれば,終結報告書の提出をもって事件の終結決定を下すこともあながち不合理とはいえないかもしれない。

 しかし,被控訴人は,終結報告書を提出しなければ上級審での新たな受任者を選任しないこととしていたのであり,かかる運用の下では,本件のように,援助の必要性が存続していても終結報告書を提出せざるを得ないのである。

 このように,援助の必要性が存続しているにもかかわらず終結報告書を提出することを余儀なくさせる運用を被控訴人が行っているにもかかわらず,終結報告書の提出という事実のみをもって事件の終結決定を下すことは許されない。

4 終結決定を事後的に変更しうる規定の存在

 業務方法書63条の3には,終結決定後において終結決定の内容を変更し得る事由が規定されている。終結決定の事後的変更が可能となる具体的な事由は,「終結決定後において,新たに相手方等から金銭等を得たとき」(1号)及び「終結決定後において,その決定前に相手方等から金銭等を得ていたことが発覚したとき」(2号)である。

 業務方法書60条には,被援助者が相手方等から金銭等を得ている場合に,相手方等から得た金銭等を立替金の償還に充てなければならないとの規定が存在する。

つまり,業務方法書63条の3は,終結決定後に被援助者が相手方等から金銭等を得た場合に,当該金銭等を立替金の償還に充てることを可能とする規定なのである。これは,援助の必要性が消滅していたことが事後的に判明した場合に,援助の必要性の消滅という事情に則した処理を行うことを可能とするための規定であり,いわば本件事案とは逆の事態を想定したものである。

この規定には,援助の必要性の有無という代理援助契約の本質が反映されている(ただし,被控訴人にとって一方的に有利にであるが)。

 以上のことからしても,代理援助契約の解釈上,援助の必要性の有無が決定的な要素となることは明らかである。

5 小括

 以上のことから明らかなとおり,本件においては,援助の必要性の有無を考慮した上で終結決定の有効性を判断することが不可欠となる。

それにもかかわらず,原判決は,終結報告書の提出という事実のみをもって本件終結決定が当然に有効となるとの前提のもと,控訴人の請求を棄却している。かような判断は,代理援助契約の本質を看過した不当なものである。

第3 業務方法書57条が消費者契約法に反する点について

1 原判決

 原判決は,本件代理援助契約の締結により発生するのは「終結決定がされるまでの間,Xの受任者として原告自ら追加費用支出請求ができる権利にとどまる」とした上で,終結決定後に追加支出に応じるべき債務を負わない点につき,民法の規定に比して消費者の権利を制限するものとはいえない旨判示する。

 しかし,以下に述べるとおり,原判決は不当である。

2 代理援助契約により発生する権利

 前記第1で既に述べたところではあるが,原判決の根本的な誤りは,本件終結決定の有効性を当然の前提としている点にある。

 代理援助契約の目的に照らせば,終結決定を下すにあたり,援助の必要性が消滅していることが不可欠の要件となる。すなわち,代理援助契約を第三者のためにする契約(民法537条,538条)と解した場合,控訴人の被控訴人に対する受益の意思表示により発生するのは,援助の必要性が消滅するまでの間,訴外Xの受任者として控訴人自ら追加費用支出請求ができるという権利である。

 原判決がいう「終結決定がされるまでの間,渡邊の受任者として原告自ら追加費用支出請求ができる権利」とは,代理援助契約の目的を看過した技巧的な解釈により導かれたものであり,到底是認できるものではない。

3 業務方法書57条

 前記2に照らせば,業務方法書57条は,援助の必要性の有無を確定した上で下された終結決定により,追加費用支出の額が確定する効果を有する規定と解釈されるべきである。このように解せば,業務方法書57条が消費者契約法に反するか否かの検討を行うまでもなく,控訴人の請求の正当性が基礎づけられることとなる。

 仮に,業務方法書57条が,終結決定の有効性いかんにかかわらず,終結決定を下したこと自体をもって追加費用支出の額を確定する効果を有するのであれば,援助の必要性が消滅するまでの間,被援助者の受任者として自ら追加費用支出請求ができる権利を制限するものであることは明らかであり,消費者契約法10条に反することとなる。

4 小括

 以上のとおり,業務方法書57条をどのように解しても,控訴人の請求の正当性が基礎づけられることとなる。従って,原判決は不当である。                       以上

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2014年12月28日 (日)

司法試験の受験資格から法科大学院課程修了要件の削除を求める弁護士会決議  仙台弁護士会はこのような決議をしないのだろうか?

  「司法試験の受験資格から法科大学院課程修了要件の削除を求める」趣旨の弁護士単位会決議は、これまで札幌弁護士会、千葉県弁護士会、埼玉県弁護士会が出している。愛知県弁護士会も、日弁連の「法科大学院制度の改善に関する具体的提言(案)」についての意見照会に対する意見書の形で同趣旨の意見書を出している。今年の12月2日には奈良県弁護士会が総会決議を出した。
  決議や意見の理由は表現に違いはあるが、「法曹志望者数は激減し、将来の司法を支えるべき多様かつ有能な人材を法曹界に輩出することが困難になりつつある事態が生じている。法曹志望者数が激減し、多様かつ有為な人材が法曹を目指さなくなることは、将来の司法を支える人的基盤が脆弱となり、現代社会において司法が果たしている人権擁護機能を後退させてしまうことになる。司法試験の受験資格を得るためには、法科大学院課程の修了が条件となっており、それが志願者減少の主たる原因である。」とする点で一致している。
  愛知県弁護士会の意見書の「法科大学院に通うことは、それ自体に伴う経済的な負担(すなわち、学費、多くの学生が現実にダブルスクールとして通っている予備校の学費、在学中及び合格までの生活費の負担など)や長期間にわたる時間的な負担が伴う。多額の借金を負ってまで、経済的にも希望が持てない法曹界に入ろうとする者が減少するのは至極当然のことである。また、経済的負担には耐えうるけれども時間的負担に耐えられない人も多くいることが想像される。法曹を志す者にこのような経済的・時間的負担を強い、そしてそれをこれからも強い続けるのは、法曹を志望しようと考えている社会人や学費や生活費の経済的負担に耐えられない人にとっては、現行制度が法曹への道を断念せよと言うに等しい。すなわち、経済的、時間的理由から有為な人材が法曹への道を断念せざるをえない制度は不公平、不平等であり、これを許容し続けることは不正義であると言わざるをえない。」、「現在、日弁連は直ちに1500人にまで司法試験合格者を削減するよう舵を切ったばかりであり、直ちに司法修習生の就職難を克服できるわけではないし、弁護士の経済的事情も特に魅力的なものになる見通しは全くない。しかし、私たちはこの現状下でもなお有為で多様な法曹志願者を確保しなければならない。そのためには法曹志願者の法科大学院課程を修了することに伴う経済的負担及び時間的負担を軽減する必要があり、当会はその施策として、法科大学院課程修了を司法試験の受験資格から外すべきことを提言するものである。このように制度を変更することにより、いつでも誰でも自由に受験することが可能となり、有為で多様な人材が法曹を志願することができ、かつ開放的で実力本位の司法試験が実施されることになる。このような制度であれば、法科大学院の定員を削減する必要もなくなる。また、法科大学院に進学するかどうかも学生が自由に判断することができるようになり、現在のような過酷な経済的・時間的・精神的負担から解放されることになる。したがって、法曹志願者数が回復することは容易に予測できる。」との理由が最も端的なものである。
  司法試験の受験資格から法科大学院課程修了要件が削除されるべき理由は多々あり、複合的なものであるが、私は、やはり最大の理由は、資格試験でありながら不公平、不平等という点にあると思う。司法試験は、言うまでもなく法曹として職責を果たしうる能力を有するか否かを判定する試験である。法曹として職責を果たしうる能力を有しているにもかかわらず、法科大学院課程を修了していないことの一事を以て試験すら受けさせないということが許されない不正義であることは自明の理であろう。
  そもそも法科大学院課程修了を司法試験の受験資格としたのは次の理由による。合格者数を3000人に大増員するとなると当時の司法研修所では二年間の司法修習は人的・物的に不可能で、司法修習を一年間に短縮するためには司法修習を補う仕組みが必要と考えられた。他方大学は少子化による学部生減少を補う新たな大学院制度を望んでおり、文科省も自らの省益拡大を望んでいた。このような思惑によって法科大学院制度が構想されたが、法科大学院と司法試験の受験資格をリンクさせないことには法科大学院の学生を確保することはできないと考えられた。そこで法科大学院課程修了を司法試験の受験資格とすることによって法科大学院制度を経済的に成り立たせようとしたのである。しかしこのような法科大学院の経済的利益が、資格試験の生命である公平性・平等性を奪う理由にならないことは明らかであろう。 
  兵庫県弁護士会でも執行部が同じ趣旨の総会決議を出そうとしたが、まず常議員会で否決され、その後常議員12名からの総会招集の求めに応じて臨時総会が招集された。しかし総会では招集手続きについて問題ありとする意見が多数出され、議長が内容面に入るかどうかについて挙手を求めたところ、実質審理に入ることに反対する会員が多数を占めたために実質審理に入ることなく終結したとのことである。
  このように既に5単位会で「司法試験の受験資格から法科大学院課程修了要件の削除を求める」趣旨の総会決議ないし意見が出されているが、日弁連にはその意見に耳を傾ける姿勢は微塵もない。理事会で心ある一部の理事がいかに正論を言おうと、日弁連執行部が自らの意思で法科大学院制度を法曹養成の中核とする方針を変えることは全く期待できない。
  しかし、3000人増員路線についてもかつて日弁連は聖域として死守する姿勢を示していた。それが曲がりなりにも変更して1500人程度までの減員を言い始めたのは、地方単位会が次から次へと増員反対の決議を上げ、もはやその意向を無視しては日弁連の運営が立ち行かないとの判断があったものと思われる。従って、司法試験の受験資格から法科大学院課程修了要件を削除することについても、地方単位会や弁連が決議を出し続ければ日弁連の姿勢を変えることも不可能ではないように思う。
  兵庫県弁護士会において日弁連擁護派との熾烈な争いの末に葬り去られたようにそれは簡単なことではない。しかしそれをやらないことには、有為な人材の法曹志望者数減少は止められないはずだ。仙台弁護士会では二世弁護士が急増している。司法修習生の
貸与申請者数と申請率の推移は新65期(1742人,87.1%) 、66期(1654人,80.8%)、 67期(1449人,73.6%)、 68期(1181人,67.1%)と申請者数、率とも年々下がり、率はついに7割を切ったとされている。「考えられる理由として最も合理的なのは、やはり、弁護士就職難を含む広い意味での経済的事情から法曹を諦める人が増え続けていることの反射として、貸与を受けなくても生活費に困らない修習生が年々、相対的に増え続けており、法曹の卵の属性が偏りつつある」との意見もある。別に今の二世弁護士が有為な人材でないなどと言うつもりは毛頭ない。しかしこのような傾向が今後益々進むようであれば、やはり法曹界の人材が歪なものになっていくことが懸念される。
  仙台弁護士会の総会でも法曹養成に関する決議が準備されようとしている。委員会のメーリスでは参考資料として奈良県弁護士会の決議が流されていたので、仙台会でも司法試験の受験資格から法科大学院課程修了要件の削除を求める趣旨の決議をするのかと期待した。しかし今日のメールを見たところ単に「法曹人口と給費制について、2月21日の総会で決議を挙げる方向で進めることとした」と書いてある。しかし既に何度も決議や会長声明を出している法曹人口と給費制について今さら総会決議することに何の意味があるのだろう?仙台会ではよく「松川事件以来の伝統」ということが言われる。松川事件二審判決後、日弁連が「司法裁判に対する言動に慎重を求める声明」を出そうとした際に、当時の仙台会が常議員会を開いて日弁連の声明に反対することを決議し、仙台会選出の日弁連副会長と理事が理事会で反対意見を述べた結果、声明が見送られたことを指す。しかしながら、少なくとも私が入会した後は仙台弁護士会が積極的に日弁連の方針に反対姿勢を示したことはほとんどない。基本的には日弁連追従路線である。仙台弁護士会は、増員見直しについて、いち早く総会決議を出してその後の地方単位会決議続出の流に寄与しただけに、この問題についても総会決議がなされることを期待したい。

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2014年12月24日 (水)

65 期・66期会員に対するアンケート調査(日本弁護士連合会) 2014年の年額所得(見込)「400~500万円未満」が最多(21.9%),「200万円未満」「200~300万円未満」「300~400万円未満」の合計も31.1%

  日本弁護士連合会は、現新65期及び66期全会員合計3618名を対象にアンケート調査を実施した(実施期間:2014年7月31日~8月29日)。有効回答数は990名 (回収率:27.4%)。仙台弁護士会の回答者数は12名。
1 就業形態
  新規登録時の就業形態は,「勤務弁護士」「民間企業・団体」「公務員」「日本司法支援センターのスタッフ弁護士」の合計で834名(84.3%)であり,それ以外の就業形態である者は156名(15.7%)である。「それ以外」とは,「事務所内独立採算弁護士」「独立開業」「既存事務所の共同経営弁護士」等である。
  調査日現在での就業形態は,「勤務弁護士」「民間企業・団体」「公務員」「日本司法支援センターのスタッフ弁護士」の合計で798名(80.6%),それ以外の就業形態は192名(19.4%)である。新規登録時点と調査日現在の時点を比較すると,「勤務弁護士」「民間企業・団体」等が減り「それ以外」が増えた。
2 2014年の年額所得(見込)
  2014年の年額所得(見込)は,「400~500万円未満」が最多(21.9%)。「200万円未満」「200~300万円未満」「300~400万円未満」の合計は,990名中307名(31.1%)である。
  2014年の年額所得(見込)が400万円未満である者307名のうち「勤務弁護士」は192名,「既存事務所の共同経営弁護士」は11名で両者合わせて66.1%を占める。
3 奨学金債務
  奨学金債務または司法修習貸与金債務を負担する者は,990名中843名(85.2%)である。債務総額は「300~500万円程度」216名,「500~700万円程度」161名,「700万円以上」198名である。
4 新規登録時から現在までに就業形態・就業先を変更したか
  就業先・就業形態ともに変更した者は74名(7.5%)。就業形態は変えず、就業先のみ変更した者は39名(3.9%)。就業先は変えず、就業形態のみ変更した者は27名(2.75)。就業先・就業形態ともに変更していない者は850名(85.9%)。
  就業先または就業形態の変更の理由は,「就業先における自分の将来性が感じられなかった」55名(39.3%),「 人間関係に問題があった」51名(36.4%),「先輩弁護士等による十分な指導が受けられなかった」39名(27.9%),「やりたい仕事ができなかった」32名(22.9%),「就業先の業務拡大・発展の見込みがなかった」27名(19.3%)。
5 就業先・就業形態の変更希望,登録取消
 (1) 就業先・就業形態の変更希望
   今後数年以内に就業先または就業形態を「変更したい」と思う者は,990名中430名(43.4%)である。
   変更希望の理由は,「収入に満足できない」164名,「自分の将来性が感じられない」135名,「就業先の業務拡大・発展の見込がない」82名,「先輩弁護士による十分な指導を受けたい」65名,「現在の就業先において人間関係に問題がある」55名である。
 (2) 登録取消
   登録取消を「考えたことがある」者は990名中177名(17.9%)である。
   登録取消を考えた理由は「会費負担が重い」92名,「収入が不安定」78名,「法曹以外への転職」77名である。留学を考えたは8名、出産育児のためは15名に過ぎない。
   「会費負担が重い」と回答した者の内訳は勤務弁護士48名,独立開業19名,民間企業・団体,事務所内独立採算弁護士がそれぞれ9名である。
   登録取消を「考えたことがある」177名のうち,2014年の年額所得(見込)が400万円未満の者は88名で49.7%を占めている。所得の低さは登録取消の大きな動機となっている。
6 勤務弁護士・既存事務所の共同経営弁護士・事務所内独立採算弁護士の所属先からの金銭支払いの形態
  固定給のみ480名(58.2%),固定給+歩合制186名(22.5%),完全歩合制36名(4.4%),最低所得保障のみ15名(1.8%),最低所得保障+歩合19名(2.3%),金銭支払いはない41名(5%)
7 事務所から支払われる固定給の額(年額)
  200万円未満9名(1.3%),200万円~300万円未満21名(3.1%),300万円~400万円未満116名(17.4%),400万円~500万円未満205名(30.7%),500万円~600万円未満148名(22.2%),600万円~700万円未満79名(11.8%),700万円~800万円未満37名(5.5%),800万円~900万円未満10名(1.55),900万円~1000万円未満13名(1.9%),1000万円以上22名(3.3%)。
8 2014年(1月~12月)の年額所得(収入-経費)(見込み)
  200万円未満71名(7.2%),200万円~300万円未満85名(8.6%),300万円~400万円未満151名(15.3%),400万円~500万円未満217名(21.9%),500万円~600万円未満186名(18.8%),600万円~700万円未満125名(12.6%),700万円~800万円未満64名(6.5%),800万円~900万円未満30名(3.0%),900万円~1000万円未満13名(1.3%),1000万円以上38名(3.8%)

  有効回答数は990名 (回収率:27.4%)であるから,新人弁護士の置かれている状況を示すものとして信頼しうるデータだろう。
  2014年の年額所得(見込)「400~500万円未満」(21.9%),「200万円未満」「200~300万円未満」「300~400万円未満」の合計(31.1%)をどう見るかだが,全弁護士の申告所得の中央値が600万円であるからそれほど低いとは言えないかもしれない。しかし奨学金債務または司法修習貸与金債務を負担する者が85.2%にのぼり)である。債務総額「300~500万円程度」216名,「500~700万円程度」161名,「700万円以上」198名という負債を考慮すると経済的安定とはほど遠い。
  注目すべきは,就業先・就業形態ともに変更した者74名(7.5%)。就業形態は変えず、就業先のみ変更した者39名(3.9%)という点だ。僅か7ヶ月~1年7ヶ月の間に11.4%の者が事務所を移るか独立していることになる。かつてはこのような短期間で事務所を変えたり独立する勤務弁護士はほとんどいなかった。不本意な事務所に就職せざるを得なかったが耐え切れなかった者が1割以上いるということだ。その理由も,就業先における自分の将来性が感じられなかった55名(39.3%), 人間関係に問題があった51名(36.4%),先輩弁護士等による十分な指導が受けられなかった39名(27.9%),やりたい仕事ができなかった32名(22.9%)就業先の業務拡大・発展の見込みがなかった27名(19.3%)というのだから悲しい。

  今後数年以内に就業先または就業形態を「変更したい」と思う者が,990名中430名(43.4%)もいる。変更希望の理由は,「収入に満足できない」164名,「自分の将来性が感じられない」135名,「就業先の業務拡大・発展の見込がない」82名,先輩弁護士による十分な指導を受けたい65名,現在の就業先において人間関係に問題がある55名とされている。多くの勤務弁護士が,就業先の事務所に対し辞めたいと思うほどの大きな不満を抱えていることを示している。
  登録取消を「考えたことがある」者が990名中177名(17.9%)もいるのは驚きだ。その理由も「会費負担が重い」92名,「収入が不安定」78名,「法曹以外への転職」77名とされ,経済的苦境や法曹への失望が多くを占めている。「時間にゆとりがない」57名、「体力の限界」36名がいるがこれらはブラック事務所でこき使われているのだろう。今はまだ「登録取消を考えたことがある」にとどまっているが,早晩新規登録者の2割の者が2年以内に「登録を取消した」になるだろう。

  そもそも日弁連は,このアンケート結果も弁護士実勢調査の結果も公表はしていない。これは日弁連が内閣官房法曹養成制度改革推進室に提出した資料である。まずは一般会員に公表するのが筋だろう。日弁連はいつこの結果を公表し,調査結果についてどのようなコメントをするのだろう。新人弁護士のこのような窮状は司法改革を掲げて大増員を推進してきた日弁連が望んだ姿なのだろうか。法の支配を津々浦々に広げる(未だに意味不明だが)司法改革実現のために甘受すべき代償なのだろうか。
  日弁連は2014年度会務執行方針で,「若手会員支援」のために「司法修習生と若手会員に対する就職支援及び独立開業支援を継続して行います。」「法律事務所への就職支援に止まらず、企業、地方自治体、団体等への就職も視野に入れ、これに必要な支援を行います。」「日弁連総合研修センターによる会員全体のスキルアップ研修の充実に力を入れるとともに、特に若手会員に対しては、多くの弁護士会で行われているOJT強化の取組を支援し、日弁連もこれをサポートします。」「若手会員に役立つ業務モデルの発掘及びその情報提供を行い、成功モデルを周知します。」「事務所内外で先輩弁護士に相談できる機会を持てない若手会員が増加していることに鑑み、いくつかの弁護士会が行っている若手会員向けの相談窓口を全国に広めるために有用な情報の収集と共有化に努め、モデルとなるような相談窓口創設のための検討を行います。」としている。
  やらないよりはましかもしれないが見苦しい弥縫策としか映らない。先ずは過去の政策の過ちを認めて謝罪すべきだろう。その上で,合格者数減の最大の足かせであり,法曹志望者激減と奨学金債務の元凶となっている「法科大学院修了を司法試験の受験資格としていること」の廃止運動を行うべきだ。同時に肥大し過ぎた会務をバッサリと切ってできる限りの会費減額を行うというのが現実的政策だ。たいして効果が望めない「若手会員支援策」に会費を使うくらいなら若手会員の会費負担をさらに軽減すべきだろう。

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2014年12月21日 (日)

日本弁護士連合会弁護士実勢調査2014の結果について 弁護士の所得額中央値600万円

  日弁連が、2014年(平成26年)7月29日~9月19日までの間に、本年7月時点の全会員を対象に実施した弁護士実勢調査の結果が明らかにされた。回答者数は3724人(回答率10.8%)。ちなみに仙台会の回答者数は54人。回答者の属性は経営弁護士66.4%,勤務弁護士20.9%で,その余はノキ弁・法テラススタッフ・組織内弁護士などである。

1 現在の取扱事件数(裁判所事件,交渉事件を含め,報酬請求の単位となるもの)は,中央値は25件,平均値は約34件である。2008年の「センサス」と比較すると,「40件」を境にして「40件未満」が増加,「40件以上」が減少している。全体的に事件数減少の方向へ移動している。
2 全事件のうちの裁判所事件数(調停含む)は,中央値12件,平均値は16件である。このうち家事事件数は中央値3件,平均値約4件である。
3 収入額(売上げ)は,中央値1430万円。平均値2402万円である。
  2010年の「経済基盤調査」では,中央値2112万円。平均値は3304万円だった。
4 所得額は,中央値600万円,平均値907万円である。
  2010年の「経済基盤調査」では中央値959万円,平均値1471万円だった。
5 
2014年度に新人採用予定があるのは,自分の勤務形態を「経営者弁護士」と回答した者のうち9.6%,2015年度以降に採用予定がある者は約4.2%。採用予定を「3年以内」とする者が6.2%,「状況次第」とする者が14.4%と,採用見通しは厳しい。
6 弁護士を採用した場合の給与・報酬額は「400万円~500万円未満」が26%,「500万円~600万円未満」が約23%である。「300万円~400万円未満」は15.6%,「300万円未満」が約2.5%である。
  採用予定が「ない」理由では,業務量確保の見通しがないとする者が約61%で圧倒的である。

  予想通り売上げ、所得共に激減している。取扱事件数も減っている。取扱事件数の中央値が25件,そのうち裁判所事件数が12件,調停や家事事件を除く一般民事は多分その半分であろう。これでは経営はかなり厳しい。
  収入額(売上げ)1430万円,所得額600万円となると経費は差し引き830万円になる。勤務弁護士が回答者の20.9%いるとはいえ、経営者弁護士もかなり経費を切り詰めいているのが分かる。月額69万円で事務所を維持するのはかなり難しい。近時法テラススタッフや組織内弁護士が就職先として人気を集めいていると聞く。経営者弁護士の将来性への不安の現れであろうか。
  2010年の「経済基盤調査」の結果と対比すれば,ここ数年の内に相当数の経営者弁護士が貧困層に転落するのは必至のように思われる。
  日弁連には現在20億円の繰越金があるそうだ。これだけ会員数を増やしておいて会費は減額しないのだから会費収入は右肩上がり,使い切れなくて当然だ。しかし日弁連は特別会費の一部の減額・一般会計化をするものの会費減額は全く考えていない。20億円の繰越金も日弁連の重点施策に使うのだそうだ。全くどうかしている。今でも多くの会員は日弁連に何も期待しないし関心も持っていない。日弁連が会員から見放されて強制加入団体でなくなるのもそう遠くのことではないと思う。

弁護士実勢調査http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/hoso_kaikaku/dai14/siryou03.pdf

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2014年11月 5日 (水)

アディーレ法律事務所、債務整理「返金保証キャンペーン」--満足しなければ着手金返金

リンク: Yahoo!ニュース - アディーレ、債務整理「返金保証キャンペーン」--満足しなければ着手金返金 (マイナビニュース).

  アディーレ法律事務所は4日、債務整理の依頼者が対応に満足しなかった場合、契約から90日以内なら着手金を全額返金する「返金保証キャンペーン」を開始した。 同キャンペーンでは、期間中、債務整理(過払い金返還請求・任意整理・民事再生・自己破産)で依頼をした人のうち、契約から90日以内に契約の解除を希望した場合、着手金をすべて返金する。 返金保証は、他のサービス業では多く実施されているが、弁護士業界ではまだ定着していない。同法人は、これまで弁護士への依頼をためらっていた人に「安心して一歩踏み出してほしい」との想いから、今回のキャンペーンの開催に至ったという。 対象は、キャンペーン期間中に契約した人で、返金保証キャンペーンの利用を申告し、返金前にアンケートへの回答・返送が可能な人。なお、返金の際の振込み手数料は依頼者負担となる。
(御木本千春)

  弁護士と依頼者との契約は委任契約。委任契約は民法651条1項で無理由解除が認められる。有償委任の場合も解除権放棄しない限り無理由解除はできるが、それによって受任者に損害が生じれば賠償しなければならない(同条2項)。
  解除されれば原状回復義務が生じるので、弁護士は着手金を委任者に返還しなければならないが、他方依頼者は弁護士に対しそれまで弁護士が遂行した委任業務の客観的価値を金銭に見積もって返還する義務を負う。従って委任事務があらかた終了しているような場合には、(着手金が高すぎるような場合を除き)両者は等価なので着手金返還の問題は生じない。この原状回復義務については、依頼者と交わす委任契約において「本委任契約が中途で終了したときには、委任業務の処理の程度に応じて精算を行うこととし、協議に基づき弁護士報酬の全部もしくは一部の返還を行う」という約定をするのが一般的である。
  原状回復の問題とは別に、依頼者からの解除によって弁護士の成功報酬への期待を奪われたことについての損害賠償の問題が残る。委任事務処理を開始して間もない時期であれば経済的利益を得られる蓋然性は高くないので、損害賠償はできないあるいは少額になる。他方損害賠償の示談交渉などで既に相手方から具体的な賠償額の提示があった後に依頼者から解除された場合には、依頼者が提示額相当の経済的利益が得られた蓋然性は高いのでそれに見合う成功報酬(見なし成功報酬)を損害賠償として請求しうる。
  実際にどのような着手金返還や損害賠償請求がなされているのかは分からない。おそらく弁護士によって大きく異なるのであろう。私の場合は依頼者から途中解除されたという記憶はほとんどない。事件の処理方針が異なるために自分の方から辞任を申し出たケースは7~8件記憶している。既に相手方から具体的な賠償額の提示があったようなケースを除けば全額返還している。信頼関係を維持できない以上着手金は返してすっぱり縁を切る方が精神衛生上のメリットが大きいと思うからだ。但し具体的な金額の提示が既になされていた場合や着手金を長期分割にしたのにその分割金すら支払わないケースでは返還しないで辞任している。受任後に事前の見通しが甘かったことが判明したケースでも全額返金したことがある。
  依頼者とお金のことで揉めたことはほとんどないが、事件終了後にクレームを付けられたことはある。医療事故調査の依頼を受けて調査結果を報告したところ内容が意に添わないから着手金を返せと要求された。これについては何と言われようと断固拒否した。別にお金が惜しいわけではないが、トラブル回避のために安易に応じたのでは、いい加減な仕事をしたことを認めたようにとられる虞があるからだ。
  悩ましいのは、損害賠償の示談交渉などで既に相手方から具体的な賠償額の提示があり、それが妥当な金額であるにもかかわらず依頼者が納得しない場合である。説明を尽くした上で待つしかないのだが、かつて問い合わせに対しても回答すらなかった場合に辞任したことがある。かなり高額な示談額だったので正直見なし成功報酬を請求したいところだったが、精神衛生を優先して何もしなかった。
  私の場合、思わしくない和解をせざるを得なかった場合には成功報酬をこちらから減額する場合が多い。かつて裁判上の和解である程度譲歩はしたもののほぼ所期の目的は達したと思われたケースで成功報酬を値切られたこともある。正直腹立たしかったが敢えて争うことはしなかった。
  弁護士業務はただでさえストレスの溜まる仕事だが、その上依頼者と揉めることは大変なストレスになる。譲れないところは筋を通すとしても、長い目で見れば経済的利益には拘泥せず精神衛生を優先した方が良いように思う。
  アディーレ法律事務所の「返金保証キャンペーン」と同じような処理は実際には多くの弁護士が行っていると思う。ただ、それは依頼者との不毛なトラブル回避のためであって、それを顧客誘引のために積極的にアピールするという発想はなかった。このような手法を、事件処理についての自信の表れと評価する者もいよう。しかし弁護士業務のほとんどは成功を請け負えるような性格のものではない。債務整理という実質的に弁護士の関与をほとんど必要とせず機械的に処理しうる分野だからできる手法であろう。
  それにしてもアディーレ法律事務所の宣伝のうまさには舌を巻く。眉をひそめる弁護士も多いが、日弁連の阿呆共の司法改革でもたらされた弁護士過当競争の下ではむしろ見習うべきであろう。新規需要の開拓などは絵空事である。損保や上場企業などの安定した顧客を確保している弁護士を除けば、派手な広告宣伝に頼るか専門性を高めるしか生き残る途はない時代になりつつあるのだと思う。

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2014年2月18日 (火)

仙台弁護士会法律相談センターの直受件数・直受率・弁護士紹介件数がいずれも激減  

  今日仙台弁護士会から平成25年度会務報告が会員に配布された。法律相談センター運営委員会の報告を見ると、仙台弁護士会法律相談センターの直受件数・直受率・弁護士紹介件数がいずれも激減している。
  本庁所在地の法律相談センターの相談数は4449件(有料、震災相談、扶助相談、夜間土曜相談の合計)。このうち相談担当弁護士が受任した件数が僅かに132件。直受率は2.9%。弁護士紹介件数は216件。これを加えても直受率は7.8%(相談を経ない弁護士紹介もあるので実際はもっと低いが)。
  支部の法律相談センターの相談数は2539件(有料、震災相談、扶助相談の合計)。このうち相談担当弁護士が受任した件数が僅かに47件。直受率は1.8%。弁護士紹介件数は12件。これを加えても直受率は2.3%。 
  従前どうだったかといえば、私が入会した平成4年ですら、相談数は2539件(本庁所在地の法律相談センターの相談数で当時は有料相談のみ)。このうち相談担当弁護士が受任した件数は120件。直受率は6.5%。弁護士紹介件数は427件。これを加えると直受率は30%。最も相談件数が多かった平成15年は相談数は6314件(本庁所在地の法律相談センターの相談数で当時は有料相談のみ)。このうち相談担当弁護士が受任した件数は428件。直受率は6.7%。弁護士紹介件数は1118件。これを加えると直受率は24%。
  直受率の低下は、現在宮城県内では震災無料相談が行われていることも影響しているが、直受件数自体が132件と平成4年頃の水準まで低下しているので、単に無料化による影響では説明できない。弁護士紹介件数が平成4年の水準の半分まで低下していることを考えると、おそらく本当に弁護士の受任を必要としている市民は、弁護士会の相談や弁護士紹介ではなく自分で直接法律事務所を探して相談したり依頼したりするようになったというのが原因であろう。
  かつては弁護士の広告が厳しく制限されていて市民が弁護士を探そうにも探せず、やむを得ず弁護士会を頼るほかなかった。それが、今ではネットなどで弁護士の情報を仕入れて自分のニーズに合った弁護士を探して相談するようになったのだと思う。このような市民の行動は合理的であり賢い選択だと思う。
  このような市民の意識の変化と、震災無料相談の実施が相俟って、弁護士会の法律相談センターでは、本来弁護士の関与を必要としない日常の困り事、悩み事相談が増加する結果になったのだろう。もちろん弁護士に相談することによって不安や悩みが解消されれば、それはそれで意味のあることだと思う。
  問題は、会員の会費で運営される弁護士会がそれをやるべきなのかということだ。上記本庁と支部を合計すると相談件数は6988件、直受件数は179件、直受率2.5%となる。仙台弁護士会の会員数は現在413名であるが、1年間にその半分にも満たない者しか受任できないような法律相談では業務対策という意味はほとんどない。今は震災無料相談の枠組みがあるから、5000円もらって困り事、悩み事相談をすると思えばよいだけの話しだが、それも来年の3月までだ。もし来年4月から有料相談に戻れば、おそらく相談件数は激減するだろう。
  それを避けるために本当の意味で弁護士会の法律相談を無料化するという発想も一部にあるようだが、私はとんでもないことだと思う。札幌弁護士会は法律相談の無料化に踏み切り、東京3会の一部でも検討しているようだ。その論拠は、相談を無料化することによって件数が増えれば受任の機会も増えるということにある。しかしそうでないことは既に仙台弁護士会の震災無料法律相談で証明されている。無料化で増えるのは、本来弁護士の関与を必要としない日常の困り事、悩み事相談が主だ。本当に弁護士を必要とする者は、質の担保されない弁護士会の法律相談ではなく、情報を収集した上で直接法律事務所に赴くことになる。そのような市民の傾向は止めようがないし、むしろ合理的なのである。間違っても無料化で会費をドブに捨てるようなことはしないで欲しい。
  仙台弁護士会法律相談センター運営委員会も次期会長候補者も法律相談の拡充や無料化を考えているようだが、もはや弁護士会の法律相談が会員にとって業務対策の意味を持たないことは数字が示している。この直受件数では負担金の会費収入が今まで以上に減少することは目に見えている。市民に身近なとか社会生活上の医師だとかいって数字を無視した無謀な増員をした轍を踏むことなく、冷静に数字を分析すべきだ。私はこの際、法律相談センター事業は自治体などからの委託相談だけに縮小すべきだと思う。負担金収入は減るが、それ以上に弁護士会の経費を節減することができるはずだ。いやどのみち負担金収入は期待できなくなるのだから、業務を縮小しなければ一般会費での補填が必要となり益々仙台会の財政は苦しくなる。
  もはやこのご時世では、業務対策は個々の会員が創意工夫してやるほかない。間違っても法律相談事業の拡充で業務対策をやろうなどとしてはならないと思う。

  おもしろいブログを見つけたので紹介します。
  稼げない弁護士http://ameblo.jp/kasegenaibengoshi/
  弁護士会とやりあうhttp://anti-bengosikai.blogspot.jp/2013/01/blog-post_29.html

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